仮面ライダーディーパ(新約)   作:瓜生史郎

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1話

目を開けると僕は草原と思しき場所に、一人立っていた。

 

 辺りを見回すと青々と茂る草花が風に優しく揺られており、ウサギのような小動物が元気よく走り回っている。

 

 本当に別の世界なのか疑いたくなるような光景だった。

 

 精霊と呼ばれる者を探す、それが今僕に与えられているミッションだ。

 

 だけどお金もない、荷物もない、服も現実世界の時のまま、あるのはエクスシアから託されたドライバーだけ。

 

 そんな状態に僕は茫然としていたのだった。

 

 とりあえず……こんなにとこに立っていてもどうにもならない。

 

 村か町を探すしかないのか。

 

 僕は町や村を探すために歩き出した。

 

 

 ―――それから約3時間後。

 

 

「どこだここ」

 

 1時間近く同じ景色をさまよっていた。

 

 スマホのマップアプリでもあればどうにかなるかもしれないが。異世界にはそんなものはない。

 

 息も荒くなってきてフラフラだし、喉も渇いた。

 

 現実世界では、営業で良く走り回っていて、体力には自信があるはずなのに……なぜ?

 

 限界を迎えた僕はその場に力なく倒れた。

 

 このままでは、正義のヒーローで名をはせるはずだったのに、草原を歩き続けてくたばった人になってしまう。

 

 もう一度気合を入れて、起き上がろうとした時だった。

 

「大丈夫ですか?よかったらお水飲みますか?」

 

 

 優しい声と共に。赤い髪の毛の少女の顔が、突然僕の顔を覗き込んだ。

 

 手には水が入ってるであろうボトルを持っていた。

 

 

「水!!」

 

 疲労困憊で正常な判断ができなかった僕は少女からボトルをかっさらい、勢いよく、がぶがぶと水を飲んだ。

 

「ぷはぁ!!ありがとう」

「よっぽど喉が渇いていたんですね」

 

 少女はクスっと笑った。

 

 意識が朦朧としていてあまり気にしていなかったが、少女の姿をよく見ると燃え盛るような赤い長い髪で目はルビーのように美しい赤い瞳。

 

 そして、白いエプロンをつけた緑のワンピース、その姿は如何にも、村娘を思わせるような愛らしい少女だった。

 

「見慣れない服装ですけど、どこから来たんですか?」

 

 赤い髪の少女は僕の着ているスーツを珍しそうにまじまじと見つめた。

 

 僕は日本って言おうとしたが、さすがにこの世界では通じないだろうと思い、知恵を振り絞る。

 

「遠い国から旅をしてるんだ。でも、今日、泊まる村を探してて、道に迷ってしまって」

 

「そうだったんですね……。よかったら私の住んでる村まで案内しましょうか?」

「本当か?じゃあお願いしようかな」

「わかりました!あ、私はセレステって言います」

「僕は、須藤ソゲンって言うんだ」

「すどう……?」

 

 セレステは首を傾げる。

 

 そうか、この世界では苗字と言う概念がないのか。

 

「えっと、まあ称号みたいなやつだよ」

「へぇ!なんかすごいですね!」

 

 目をキラキラとさせながら、セレステは憧れの眼差しを向ける。

 

 まぁ、そんな称号この世界にあるはずないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女の住んでる村へ行くまでの間僕とセレステは意気投合していた。

 

 女性と話すの苦手だったが、これも異世界の特権かそこまで苦ではない。

 

 何を話しても、うんうんや、そうなんだと1つ、1つに相槌を打ってくれる愛らしい姿に、僕は感動する。

 

「見えてきましたよ、あれが私の住んでる村イニシオ村です!」

 

 セレステが指を指すと、そこには小さな集落があった。

 

 いくつもの大きな田畑が広がり老父や老婆が作業をしている風景はまるで、元の世界の田舎に来たようだ。

 

「おーセレステちゃんおかえり!いい山菜は採れたかい?」

「おばあさんただいまです!今日はいいものが採れました!」

 

 セレステはかごに入っていた山菜を取り出し、田畑から集まってきた老婆達に見せると、口々に老婆は、これはこう使うんだよやこれはいいものだよと言う。

 

 健気に合図地を打つ姿を、僕はとても可愛いなと思いながら見ていた。

 

