虎杖を活躍させる為だけに世界を地獄に変える転生者共   作:愉悦部員

2 / 5
虎杖君が強いところを書きたかったんや。
ぶっちゃけ後半は見なくて良いです。精神衛生上の為にも見ない方が本当に良いですよ。


森の賢者と書いてゴリラと読む

「天内はさ、何で蜘糸釈迦羅天を攻略しようとしてんだ?」

 

 夕暮れ時、虎杖は呪力を込めながら天内理子、正確には天内理子の亡骸を操っている額に縫い目のある少女に質問をした。

 

「気になったんだよ。天内がずっと昔の人で、その子の死体を乗っ取ってまで蜘糸釈迦羅天を攻略しようとしてる理由が」

「そう、だね…………確かにこんな外道な真似をしてまで生き永らえる、その理由は気になるか」

 

 天内理子は憂いを帯びた表情を浮かべながら語り始める。

 

「元々は蜘糸釈迦羅天は私と友人達で作り上げたものだったんだ」

「天内が、これを作ったのか?」

「うん。元々これは人の成長の為に作ったんだ。呪霊という脅威を敢えて試練としてぶつける事で人を強くして進化を促すものだった――――そう、だったんだ」

 

 顔を俯かせ、憔悴しきったように理子は言う。

 

「弱くても良い、役割が無くても良い、ただそこに居て生きてくれるだけで良かった。誰かの記憶の中で少しでも覚えてくれるだけで良かったんだ。だけど当時の私達は愚かにも人間に強くあってほしいだなんて見当違いの事を大真面目に考え込んでいたんだ」

 

 涙を流しながら理子は語り、悠仁の両肩を掴む。

 

「悠仁、この時代を生きるきみにこんな事を頼むのはお門違いだとは分かっているし、優しいきみにこんな事を頼むのは卑怯だと分かっている。だけど、もし私が途中で倒れた時は、きみにお願いしたい…………!」

 

 弱々しく自己嫌悪に塗れながら言う理子に対し、悠仁は少し考えてから頷いた。

 

「ああ、分かったよ。天内が途中で倒れた時はオレがこのゲームを終わらせるよ」

「っ、ありがとう…………!」

 

 悠仁の手を掴み、理子は顔を俯かせながら泣き始める。

 故に気が付かなかった。涙を流している筈の天内理子の顔が喜悦に染まっていた事に。

 他者を思う心に善意が一切含まれていなく、邪な思いしか込められていなかったのを虎杖悠仁は最後まで気付く事は無かった。

 

   +++

 

「っ、夢か」

 

 電車に揺られる中、眠りについていた悠仁の意識は覚醒する。

 どうやら自分は眠ってしまっていたらしい。長閑な田園風景が窓から見える閑古鳥が鳴く電車の中、悠仁は伸びをする。

 

――――随分と懐かしい夢を見た。

 

 もうこの世に存在しない天内の夢を見ることになるとは思わなかった。

 電車も次第に減速し始め、目的地である無人駅に到着するのに気付き悠仁は立ち上がる。

 

「さて、と…………行くか」

 

 電車から降り、切符を回収箱に入れて悠仁は走り出す。

 その速さは到底人間が出せる速度では無く、車の速さにすら負けていない程だ。そうして走る事数分、目的地である場所に到着し悠仁は眼前にある物を見つめる。

 悠仁の視線の先にあるもの。それは掌サイズで収まりそうな浮かんでいる小さな黒い球体だった。

 この球体の正体が何なのか、虎杖悠仁はよく知っている。

 蜘糸釈迦羅天。呪術の師匠である天内理子――――正確にはその死体を動かしていた存在も含めた縄文時代の十一人の呪術師が作成した遊戯(ゲーム)、それに出て来る敵の課題呪霊が入った結界だ。

 人の心があり過ぎて逆に無い、善意はあるのかもしれないが結果的に大惨事になっている。お人好しや善人と言われる事が多い悠仁から見てもこれを巡って争いになると断言出来てしまう程に特典が酷いゲームだ。

 が、特典を受け取る為にはポイントが必要で、そのポイントを獲得する為には呪霊を倒さなければならない。

 

「この後爺ちゃんの見舞いがあるからな。とっとと終わらせるぞ」

 

