一級術師のお稲荷様   作:フォッサ

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紹介

 東京都立呪術高等専門学校。

 東京都でも割と辺鄙なところにある場所だが……。

 

「東京、無惨だねぇ」

 

 無理もないか。

 東京で起きた渋谷でのテロに加えて、五条悟という最強術師と両面宿儺という化け物が戦った跡地。

 この荒野はその名残なんだろう。

 

「両面宿儺だっけ? そんな化け物と戦ってこんな風になったんだっけ」

「……」

「仙台で見た両面宿儺、伏黒くんにそっくりな顔してたね」

 

 というと、伏黒くんは目を逸らした。

 

「上層部に確認が取れました。とは言ってもやっていたことがしょぼかったのでしばらくの奉仕活動……とのことです」

「うわしょぼ」

「術師としての力量を見て、高専の術師として活動させるようにと……」

「……私術師になるの?」

「はい。領域が使えることを加味して、特例ではありますが一級術師として任命するとのことで」

 

 らしい。

 階級あるんだ。

 

 階級について説明してもらうと、一級から四級まであって一級が呪術師として最高峰らしい。

 だがそれより上に特級という分類があるんだとか。特級に分類される呪術師には故人である五条悟という最強術師、夏油傑という呪詛師、九十九由基という故人、そして唯一の現存している特級術師の乙骨憂太。

 

「乙骨といやぁ、仙台の……」

「知ってるの?」

「戦ったことはないけど戦いを横から眺めてたからね。死滅回游に参加してたんだよ私も」

「仙台コロニーにいたのか?」

「いたよ。頑張って生き延びてた」

「死滅回游……話には聞いたけどイマイチよくわかってないのよね」

「じゃあお前は羂索によって覚醒させられた術師なんだな」

「羂索ってのが誰かわからないけど多分そう」

 

 私の知らないところで何かあったんだなぁ。

 

「申し訳ありませんが年齢は……」

「ん、16! つい先日誕生日!」

「ってことは俺らとタメ?」

「そうなるな」

「ついこの前術式に覚醒したとは思えないくらい使いこなしてるわねー」

「才能ってやつでさぁ……」

 

 なまじっか才能があったばかりに……。虐待されていた頃は世を恨んでいたもんだがそれが原因なのかもしれないな。呪いって言うくらいだしな。

 

「高専に入学……もとい編入手続きをしましょう」

「え、術師として活動するんなら勉強いらないでしょ」

「とはいえあなたたちはまだ子どもです。知識をつけていた方が将来のためにも大事ですから」

「ちぇー」

「稲荷って勉強できんの?」

「高校入ってないし中学もろくに勉強してない」

「……お互い頑張ろうぜ!」

 

 なんか慰めてくるんだけどなんなんだ。

 

「まー、高専に入るんなら先輩方の紹介とかいるよな! 全員高専内にいるかな?」

「どうだろうな。任務があるって話は聞いてないぞ」

「いるんじゃないかしら! 行ってみましょ!」

 

 ということで案内されることになった。

 高専に属している術師は少なく、また高専の生徒数も少ないらしい。ひと学年上の先輩ですら4人しかいないらしい。

 案内されて見て回っていると。

 

「こんぶ」

「うわ、いきなりなんかきた」

「お、狗巻先輩! ちーっす!」

「いくら」

 

 口元を制服で隠している少し小柄な男の子が謎の語彙で話しかけてきた。

 

「しゃけ」

「この人は狗巻 棘先輩。呪言っていうのを使って、語彙がおにぎりの具しかない」

「しゃけ」

「よろしくだと」

「しゃけ!」

「しゃけ!」

「しゃけいくら五目」

「高菜……」

「順応早いわね……」

「適応の早さで言えば虎杖以上じゃねえか?」

 

 変な語彙だと思ったがなんとなくニュアンスでわかる。

 しゃけは肯定、おかかが否定だ。

 

「お、お前ら帰ってたのか」

「うわすごい火傷」

「ん? 見ねえ顔だな」

「こっちは禪院先輩」

「新入生かこんな時期に。もう3月だろ」

「時期で言えば卒業の季節だよな」

 

 と、背後から小さいパンダのぬいぐるみが出てきた。

 

「と、パンダ先輩」

「おう。パンダだ。よろしく頼む……ってお前その耳っ!」

「耳がどうかした?」

「狐の耳……わかってないなお前! 耳をつけるならパンダ耳以外ありえないだろ!」

「と言われてもこれ私の術式の影響ですしおすし」

「くうう! お前の術式は狐を扱うのか! なぜ世にはこんなパンダ差別が蔓延っているんだ!」

「知りませんよ。とりあえず乙骨先輩を紹介したいんですけどどこにいますか」

「憂太なら任務だぞ。今生きてる唯一の特級術師だから俺らとは忙しさがダンチだ」

 

 まぁ、特級となるぐらい強かったら忙しいだろうな。

 乙骨先輩は確かにカッコよかったけどあれは付き合うとしてはダメだね。なんつーか、ヤンデレみたいな感じがする。乙骨くんの使役してる式神、オリモトリカってのが厄介。

 

「みんな、今帰ったよ」

「噂をすれば、だな」

「あれ、新入生? ようこそ、呪術高専へ!」

「どうも。仙台コロニーでは凄かったですね」

「知ってるの?」

「私も仙台コロニーにいましたから」

 

 そう言うと乙骨さんがうーんって顔をしていた。

 

「戦いを側から眺めてただけなんで私のことは知らなくてもいいです。戦わないためにあなたから逃げてましたし」

「あはは……。あの時は僕も400点取るぞー……って意気込みだったからね。確かにあの時会ってたら殺してたかも。君も死滅回游の泳者だったの? 過去の術師……ではなく現代で開花した術師の人だね」

「そんなとこです」

 

 話してみたら意外と良い人っぽい。

 

「憂太と同じコロニーにいたのか」

「みたいだね。仙台は強い人多かったし、そこで生き延びてたんならこの子も相当強いと思うよ」

「まぁ、領域使えるんで強さは俺が保証しておきますよ」

「え、使えんのか?」

「使えるの?」

「まぁ一応。つい最近覚えたばかりですけど」

 

 結界術とか難しかった。死滅回游でそういう術式を持った人に出会えてなかったら無理だったかも。

 

「ふぅん。じゃ、これからこき使われるな」

「大変そうだね」

 

 そんなに?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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