ありふれた|女主人公《ヒロイン》だけど、君が好き。 作:一文字 更新
終わらないあの頃の夢。
何度泣いても、何度絶望を覚えても。それでも、ずっとあの頃の夢。私の隣で、幸せそうな表情で笑って。
何百年経とうと…。
どうして。
嫌いになれないよ。
忘れられないよ。
ちゃんと訳を話してよ。
鼻孔に広がる肉の焼けた匂い。
「お肉焼けたな」
『美味しそうに焼けたね』
「ふっ!こんがり肉のタイミングは外さん」
…。まだ居たの、この変人達。
バリバリと骨が砕かれていく。今のユイにとっては丸太のような骨もスナック菓子も似たようなものだ。実際に目にするとなれば…現実味の無い、可笑しな光景に映るだろうが。事実、金髪の少女も呆然とした様子で眺めている。
「ん?起きたか」
ペロリと唇に付いた骨髄を舐め取り、こちらを見るユイ。少女が目線を下ろしていくと、組まれた胡座の上には某かの頭部が置かれていた。金髪の少女の目は、ドナドナされるブタさんやウシさんと一緒になった。
『ユイ、そろそろイタズラもお終いにして』
「了解であります!」
ユイという少女のイタズラだったようだ。出せる拳があればクリーンヒットをお見舞いしていただろう。
ハジメと呼ばれた"少年"が目線を合わせてきた。
『それで…君が、助けてほしいのはわかったけど。ボク達はまだ。君の名前もわからないんだ。君のこと教えてほしいな』
まるで子どもをあやす様な口調だった。確かに私の容姿は幼い頃から変わらない。年下に見られるのも理解できる。昔の私なら少しイラッときたと思う。けど、今は…ちょっとこう。クるものがあった。
『私、は…アレーティア。ただのアレーティア。先祖返りの吸血鬼、で…凄い力を持ってた。…叔父さ、ディンリードに王位、を譲って、…それで、お前はっ…危険だからって、…殺せないからってッ…ここにッ…閉じ込められた…』
あれ、?なんで涙が止まらない。なんで。
「…そっか。今は泣いてもいいんだぞ…」
優しく抱きかかえてくるユイ。視えた。特記戦力…キョウイの戦闘能力。なんでだろ。涙が止まらない。
チョークのようなもので線を引くハジメ。さくさくと命令となる文字を書き込んでいく。
『よし、いい出来』
額を手で軽く拭い、頷くハジメ。
『ユイ。手伝って』
「うん!いいぞ」
手を繋ぎ、目を閉じる二人。アレーティアの目には二人の間で魔力が交わっていくのがはっきりと理解できた。
青と赤。キラキラと輝く夜空を注いだように。炎のように揺らぎながらも、混ざって…凪いだ。
それは荒々しくて、雄大で。
…綺麗。
自然と口から零れた。
そして詠まれるのは、始まりの一節。
「『"錬成"』」
…私を縛る楔が、解かれていく。
『』
アレーティアを押し留めた杭は今、抜かれたのだ。二人の存在によって。長い間、眠っていたガーディアンは目覚め、与えられた役目に従い、白く濁った瞳を赤く染める。