 課題呪霊は通常の呪霊と違って得られるポイントが多い上に倒せば報酬を獲得出来る。

 その代わりとして通常の呪霊よりも強いのが特徴だ。加えて最初は結界の中に封じられているが倒せなかったり、時間内に結界を見つけ出して中に入らなければ外に出て暴れる。

 そして失敗したり期間内に倒せなければ罰を受ける。

 そうなる前に倒す必要がある。

 ぷかぷかと浮かんでいる球体に悠仁が触れた瞬間、声が聞こえた。

 

『参加人数一人、虎杖悠仁。課題、呪霊クラスタの討伐を受注しますか?』

「ああ、受ける」

『了承しました」

 

 声の主がそう言うと悠仁の身体が小さな球体の中に吸い込まれる。

 小さな球体――――極小の結界の中に吸い込まれた悠仁は地面に着地し面を上げる。

 結界の中は外の田園風景の色が反転したような光景が広がっており、中心には四本腕のイナゴの怪物が立っていた。

 

「参加者…………来タ」

 

 イナゴの怪物呪霊クラスタ――――呪術高専において特級に指定されるであろう実力を持った呪霊は結界内に入って来た悠仁を見て高らかに叫ぶ。

 

「お前、殺ス! そしテ外に出ル!! おレ、人間殺しまクル!!」

「させっかよ! お前はここで祓う!!」

 

 二人の殺意、負の感情から生まれるエネルギーである呪力を漲らせ、呪い合いが始まりを告げる。

 先に行動したのはクラスタであり下側の両腕で摩利支天印を結ぶ。それを見た悠仁も同じように地蔵菩薩印を結んで宣言する。

 

「「領域展開」」

 

 領域展開――――術式に付与した生得領域を呪力で周囲に構築するという呪術戦の極致。

 結界術の一種であるそれには二つの効果が存在し一つは環境要因による術者のステータス上昇、もう一つが領域内で発動した術者の術式の絶対に当たるというもの。

 領域戦において重要視されるのは後者である。クラスタは強力な技を必中にする為、悠仁はクラスタの思惑を妨害しつつ返り討ちにする為に領域を展開する。

 クラスタの領域である荒れ果てた大地と光一つ差し込まないどす黒い雲に覆われた生得領域と虎杖の領域である幼少期の頃に過ごした岩手県の光景が広がる。

 領域は虎杖が6、クラスタが4の割合で拮抗し互いの必中効果が相殺し合う。

 その事実に腹を立てたクラスタは上左腕を大砲のように変形させ虎杖に向ける。

 

「極ノ番ゥ…………ゴグ・マゴォグ!!」

 

 大砲と化した上左腕から放たれたのは赤く染まった人間の瞳を持つ無数の巨大なイナゴの群れ。

 クラスタの極ノ番ゴグ・マゴグは呼び出したイナゴ型の式神で肉を、呪力を貪り尽くす奥義。

 領域の必中効果が相殺されている今、相手の攻撃や防御に使われる呪力を貪って無効化し、骨すら残さず食い尽くす事が出来る。更に呼び出した式神は貪った呪力を自己還元、肉は呪力に変換し強化されていく極めて厄介な術式だ。

 

「百斂、赫鱗躍動・載」

 

 迫り来る極ノ番を前に悠仁は顔色一つ変えずに生得術式、前界で登録していた事によりGMから特典として引き出す事が出来た呪胎九相図の4番から9番を取り込む事で獲得した赤血操術に呪力を流す。

 体外に出た血液を二つ、手の中に一つ圧縮しつつ身体能力の向上。

 失った分の血液は呪胎九相図を取り込んだ事で得た呪力を血液に変換する特異体質により補填。

 そして空中に浮かべている二つの百斂の上に跳んで圧縮を解除し一気に解放、空高くへと打ち上がった。

 

「逃ゲ場のナイ空へ逃ゲたナ!!」

 

 自ら自由が効かない空へと跳んだ事を嘲笑い、クラスタは式神を操作して悠仁を仕留めに掛かる。

 

「閃血…………!!」

 

 上機嫌に嗤うクラスタに対し、悠仁は両手の中に圧縮していた血液を指向性を持たせ、合わせた両手を振るいながら一点から解放する。

 百斂で圧縮した血液を一気に解放し、音速を超える初速で敵を撃ち抜く赤血操術の奥義である穿血――――それを横薙ぎに振るう事で放つ拡張術式。

 振るわれた血の斬撃はクラスタの身体を袈裟斬りに真っ二つにした。

 

「ガハッ!?」

 

