高専からこの人たちは来ているらしい。
補助監督の伊地知という人が車を運転している。
「呪霊に追いかけられていたという少年はこちらで保護いたしました。その……呪詛師の方と協力して倒されたのですね?」
「おうともよ! 強かったぜ!」
「私どうなる感じ? 死刑?」
「いえ、やってることがやってることなのと、人に対しての直接的な被害、今回の呪霊討伐で多少なりとも減刑はされるかと……」
「だよねぇ。流石に人様に攻撃は罪悪感すごいしねぇ。悪人でもない奴には無理だよぉ」
まぁ、死刑以外ならなんとかなるだろ。
「ねぇ、私逃げないから寿司食べたい」
「……あなたご自身の立場わかっておられますか?」
「だよねぇ」
私は伊地知さんと車に乗って3人を待っていた。
「どうして賽銭ドロしてたんですか?」
「金がないから」
「お金が?」
「私、母さんから虐待されててさ。お小遣いなんて貰えてなかったの。だから逃げてきた」
「なるほど……。ちなみに術式は生まれ持ったもので?」
「んー、いや、仙台に住んでたときになんかできた。数ヶ月前だったかな」
「死滅回游……」
「それ! 参加させられててさー。マジ強いやつばっかで困ったよ! 乙骨って人とか怖くて近寄れなかったもん」
死滅回游と呼ばれた殺し合いに参加してた時は生きた心地はしなかった。襲いかかってくる術師を返り討ちにしてただけで生き残れたのは幸い。ただ、乙骨という男の人とリーゼントの男性が戦っていた時は見てるだけだった。
そのあと、少ししたらリーゼントの男性が斬られてるところ見ちゃったけど。顔はあのウニ頭にそっくりだったな。
「その耳と尻尾は術式の効果によるものですか?」
「あ、この狐耳と狐の尻尾ね。そうそう。縛りとしてこういうふうに肉体を変化させるってことでキュウビを自分に取り憑かせることができる時間増やしてんの」
この力に目覚めてから自分の力を研究した。
死滅回游で生き残るためにはまず強くなる必要があったからね。東京で100点を取ってた日車って人と鹿紫雲って人に比べたら全然弱いけどそれでも割と強くなったと思う。
「ふいー、食った食った!」
「さすが北海道だったわね。回転寿司でもネタの大きさが本州と違ったわ」
「そうだな……。……だが北海道の食ったら本州の回転寿司とか食えるか?」
「わからん……。正直ちょっと見劣りするかもしれねえ……」
高専の術師たちも戻ってきたようだった。
「では、新千歳空港まで参りましょう」
「オッケーっす!」
「伊地知さん。空港で先輩たちへのお土産買っていってもいいですか」
「構いませんよ。稲荷さんもこちらに敵対心もなさそうですし、取り押さえることはないと思うので大丈夫でしょう」
「そう? 私、幻術使えるからこの姿も偽物かもよ?」
「……そうしたら玉犬で探し出すまでだ。匂いまでは誤魔化せないだろ」
「うん。ま、逃げるつもりはないけど」
新千歳空港につき、離陸するまでの時間、中の売店でお土産を買っていくことになったのだった。
「やっぱり白い恋人は外せねーよなー」
「そうね」
「それあんま食べたことないな」
「北海道人なのに?」
「生まれは仙台だけど……。まぁないかな。わざわざ食うもんじゃないし。私としてはこっちのあんバタサンドとか好きだよ」
「良いわね! 真希さん喜びそうね」
「あとはそうだな……。これなんかどうだ?」
「ジンギスカンキャラメル、あまり美味くねえって話だろ」
「うん。美味しくないよ」
「それを人に勧めるなよ……」
でも割と癖になるときあるんだよこれが。
「皆さん、離陸までもう少しですので身支度をお早めに」
「うっす! じゃ、これとこれとこれで!」
「ま、こんなもんでいいか」
「会計おなしゃーーーーす」
私も自分用に一つお菓子を購入し、飛行機に乗ったのだった。