街で偶然出会ったライダーに誘われ、聖杯問答を聞いたアーチャーは財の中身をチェックした
場面は代わり、征服王がアインツベルン城にやってきた
大樽の酒を抱え降り立つ
花に囲まれた庭園にて
両者向かい見つめ合う
視線は逸らされない
征服王が樽の蓋を割り、酒を掬い豪快に飲んだ
『聖杯は相応しき者の手に渡る定めにあるという、それを見定める為の儀式がこの冬木にはこの闘争と言うが』
『何も見極めを付けるだけならば血を流す必要も及ばない、英霊同士お互いの格に納得がいったのなら、それで自ずと答えは出る』
樽ワインを掬い、騎士王が少し手をあげるだけで取れる位置に持っていく
【おー、さり気ない気遣い、あれがモテる男ていうやつだよマスター】
「いやなんで俺に言うんだ?」
妖精からの視線を寄越され、疑問に思う雁夜
騎士王がその酒を受け取り、一気に飲み尽くす
『ほぉ』
感心する征服王
「それで、まずは私と格を競うという訳か、ライダー」
ニヤリと笑みを浮かべ答える
『その通り、お互いに王と名乗て譲らぬとあれば捨ておけまい?』
『余はこれは聖杯戦争ならぬ聖杯問答。どちらかより聖杯により相応しい器か、酒盃問えば詳らかになるものよ』
『戯れはそこまでにしておけ、雑種』
黄金の王が到着した
「.........アーチャー何故ここに」
『いやな、街で見かけたんで誘うだけ誘って見たのさ、遅かったではないか金ピカ』
英雄王はアインツベルン城の周囲を見ながら
『よもやこんな鬱陶しい場所を王の宴に選ぶか、我にわざわざ足を運ばせた非礼をどう詫びる?』
その溢れ出るオーラにやられ、征服王と共に来ていたウェイバーは腰を抜かした
『ほれ、駆けつけ1杯』
征服王が酒を差し出す、1口飲む英雄王
『っ、なんだこの安酒は、こんなものでほんとに英雄の格が測れると思ったか?』
征服王は傷ついた顔をした
『そうかぁ?この土地の市場中じゃコイツはなかなかの逸品だぞぉ?』
『そう思うのはお前がホントの酒という物を知らぬからだ』
倉庫を開き、手をかざす英雄王、黄金で作られた瓶を取り出す、中には酒が入っているのだろうとてもいい香りが漂っている
『おおぉ!』
嗅いだことも無い香りに興奮する征服王、思わず酒瓶に目を近ずき、抱き抱える
それに気分を良くした英雄王、ドヤ顔を浮かべながら細かな細工が施された黄金のコップを取り出し投げ渡す
『見るがいい、そして思い知れ、これが王の酒という物だ』
『これは重畳』
酒を注ぎ、2人に渡す征服王、酒瓶は常に征服王の手にあり、とても気に入ったようだ
『おほぉ!うんまい!』
いよいよ口に入る美酒に興奮が抑えられぬ征服王
「........」
静かに飲む騎士王も驚きが見られる
『酒も剣も我が宝物庫には至高の物しか有り得ない、これで王としての格付けは決まったようなものでだろう』
最高の気分で飲酒する英雄王
『ふん、アーチャーよ貴様の極上の酒はまさしく至高の杯に相応しい』
『が、あいにく聖杯問式とは違う、まずは貴様がどれほどの大望を聖杯に託すのか、聞かせてもらわねば始まらない』
『仕切るな雑種、第一聖杯を奪い合うという前提からして理を外しているのだぞ』
『そもそもにおいて、あれは我の所有物だ、世界の物は1つ残らずその起源は我が蔵に遡る』
征服王が疑問をいれる
『ん?じゃ貴様昔聖杯を所持していたというのか?どんなものであるかも知っていると?』
『知らぬ、雑種の角度で我を測るでない、我の財はとうに我の認識を超えている』
【???】
「......どういうことだ?」
『だが宝であるという時点で我が財であるということは明白だ、それを勝手に持ち出そう等と......盗人猛々しいにも程があるぞ』
「そうなのか?」
妖精に目を向ける雁夜
【え?違うと思うけど、大聖杯はそもそも物じゃないし、え、違うよね?僕と人間の認識がズレているのかな?】
妖精は混乱している