 数分後、老婆方との会話が終わり、また歩き始めると、セレステは一軒の少し古いレンガ作りの二階建ての家の前に止まる。

 

「ここが私の家だよ、少し狭いけど入って」

 

 木の扉を開けセレステが中に入り、僕もそれに続いて家の中に入ると木でできた机と椅子、そして奥には台所であろう入口に長いのれんのようなものがかけらており、さらには中世の時代の本でよく見た暖炉もあった。

 

 家の中を珍しそうに見つめていると椅子に座っていた、白髪の老婆がこちらに歩み寄る。

 

「おかえりセレステ、おや?この若い男性は?見慣れない服装をしているねー」

「ただいま、おばあちゃんさっき山菜採りの帰りに草原で倒れてたのを助けたの」

「あ……あの……ソゲンって言います。旅をしていますよろしくお願いします」

 

 まじまじと見つめてくるおばあさんに緊張しながら僕は声を震わせながら自己紹介をした。

 

「おばあちゃん今日は泊めてあげてもいいかな?多分悪い人じゃないと思うし……」

「好きにしな」

 

 おばあさんは無愛想にそう言うと、元居た椅子に腰掛けた。

 

「ごめんねおばあさん無愛想だけど中身はいい人だから。とりあえずお部屋へ案内するね」

「だ、大丈夫だよ」

 

 階段を上って、案内されたのは二階の屋根裏部屋だった。

 

「少し狭いけどこのお部屋を使って」

「ありがとう」

 

 部屋の中はベッドと一階にあったものと同じようではあるが少し小さい机と椅子そして机の上にはロウソクが一本立てられており、その隣にはちゃんと整えられたベッドもあるし、一人で過ごすには十分すぎるスペースだ。

 

 そしてセレステは、机の上へ置いてあるロウソクに、指をかざし、火を灯す。

 

「セレステさん、魔法が使えるのか?」

「うん、炎の魔法しか使えないけどね。あとセレステでいいよ、さんづけはなんかくすぐったいよ」

「わかった、セレステ」

「じゃあご飯作るから自由にくつろいで待っててね」

 

 セレステは小走りで部屋から出ようとした時だった。突如として外から村人の悲鳴が響いた。

 

「な……なんだ?」

 

 窓から集落の様子をみると、そこに大量の魔物の群れがあった。

 

 ゴブリンや、オーク……。どれも、RPGのゲームで見たことがあるものばかりだ。

 

「魔物……!」

 

 セレステは形相を変えて部屋から飛び出そうとしたので、僕も一緒にと部屋から出ようとすると彼女は待ってといい、僕を引き留める。

 

「ソゲンくんはここにいて、危ないから!」

「セレステ一人じゃ!」

「大丈夫いつものことだから……」

 

 セレステは勢いよく家を出ると助けに来た彼女を見て安心したのか村人達は周りに集まる。

 

「せ……セレステちゃん!!また魔物が!!」

「みんな、下がってて」

 

 村人たちが避難したのを確認すると、手をマグマのように赤く変色させ手から溶岩のような火球を、次々と襲い掛かる魔物を華麗に避けながら、ぶつけ続けていた。

 

 火球を受けた魔竜兵はぐおおおおと叫び声をあげながら次々とその場で爆散する。

 

「すげぇ……」

 

 その様子を二階の窓から静かに見つめていたが、それと同時にこの戦闘に参加できない事へもどかしさを感じていた。

 

 精霊と契約していれば……。

 

「おーーセレステさんすげーー」

 

 村人の拍手での音で僕は我に返り、窓の外を見るとすでに魔竜兵は消滅した後で、村人共に拍手する。

 

「すごぉい。1人でけしらしちゃったー」

 

 どこからともなく少女の声があたりに響く。

 

「誰!?」

 

 セレステがそう叫ぶと、突然目の前に黒い靄のようなものが現れ、それと共に妖艶な雰囲気の少女が出現する。

 

 黒い長い髪の毛、目も黒くそしてゴスロリのような服装をしていた。

 

「やっと見つけた……火の精霊を……」

 

 火の精霊だと!?

 

 たしかに赤い髪の毛で如何にもって感じ見た目で、炎を操れるというところでは精霊言われれば納得する。

 

「精霊?」「精霊ってなんだ?」村人たちはそう口々に言いあいながらセレステとゴスロリの少女を交互に見ている。

 

「私は闇の精霊 フォンセ 貴方を探していたよ」

「闇の精霊……」

 

 あんなまだ小学生くらいの見た目の娘が精霊?

