紅魔戦記~カリスマの戯れ~   作:インスタントブルー

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キリの良い所で切ったので、今回は少しだけ短めです。


運命の出会い

「お嬢様、それでは行って参ります。」

 

「えぇ、行ってらっしゃい。」

 

1932年6月1日20時クリムソン空港、

私十六夜咲夜はお嬢様の見送りを受け、

アリス、メアリーと共に訪日するべく

新型の輸送機に乗り込んでいた。

今回の訪日は仕事だけでは無く

お嬢様の御厚意による

私の休暇も兼ねているので

移動を含めて10日間と言う

余裕を持った日程を組んでいる。

移動に2日間を費やす事になるが、

それでも日本の仕事は4日間だけなので

残りの4日間は日本観光に充てるつもりだ。

 

本来今回の訪日は5月20日頃を目途に

吉田に日程を調整して貰っていたのだが、

5月15日に日本では首相である犬養毅が

暗殺されると言う大事件が発生した為に

今月初めに延期されたと言う経緯がある。

…延期の要請を受けた時は

つい気落ちしてしまった物である。

私自身お嬢様に忠誠を誓ってはいるが、

流石に殺人的な業務量を前にして

疲れが中々抜けなくなってきていたので

4日間の日本観光を本当に待ちわびていたのだ。

 

とは言え、観光はあくまでオマケであり

私には重要な仕事が任されている。

私は足早に輸送機に乗り込む。

航空機に乗ったのは英国訪問以来だが、

中の快適さは当然ながら段違い。

前回は戦闘機内の空間を強引に拡張し

無理矢理乗り込む形となっていたが、

今回は最初から輸送の為の機種なので

10個程の座席が予め設置されている。

足を伸ばせるだけで感謝の極みである。

 

「咲夜、私飛行機は初めてなのだけど

何か注意する事はあるかしら?」

 

私が左前方の座席に腰掛けた時、

右から濃紺色の軍服を身に纏った

アリスが声を掛けてくる。

…よく考えたら分かる事だが、

アリスは自らが空を飛べるので

飛行機に乗るのは初めてなのか。

流石に自ら空を飛んで訪日するのは

幾ら何でも格好がつかない上に

相当疲れる事間違い無しなので

今回の移動方法は飛行機になったが。

私はアリスに簡単に助言しておく。

 

「そうね、緊急事態が起きない限り、

パイロットの指示に従ってそこにある

シートベルトを付けるだけで平気よ。」

 

「…そうなの?案外簡単なのね。」

 

アリスは私にそう言って、

隣に座るメアリーと一緒に

シートベルトの確認をする。

その時、パイロットの声が響いた。

 

「そろそろ離陸しますので、

シートベルトを付けてください。

到着までは18時間程要すると思われます。」

 

その声を聞いて慌てて2人は

シートベルトをしっかりと付ける。

その瞬間、飛行機は加速を初め

体に少しGを感じさせながら離陸する。

いよいよこれから日本への第一歩を

踏み出す事になるのだと言う

実感を改めて私は抱いたが、

冷静に考えるとこれから18時間は

空の上と言う事になるので

やはり極東までは相応に距離がある。

飛行機はみるみる高度を上げていき、

バベルの塔を上から見下ろす位まで上昇すると

シートベルトを外す許可が下りた。

私は早速シートベルトを外し、

アリスに改めて仕事の話を振る。

 

「…さて、予め書類は渡したけど、

改めて今回の訪日における行程を

確認させて貰おうかしら。」

 

アリスは私の発言に首肯する。

なので、私は話を続ける事にした。

 

「まず、私達は現地時間20時頃東京につくわ。

移動時間が18時間で時差が6時間だから

ピッタリ1日進む形になるわね。

初日はホテルに宿泊して、仕事は翌日から。

2日目は午後から皇室への訪問を予定しているわ。

ここでは絶対に失礼が無い様に振る舞う事。

3日目も午後から昼食会の後総理大臣との会談。

4日目はこの輸送機に日本の航空関係者を招いて

内部の設備等の説明を行なう予定になっているわ。

それと、この日アリスは別行動で海軍大臣と会談ね。

5日目は朝から横須賀まで移動して海軍設備の見学。

6日目から9日目は観光に充てる予定よ。

魔法の類については、危害を加えない限り

自由に使用して一向に構わないから。

長々と話したけど、何か質問はあるかしら?」

 

