春の木漏れ日が校舎の窓から入ってくる。
「もう四月かー。俺らもとうとう二年になるんだな」
「別に普通だろ」
「新入生の季節、ね」
「私の事?」
「いや、まぁ、たしかにあんたも新入生っちゃ新入生だけど」
四月といえば入学の季節。
私らを担任することになった日下部さんから今年も3人入ってくるということだけ聞かされたのだった。
入ってくるやつは私と同じ死滅回游に参加していた私より年下の子とか、由緒ある呪術師家系の人とからしい。
初の後輩ということで虎杖くんたちはうずうずしているようだった。
「とりあえず挨拶に行こうぜ! 新一年の顔見てみよう!」
「そうね。生意気な奴だったら、とりあえず〆とくかしら」
「やめとけ。ま、速くしないと帰っちまうかもしれねえし、早く行くぞ」
「りょ」
廊下を走り、一年の教室に入る。
木製の校舎でぽつんと三つだけ机といすが置かれて、担任となった呪術師の先生がこちらをみてにっこりとして紹介し始めたのだった。
「ちょうどいいところに来ましたね。こちら、二年生です。皆さんのひと学年上の先輩たちですので、同じ学校ということで仲良くしてくださいね」
「はーい!」
「は、はい」
「……」
一人はずっと窓の外を見ていたままだった。
それが釘崎さんの癪に障ったのか、笑顔で怒っている。
「ちょっとぉ! 窓の外見て返事しないって何様のつもりなのよ!」
「釘崎。落ち着け」
「ちょ、落ち着けよ釘崎! ごめんな、血の気高いからこいつ」
「…………」
虎杖くんが話しかけても押し黙ったままだった。
「……俺は弱い奴と話すつもりはない」
「「…………」」
釘崎さんと虎杖さんは笑顔で固まっていた。
「先輩への口の利き方には気を付けましょうねぇ?」
「やっちゃいなさい、虎杖」
「お前らな……。名前だけ教えてくれてもいいだろお前も」
「……志賀崎 マル」
「ありがとな。お前がどんな主義だろうが別に構わないが、少しは話すことも覚えたほうがいい」
「……あんたには関係ないでしょ。弱いくせに」
そういうと、伏黒くんの額にぶち切れたような欠陥が浮かび上がる。
「……はぁ。ダメだなこりゃ」
「そこで投げ出すなよ……。志賀崎くん。初めまして」
「…………」
「もうそこらへんにしておいたほうがいいですよ先輩方。そいつ、私らが話しかけてもうんともすんとも言わないんですよ」
「術式に覚醒したのも最近のくせに」
「うるせえ。お前らは俺に勝てんのかよ」
「うっ」
「うぐぅ」
死滅回游での覚醒型の泳者か。
私と同じタイプだな。
「君も覚醒型なんだ。私も私も」
「……そうなんすか?」
「そうそう。虐待されてるところで覚醒しちゃってね。仙台コロニーにいたんだよ。君は?」
「……御所湖コロニー」
「御所湖って岩手か!」
「……そこで、殺し合ってた」
なるほどなぁ。
「二人は死滅回游は体験した?」
「……いや、私はしてません」
「僕も……」
「そっか」
この二人より実戦を積んでるってわけか。
「殺し合ったこともねえ術師と話し合うことなんてねえっすよ」
「そう? 俺らも死滅回游に参加してたよ?」
「そうなん、すか?」
「なんなら超強い奴を倒してたりもしてた」
「……うそくさ」
信じてもらえてないようだった。
「じゃあ、志賀崎くん。私と術式ありで手合わせしようよ。私が勝ったら先輩たちの言うこと聞いてね。負けたら何も言わないから」
「……後悔しないでくださいね」
と、戦うとなるとやる気を見せてきたのだった。
若者はそうでなくっちゃね。