安芸優樹は勇者である   作:三奈木イヴ

8 / 69
安芸優樹 第7話です。お待たせしました! 8話でちょっとした小話して9話より結城友奈の章行こうと考えてます。もうしばらく優樹君と勇者部をお楽しみください!


抱く想い

犬吠埼家での勉強会から1週間が経った。

 

「優樹君おはよう!」

 

「おはよう優樹君」

 

「友奈、東郷さん おはよう」

 

教室へ入ると、いつものように友奈と東郷さんと挨拶を交わした──が

 

「友奈……なんかげっそりしてない?」

 

「うぅーん……?大丈夫だよ……」

 

「東郷さん…?」

 

「友奈ちゃんは今日も可愛いわぁ」

 

昨日の勇者部合同勉強会のせいなのか、はたまた迫るテストの緊張感からなのかいつもより友奈の元気が無いように見えた。

東郷さん一体何したんだ……?

 

「優樹君?私はただ友奈ちゃんに勉強を教えただけよ?」

 

「あっ、はい…」

 

昨日今日の友奈の顔を見れば、東郷さんは結構なスパルタなのが察せられた……。いやでも東郷さん友奈大好きだし飴と鞭になるのか?

 

「そういえば、優樹君は今日のテスト大丈夫なの?」

 

「文系は風先輩に教えてもらったから多分行ける」

 

「そういう友奈は?」

 

「なせば大抵なんとかなる!」

 

「勇者部五箇条じゃん…。まぁ、昨日も東郷さんや風先輩に教えてもらってたから大丈夫か」

 

「うふふっ…友奈ちゃんならきっと大丈夫よ」

 

「東郷さんが言うなら間違いないな。友奈、東郷さんテスト頑張ろう」

 

「ええ」

 

「優樹君も頑張ろう!」

 

僕の場合は、特に風先輩に教えてもらった文系を絶対に補修回避しないと……仮に赤点取ろうものなら間違いなく風先輩にめっちゃ怒られる……。

 

◆◇

 

えー……安芸さんちの筋肉こと優樹です。本日は国語と英語のテストなのですが……長文問題がわかりましぇん……!

 

マズイマズイマズイ!!

 

いや本当にマズイねぇ……いや待って本当に待って……風先輩に怒られるじゃん……特に苦手分野の国語が……

 

いや……さっき友奈も言ってたじゃないか!

 

『なせば大抵なんとかなる!』って

 

勇者部五箇条を思い出せ!

 

『なるべく諦めない!』

 

『なせば大抵なんとかなる!』

 

もしダメだったら……その時はその時だ……。

 

◆◇

 

「……で、なんで部室に入るなり土下座をしてるのかしら?」

 

「すみません風先輩……しくじりました」

 

「えっと……優樹君、一体何があったの……?」

 

「土下座?優樹君は何をやらかしたのかしら?」

 

部室へ入って風先輩を認識すると同時に、僕はジャンピング土下座を披露した。冗談等のつもりは一切無しに、誠意の為だ。

 

何故なら──

 

「すみません風先輩……今回の国語のテスト……しくじりました!!」

 

全ての科目が終わった翌週、テスト返却があったのだが、点数は40点 一応補修は回避というラインだ。

 

「優樹」

 

「は、はい!」

 

「苦手分野なのに頑張ったわね」

 

「え?」

 

「アンタは頑張った!補修にならなかったんだからそれで良いじゃないの!」

 

そう言った風先輩の笑顔に、僕は驚愕した。風先輩って、なんだか──

 

「母親みたいだな……」

 

「えっ……」

 

「へ?」

 

「あら?」

 

「優樹、やっぱアンタは反省ね」

 

「え、」

 

あっ……今の声に出て──

 

「とりあえず、腕立てで良いかしら」

 

「は、はい!」

 

僕は腕立ての姿勢を取った──っ⁉︎

 

「あ、あの……風……先輩?」

 

何故かその上に風先輩が座った。ちょっ……おも──

 

「10回で良いから」

 

「あ、あの……」

 

「アタシは乙女よ。OK?」

 

「お、おーけぃ……!……いち!」

 

やっべ……風先輩怒ってるな……。完全に僕の不手際だ……。

風先輩が乗った状態での腕立て伏せを続行する。人を乗せての腕立ては初めてだけど、これキッツイなぁ……。人一人分の重量ってこんなキツいんだぁ……

 

「ご……ぉ!!」

 

「わぁ……優樹君凄いね……」

 

友奈なんか引いてない…?いや良いんだけどね……完全に僕の自業自得だし

 

「頑張って優樹君」

 

どっから出したんだろうあの小さな日本国旗……でも……東郷さんが天使に見えるよ……!