アリスは手元に私が事前に渡した書類を取り出し

時折書き込みながら私の話を聞いていた。

隣に座るメアリーは…京都について

書かれている本を持っていた。

私がそれに呆れていると、

アリスは顔を上げて質問して来る。

 

「仕事については概ね理解したわ。

海軍大臣として、一流の海軍国の技術を

しっかり吸収して来るつもりよ。

…所で、観光についてだけれど

何処か行きたい場所は決まっているの?

メアリー何て、昨日から仕事そっちのけで

ずっと日本観光について考えている始末よ。

だけど、これは咲夜の休暇なのだから

行き先は貴女が考えて然るべきだと思うわ。」

 

私はその言葉を受け暫し考える。

確かに言われてみれば、

日本観光を楽しみにしていた割には

行きたい場所何て考えていなかったのだ。

正直、その辺りはその場の流れで

行けそうな場所を回れれば

それで問題無い気はするのだが…。

私はアリスに素直に答える。

 

「…正直、決まっては無いのよね。

一応、観光もする予定だって言ったら

吉田が気を利かせてくれて

私達の為にガイドとして外務官僚を

1人つけてくれるみたいだけれど。

ガイドに聞くのが早いのではないかしら。」

 

私がそう言うと、アリスは感心した様に応じる。

 

「…吉田と言うのは、確か最近レミリアが

気に入っている日本人だっけ?

あのレミリアに取り入る位だから

きっと優秀な人間なのでしょうけれど、

本当に気が利いているわねぇ。

ガイドまでつけてくれると言うなら、

私達が自分で旅程を考えるよりも

有意義な旅が出来るかもしれないわ。」

 

アリスはそう言って、相も変わらず

京都についての本を読んでいる

メアリーをジト目で見つめる。

しかし、メアリーはそれに気付かないのか

完全に本の世界に入り込んでしまっていた。

アリスは溜息をつくと私に向き直る。

 

「…まぁ、いずれにしても先ずは仕事よね。

私達はそれなりに自衛出来るとは言え、

最近日本は政情不安みたいだから

少しだけ心配になってくるわ。」

 

アリスは日本の政情不安について心配がる。

まぁ、総理大臣が先日暗殺されたとなれば

心配になる気持ちは分から無い訳では無い。

とは言え私はアリスが人並外れた

戦闘能力を持っている事を知っているし、

最近アリスに魔法を教わっていると言うメアリーも

そこらの軍人ぐらいが相手であれば

余裕で圧倒出来る位の力はある筈である。

私については触れる必要はあるまい。

私はアリスを励ます。

 

「…もし最悪の事態が起きても、

アリスなら自衛出来ると思うわよ?

恐らくメアリー1人だけでも可能ね。

それに、仮にも他国の要人の前で

絶対に何かが起こったりしない様に

日本側だって相当用心する筈よ。

これはメンツに関わる問題だから。」

 

「…そうだと信じているわ。

念の為、持って来た人形達には

限界まで武装を施した物を

用意はしているしね。」

 

アリスはそういうと上海人形を

私の前で取り出して見せた。

可愛らしい人形ではあるのだが、

右手には槍、左手にはハルバードを

装備しているのが見て取れる。

無論、これらの武器が誇る

実際の破壊力は見た目の印象の

軽く数百倍を誇っているだろう。

私でもあの武器にまともに攻撃された場合、

生きている自信は殆ど、いや全く無い。

尤も、本気になった私に対して

攻撃が可能な人間は稀であるが。

完璧に奇襲されない限りは

特段問題は無いであろう。

私は上海に手を軽く振り、

上海はお辞儀をしてから

アリスの一振りで姿を消した。

私はその技術に感心しつつ、

思い立った事を聞いてみる。

 

「見事な人形だと思うわ。

…所で、話は変わるのだけれど、

遂に地下ドッグが完成したんだっけ?

