神奈川県横浜市。
神谷の狙いはわからないが、とりあえずここを襲撃するらしい。ここは高専から少し距離があるから寄り道なんてことも出来ないな。
というか、名前も知らない幹部の奴らがゾロゾロと出てきて、下っ端であろう雑魚術式を持った奴らと呼ばれた党員も釘バットなど戦闘態勢を整えていた。
「おい、見ろよあの女。入って早々幹部だぜ?」
「気に食わねーな……。混乱に乗じてやっちまおうか」
聞こえてるぞ。
まぁ、いきなり幹部扱いされるのはやはり不服なんだろう。後から来た奴が上に立つなんて腹立たしいにも程がある。
「諸君! 準備はできたか? 今宵、見せしめとして横浜を堕とす。厄介な呪術師連中もきっと来ることだろう。殺しても構わん!」
神谷が前に立ち、扇動を始めた。
「神谷。なんであの女が幹部なんだよ。気に食わねえ」
「まぁそういうな。あいつは俺が見ても、十亀が見ても大当たりの術式なのだ。本人にも素養がある。かなり強いぞ」
「ならいいけどよ……」
「各々不満はあるだろう! どれだけ迫害されてきた? どれだけ世間が気に食わなかった? 我らに与えられた力は、世間への不満を、周囲への憎悪を晴らすための手段である! 特別な力を与えられた我らに益を、呪力も扱えないような猿どもに服従を。さぁ、進撃を始めよう」
そして、火蓋が切って落とされた。
需益党の党員が横浜の街へと繰り出す。私も仕方ないのでキュウビを召喚し、適当に壊しておいた。
逃げ惑う人たち。助けたいが、今は見逃すしかない。
「んだよこれ!」
「わからん! けど、なんかやべえことが起きてる! 釘崎、高専へ連絡しろ! 虎杖と俺で何人か食い止める!」
「任せときなさい!」
なんであいつらここにいるんだよ。
一人の党員が襲撃に走っていたが、虎杖くんにぶん殴られ飛ばされていた。
「……ちゃお」
「ちょうどよかった、稲荷……。ってお前何してる」
「壊してる」
「……お前、何してるかわかってんのか?」
「……領域展開」
私は領域を展開した。
「おい、何するつもりだ」
伏黒くんと虎杖くんを領域に巻き込んだ。
「日下部先生から何も聞いてない?」
「はぁ?」
「需益党っていう呪詛師グループがいてね。そこに潜入してんの今。怪しまれないために破壊活動中。聞かれたくないから領域展開しただけだから虎杖くんは簡易領域解いていいよ」
「へー。じゃ、味方?」
「うん。ただ、ちょっとやばいかもね。私が入ってすぐ襲撃の計画実行してたから伝える隙がなかったんだよ〜。虎杖くんたちも私に合わせてくれると助かるんだけど」
「わかった。何をすれば良い?」
「少し怪我してくれる? 流石に領域まで展開しておいて怪我させられませんでしたってなったら困るから」
「わかった。お手柔らかに頼むぞ」
「ばっちこい」
というので、術式を発動し少しばかり怪我を負ってもらった。
領域を解き、頭から血を流して倒れている伏黒くんと虎杖くん。私は心の中で謝罪しつつ、その場を逃げ出した。
「お前が幹部になった理由もわかったぜ。領域会得してるとは」
「まぁね。今術式焼き切れてるから逃げるよ。私の領域は必殺効果はないから、あの二人を完全に仕留めきれてない」
「わかった」
焼き切れた術式の回復を待ち、一応距離を取る。
すると、目の前の党員が大勢吹っ飛ばされていた。
「ちゃんと防げよ!」
「リカちゃん。手加減はするように」
乙骨さんと真希さん……。
「やべえ、なんだあいつ」
「特級術師の乙骨憂太、だ。あれ相手はキツイぞ……」
「この道から逃げられないっすね! 別の道を……」
「逃がさないよ」
と、乙骨さんが木刀で党員を吹き飛ばした。
「次は稲荷さんかい?」
「おい稲荷。テメェ……」
「乙骨さん領域展開してえ!」
「?」
そういうと乙骨さんは領域を展開してくれた。
「何してるの?」
「日下部先生から何も聞いてないんですか!?」
「僕たちちょうど横浜で休暇中だったから……」
「なんだよ」
「呪詛師の連合に潜入任務なんですよ! さっきも虎杖くんたちに説明したし! 電話でも良いから伝えろやあの先生!」
「そうなんだ。ごめんね」
「なんだ。そういう理由かよ」
私は乙骨さんの領域の中の石碑に座る。
まじで疲れる。なんで私の任務把握してないんだこの人。真希さんはともかく乙骨さんにはすぐ共有されるものだと思ってた。
「とりあえず! こっちのボスの術式だけ教えますね。降霊術に近いものでした」
「降霊術?」
「死んだ人間を人形に降ろす術式! 発動条件などは聞き出せませんでした」
「わかった。伝えておくよ。それより今どうする?」
「ボロボロにしてください。領域終わるまで頑張って耐えた感じにします」
「わかった。我慢してね」
まったく上手くいかねえ……。