「お前の言は、キャスターの世迷言と全く変わらない、錯乱したサーヴァントはやつ1人ではなかったらしい」
騎士王の言葉で傷ついた英雄王は顔を鋭くした
宴の雰囲気が悪くなるのを察した征服王は話題を変えた
『とうだがな、何となくこの金ピカの真名に心当たりがあるぞ?余は』
『じゃ何かアーチャー、聖杯が欲しければ、貴様の承諾さえ得られれば良いと?』
気分が少し戻った英雄王
『然り、お前のような雑種に、我が褒賞をつかわす理由は何処にもない』
征服王は怪しんだ
『貴様......もしかして...!ケチか!』
『たわけ』
即座に否定を入れる
『我の恩情に与るべきは、我の臣下と民だけだ』
『故にライダー、お前が我の下に降ると言うのなら、杯の1つや2つ、何時でも下賜してやって良い』
これまでの征服王の宴のサポートを思い返す英雄王
『そりゃ出来ん相談だがな、でもなアーチャー、貴様別段聖杯が惜しいという訳でもないようだな』
『無論だ、だか我の財を狙う賊には然るべき裁きを下さねばならん、要は筋道の問題だ』
『つまりなんだアーチャー、そこにはどんな義があり、どんな道理があると?』
『法だ。我が王として敷いた我の法だ』
感心する征服王
『完璧だ、自らの法を貫いてこそ、王。だがな、余は聖杯が欲しくて仕方がないんだよぉ〜』
『で、欲した以上略奪するのが余の流儀だ、何せこのイスカンダルは《征服王》であるゆえに』
『是非もあるまい、お前が犯し、我が裁く。問答の余地など何処にも無い』
『うむ、そうなると、後は剣を交えるのみ。が....アーチャーよ、兎も角この酒飲みきってしまわんか?殺し合いだけなら後でもできる』
『当然だ。それとも貴様まさか俺が振舞った酒を蔑ろにする気でいたのか?』
2人はこの刹那だけは友人であるように見える。騎士王はずっとご飯を食べている
『冗談では無い、これだけの美酒を捨て置けるものか!』
宴は進む、聖杯問答は始まらずして終わりそうな雰囲気だ
騎士王は己の答えが出た、この聖杯は要らぬと。それはそれとして願いが気になったので聞いてみる
「ライダー、他人に有るものと認めた上で、尚且つそれを力で奪うまでに叶えたい願いを聞かせて貰いたい」
騎士王の目を確認する。
『うーむ、そうさな。.........受肉だ』
少し頬を赤らめながら恥ずかしそうに答えた
『「は?」』
ウェイバーが宴に乱入する「おい、お前!望みは世界征服だったじ.....」
征服王はその顔面に軽く拳をいれ、宴の外に飛ばす
危うくウェイバーは裁かれるところだった。王の宴に侵入するのは重罪だ
『馬鹿者、たかが杯に夢を託してどうする、征服は己自身に託す夢、聖杯に託すのはあくまでも、その為の第1歩だ』
『よもやそのような匙の為にこの俺に挑むのか?』
惜しいと感じながらも問わずには居られない英雄王
『いくら魔力で限界してるとはいえ、所詮我らはサーヴァント。余は転生したこの世界に《1個の命》として、根を下ろしたい。ただ1つの我を張って、天と地に向う、押し通してこそ、我が覇道なのだ』
【輝いてる!】
僅かに漏れ出す神の気配
英雄王が当たりを見渡す。
『エルキドゥ!』
空間から鎖が飛び出て、なにかを探そうとしている
何も無い場所で止まり、倉庫に戻る鎖
『ちっ、興醒めだ。我は帰る』
「おお?なんだ急に?なにかやったか?セイバー」
「いえ、私は何も.....」
「そうか.....ん?」
手を握る征服王
「受肉?まぁいい、ウェイバー世界征服に出るぞ!ではなセイバー!」
「えええええ、おい僕の願いはどうするんだよ!?」
「世界征服を成して誰が認めんと言うのだ!」
飛び去るイスカンダル、とウェイバー
宴は終わった
「おい、バレないんじゃなかったのか!?」
【ごめんね、ついうっかり】
抑止力は妖精が姿を現して突っついたら黙った
ライダー聖杯戦争脱退
後年
世界を7割征服し、大王のそばにいた優れた才能教育者は時計塔の権利を手に入れた