予想より速かった気がするのだけれど。」

 

私は海軍大臣としてのアリスに話を聞く。

そう、遂に先日黒海とブカレストを繋ぐ

海軍の地下ドッグが完成したらしいのだ。

当初の予定では完成は10月から11月と

話に聞いていた訳なのだが…。

どうも、数日前に遂に完成したらしい。

私が話を振ると、アリスが誇らしげに言う。

 

「えぇ、トンネル掘削が2月に終わって

その後の工事も想定より早く進んだからね。

当初の計画では、この時期からようやく

本格的にドッグ建設に取り掛かる予定だったから

工期の相当な前倒しが出来たと思うわ。

苦労はしたけど感慨深いと言うものよ。

やっと職場が自宅から3分圏内になったのだから。」

 

相も変わらず自宅と職場の距離を気にする

アリスの怠惰な勤務態度については

自宅と職場が一体化している私に

文句を言う資格が無さそうなので兎も角として、

これが如何に凄い話であるかは

私にも当然ながら理解出来る。

 

…無論私もルーマニアの建築大臣として

一瞬で様々な建築をしている訳であるが、

それはあくまで渡された模型を

空間拡張によって大きくする事が

可能な建築物に限った話である。

バベルの塔の様な形状の建築物は良いが、

横方向に広がる様な巨大建築物は

空間拡張の及ぶ範囲が限られてしまい

一瞬での建築は不可能なのだ。

当然、地下ドッグもその1つである。

私はアリスに質問する。

 

「…そう考えると本当に凄いわよね。

一体どうやって工期を短縮したの?」

 

私がそう聞くと、アリスは大きな胸を張り

そのからくりを教えてくれる。

 

「掘削について言うならば、

パチュリーの助言を受けて

爆破魔法の術式の構築を

大幅に変更してみたのが良かったのよね。

結果として破壊力が増したから、

効率が大幅に上昇したの。

そして、ドッグ建築については

雇った作業員の疲労を

メアリーの治癒魔法で

回復させる事で昼夜を問わず

働かせ続けたのが大きいわ。

勿論工賃は相当高くついたし

作業員からは文句も言われたけど、

少なくとも費用面に関して言えば

工期の短縮でペイ出来たわ。」

 

私は目を丸くしてその言葉に驚く。

無論、驚いたのは爆破魔法の改良では無く

メアリーの治癒魔法についてだ。

当然である。聞き捨てならない。

 

「…あら、つまりメアリーは

病気を治すだけじゃなくて

疲労回復の魔法が使えるの?

その言葉が本当なのだとしたら、

是非私にも掛けて欲しいのだけど。」

 

私は最近疲れが中々取れていない。

そんな都合の良い魔法があるなら

掛けて欲しいのは当然の事だ。

私が京都の本に目を落とす

メアリーの姿を見やると、

メアリーは本から目線を外す事無く

左手を一振りしてみせた。

…瞬間、私は自分でも一気に

体調が良くなって行くのを感じる。

視界が広くなった気がするし、

頭の回転速度も上がった気がする。

いや、気がするのでは無い。

本当に体から疲労が抜けている。

これは中々に凄まじい効能だ。

 

「…これは恐ろしい程の魔法ね。

メアリーはアリスの弟子だけれど、

これからはずっと私の傍で

時折その魔法を掛けて欲しいわ。」

 

喉から手が出る程欲しい類の魔法に

感心している私を前にして、

アリスは苦笑しながら情報を補足してきた。

 

「…まぁ、本人に言わせれば

病気を治す魔法の術式を少しだけ

弄っただけらしいわよ。

本当に凄まじい魔法だと思うわ。

難解そうな術式でも何でも無いのに、

何故か私はメアリーの術式を使っても

治癒魔法が使えないのだもの。

なのに、メアリーときたら

私が教えられる簡単な魔法は

1日にしてマスターしちゃうのよ?