 

「あと……いっかーーい!!」

 

気合いと……根性と……魂で……上げろォ!!

 

「ォオァア!!」

 

「おお!やり切った…!」

 

「お疲れ様優樹 よく頑張ったわ」

 

「ハァ……ありがとう……ございます!」

 

今回の腕立てはとても効いた。時々お願いしてみようかな?

 

「そういえば優樹、他の科目はどうだったのかしら?」

 

「こんな感じです」

 

僕は全ての科目を見せた。

内容としては、文系は赤点ギリギリ回避の壊滅状態で理数系は80以上を取ることができた。やっぱり僕、文系苦手だな……。

 

「ウチでも聞いたことだけど、見事に文系が壊滅してるわね…」

 

「風先輩、今度は私も一緒に教えます。」

 

「東郷さんまで……お手柔らかにお願いします……」

 

次の勉強会が怖いよ……。まぁ……なせば大抵なんとかなる…だな。

 

「そういえば、友奈はどうだった?」

 

「えっ!?」

 

なんとなく気になり友奈に結果を聞いてみると、返ってきたのは焦りの混じった驚愕であった。

 

「友奈ちゃん?」

 

「あ、あはは……えと、はい…」

 

諦めたような表情をした友奈がテストを公開した。

 

数学はギリギリだけど、他はある程度取れている

 

「ごめんなさい東郷さん……あんなに教えてもらったのに……」

 

友奈が悲しげな表情を浮かべた。

 

「ううん……友奈ちゃんは頑張ったわ」

 

「友奈、数学だったら僕も力になれるからさ。次頑張っていこう」

 

「優樹君……」

 

こうは言ったものの、正直なところ国語のせいで余裕があるかは怪しい……。だけど、友達のために頑張るのは勇者の活動だと思うんだ

 

「はい!テストはみんな補修は無かったってことで!切り替えていきましょ!!」

 

風先輩の一声で、勇者部の空気が変わった。

切り替えて行こう。

 

「さて、今日の依頼は──」

 

今日の依頼は僕と友奈で担当する事になった。

友奈は運動部のスケットで僕は新聞部の依頼だ。確か各部活のインタビューだっけ……?

 

◆◇

 

「失礼します。勇者部の安芸です」

 

「おっ、来てくれてありがとうね!ほら、ここ座って」

 

「あっはい。失礼します」

 

新聞部のインタビュー……何故、部長の風先輩じゃなくて僕なのかはわからないが……頑張ろう。上手く答えられるかな

 

「えっと……インタビューでしたっけ?」

 

「そう!我が部の部活動紹介よ!最初は風やんに来てもらおうと思ってたけど、勇者部唯一の男子部員の方が面白そうだったから呼ばせてもらったわ」

 

そんな理由だったのか まぁ、普通に答えれば良いよね?

 

「……なるほど。では、始めますか?」

 

「おっしゃ、まず始めに自己紹介からお願いして良いかい?」

 

「はい。1年の安芸優樹です。好きな食べ物はうどんで趣味は筋トレです。勇者部には風先輩の勧誘で入部しました。よろしくお願いします」

 

「ほうほう……筋トレ始めた理由って聞いても?」

 

「すみません、ちょっと理由が理由なので……」

 

新聞部の先輩達のインタビューが始まると、まずは自己紹介をした。筋トレを始めた理由を話すと、事故の件も出てくるので話すべきではないだろう。勇者部はもう知られてるし今更だけどね

 

「わかったわ〜それじゃあ──」

 

それからインタビューは滞りなく進んでいった。例えば勇者部の活動内容や目標に時々僕や他の部員のプライベートの話が出てきたりもしたが、その辺は誤魔化したりしながら答えた。

 

「じゃあ、最後に──ぶっちゃけ、風やん達のことどう思っとる?」

 

「ブフッ!!」

 

いろんな質問に答えていき、最後の質問を言われた僕は、思わず噴き出してしまった

 

「な、何を言ってるんですか!!」

 

「えぇ?だって安芸君、勇者部の黒一点でしょ?それで風やんに同じ1年生の結城さんと東郷さんと一緒でしょ?何か浮ついた話しとかって無いん?」

 

もう……風先輩と言い新聞部といいなんなんだよもう……ああもうヤケクソだ!

