仮面ライダーディーパ(新約)   作:瓜生史郎

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9話

 水鏡の竜スペッチオ、2000年もの昔セイレンタウンを滅ぼしかけたという伝説のドラゴン。あと一歩で壊滅という時に突如現れた精霊の騎士と呼ばれる男が湖底の大岩に封印したという。

 

 バスコを倒すまでの間ローレライ家でお世話になることとなった僕は図書館にある伝記本などを調べていた。

 

 目的は精霊の事について描いてある本を探すことだが、置いてあるのはセイレンの伝承本ばかりだ。

 

「やはりここに精霊について書かれてある本はないか」

 

「あるわけないでしょう」

 

 驚いて振り返ると部屋着に着替えたネレイスが立っていた。

 

 ふんと嘲笑い僕に近づく。

 

 セーラ服のような非常にシンプルなデザインだが胸元に大きなリボンがあって可愛らしい服装である。

 

 

 

「貴方、バスコ討伐を承諾したんですって?」

 

 僕がああそうだと答えると、彼女は大きくため息をついた。

 

「ま、せいぜい私の足手まといにならないように頑張ってくださいねー。ヘタレ騎士さん♡」

 

 こいつぅ!!殴ってやろうか??

 

 拳を強く握ったがなんとか踏みとどまった。

 

 流石に女の子を殴る最低な男になるわけにはいかない。

 

 だが、強敵を前にしたり、恐怖を感じると固まって動けなくなる癖は直さなくてはならない課題だ。

 

 ネレイスの言う通り足手まといになってしまうかもしれないと考える。

 

 

 

 セレステは考えていた。

 

 どうすればネレイスにソゲンを認めてもらえるか。

 

 彼にはイニシオ村を救った実績とレグナーの幼馴染ミレイユを救った実績がある。

 

 だけどそれだけでは厳しいの事実だ。

 

 彼女が見たソゲンは銃を突きつけられただけで固まってしまうという欠点を持つ彼だけで、彼女にはソゲンが恐怖で動けなくなる癖がある以上ネレイスはソゲンの仲間になることはないだろうし、これから出会うであろう精霊も仲間になることはないだろう。

 

「はぁ、どうしよう~」

 

 セレステが机に突っ伏してドアをノックする音が聞こえた。

 

 ドアを開けるとお盆の上にティーセットを持ったネレイスが入ってくる。

 

「セレステさん、良かったら私とお茶しませんか?いい茶葉が手に入ったんですわ。」

 

 ネレイスは綺麗な青い花がついたカップを2つ並べてポッドから紅茶を注ぐと、鮮やかな飴色の紅茶がカップの中に広がり、甘いフルーツの香りが部屋中に漂う。

 

 「いい香り~」と言いながらセレステが椅子に座ると、ネレイスも向かい合うように座る。

 

「お友達の精霊意外とお会いするのは初めてなので、是非セレステさんとお話ししたいなって」

「え?ネレイスさんお友達に精霊がいるんですか?」

「えぇエアリアという町に一人ね」

 

 セレステは一口紅茶を口に含むと脳裏にある事が浮かぶ。

 それは彼女の生い立ちについてだ。

 

 ネレイスは自分と同じような人生を歩んできたのかとても気になるものがあった、でも彼女も自分と同じように生い立ちにトラウマがあるかもしれないけど……。

 

「セレステさんは実の親の記憶残ってますか?」

 

 脳内で葛藤していたセレステはえ?となって現実に戻された。

 

 先ほどまで聞こうかと思っていたことがネレイスの口から出たのだ。

 

 ネレイスはセレステにまずいことを聞いてしまったと思ったのかごめんなさいと慌てて謝った。

 

「悪いこと聞いちゃいましたわね、忘れてください」

「ううん、私も気になってたことだから大丈夫です」

 

 セレステは気まずい雰囲気を払いのけるようにニコっと笑う。

 

 それを見たネレイスもつられてウフフと上品笑い声を出しながら笑った。

 

「私は5歳より前の記憶がなくて、イニシオ村の近くの森に捨てられたんです。だから親とかの記憶が全くなくて……」

「あら、やっぱりそうなんですのね」

「やっぱり……!?」

 

 セレステはびっくりしてカップ落としかけるがなんとかキャッチする。

 

「私も実は5歳より前の記憶がないんです、エアリアに住んでいる精霊も同じことを言ってましたわ」

 

 驚いた、まさか自分だけだと思っていたことがほかの精霊でも共通だったなんて。

 

「私はまだ貴方含めて3人しか会ったことがないのですが、多分ほかの精霊に同じ話をしても同じ言葉が帰ってくると思います」

 

 じゃああの闇の精霊フォンセも私たちと同じ!?でもなんで5歳の時?

