ありふれた|女主人公《ヒロイン》だけど、君が好き。 作:一文字 更新
荘厳。重厚でいて繊細な装飾。見たことがない。西北結の頭はこの柱が"初めて"見るものだと言っていた。
可笑しいのだ。装飾にしろ何にしろそれらの文化は基本、受け継がれ模倣され、改良を施され、創作されていく。文化体系に一切繋がりを見出せない。
独自の文化なのだと西北結が理解するのに時間はかからない。この複雑極まりない模様は明らかに現代の石工技術を超越しすぎている。柱の耐久力をまるまる度外視しているのだ。
可笑しい。
知らない言葉だ。それなのに意味を自然と理解できる。
時間が経つにつれ、西北結の顔は険しいものになっていき必然、精神の安定を求めハジメの手を握る。じっとりと汗ばんだ手の感触に結は目を見開く。ハジメは特別汗っかきではない。体育終わりのしっとりと濡れたハジメでも手は汗をかいていなかった。
心は一つ。
ここは何処…?
大広間に移った一行はイシュタルの説明を受け、愛子先生の反対も押し切り天之川光輝という男子生徒の一声で戦争参加の流れが決まる。雲海を滑り降りる間、結の目はほとんど動かず魔法陣に注がれていた。
王族との謁見を済ませた翌朝。
体を揺すられ眠たげに目を開けるユイ。いつもの
段々と鮮明になる視界には耳まで真っ赤に染まった八重樫雫の顔があった。
時は少し遡る。
晩餐会で精神的に疲労した西北結はいつものようにハジメのベッドで寝ようとした。ところが部屋はもう目前という辺りで少し顔を赤らめた八重樫雫と白崎香織に引き止められたのだった。
一言二言会話した後…何故か八重樫雫の部屋でお泊りする流れになり、ハジメの代わりとして八重樫雫を抱き枕にしたのだ。
時は現在に戻る。
現状を把握したらしい西北結は背中に回していた腕を緩め、猫のような伸びをする。
「おはよう…いい抱き心地だったぞ」
『お、おはよう。駄目ね、私疲れてるわ』
頭を振って目頭を揉みほぐす八重樫雫の姿は何処か様になっていた。
訓練の初日。集まった生徒達にメルド団長が小さなプレートを配った。このプレートは身分証の代わりのようなもので血液で所有者として登録するとステータスが表示される神代のアーティファクトらしい。
チクッと針で指を刺し、魔法陣に垂らす。
ドクンと脈打つように淡く光を発し血液がプレートに吸収された。
===============================
西北結 16歳 女 レベル:1
天職:射手
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:20
魔力:30
魔耐:30
技能:弓術・気配察知・先読・集中・言語理解
===============================