キュウビが少年の匂いを辿る。
やってきた場所は何の変哲もない病室。だがしかし、ここだけが異様に呪いの気配が濃かった。
ここに確実にいる。私は意を決して扉を開いた。
白い服を着た女の人がポツンと立っている。
「フフ、フフフフフ」
「……あの生首」
若い男の子の生首が吊るされていた。
殺されていたか。血が固まってる辺り、死んでから結構な時間が経過している。
「ワタシハオカシクなんかナァイ!」
そういってハサミを手にして襲いかかってくる呪霊。
私はキュウビを取り憑かせ、パワーアップしてぶん殴る。
「キャハハハハ!」
と、ハサミによる攻撃に呪力が篭っていた。
呪力で防ぐがノーダメージとはいかない。なるほど。結構強い。っていうかこの病院自体少しおかしい気もしていたが、対面してわかった。
この病院自体こいつの領域だ。
さっき防いだはずの攻撃が当たったのはそのせい。
領域の効果は術式の必中、そして術者本人へのバフ。
「一級以上ある呪霊じゃないのかこれ」
なかなかドギツイ任務を初っ端から渡してくるじゃん。
ま、やるしかないよな。
「こんだけ領域が広いと押し合いすらできねえでやんの」
精神病院まるまる領域。
ここまで範囲を広くすることは私には無理。だから領域使うのは時間の無駄。だから私の術式だけで倒すしかない。
「キャハハハハ!」
と、今度はベッドが飛んできた。
「狐火」
私は火を飛ばしベッドを燃やし尽くす。
飛ばしたものを当てる術式か……? それが必中になってるのかもしれないな。
「狐憑き:
私の術式、狐憑きには三つのモードがある。
戦闘のための
それぞれに利点、欠点がある。獣化モードの時は反転術式が使えなくなること。また狐火以外の能力が使えなくなること。
治癒モードは反転術式をキュウビが自動で回してくれる分、式神キュウビの呪力強化を受けられなくなること。
魔法モードは呪力で炎を生成し操ったり、幻術を使って惑わすことも出来るが、呪力が篭った攻撃にめっぽう弱くなる。
どれも一長一短。
ここでは治癒モードのほうがいいと判断した。
「私の手で呪力強化してぶん殴りゃいいしなぁ!」
私の首にハサミが掠め斬り裂かれる。その瞬間にキュウビが反転術式を使いすぐに治る。
キュウビの呪力強化がない分、威力はガタ落ち。だがそれほど火力はいらないだろう。
「オカシイ!」
「おかしくねえよバーカ!」
呪霊に華麗なドロップキックをかました。
呪霊は勝てないと悟ったのか逃げる態勢をとっている。私はすぐに魔法モードに切り替えて呪霊相手に幻覚を見せた。
追い詰められたと勝手に勘違いした呪霊はその場に留まり、足掻こうとこちらに攻撃を向けてきた。
私は最大出力の狐火で焼き払うのだった。
「はい、任務完了。あの子の遺体と遺品は持ち帰ってあげないとね」
人の死はいつ見ても嫌なものだ。