 命こそ失わなかったものの身体の大部分を喪失したクラスタの領域は崩壊、悠仁の領域の必中効果が襲う。

 領域の崩壊を悟ると同時に彌虚葛籠を発動しようとしたクラスタを縄状に組み上げられた血液、赤縛で拘束し妨害。

 そして閃血として放った血液をそのまま放出し続けて穿血に変更。

 領域内の必中効果によりクラスタの身体を貫き、体外に飛び出た血液がまたクラスタの身体を貫く。

 その無限ループによりクラスタの身体は穴だらけとなった。

 

「ギッ…………」

 

 身体の大部分を失いボロ雑巾と化したクラスタは術式を維持出来ず、無数の式神の群れは大半が消失する。

 数体残っていたのはまだ諦めていないからだろう。

 その事実に悠仁は慢心や油断をせず、空を蹴って式神を回避。更に空を蹴ると同時に足に貯めていた呪力を爆発させ一気に加速。

 

「血鎧装」

 

 右手を硬質化した血液の鎧で覆い呪力で強化、クラスタの身体に付着している血液を爆発させ宙に浮かす。

 落下する虎杖は空を蹴って更に加速し、強制的に浮上するクラスタに向けて右拳を振り抜く。

 

「黒閃!!」

 

 クラスタの顔面に悠仁の拳が突き刺さると同時に黒い火花が散った。

 

   +++

 

『呪霊クラスタ討伐完了、虎杖悠仁に100ポイントを与えます』

 

 クラスタが消失した事で結界が崩壊し、元の田んぼが広がる外へと排出される。

 だが大地に足が触れる事は無く、悠仁の身体は全く別の空間へと落下する。

 

『全課題のクリアを確認。参加者をマスタールームへと招集します』

 

 落下した先にあったのは角が生えている首に鎖が付いた少女、そして少女を繋いでいる鎖と繋がった円形のテーブルだった。

 テーブルにはそれぞれ椅子が付いており、その椅子に悠仁を含めた落下してきた者が全員座る。

 

「ちょっと! いつも思うけどこれどうにか出来ないの!?」

「まあまあ落ち着けよグレース」

「落ち着けるわけないでしょ血塗! こっちはお風呂に入っている最中に呼び出されてんのよ! いつもの事とはいえもうちょっとタイミングってもんがあるでしょ!!」

 

 全裸な上に本人が風呂に入っていたと公言している金髪の少女、グレース・アルヴァリアは自身の頬に発生したもう一つの口を血塗と呼び愚痴を吐く。

 それを見て角の生えた少女は首を傾げた。

 

「日本時間で現在は昼の12時です。お風呂に入るにしては早過ぎるのではありませんか?」

「術式の練習をして汚れたからよ。全身血でべったり汚れてたらスプラッタ過ぎんでしょ」

「俺の術式は血を使うからな。兄者達や悠仁みたいに上手く出来れば良いんだけどよ」

「上手くするために練習するのよ。いつまでも血塗だけに頼っているわけにはいかないでしょ」

 

 文句を言いながらもグレースは顔を顰めながらテーブルに肘を乗せて頬杖を突く。

 その姿には羞恥心等欠片も無いように見えた。

 

「必要でしたら僕が上着を貸しましょうか?」

「良いわよ。治良はただ脱ぎたいだけでしょ」

「何故分かったんでしょうかね? 貴方は分かりますか壊相」

「さぁ? 私には分かりかねますね治良。蒸れるわけでもないのに脱ぎたがる貴方の気持ちは」

 

 グレースに上着を差し出すも断られた眼鏡をかけた半裸の男、工口治良はグレースと同様に左頬に出来た口を壊相と呼ぶも一蹴される。

 そんな二人を見かねたのか和服を着た特徴的な髪の毛をした男が駆け寄った。

 

「血塗にグレース、そのままだったら風邪を引くからお兄ちゃんのを着なさい」

「はーい。脹相兄」

「ありがとな兄者」

「治良も服を着るんだ。壊相をあまり困らせないでくれ」

「む、脹相殿がおっしゃるのなら…………」

「本当にいつもすみません。治良もこれさえなければ良いんですが」

 

 男、脹相は二人を諫めると悠仁の方を向いて駆け寄る。

 

「悠仁、怪我は無かったか?」

「ああ。強かったけど無問題(モーマンタイ)。兄貴達の方は?」

「こっちも大丈夫だ。すまない悠仁、俺もそっちに行ければ良かったんだが…………」

「気にすんなって。参加者一人の呪霊だったし、兄貴と日車も参加者一人の呪霊と戦ってたんだから」

 

