撤退指示をし、幹部含めもろとも逃げ仰た。
が、こちらの被害も甚大。捕まった党員も多数おり、横浜襲撃だけで疲弊し切っていた。
「聞いてないっての乙骨がいるなんて!」
「神谷ぁ! 横浜堕とすの無理だろ。高専が近すぎる!」
「それで良いのだ。おかげで目的のものは手に入ったから直ちに実行しよう。幹部どもはこちらへ」
そう言って案内されたのは以前訪れた人形が置かれている部屋。
「俺の術式は知っているだろうお前ら」
「ああ」
「発動条件を教えてやろうと思ってな。俺の術式の発動条件。それは三つの条件を満たすと可能になる。一つは死後1年以内であること。一つは俺がそいつの術式を知っていること。一つは相手の人相を知っていること。これらの条件に見合うものしか降霊できんのだ」
「受肉体とかは?」
「受肉体の場合は呪物になった際が死期として扱われる。よって復活はできん」
となると両面宿儺は復活出来ない。
なら尚更何のために?
「それより、稲荷。わかるか?」
「え、私?」
「貴様が属している高専には少し前に最強の術師がいたそうだ」
「……バレてる?」
「高専に出向いたらこれがあったよ。俺も迂闊だった。貴様が既に高専に属していたとはな」
神谷が取り出したのは私の学生証。
周りが一気にピリッとしていた。
「まぁ落ち着け。もう些細な問題なのだ」
「些細って……」
「話を戻そう。最強の術師、幸運なことに条件を満たしている」
「……まさか」
「そのまさかさ。五条悟の術式を高専に行って把握してきたのだ。人相については律儀に放送してくれていたからな」
すると、神谷は術式を発動し人形に霊が降りる。
その人形は白髪が生え、青い目を所持していた。その人形はおもむろに掌印を結び……。
「領域展開"無量空処"」
周りの幹部を巻き込み領域を展開し始めた。
私は急いで包まれる前に抜け出したが、神谷含めた術師は領域に引き込まれる。そして、結界がなくなると、周りの人間は固まって動けなくなっていた。
「最強の術師を手に入れた! はーっはっは! これで勝つる! 誰も彼も俺に逆らえぬ!」
「なんだよこれ……。なんだよこいつ……。キュウビ!」
キュウビに攻撃させるが、その人形には攻撃が当たらない。
「なん……」
「無下限で防いだのさ。人形には術式の焼き切れという概念は存在しない」
「ずる……」
これ、マズイな。
私はとりあえず逃げることにした。急いで飛び出し、キュウビの背に乗ってかけていく。
神谷は私の術式を把握している。つまり私を殺して降霊すれば嫌でもあちらについてしまうことになる。
ってか最強の術師、五条悟が敵になったって、ふざけんなよマジで!
神谷は追ってきていた。
だがしかし、キュウビのスピードにはついてこれないのか、距離がどんどん離れて……。
「瞬間移動。無下限っていうのは素晴らしいな」
「ズル!」
そんなんチートやんけ!
なんだよそれ。なんなんだよその瞬間移動は!
喋らない傀儡の五条悟は私を見下している。
「まぁ、高専に駆け込んでもよいぞ。無下限を突破できる輩はいないだろうがな」
「……やってみなきゃわからんっしょ」
私は高専に着き、会議中の場に乗り込んだ。
「どうした?」
「やべーこと起きました!」
「ああ? 何が起きてんだ」
「神谷が五条悟を降霊させてあちらの味方に……」
「「「「「はぁ!?!?」」」」」
伏黒くんたちが声を張り上げる。
状況としては、詰みです。