呪詛師としての活動
北海道札幌市。
私は自分の式神が持ってきた金を数えていた。
「ひーふーみーよー……。近頃のやつは賽銭すらしなくて困っちまうね。もっと信仰心持てよな」
しけた賽銭の額に落胆する。
こんなしけた金じゃ明日の朝のパンぐらいしか買えないじゃんかよ。なんてぼやいていると神社の鳥居の先から呪力を感じた。
術師……だな。珍しくおもろいことが起き始めてんじゃないの。私は式神であるキュウビを出して臨戦態勢を整えた。
つかつかと、神社の石段を上がってきたのはツンツン髪の少年とウニのような頭の少年、そして眼帯をつけた女の子。
「その耳、その尻尾……。呪詛師、稲荷 希恒だな」
「…………」
どうやらあちらは私のことを知っているようだ。
呪詛師。あながち間違いじゃないけど……。
「私何もしてないよ」
「嘘をつくな。じゃあそのお金はなんだ」
「……婆ちゃんからもらった駄賃だよ」
「賽銭ドロだろ」
いや、まぁそうなんですけど。
「人様に危害加えてるわけじゃないのに」
「賽銭ドロも立派な犯罪だ。それに、以前送ったうちの術師を返り討ちにしただろ」
「殺しにかかってこられたら防衛するのが人の常でしょ」
私だって殺されそうになったんだから。
まぁ……この3人は厄介かもしれないな。なんつーか、呪力の操作が上手い。特にあのウニ頭の……。
前に返り討ちにした術師の人から私の術式は聞いているはず。情報アドバンテージにおいてはあっちに分がある。
「……逃げるんだよぉ!」
「あ、こら!」
私は全力で走って逃げるが……ピンク髪の少年が私の前に立ち塞がる。
「げぇ!? 速すぎんだろ!」
「逃がさねえぜ!」
「キュウビ!」
私は自分の術式を使った。
自分にキュウビを取り憑かせる。
「式神を取り憑かせた!?」
「とりあえず全力で……」
と、逃げることを考えていたときだった。
反対方向から強い呪力を感じた。そっちに急いで向かってみると子どもが異形の化け物から逃げ惑っていたのだった。
「だ、誰かっ……!」
「ちっ……」
私は呪霊と呼ばれる化け物を蹴り飛ばす。
「大丈夫?」
「お、おねえちゃ……」
「見たものは忘れた方がいい。あと逃げろ。じゃないと死ぬぞ」
「う、うん……」
子どもは走って逃げていく。
呪霊はまだまだ元気そうだった。
「おい!」
「今それどころじゃねえっての! あんたら術師ならまずこの呪霊倒すの手伝え!」
「そうだな! やるか、伏黒、釘崎!」
「ちっ……」
「しゃあないわねぇ」
と、呪霊から生えている手が何か掌印を結んだ。
「領域!?」
「そこまで強い呪霊かよ!」
私らは領域の中に包み込まれてしまったのだった。
「領域に持ち込まれちゃ面倒だ! 虎杖!」
「応!」
「領域展開」
私は領域を展開した。
狐の窓を作り覗き込む形で領域が展開される。
「お前領域使えんの……?」
「独学で学んだ。ここは私の領域。やるぞ!」
「お前の結界に付与されてる術式効果はなんだ!」
「……幻術の必中。幻覚も本物になって攻撃できる」
「伏黒のやつと似たようなモンか」
知らん。
私は呪霊を引っ掻く。狐の爪が四方八方から襲いかかる。
「玉犬!」
「オラァ!」
呪霊に攻撃を加え、呪霊は塵となって消えていったのだった。
私の領域を解き、私は地面に座り込む。
「……とりあえず、連行されておきます」
「話が早くて助かる」
「境内の下で伊地知さんが待ってるぜ! 北海道観光できるな!」
「まずは寿司よ! 北海道に来たからにゃ寿司!」
「寿司ねぇ。寿司なら小樽とか函館方面いくといいよ。函館の朝市とか見てみたらいいかもね」
「マジすか! いきます!」