 

「ここからは私の憶測ですが、5歳になったときになんらかの現象が起きて覚醒。そしてそのショックでそれまでの記憶が消滅し、私達は精霊になったと」

 

 なるほどとセレステは思った。

 

 生まれた時から精霊なら5歳までの記憶は残っているはず残っていないということは5歳の時に自分たちの身に何かが起こったそう考えるの賢明だ。

 

「私たちってどういう存在なんだろう?」

「わからないですわ、でも1つ言えることは私達は絶対悪い存在ではないということ」

 

 ネレイスの言う通りだ。

 

 人に危害を加えているわけでもないましてや世界を脅かしているわけでもない。

 

 自分達がどういう存在なのか今はわからないが私達が生きている以上なんらかの意味があるんだ、セレステはそう思った。

 

「ところで貴方はなんであの精霊の騎士に力を貸してるんですか?」

 

 突然の質問にえっ?と声を上げるセレステにさらにネレイスは続ける。

 

「あんな、拳銃を突きつけられて固まってしまうような精霊の騎士を見て、貴方は幻滅したり、失望したりしなかったの?」

 

 その質問にセレステは少し怒りを覚えた、だが湧き上がる怒りを鎮めて、彼女の質問に答えた。

 

「私は別に幻滅や失望なんてしてないです。だって精霊の騎士なんて知らなかったんですからそれに私が精霊ということもつい最近知った話ですけど、でも私はあの人に救われたから、だから今度は私が彼を救おうと思ってついていく事にしたんです」

 

 そうだ、自分は彼の言葉に救われたんだ精霊の騎士とかそんなのは関係ない。

 

 私はソゲンという男を救うために今ここについてきているんだと、だがネレイスはセレステの話を聞いて深くため息をついた。

 

「なるほど、貴女の言うことは理解できます。でも、貴女が彼を救おうと思っても、彼が肝心なところで固まってしまうかもしれないし、最悪の場合は貴女自身も命を落としてしまうかもしれませんよ?」

 

「そんなこと!!!」

「あら、私は本当の事を言ったまでですよ?」

 

 ソゲンの悪いことばっかりを言われて悔しい気分だった。でも彼女はそこまで精霊の騎士に執着しているしているんだろう?

 

「なんで貴方はそこまでソゲンくんに……」

「彼に私の中の精霊の騎士のイメージ崩されたからですわ」

「精霊の騎士のイメージ??」

 

 ネレイス突然は立ち上がり本棚に向かうと一冊の絵本を取り出し、セレステの前に置いた。

 

 タイトルは「せいれいのきし バルバロ」セレステがこれは?と言いながらページを開くとそこには数百年前に活躍した精霊の騎士バルバロの魔王を討伐し皇帝となるまでの波乱万丈な人生が描かれていた。

 

「私が小さい頃によく読んでいた絵本ですわ、幼い頃の私は精霊の騎士に憧れていたんですわ。いつか精霊の騎士が現れた時に私も一緒に戦えたらって、その夢を思うと私は苦手なダンスも頑張れた本当に現れた時に他の娘よりも輝けたら精霊の騎士は気づいてくれると、けど現れたのは銃を突きつけられただけで固まってしまうへっぽこ男、あの男のせいで私の幼い頃の夢を汚されて……」

 

 違う……違うよネレイス。

 

 ソゲンは確かにヘタレかもしれない、でもそれ以上に彼には人間的な魅力があるんだ。彼が困難な状況に直面しても、必ず立ち向かっていく勇気を持っている。

 

 だから、私は彼を守るために彼の側にいたいと決めたのだ。

 

 けど、彼女にどうやって伝えれば……でももしかすると私が間違っているかもしれない……わからない、わからない、わからない……。

 

 セレステが悩んでいるとドアが急に開きネレイス様!と先ほど門に立っていた兵士が入ってくる。

 

「どうしたんですの?そんな慌てて……」

「宝物庫がマーマン族に襲撃されています!」

「な、なんですって!?」

 

 ネレイスが立ち上がると外へと走り出す。

 

