最近、マジで呪詛師が活発に動いている。
虎杖くんや伏黒くん、ましてや一年生までも呪詛師討伐に駆り出されるくらいには活性化していた。
原因は何かと考えたがやはり死滅回游で術式を手にしてしまったこと……なんだろうか。と考えながら千葉の街を歩く。
「君、呪術師だね?」
ソフトクリームをペロペロ舐めながら歩いていると声をかけられたのだった。
振り返ると、身長が私よりも低い仮面を被った少年と、隣には身長は180cmはいくであろう巨体の男が腕組みしながら立っていた。
「急にごめんね。警戒しないでいいよ。僕たちも同じだから」
「同じ?」
「死滅回游で術式を覚醒させただろう。同志よ」
「どーし?」
その口ぶりからして死滅回游の泳者か。
「君、頂点に興味はないかい?」
「ちょーてん?」
「あぁ。俺たちは特別なんだ。何も力がない猿どもとは違い、特別な力がある! 死滅回游で学んだであろう? どんなに偉くとも、どんなに賢かろうとも、力が無ければ生き残れぬと!」
「まぁ、それはたしかに」
あれは殺し合いだったからな。
他者から強制的にやらされる殺し合い。動かなければ死を待つのみであり、力こそ全てを語っていた。
「だからこそ、力ある我々が日本国民を導くべきなのだ。どうかね? お前はすごく強いとお見受けした。我々と共に来ないか」
「えー、胡散臭そう。宗教なら間に合ってます」
「宗教ではない。我々は
「政党〜?」
なんか嫌な予感がするな。
だがしかし、これは少し探ってみてもいいかもしれない。伊地知さんや他の補助監督と相談して決めようかな。
「ちょっと考えさせて。興味はあるんだけどさ」
「よかろう。明日また、連絡を待つ」
「おけい。あ、これ私の電話番号ね」
連絡先だけ渡して、私はとりあえず東京方面に向かう。
尾行されてないことだけを確認し高専の中に入っていく。高専の中ではドタバタ補助監督が動いていた。
「どうしたんです?」
「最近の呪詛師の増加理由が判明したんだよ」
「あ、日下部先生」
「お前にもちょいと関係あるから会議に参加してけ」
「はーい」
というので、会議室へと向かう。
会議室には一級以上の術師さんが参加していた。
「どうやら、全員とまではいかぬものの、呪詛師の多くは需益党という政党に入党しているようでした」
「需益党……」
「需益党は呪術師が政権を支配し、日本を強大な国家にする……と掲げているそうです。いわば政党の看板を掲げたテロ組織とでもいいましょうか」
「ちっ。力をつけて今度は日本を握ろうって魂胆かよ」
「需益党は死滅回游で覚醒した話しの通じる現代の泳者を勧誘しているそうです。多くの術式を持った術師たちが支配者に立とうと躍起になっており死滅回游の現代覚醒型の泳者は大半がそちらに属していると」
需益党……。
私は手を挙げた。
「稲荷さん、なんでしょう?」
「さっき私その需益党から勧誘されたんですけど」
「なんだと!?」
日下部先生は驚いた顔でこちらを見ていた。
私は話を続ける。
「千葉でソフトクリームぺろぺろ舐めてたら入党しないかと言われました。返事は保留にしてあるんすけど」
「保留にしたのか。デカした。いきなり潜入できるチャンスだろ。危険かもしれねえが、稲荷を需益党に入れよう」
「あ、そうします?」
「いいんですか? こちらとしては好都合ですが、あちらにバレている可能性などは……」
「わからん。けど、そんときはそんときだ。こういうチャンスは滅多にねぇだろ。うちにゃ覚醒型で属しているのは志賀崎と稲荷、あと一応日車とハミチン芸人だけだからな」
ハミチン芸人って誰だよ。
「稲荷は危険かもしれねえが仮にも一級を与えるくらい強い。死ぬことはまずねえだろ」
日下部先生が私を潜入させることに賛成して、他の術師もまずは私で様子をみようと同意していた。
私の仕事が増えた……。
「稲荷さん、いいですか?」
「まぁ良いですけど……。バレないようにするために多少こちらに攻撃することもありますよ?」
「あぁ。思いっきりやれ。合わせてやる」
「うっす」
潜入任務開始ですか……。