 心配する脹相にそう言うと虎杖は黒スーツを着た男、日車寛見に視線を向ける。

 

「その通りだ。それよりもそろそろ報酬を受け取らないか? すまんが、今回の報酬の中に欲しいものがあるんだ」

「あ、悪い」

「兄弟で仲が良いのは良い事だとは思うが、こっちも漫画の続きを描かなくちゃいけないのだ」

「社会人組は大変だな…………まあ、俺も受験勉強やんなきゃいけないから忙しいのは同じなんだけどな」

「シャルルも甘井も本当にゴメン。じゃあ早く受け取るか――――法香、頼む」

 

 日車、フランス人の男シャルル、プリンカラーの頭髪を持つ男甘井凛の言葉に謝罪しつつ悠仁は角の生えた少女に話し掛けながら座る。

 第一座・虎杖悠仁。

 第二座・日車寛見。

 第三座・脹相――――特典呪具、義体創身具により受肉。

 第四座・工口治良――――呪胎九相図二番壊相受肉共存体。

 第五座・グレース・アルヴァリア――――呪胎九相図三番血塗受肉共存体。

 第六座・シャルル・ベルナール。

 第七座・甘井凛。

 第八座から第十二座までの空席を一通り見た後、角の生えた少女、法香は口を開き蜘糸釈迦羅天のGMとしての仕事を遂行する。

 

「呪霊クラスタ討伐報酬、呪具だんぴら。呪霊メモリー討伐報酬、呪具記憶モノクル。呪霊豹紋討伐報酬、参加席追加。呪霊モルスフォン討伐報酬、術式硬化を獲得しました」

 

 空中に今回の課題で討伐した四体の呪霊が描かれた巻き物が空中に出現すると同時に激しい炎に包まれる。

 そして炎が消失すると鉈をそのまま巨大化させたような大剣、虫眼鏡、一つの椅子、そして呪力で覆われた球体が出現した。

 椅子はそのまま円形のテーブルに設置され、空席が六つとなる。

 

「硬化はダブったな。弱い術式ではないし汎用性に優れているから悪くはないが」

「と、言っても我々が使う事は無いですがね」

「血塗はだんぴら欲しい?」

「いやー、いらねぇな」

「記憶モノクルは約束通り俺が貰うぞ。これを使えば被告が無罪である事を立証しやすくなる」

「術式持ちは自分のを極める方が優先だからな。今の所使う予定は無いよな」

「それよりも空席の数がまた増えたぞ。今回の課題はこの人数でも何とかなったがそろそろ空席を埋める必要がある」

 

 獲得した報酬や今後の課題について相談する仲間達を見て悠仁は笑みを浮かべる。

 まだ万全とは言えないし、これからの課題に対する不安はある。

 しかし天内と二人でやっていた頃に比べれば遥かにマシだしちゃんと攻略出来ている。当時は術式も無く呪力操作にも苦戦し、結果として天内が貯めていたポイントを使って過去に戻った。

 中学三年から再び中学一年に戻った悠仁は前の周回で獲得したポイントを使い、天内のアドバイス通り呪胎九相図を呼び出し受肉させたり自ら飲み込んで術式を獲得、課題をこなしつつ仲間を増やしてこのゲームを攻略する事となったのである。

 

「もっと強くならなくちゃな…………」

 

 悠仁は自分の手を見つめる。

 このゲームの製作者の一人である天内は過去への逆行は出来ず、それどころかこの世界から存在ごと消失した。そういう縛りを結んでいたからだ。

 覚えているのは直接会って話した悠仁と同じように逆行に乗じてついて来れたGMの法香だけ。蜘糸釈迦羅天は過去に行った者が所有する製作者が存在しないゲームとなってしまった。

 だがこのゲームを終わらせる方法はある。

 

「最終課題のボスを倒す。そしてこのゲームを終わらせる…………!」

 

 それはとてつもなく難しい無理難題。だけどゲームである以上、天内達製作者が人類の為を思って作られた以上、必ず攻略する方法がある。

 悠仁は誰にも聞こえない程度の大きさで決意を新たに固める。

 

   +++

 

「ふぅううううううううう!! さいっこう!!」

 

 蜘糸釈迦羅天というゲームの術式、GMすら分からない最深部にて11人の転生者達(クソカスども)が画面に映る虎杖悠仁の決意を見て高ぶっていた。

 中には天内理子の身体を乗っ取った転生者(下劣畜生)が心底感動したと言わんばかりに涙を流している。

 