 それに気づいたセレステが1テンポ遅れて部屋を出るとソゲンも襲撃を知ったのか鉢合わせとなった。

 

「セレステ!聞いたか?急ごう!」

「う、うん!」

 

 まださっきまでのことを走っていても悩んでいた。

 

 でも今はそんなことは忘れないと、頭を切り替える。

 

 

 

 

 宝物庫までの距離はそこまで遠くなかったが、僕らがつくとマーマン族と宝物庫の門番で交戦中だった。

 

 僕らが到着したのを見た一人の兵士がボロボロの状態で助けてくれーと弱い声ではこちらに走って来る。

 

「すいません、敵が多すぎて守り切れませんでし……た」

 

 カクンと意識を失った兵士を僕はおい!といって起こすが意識は戻らなかった僕は拳を握りしめ、ドライバーを装着する。

 

「セレステ、いくぞ」

「う、うん」

「変身!」

 

≪ignis!metamorphosis! ≫

 

 セレステが赤いオーラとなり、鎧となって装着され、ディーパ イグニスフォームへと変身する。

 

 それを見たネレイスは息を吸い込み集中すると手を天に掲げる。

 

「煌天翔鳴!」

 

 天から青い光がネレイスを包み込むとあっという間に着ていた服が最初に出会った時の舞姫のような青いドレスへと早変わりしたのだ。

 

「精霊ってあんな風に変身するのか」

 

 僕がネレイスの早変わりに唖然としていると彼女は武器の銃を取り出し宝物庫の中に走り出す。

 

「ぼーっとしてないで早く行きますわよ」

「わ、わかってる!、イグニスブレード!」

 

 僕も即座に武器を取り出すとネレイスの後ろを追いかける。

 

 すると僕らに気づいたのか、マーマン族も宝物庫からトライデントを持って僕らに襲い掛かり、ガキーン!と武器がぶつかり合う音が辺りに響いた。

 

「お前たちの目的はなんだ」

 

 僕は襲い掛かるマーマン達に問うが答えようとはしなかった。

 

 答える気がないと確認しマーマンを次々と切り裂いていく。

 

「答えるわけがないでしょ!!」

 

 ネレイスも襲い掛かるマーマンを華麗に避けながら水の弾を正確に当てていく。

 

 僕に突っ込む余裕もあるようだ。周りにいたマーマンを一掃すると銃口に息を吹きかけ、ふーと息をつき宝物庫に足を踏み入れようとした時だった。

 

 シュンと風を切る音が聞こえると足元にトライデントが刺さる。

 

「ふー当たらなかったかー」

「くっ……わざと当てなかったんでしょ?!」

 

 宝物庫の中から現れたのは現れたのは噴水広場でネレイスに襲い掛かったマーマンのリーダーだった。

 

 宝物庫の中から飛び出すと地面に突き刺さったトライデントを抜き襲い掛かるが、ネレイスは華麗なジャンプで避ける。

 

「くそ!!ちょこまかと!!」

 

 華麗に避け続けるネレイスに何度も襲い掛かり続ける姿を見た僕は間に入りトライデントを刀で受け止めた。

 

「ネレイス!こいつは僕が引き受けるお前は中のやつらを頼む!」

「言われなくても!」

 

 ネレイスは宝物庫の中に急いで入る。その姿を見届けた僕はリーダーと対峙する。

 

「よう、あの時はよくもやってくれたなぁ?腹の傷がうずくぜ」

「今度こそお前を倒す!」

「それはこっちのセリフだ!!と言いたいとこだが、今日はお前に構ってる暇はないんだよ仮面野郎!」

「そういうわけにはいかない!!」

 

 刀とトライデントがガキーン!とぶつかりあった。力は互角といったところか。

 

 だけどなぜかさっきより体が重い……?

 

「おらどうしたぁ?その程度かあ?!」

「ぐわぁ!」

 

 先ほどイグニスブレードで受け止められたはずの攻撃をまともに受けてしまう。

 

 なぜだ?体が思うように動かない?

 

(ソゲン君大丈夫!?)

 

 セレステの声も遠く聞こえる?なんだこれは?何が起きている?

 

≪ignis disconnection≫

 

「は……?」

 

 ドライバーが唐突に今までに聞いたことがない音声を発するとディーパからセレステが切り離されてしまい、エンプティフォームに戻されてしまう。

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