もう取得に年単位がかかる魔法以外は

全部教え切ってしまったわ。

…まぁ、そんなこんなで今の彼女は

魔女兼医者兼私の助手とか言う

ちょっとおかしな事になっているのよね。

たった半年で既に彼女は私とも

殆ど対等の実力を持っていると思うし、

先日彼女にもそれを伝えたわ。

今回の訪日は、弟子に与える私からの

卒業記念旅行みたいな物なのよ。」

 

…人間である私が言うのもあれだが、

人間の進歩は想像以上に速い。

私は最近自分が進歩している言う

実感を殆ど得られていないのだが、

才能があるのか何なのか、

彼女はもう一人前になったらしい。

これは驚異的な事である。

…ただ、私はここで敢えて

アリスを評価したいと思う。

 

「それもこれもきっと、

アリスの教え方が良いからよ。

勿論メアリーには魔法の才能が

あったのでしょうけれど、

僅か半年でアリスと並ぶ為には

並々ならぬ努力に加えて

優れた指導者が必要でしょうから。」

 

私の発言に、アリスは感慨深げだ。

 

「…そう信じたいのだけどね。

この半年間多少は苦労もあったけど、

それ以上に刺激的だったと感じたわ。

私自身も教えるだけじゃなく、

メアリーからは色々な知識や

考え方を吸収出来たしね。

実力を高めていくにつれて

私の扱いが雑になりだしたのは

ちょっとだけ不満だけれど、

メアリーは私の自慢の教え子よ。

これでようやく、私もパチュリーに

肩を並べられたのかもしれないわね。

優秀な魔女を育成出来た事は、

大きな自信にもなるわ。」

 

アリスはしみじみ振り返りつつ、

態度が大きくなった弟子を自慢する。

…私は丁度会話が途切れた所で

ふと目線をメアリーへと向けた。

そこには、白い頬を赤く染める

微笑ましい弟子の姿があった。

 

~~~~~~

 

…しかしまぁ、極東とはよく言った物で、

日本は本当に遠い国である。

メアリーの魔法で私の疲労は随分と

回復した様には感じていたが、

私は目をつぶって睡眠を取る事にした。

それにしても、長時間のフライトで

パイロットは相当疲れる事になりそうだ。

彼女にはこのフライトが終わった後、

パイロットにもあの魔法をかけて貰おう。

 

 

---------

 

 

「…間も無く東京に到着します。

シートベルトを付けて下さい。」

 

…東京に向かう飛行機の中で、

私、メアリー・レーガンは

機内に持ち込んでいた名作児童小説

「不思議の国のアリス」を読んでいた。

正直、アリスさんの眼前でこの小説を

読んでいると不思議な気分になって来る。

不思議だ…本当に不思議だ。

言語化するのは難しいが、

不思議な感覚を覚える。

 

…しかし、思索に耽っている場合では無い。

指示には従わ無ければ。

私はシートベルトを付けると、

機は明確に降下していった。

 

夜間であるにも関わらず

着陸が可能な理由は気になったが、

交代要員含めて2名いるパイロットの

片割れが話してくれた事によると、

如何やら周囲の地形の輪郭が

表示される電子部品があるらしい。

他にも様々な機能が付いており、

航法システムと言うのだとか。

パイロット自身もこの様な

未来的な部品を見た事が無かった為

初めて聞いた時は驚いたそうだが、

これが又本当に便利なのだとか。

 

…どうせパチュリーさんが

新しく開発したのだろうが、

パイロットの話を聞いている限り

とても魔法で作った物であるとは

信じられない程人間的らしく、

簡単に使いこなせるらしい。

いずれにせよ、2名のパイロットは

快適に東京まで飛べた訳だ。

 

そんな事を考えていると、

着陸した様な感覚を覚えた。

飛行機は遂に地上に降りたらしい。

 

 

~~~~~~

 

 

…彼女らが降り立った東京は、

欧州生まれの白人にとっては

湿度が高いと感じる様な場所だった。

飛行機を降りてくる3人の前に、

日本の案内人が話しかけてくる。

 

 

「…皆様、遠路はるばるご苦労様でした!

