3級以下の呪霊が放たれた森の中に入り、先に2級呪霊を祓ったほうの勝利、それで決着がつかなかったら呪霊を祓った数で勝敗が決まるらしい。
妨害はあり、だが相手を殺したり再起不能にするようなことはNGだという。
一日目のルール説明が終わり、さっそく試合が始まったのだった。
「風祭の術式って何?」
「僕のは風を起こす術式です。呪力によって強さが変わるぐらいで……」
「南は?」
「私は電気を操る術式でーす。ちょっと呪力もビリビリしてるんですよー」
「どっちもいい術式だね。ま、呪霊と出会ったら即討伐、妨害は私がやるよ」
そういうと、新田さんが茂みの中から出てきた。
「うぇっ、いきなり出会うもんなんや!」
「来たな、先いってね二人とも」
「……ちぃっ! 逃げます! 俺は戦うに向いてる術式じゃない!」
と、新田は回れ右して走って逃げていった。
私は慣れてきた四足歩行で木の上を走り、つかず離れずの距離で観察しながら新田を追う。少し妙だ。誘うような動きをしている。
罠にはめるつもりなのか……? とりあえず幻覚を見せるようにしておこう。
木の上を走って追っていると、やはり途中で立ち止まった。そして、どきどきしながら見ているようなので、とりあえず着地してやることにした。
その瞬間、地面に穴が開く。
「しょぼいですが、僕の術式はどうでしょう」
穴を覗き込むイワシくん。
もうすでに脱出しているのだが、ここにいる新田とイワシは幻覚を見ているところだった。
ずっと幻覚でも見てろい! と笑いながら攻撃しようとすると、背後から思い切りどつかれ吹き飛ばされる。
「何してる! 後ろにいたぞ!」
「えっ、後ろ……?」
「いってぇ。不意打ちとは卑怯なり」
攻撃してきたのは田中だった。
「俺、フィジカルには自信あるんで。肉弾戦なら負けないっすよ」
「えっ、落とし穴にはまってましたやん……」
「あれ幻覚。私幻覚みせれるから」
「……狐につままれたというわけですか」
ほか二人も戦う態勢をとっていた。
それでいい。私ひとりで三人を足止め出来たら勝ちに一歩近づける。
「うわっ、分身したぁ!?」
「落ち着いてください! この中の一人だけが本体だと思います! それが定石です!」
「どうだろうねぇ」
本当は領域展開を使いたい。
この姿になっても使えるということは判明してるし、使ったらもっと勝ちに近づける。が、交流会では使うなと厳命されているので泣く泣く縛っておく。
「ふんぬらぁ!」
と、田中が剛腕で何もない場所を攻撃していく。
正確にはそこに私はおらず、私は見えない幻覚を作り出して陰から見ているだけなのだが。
あっちには全部幻覚ということが全部攻撃してみないとわからないだろう。狐である私が全力であんたらを騙してみようじゃないか。
「くそ……。全部ニセモノかよ! 本体はどこに……」
「これ以上足止めされてたら抜かれます! ぷりてぃだけに任せるのは不安ですから新田さん先に抜けて……」
「いかせないよ」
私は回り込み幻覚を見せる。
「げぇ!? 五条先生……? えっ……?」
「幻覚じゃい!」
前足で思い切りぶん殴る。
新田さんはそのまま木にぶつかり、気絶してしまっていた。呪力捜査の効率、キュウビのままだからわりかし無駄なく使えるから強化幅も思いのままだけど、力加減がいまだにわからん。
「ちっ……。幻覚を見せるっつーのは厄介だ……」
「それに……経験してる場数も違いますね。落とし穴を仕掛けてもよけられている」
「無理だろこれ」
その時、備えられている放送機器から音声が流れる。
『ぷりてぃさんが2級呪霊を祓いました! そこまでです!』
「負けてんじゃん!」
まさかの負けかよ!