仮面ライダーディーパ(新約)   作:瓜生史郎

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3話

僕はセレステの後を追って村に向かって一目散に走っていた。

 

 ようやくセレステの姿を捉えると大声でセレステに呼び掛ける。

 

「セレステ!お前はは一人で抱え込みすぎだ!だから……僕にも手伝わせてくれ!」

 やはり何も返してくれなかった。

 

 セレステの体に触れられる距離に詰められたので、彼女の肩を掴もうと手を伸ばすと、熱気だろうか?

 

 触ることができないほど熱い何かが手に伝わってくる。

 

 燃え盛る灼熱の炎のような熱さだ。

 

 直接触れていればやけどでは済まされなかったであろう。

 

 なぜセレステの体がこんなに熱く?

 

 そんな事を考えていると、いつの間にか、村に到着していた。

 

 やはり、フォンセの言う通り大勢の魔物によって襲われている。

 

 数十、いや数百はいるであろう。

 

 至る所から火の手があがり村人達は襲ってくる魔竜兵に斧や桑で応戦しているが、女性や子供は抵抗もできず逃げ惑う光景は、凝視できない痛ましい惨状であった。

 

 なんだよ、これは、まさかフォンセ……?いや、今は、そんなこと考えてる暇はない!!

 

 自分の手は震えていた。

 

 本当に村やセレステを救えるのか?救うどころか自分は死んでしまうかもしれない……そんなことを考えると手の震えが止まらなかったのだ。

 

 だけど今この状況打破できるの自分しかいない!!!

 

 僕はドライバーを装着する。

 

「変身……」

 

『metamorphosis‼』

 

 ドライバーから少女の声が聞こえる、同じように粒子が周りに飛び交い、正義のヒーローディーパへと再び変身した。

 

 

 まずはどこにセレステがいるのかを見つけないと、おそらく先に到着している彼女を見つけるためにあたりを見渡す。

 

 いた!遠くで赤く燃えるように輝くセレステの姿をみつける。

 

 その様子は村を襲う魔物たちにに対する、怒り、憎悪、恨みまでも感じて、近づくこともためらってしまいそうな様子だった。

 

 だけど……僕の彼女の元へと走り出そうとすると若い村人が旅人さん!と呼び止める。

 

「この剣使ってくれ!」

「ありがとう」

 

 少し古びた鉄でできた剣を僕は受け取った。

 

 それを見た僕はと受け取ると、若い村人がセレステを指さす。

 

「セレステさん、何かおかしいんだよ。変に赤く光ってるし大丈夫だよな?」

「あぁ、大丈夫だ!僕に任せろ!」

 

 僕意気揚々とサムズアップをした。

 

 だが内心はどうしよう、どうしようと不安な気持ちでいっぱいである、こうでもしないと自分にできると自信がわかなかったのだ、僕は意を決して魔物達へ斬りかかった。

 

 

 赤く輝いたセレステはいつもよりも強力な火球を襲い来る魔竜兵に次々と投げつけて、魔竜兵は次々と燃え盛って塵となっている。

 

 くそ!!数が多すぎる。

 

 なかなかセレステの近くにたどり着けない……負けじと魔竜兵を村人からもらった剣で切り裂いていたが、弱い敵でも数で応戦されては……僕は一心不乱に剣で魔竜兵を切り裂き続ける。

 

「旅人さん!セレステのおばあさんが!!」

 

 その声の方を向くと逃げ遅れて、魔物に囲まれたセレステのおばあさんが見えた。

 

「まずい……」

 

 僕はおばあさんの元へと走り出す。

 

 その声はセレステにも届いており、セレステはおばあさんのいる方に目を向ける。

 

「私のおばあちゃんに近づかないでええええ!!」

 

 まるで子供のような叫び声をあげると、マグマのように赤く燃え盛る火球を手に宿し勢いよく僕とおばあさんや村人の周りにいる魔物達に投げつける。

 

「セレステ?!」

 

 僕はその叫び声に驚き振り返ったが遅かったセレステの手から放たれた燃え盛る火球はおばあさんを囲んでいた魔物達にぶつかり大きな爆風を起こした。

 

「うわあああああ!!」

 

 周りにいた僕と村人とおばあさんは爆風に巻き込まれ吹き飛ばされる。。

 

 煙が晴れて魔物達は塵となって消えていたが、周りの民家には火の手があがり地面にも火球が当たったであろう場所に大きな穴が開いている。

 

「あ、あぁでもおばあさんが」

 

 若い村人がおばあさんを指差すと倒れて動かなくなっていた。

 

 僕が声をかけるが全く応答がない……。

 

 まさか……?

