ありふれた|女主人公《ヒロイン》だけど、君が好き。 作:一文字 更新
既に満身創痍のハジメの体が銀色の極光の中に呑まれた。
「ハジメぇッ!!」
思わず、声が出てしまった。
『ふふ。心配しないで、ちゃんと生きてるよ』
「…そうだな」
…恥ずかしい。
『ユイ〜、恥ずかしいね!えへへ』
よし、丁度いいところに良さげな矢があったな。
『待って。洒落にならない。アレーティア、断固反対する』
『こらこら、二人とも戦闘中だよ…?』
『「…ハイ」』
『『クルァァアンッ!!』』
己を前に巫山戯合う矮小な存在に怒りを燃やしたのか、既に二つになった頭で咆哮するヒュドラ。
残ったのは黒色と黄色の警戒色。赤が残っていればトリオが組めたかもしれない。終始…黄色頭は緩急の付いた攻撃に翻弄され、何も守れず置物と化していた。必死に悪夢を見せる黒色も似たようなものだったが。
全ての首が消し飛ばされ、尻尾の生えた団子と化したヒュドラ。メイン火力が尽きたサポートではこの三人の相手は厳しかった。ただ、それだけの事ッ…。
『油断禁物だよ。なにせ…まんま"ヒュドラ"だし』
『ヒュドラ…なにそれ?』
「八頭?から百の頭を持つ怪物だぞ」
『えぇ…バラつき凄いね』
ハジメ達に慢心は無かった。
相手は、それでも怪物だった。
『『『『『『『『ルガァァアァンッ!!』』』』』』』』
『"凍獄"』
「"震界"」
無慈悲な冬と、破壊の波が訪れる。バラバラに砕かれた首。しかし、ヒュドラは半分の頭を犠牲にして残り四つを生かした。
『貰うよ』
ハジメのシュラーゲンが更に一つを消し飛ばす。
束の間の攻撃の切れ間。銀色の吐息がヒュドラから零れた。
「ブレス!」
三つの頭から銀色の極光が放たれた。ハジメ唯一人を狙って。
『なるほどねッ!』
左右、頭上、の三方を極光に囲まれて、それでもハジメは笑う。狙ってくれてありがとう…と。
「"嵐峰"」
『"蒼天"』
不可視の霊峰に、蒼い太陽が落とされる。残り全ての首が塵と化した。
…。
起き上がる首は無い。
…。
『やっぱり安心出来ない。今ここでバラそう』
「それ、乗った!」
『ぷはぁ!…酸素、酸素』
三人に慢心は無かった。
物悲し気なヒュドラだったモノ。もう良い。お前はよくやった。…戻れ。
「ハジメっ!好き!」
オルクス大迷宮深層の最奥の間にて。迷宮のガーディアンを攻略し、晴れてオルクス大迷宮を走破したユイ達。
『ッ〜〜!!うん!』
『…甘い…恋の味。アレーティア、歌います』
神への反逆者…いや、解放者オルクス?との会合を果たし、あぁもうっ。
西北結が射ち抜いたのはハジメのハートだったってこと。
オワリ。…終わらない。