 

「私を……?ちょっと待って精霊?なにそれ……私全然知らない!!」

 

 セレステはフォンセから言われた言葉が理解できていない様子だった。

 

 そんな彼女を見てフォンセははぁと一息ため息をつく。

 

「知らないの?貴方は炎の精霊。その証拠にさっき炎の玉で敵を倒していたでしょ?それは霊術といって精霊しか使えないものなの」

「霊術……?これはじゃあ魔法じゃないの……?」

「そうよだから私と一緒に来てよ、ほかの精霊も貴方を待っているわ」

 

 フォンセはニコっと笑うと、おいでというように手を伸ばした。

 

「なんかよくわからないけど、なんか貴方の言うことを聞くとダメだってことはわかる」

「どうして?」

「貴方が怪しいから!」

 

 セレステはそう叫び、手のひらから炎球をフォンセに向かって放つと、どーんと言うけたたましい音とともに周りが白い煙に包まれる。

 

「あーあー……いきなり攻撃してくるなんて……ほんとサイテーーー!!!!!!」

 

 白い煙が晴れるとさっきまで優しい少女のような顔をしていたフォンセではなく、おどおどしい怒りに満ちた顔へと変貌していた。

 

「な、なに……!?」

 

 初めてみるおどおどしい顔を見てセレステは恐怖する。

 

「おとなしくついてくればこんなことにはならなかったのにね!!!」

「きゃああああ!!」

 

 いきなり放たれた衝撃波にセレステは吹き飛ばされてしまう。

 

「おい……なんだよあの娘……」

「あの娘はなんなんじゃ……」

 

 村人たちは、恐怖におびえていた。

 

 どうなってんだ?

 

 精霊同士が戦っている?

 

 何がどうなっているんだ?

 

「なんで私がこんな目に……」

「セレステって……いったけ?まだ自覚してないの?自分が精霊だって……いい加減自覚しちゃいなよ」

 

 フォンセは黒い悪魔のような腕を地面から生やし、倒れているセレステを掴み無理やり立ち上がらせる。

 

 

「痛い……痛い……」

 

 今にも泣きそうな顔で、セレステはもがき苦しむ。

 

 まずい!セレステを助けにいかなくては……!!

 

「あははは……!!さっきまでの威勢はどうしたのー!?」

 

 おぞましく笑うフォンセの前に、僕は立ちふさがる。

 

「おい!!いい加減にしろ!」

「貴方はだーれ?」

 

 内心は恐怖でどうにかなりそうではある。

 

 でも今はそんなもの関係ない、今はセレステを助けなくては!

 

「僕はソゲン、正義のヒーローだ。精霊が何だか知らないけど……弱いものいじめをするのはやめろ!」

「ソ、ソゲンくん?」

「とりあえず……正義の味方かなんか知らないけど邪魔しないでくれる?」

 

 もう1つの黒い悪魔のような腕が生えてきて、僕を薙ぎ払う。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

 先ほどのセレステと同じように、吹き飛ばされてしまった。

 

「ソゲン君……逃げて……」

 

 か細い声でセレステは、逃げるように促すが、ここでおめおめと引き下がるわけにはいかない。

 

 だがどうする、今の俺は無力だ……。どうすれば、セレステを助ける事が出来るんだ……?

 

 そう葛藤していた時だった。

 

 僕のポケットから、まばゆい光を放ちながら、エクスシアから託された、エレフェントドライバーが飛び出してくる。

 

「ド、ドライバー……?」

「あ、あれは……!!」

「な、何あれ……」

 

 眩い光を放つドライバーは、大きな羽を生やして、僕を包み込むと、何もない白い空間に閉じ込められてしまう。

 

「な、な……なんだこれ……?」

 

 眩い光を放つドライバーは僕の腰に白い帯を形成し装着され、周りには白銀の粒子がちりばめられた。

 

 その粒子は僕の体を覆い、白銀のスーツとなり、その上に銀色のアーマーを装着される。

 

 頭部にも顔全体を覆うマスクのようなものが形成された。

 

「え……嘘だろ……まさか俺……変身した……?」

 

 僕は突然の出来事に困惑していた。

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