 

 その状況を見て唖然としている人物がもう一人いた。

 

「お、おばあさんが……私が……おばあさんを……嘘だ!嘘だ!私はおばあさんを守ったはずなのに!そんな……」

 

 僕は唖然としているセレステに声をかけようと叫んだ。

 

「セレステ!もう少し力加減を!」

 

 だが、その時だった。

 

 セレステの体から突然赤い閃光が放たれ、辺りに赤い眩い閃光と熱気に包まれた。セレステは発狂にも思えるような叫び声をあげ宙を舞う。

 

 体が炎に包まれ衣服が赤い服炎に包まれ巫女服のような衣装へと変貌し綺麗な赤い髪の毛も赤とオレンジが混ざった燃え盛っているような色に変色、額にはベルトに刻まれた紋章と同じ紋章が刻まれ、さらに腰には刀を現れる。

 

「セレステ…??」

 

 僕と村人は村娘の時とは全く違う雰囲気になったセレステを茫然とただ眺めているだけだった。

 そしてセレステは狂気に満ちた顔を僕に向けると不敵に笑みを浮かべる。

 

「はははあははははは!!!!そうだおばあちゃんがいなくなった村なんて……もう全部燃やしちゃえばいいんだ……」

 

「な、何言ってるんだ!まだおばあさんが死んだわけじゃ…」

 

「黙れぇ!!!!!」

 

 セレステは腰に携えていた刀を抜刀し僕におそいかかってきた。

 

「あぶねぇ!!」

 

 間一髪剣で刀を受け止めることに成功をするが刀をもっていたもう片一方の手のひらから火炎放射のような攻撃を繰り出す。

 

「ちょ!あっち!あっち!!」

「もういいんだ……みんななくなっちゃえば……」

 

 おばあさんを傷つけてしまったショックで、おかしくなってしまったのか?

 

 もしそうなら早く止めないとセレステが村を全滅させてしまう!!

 

「あーあー遂に覚醒しちゃったね~」

 

 突然聞いたことがある妖艶のある少女の声がする。

 

 声のした方を向くとフォンセが屋根の上から見下ろしていた。

 

「お前のせいだろうが!!」

「ひっど別に私は何もしてないのになー、せっかくいいこと教えてあげようと思って来たのに」

 

 フォンセは地面から小さな黒い腕を僕に向かって伸すと、ベルトの帯くっついていた四角いケースをつかみ取り、僕の目の前に投げつける。

 

「これ、もしかしたら役に立つんじゃなーい?」

 

 僕の目の前に投げられたケースは地面に転がると蓋が開き4枚のトランプのようなカードがあたりに散乱した。

 

 そのカードを拾い上げ1枚、1枚確認すると白黒だったが美術館に飾られている絵画のようなイラストが描かれておりその中央に見たことのない少女が描かれていた。

 

 1枚、1枚確認しているうちに僕はあることに気づいた。

 

「なんで、このカードにセレステが描かれるんだ?」

 

 紅蓮の炎が舞うイラストに、刀を構えたセレステと瓜二つの少女が描かれているのだ。

 

「気づいた?」

 

 フォンセは子供のように笑うと、さらに続けた。

 

「いま彼女はー暴走中っていうかー精霊の力を制御しきれていない状態なんだよねー」

「そんなことはわかってる!どうやったら正気に戻せるんだ!」

 

 僕はフォンセを問い詰めていると、どしーん!という地ならしのような音が驚いた。

 