「いやー、理子ちゃんの身体を乗っ取って師匠やった甲斐があったよ…………! お姉ちゃん嬉しいよ…………!」

「そうだな。赤血操術を使い熟す虎杖が見れて嬉しいよ。最終戦だと止血とか反転や切断部位をくっ付けたりするくらいしか出番が無かったからな…………こうして術式を使いこなす虎杖が見れて本当に泣けてくるよ…………!」

「御廚子はまだ使えないし宿儺の指も元から埋め込まれてた1本しか無いから呪力量と出力は終盤に比べれば劣ってるけどな。まあ呪力操作や黒閃回数、赤血操術が使えるから多分終盤虎杖より強いぞ。ポイントを使った特典で出力や総量をたまに上げてるみたいだけどな。流石に宿儺の指には負けるよ」

「これからもっと強くなるんだし気にすんなって。それに九相図兄弟が仲良くやってるのを見れて幸せだよ。脹相はオレ達が用意した肉体で受肉して、壊相と血塗は器となってくれる人と仲良くして共存してくれてるし」

「日車も絶望し切る前に虎杖に会えて変われたから良かったけど…………原作より早めに目覚めたせいか強くなり過ぎじゃね? おかげで経験値が全員に行き渡って皆超強化されてるけど」

「まあ細かい事は気にすんなって。虎杖がこの時期から動いているせいか原作もかなり変わってるみたいだし、問題も山ほどあるから強くなったからって楽になる事は無い」

「そうそう、問題は多ければ多い程成長に繋がる…………! 彼等の今後の災難と苦難に乾杯!」

 

 わいわいがやがやと楽し気に話す転生者達。

 もしこの光景を虎杖悠仁が見れば「何を言っているんだお前達は?」と怒りの形相になる事だろう。

 

「やっぱラスボスを見せた上で逆行させて良かったと思うよ。あれのおかげで悠仁は強くなる事に貪欲になったし」

「俺達の成果だよな。まさか五条悟と両面宿儺が二人同時にかかっても返り討ちにするなんて…………ちょっとやり過ぎちった」

「だから強くてニューゲームなんて機能を作ったんだよな。あって良かったよ本当」

「そうそう、俺達は世界が滅亡するところがみたいわけじゃないんだよ。必死になって頑張って絶望して、それでも頑張って立ち上がるところがみたいんだよ」

「よし、それじゃあ今度はこいつを課題として出そう。くぅううう!! この呪霊を倒すのに苦労する虎杖の顔が楽しみだぜ!!」

 

 ゲラゲラゲラと心底楽しそうに笑いながらこれからの難題を考える転生者達(屑ども)

 

「あ、そうだった」

 

 そんな時だった。天内理子の死体を動かしている羂索と同じ術式を持った下劣畜生が懐からある物を取り出したのは。

 

「私さ、虎杖の師匠やってた時にさ。爆睡している最中にこれ採取したんだよね」

「何それ?」

「虎杖の精子」

 

 淡々と告げた下劣畜生のその言葉に10人の転生者達は目を見開く。

 

「一つ聞くけど、それをこれからどうするつもりだい?」

「これを使って妊娠してさ、虎杖の子を産みたいんだよ」

「べ、別に良いんだけどさ…………きみ元は男だったよね? 転生前も、その身体に入る前も」

「男でも推しの子の赤ちゃんを産みたいんだよ!! お前等はどうなんだ!?」

 

 天内理子が絶対にしないであろう顔と言葉で女の転生者達に問いかける。

 

「いやー、流石にそれはないわー」

「んだよノリ悪いなー。ま、そういうわけだから少し席を外すよ。次の課題までには戻って来るからさ」

 

 下劣畜生はそう言うとこの空間から出て行く。

 

「いやー、羂索の術式を持って産まれるとあんなにきしょくなるのかね?」

「多分だけどさ。今の私達ってGTロボが初登場した時のトリコとココのような顔をしてるわよね」

 

 改めて羂索のキショさを理解した、とこの空間に残った転生者達は頷き合った。




この作品の虎杖君たちが頑張っている裏側では転生者どもがこんな感じでやっています。
補足ですが過去への逆行は現在虎杖とGMしか知りませんし教えるつもりがありません。
が、これがバレた時どうなるのかは言わなくても分かりますね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。