ありふれた|女主人公《ヒロイン》だけど、君が好き。 作:一文字 更新
頭が痛い。
ハジメ。
行っては駄目だ。
駄目、ハジメッ!
夢、か。
ハジメ。
会いに行くか。
『「あ…」』
居合わせたのは白崎香織。
それにしても、その恰好…さては母のノートにあった夜這いというやつだな。だが、その様な乱りな行い。この僕の目が黒い内に許されると思うなよ。
「そんな服装でハジメと"なに"するつもりだ…白崎香織」
『?…私はただハジメくんに、ってアレぇ?!』
ワタワタと自室に戻る白崎香織。
指摘されて尻込みしたか。ふふふ、出直してくるんだな!
ハジメの部屋に向け廊下を歩いているとパタパタと音を立てて走ってくる白崎香織。どうやら服を着替えたらしい。
いや、来るんかい。
沈黙が続く。
結局、扉の前まで会話もせずに来てしまった。
「ハジメ。入るぞ」
『珍しいね。こんな夜遅くに』
扉を開きながら、そう言うハジメ。その視線は僕に止まり、次に隣に居た白崎香織に移った。
『…なんでやねん』
『えっ?』
珍しい。ハジメがツッコミをするなんて。
『とりあえず寒いだろうし、白崎さんも中に入って』
『えへへ、お邪魔します!』
慣れた手付きでお茶を淹れるハジメ。
『それじゃ、まずはユイ。どんな要件かな』
「おう!今日はハジメと寝ることにした」
『そ、そっか』
こほん。とせき込んでペースを戻したハジメは白崎香織に視線を合わせた。
『白崎さんはどうしたのかな。明日のこと?』
『うん。それもあったん、だけど…』
モジモジといじらしい様子の白崎香織。こちらをチラリと見て顔を赤らめる。そして意を決したように言った。
『私もっ!私も一緒に寝てもいい…かな?』
『ン…??』
ハジメが固まった。
「やはりかッ白崎香織!最初からそのつもりで」
『なっ?!ち、違うもん!アレは寝間着だもん!』
「いいや、違わない!」
『違うもん!』
『ふ、二人とも落ち着こう。今は夜だよ』
『「はい…」』
頭を振って目頭を揉みほぐすハジメ。なんだろうか…すごく既視感がある。
『わかった。二人はベッドで寝て…僕はゆ』
『「ベッド」』
『いや、それは不味いような』
遠慮がちなハジメ。
「なんでだ…?いつもはいいよって言ってくれるのに」
『なんで?ユイちゃんとは一緒に寝てるんだよね?私が居るとなにか不味いのかな?あ、もしかして』
ハイライトが消えた白崎香織に顔を引き攣らせるハジメ。その圧に耐えかねたのか…。
『わ、わかった。わかったよ!』
『ふふ。それでこそハジメくんだよ』
項垂れて音を上げた。
『うひゃッ!?し、白崎さん!?なにしてるの!?』
「そうだぞ。何故大人しくできない白崎香織!」
深夜の騒動はもう少し続く。