「ぐおおおおおおお」

 

 そこに現れたのは、ゆうに2m、いや3mの大きさがあるミノタウロスだ。

 

 体には鎧を付けており、頭には大きな兜を付けている。

 

 村人たちはそれを見るやいなや腰を抜かすものもいれば一斉に逃げだす者がいて村中大パニックに陥ってしまう。

 

「嘘だろ……」

 

 僕は内心逃げ出した気持ちでいっぱいだった。足は震えカードを持っていた手も震えていた。突然のボスの登場に僕は恐怖で震えが止まらない状態だ。

 

「大将だか何だか知らないけど、邪魔しないでくれるかな!!!」

 

 大将の姿を見たセレステはミノタウロスに刀で切りかかっていったが、大将も1mを超えるような大きな斧を振り回し、セレステを弾き飛ばす。

 

「しつこいなぁ…!」

 

 セレステも負けじと手から燃え盛る火球を大将にぶつけ続けた。

 

 僕はその様子を見ていたがなかなか踏み出せずにいた。恐怖で震えが止まらなかったのだ。

 

 剣を握る力もない。

 

「なんだよ……俺……正義のヒーローになるんじゃなかったのかよ……」

「ほら!ほら!ファイト!ファイト!がんばれー!ディーパー!!」

 

 フォンセが後ろで陽気にエールを送っているようだったが僕にはその声も届いていなかった。

 ただでっかいドラゴンを目の前にしただけで恐怖で動けなくなってしまう自分が情けなかった。

 

 そして僕は持っていた剣を地面に放り投げ天に向かって絶叫をする。

 

「くそぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 何もできず悔しさに暮れている時、その状況を打破できる、出来事が起こる。

 

「セ……セレステ……」

 

 後ろから力ない老婆の声がかすかに聞こえたのだ。

 

 後ろを振り返るとセレステのおばあさんが顔を上げ手をセレステの方へ伸ばしていたのだ。

 

「おばあさん!大丈夫か!?ここは危ない!逃げよう」

 

 僕はおばあさんを抱きかかえると間髪入れずセレステに向かって叫んだ。

 

「セレステ!!!!!お前のおばあさん生きてるぞぉ!!!!!」

「え……?」

 

 セレステはそれを聞きこちらを振り返るとその瞬間セレステの狂気じみた顔はいつもの村娘の優しいセレステの表情へと変わり周りを覆っていた赤いオーラも消え去った。

 

 それを見たミノタウロスは好機と見たのか刀でセレステを吹き飛ばした。

 

「きゃあ!!」

 

 急いでおばあさんを近くにいた若い村人へ引き渡し、倒れたセレステのもとへ走った。

 

「おい大丈夫か!?セレステ!?」

「ソゲン君……私……」

「今は気にするな!あのでかいやつを二人で倒すぞ!」

 

 投げつけた剣を拾って構えるが、剣先ががくがくと震えていた。

 

 やっぱり、震えが止まらないな……情けない、女の子が隣にいるのに……僕は……。

 

「大丈夫だから、私もよくわかんないけど頑張るから」

 

 震える僕の手の上に優しくセレステは自分の手を被せる、とてもやさしい温もりで、勇気がわく。

 

 これならいける!!

 

 僕は意を決して突撃しようとしたその時だ、ケースから一枚のカードが僕の前に飛び出した。

 

 それはセレステと瓜二つの少女のイラストが描かれたカードだ。

 

 刹那、ドライバーがパカっと開き、それに反応したカードが、ドライバーの中へと装填される。

 

≪ignis! stand-by!≫

 

 症状がそう発すると、まるで和風ロックの、音楽が流れ、ドライバーが自動的に閉まった。

 

≪Ignis!metamorphosis!≫

 

 セレステの姿消えベルトが少女の声でそう発すると赤い甲冑を思わせるような赤く燃え滾るパーツが胸に、腕と足に装着され、そして複眼には赤い鳥が被さり、複眼は燃えるように赤くなる。

 

 それはまさに赤い鎧武者のような姿になっていた。

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