「「夏だ!! 海だ!! 沖縄だーーーっ!!」」
釘崎さんと虎杖くんが水着姿で海へと駆け出していく。
伏黒くんはため息をついた。伊地知さんがははっと苦笑いを浮かべている。
私たちは今現在、沖縄にやってきていた。
時は少し遡る……。
「沖縄で任務、ですか?」
「えぇ。沖縄で低級呪霊が目撃されておりまして」
「わかりました。俺だけですか?」
「いえ、2年生全員で行きましょう」
伊地知さんがメガネを押し上げる。
渡された資料を眺める。目撃されている呪霊の数は少なく、また低級も低級。3級程度の呪霊。
「この程度なら俺一人でも間に合うと思いますが」
「そうですね。本来ならそうでしょう。本当の目的は君たちの労いです」
「労い?」
「新宿での決戦も終えても、呪霊がいなくなったわけではありません。若い君たちも駆り出され死滅回游の後始末をしていただいております。その労いとして、沖縄での任務です」
「なるほど。任務って名目で沖縄旅行! でもいいんですかい? 旅費とか」
「えぇ。飛行機代もこちらで用意します」
「いいんですか? というか、通るんですか?」
「五条さんのワガママでよくやらされていたので大丈夫です」
「苦労してますね」
伏黒くんが伊地知さんに労いの言葉をかける。
五条 悟……か。私はよく知らないんだよな。あの政党の騒動で一時的に疑似復活を果たしたと言えど、術式とかよく知らないし本人がどういう人だったのかもわからん。
話を聞く限りすごいワガママな人みたいだが……。
「というわけで、虎杖くんたちにもお伝えください。ちなみに労いの件はここの3人での秘密としてください」
「……なんでです?」
「虎杖や釘崎はふとした時に喋るだろ」
「信用ねぇ〜。ってか私は信じられてんの?」
「意外としっかりしてるからなお前は」
「照れる」
ということがあったのだ。
なので虎杖くんたちは任務だと思ってきている。今現在任務を無視して遊んでいるわけだが……。
「伏黒くん」
「どうだった?」
「呪霊、ここらにはいないっぽい。けど」
「けどなんだ?」
「呪霊とは違う残穢があったんだよね」
残穢。それは呪力の痕跡のようなものらしい。
人によって呪力の性質が違うらしく、残穢で人を見極めることも出来るのだとか。
「本当か?」
「うん。多分人間だと思う。おそらく死滅回游で目覚めた術師じゃないかな」
「術師なら残穢気にかけるだろ」
「そうでもないよ。死滅回游で目覚めた現代の術師ってさ、いわば初心者なんだよ。私も習うまで残穢のこと知らなかったし……」
「……確かにな。まあいい。その術師を探してみよう。呪詛師だったら捕えるぞ」
「オッケーい」
伏黒くんは虎杖くんたちに呪霊討伐任せたといって、駆け出していく。
「私は伊地知さんに伝えてくる!」
「頼んだ!」
私はホテルに一度帰り、伊地知さんの部屋を訪れる。
沖縄に術師がいるか?と聞いてみるとそういう報告は入ってきていないらしい。
野良術師がいるかもと告げると、伊地知さんは探しましょうと私たちに命令を下すり
「死滅回游以降、呪術に目覚めてしまった術師の事件が絶えませんからね。高専で把握しておきたいですので」
「わかってますよ。私も元々起こしてた側ですし!」
「そうでしたね。では、頼みます。他のお三方は?」
「伏黒くんは一足早く探しに出ています。虎杖くんと釘崎さんには呪霊の方に向かってもらってます。海で遊んでますけど」
「わかりました。では、ご武運を」
私は外に出て駆け出していく。
伏黒と別れたところに戻ってきて伏黒くんの残穢を辿る。術師なら残穢を残さず行くことも出来るらしいが、こうして残しているのは私が追跡することを想定してかな。
呪詛師に辿られたくないなら残さないが、あちらの術師も残穢を残してると知ったから素人だと判断した感じだろう。
「クンクン……。あ、いたぁ伏黒くん!」
「稲荷か」
「術師見つかった?」
「ここで残穢が切れてる」
「ここでぇ? ひょっとして罠だった?」
「かもな。油断するなよ」
私は辺りを見渡してみる。
シーサーの石像が置かれてある神社のようだ。
「……ん?」
「どうした?」
「今シーサーが少し動いたような気がする」
「シーサーが? ……玉犬」
伏黒くんの玉犬がシーサーに攻撃していた。
シーサーの石像が突如動き出しひょいっと躱す。
「マジか! てかシーサーの石像だったらどうしてたの!?」
「その時は弁償するまでだ。シーサーは式神、式神使いが近くにいるはずだ」
すると、神社の中から褐色肌の女の子が出てきた。
「あいつだな」
「っぽいね」
女の子は駆け寄ってくると。
伏黒くんに抱きついたのだった。