私は本日からお帰りまで

ルーマニア外交団の皆様の

案内を担当させて頂きます、

外務省から参りました宇佐見隼一です。

一週間と少しと言う短い期間ですが、

宜しくお願い致します。

何かお困りの事がありましたら、

気軽に宇佐見とか、隼一と

お呼びして頂けますと幸いです。

私は皆様の専属ですので、

直ぐに対処させて頂きます。

本日はお疲れでしょうから、

ホテルまでご案内致しますね。

あちらの車にお乗りください。

お荷物もお持ちさせて頂きます。」

 

…現地時間、1932年6月2日20時。

私、メアリー・レーガンは

ルーマニア語で爽やかに語る

どこかあどけなさを残しつつも

整った顔立ちをしている案内人を見て、

今回の訪日が天佑であると確信していた。

高身長、イケメン、そしてエリート…

私が夢にまで見た白馬の王子様は

広大なヨーロッパでは無く

まさかの極東にいたらしい。

人生でも有数の幸福感に包まれた私は、

アリスさんと咲夜さんと共に

用意されていた車に乗り込んで、

宿泊するホテルへと向かった。

 

 





五・一五事件…1932年5月15日に日本で起きたクーデター事件。海軍青年将校が陸軍士官学校生徒や愛郷塾生らと協力し、内閣総理大臣官邸・立憲政友会本部・日本銀行・警視庁などを襲撃、第29代内閣総理大臣の犬養毅を暗殺した重大事件。その重大性を鑑みれば、咲夜の訪日日程に影響を与えたのも納得である。

日本への所要時間…現代のジェット機より少し速い位。速度自体はもっと出せるのだが、
耐久性を考慮してリミッターをかけてある。実は、パチュリーが製造コストを削減する為、当機は戦闘機の様な特殊素材では無く表面を簡単な保護魔法をかけただけのありふれたアルミで製作している。

アリスの軍服…今回アリスは海軍大臣として訪日するので流石に私服で訪問する事はしない。海軍軍服は海軍内での投票の結果濃紺と白が全く同じ票数でトップだった為、結局茶色も含めて希望する色を個人が選べる様になった。統一感の無さを問題視する声もあった物の、そこはアリスが押し切った。アリス自身自らについた「七色の人形遣い」と言う二つ名に誇りを持っており、自身が率いる海軍にも変幻自在の戦いで敵を翻弄して欲しいと言う願いを軍服にも込めている。今回の訪日では日本海軍の軍人が白い軍服で出迎えると聞いていた事もあって、アリスは濃紺の軍服を採用した。

メアリーの進歩…そもそもメアリーは、パチュリーが彼女から送り付けられた突拍子も無い手紙を焼却しようとした際、レミリアが強く止めた位には素養がある人物である。レミリアに見いだされる様な人物と言うのはもれなく才能に満ち溢れている物であって、アリスの様な優れた魔女に指導されればスキルアップも当然速い。

航空機での訪日…ルーマニア外交団が降り立ったのは東京飛行場、現在で言う所の羽田空港である。当時の東京飛行場の滑走路は延長300m幅15mしか無かったので、常識的に考えて輸送機のサイズや速度を考慮した場合着陸するのは無謀極まりないのだが、設計時に不時着等も考慮している当機は最短200m程滑走路があれば着陸可能となっている。それもこれも、油圧系統が全て魔力で動かされているが故にブレーキが強力だから。

航法システム…現代的なそれと比べると流石に劣るが、電子部品が一般的で無い時代の背景を鑑みると、驚異的な製品であると言える。追尾魔法、空間把握魔法、出現魔法等高度な魔法を重ね掛けして様々な情報が画面に表示される様にパチュリーが手作りした。科学で作った様な製品になった理由は、人間工学的な考慮をしたから。戦闘機への搭載を見越して実験的にパチュリーが製作したのだが、やはり非常に高度であるが故、輸送機製作の期間の殆どはこのシステムの開発期間に充てられていた。

宇佐見隼一…オリキャラ。吉田が気を利かせてつけてくれた観光ガイドもこの人。メアリーが一目惚れした白馬の王子様。外務省の若手官僚だが、官僚と言うのは往々にして年功序列である物で、若手の彼の序列は一番下である。官僚らしく、京都帝国大学文学部人文学科卒のエリート。身長は当時の日本人としては異例の高身長である178㎝、顔は山﨑賢人似と言う完璧さ。大谷翔平でもあるまいし、こんな完璧な人間がいてたまるかと言いたくなりそう。多分足が遅かったりとかするんだよ、多分()

ホテル…ここで言うホテルとは、当然帝国ホテルの事を指している。本格的な洋式ホテルとしては日本有数の歴史を持つ。

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