ありふれた|女主人公《ヒロイン》だけど、君が好き。   作:一文字 更新

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第15話

 

 既に満身創痍のハジメの体が銀色の極光の中に呑まれた。

 

「ハジメぇッ!!」

 

 思わず、声が出てしまった。

 

『ふふ。心配しないで、ちゃんと生きてるよ』

「…そうだな」

 

 …恥ずかしい。

 

『ユイ〜、恥ずかしいね!えへへ』

 

 よし、丁度いいところに良さげな矢があったな。

 

『待って。洒落にならない。アレーティア、断固反対する』

『こらこら、二人とも戦闘中だよ…?』

 

『「…ハイ」』

 

『『クルァァアンッ!!』』

 

 己を前に巫山戯合う矮小な存在に怒りを燃やしたのか、既に二つになった頭で咆哮するヒュドラ。

 

 残ったのは黒色と黄色の警戒色。赤が残っていればトリオが組めたかもしれない。終始…黄色頭は緩急の付いた攻撃に翻弄され、何も守れず置物と化していた。必死に悪夢を見せる黒色も似たようなものだったが。

 

 全ての首が消し飛ばされ、尻尾の生えた団子と化したヒュドラ。メイン火力が尽きたサポートではこの三人の相手は厳しかった。ただ、それだけの事ッ…。

 

『油断禁物だよ。なにせ…まんま"ヒュドラ"だし』

『ヒュドラ…なにそれ?』

「八頭?から百の頭を持つ怪物だぞ」

『えぇ…バラつき凄いね』

 

 ハジメ達に慢心は無かった。

 

 

 

 相手は、それでも怪物だった。

 

『『『『『『『『ルガァァアァンッ!!』』』』』』』』

 

『"凍獄"』

「"震界"」

 

 無慈悲な冬と、破壊の波が訪れる。バラバラに砕かれた首。しかし、ヒュドラは半分の頭を犠牲にして残り四つを生かした。

 

『貰うよ』

 

 ハジメのシュラーゲンが更に一つを消し飛ばす。

 

 

 束の間の攻撃の切れ間。銀色の吐息がヒュドラから零れた。

 

「ブレス!」

 

 

 三つの頭から銀色の極光が放たれた。ハジメ唯一人を狙って。

 

『なるほどねッ!』

 

 左右、頭上、の三方を極光に囲まれて、それでもハジメは笑う。狙ってくれてありがとう…と。

 

「"嵐峰"」

『"蒼天"』

 

 不可視の霊峰に、蒼い太陽が落とされる。残り全ての首が塵と化した。

 

 …。

 

 

 

 起き上がる首は無い。

 

 

 

 …。

 

『やっぱり安心出来ない。今ここでバラそう』

「それ、乗った!」

『ぷはぁ!…酸素、酸素』

 

 三人に慢心は無かった。

 

 

 物悲し気なヒュドラだったモノ。もう良い。お前はよくやった。…戻れ。

 

「ハジメっ!好き!」

 

 オルクス大迷宮深層の最奥の間にて。迷宮のガーディアンを攻略し、晴れてオルクス大迷宮を走破したユイ達。

 

『ッ〜〜!!うん!』

『…甘い…恋の味。アレーティア、歌います』

 

 神への反逆者…いや、解放者オルクス?との会合を果たし、あぁもうっ。

 

 

 西北結が射ち抜いたのはハジメのハートだったってこと。

 

 オワリ。…終わらない。

 

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