 

「これインタビューとは関係無いですよね?」

 

「もちろん!」

 

「じゃあ、ぶっちゃけますけど……正直ドキッとする事はありますね……けどそれくらいで他はありませんよ」

 

勇者部に入部して今日まで2ヶ月ちょっと……魅力的な女子3人と一緒にいて何も感じないほど僕も枯れてない。恋愛に関してよくわからないとは言いつつも、僕も男だ。そういう事に関して興味が無いわけではない。だが……時々、目のやり場に困るんだよなぁ……東郷さんとか。

あと、風先輩も冗談を言ってヘッドロックされた時はちょっと気合いを入れる必要があった。だって当たってるんだもん……。ナニとは言わないが

 

「本当に?風やんは先輩だからアレだけど、結城さん、東郷さんめっちゃ可愛いしモテそうやん?」

 

「まぁ……その辺りは否定しませんけど、僕は違いますよ」

 

「まだ恋愛に関してはわからないってやつ?風やんから聞いてるよ〜」

 

「風先輩……」

 

僕はあまり気にしてなかったが、友奈や東郷さんは結構モテるらしい。友奈は明るいし元気だし可愛いでモテるのも無理はないか。でも本人は気づいてなさそうだな──というか東郷さんがブロックするからそもそも近づけないか

 

「まあ……こんな感じですよ。今のところ僕は勇者部の誰かとそういう関係にはならないと思います。」

 

「今のところってことは、いつかは?」

 

「あるかもしれないですね──」

 

「その時はスクープかねぇ?」

 

「勘弁してください……それじゃあ」

 

どこか下世話な新聞部の部室を後にした。別に悪い人たちじゃないんだろうけど、恋愛の事になると面倒かもしれないな……。とりあえず部室に帰ろう

 

◆◇

 

「安芸優樹帰還しました!」

 

「おーお疲れー」

 

「優樹君お疲れ様」

 

部室へ帰ってくると、風先輩と東郷さんが出迎えてくれた。

さっき新聞部のせいでちょっと意識してしまいそうだ。

 

「あれ?優樹どしたん?」

 

「い、いえ何も…!そういえば、新聞部の方が風先輩によろしくって言ってましたよ」

 

「おーありがとうね」

 

「あっ、そうだ優樹 新聞部に何か変なこと聞かれなかった?」

 

「あー……聞かれましたよ。主に僕の恋愛事情に」

 

「あちゃー…やっぱりか」

 

「やっぱり?」

 

風先輩こうなる事予想してたってこと…?いや、同級生みたいだし聞かれてたりしたのか

 

「いやあ、ウチのクラスメイトがご迷惑をかけました。あの子達恋愛とかそっち方面には興味津々なのよねぇ」

 

「ああ……。なるほど」

 

「男子の恋愛事情……そ、そんなハレンチな…!」

 

「東郷さん、今のところそういう事は無いからね……?」

 

「結城友奈ただいま戻りました!!」

 

「友奈ちゃん!お疲れ様」

 

「友奈お疲れ」

 

「お疲れ様〜」

 

話を聞いていた東郷さんが赤面していると、運動部の助っ人に行ってた友奈が戻ってきた。僕はあまり長時間の運動出来ないから筋トレばかりだけど羨ましいな……。

 

「よし!全員帰還したし、今日はもう依頼無いからうどん食べに行きましょ!」

 

「はーい!運動してお腹空いちゃいました!」

 

「良いですね」

 

「友奈ちゃんは可愛いわ」

 

今日の部活動は終了し、かめやへ行く事になった。




次回 優樹君と安芸先生
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。