「な、なんだこれ……??」
(ソゲン君?私どうなってるの?)
突然脳内セレステの声が響き渡る。
周りを見渡すがセレステの姿は見えない。
「セレステ、お前何処から話しかけて……」
(た、多分なんだけど私とソゲン君と完全に一体化してるっぽい)
「え!?まじかよ!だから……赤くなったのか……」
「ソゲン君、ミノタウロスが!」
ミノタウロスは待ちくたびれたのか斧を構えて襲い掛かってくる。
「ちょ、マジかよ!?どうすれば……」
(落ち着いて!!まずはイグニスブレードって言えば私の刀が使えるはず)
「わかった!」
なんでそんなことわかるんだよと突っ込はさておき、僕はイグニスブレードと発すると、僕の手に先ほどセレステが使っていた刀が召喚された。
「本当に出てきた……」
「ぐおおおお!!!」
僕はすかさずさやから刀を抜き襲い来るミノタウロスの斧を避け、ミノタウロスのすれ違いざまに刀を大将の懐に切りつける。
大将の懐はやけどのような傷跡ができそこから血がしたたり落ち、ぐわああああと叫び声をあげ、膝から崩れ落ちた。
「隙あり!!」
大将が苦しんでいる後ろからさらに刀で2太刀3太刀と追い打ちをかけさらに炎をまとった足で背中から蹴り飛ばす。
(ソゲンくん!今だよ!バックルのカバーを開けてもう一度閉めると必殺技が放てる!)
「おっけー!」
セレステの言う通りバックルのカバーをもう一度開け、そしてもう一度閉める。
≪gnis! final attack!≫
「はぁぁぁ!!」
天高く飛び上がるとミノタウロスに向かって紅蓮のマグマのようなエネルギーをまとった片足を向けキックする。
そしてその炎は体中を包み込み火の鳥のような形となり突っ込む。
「おらあああああ!!!」
火の鳥は、ミノタウロスの体を突き抜け、炎に包まれ悲痛な雄たけびを上げるとその場で爆発した。
爆散する、無残なミノタウロスの姿を見た魔物達は慌てふためき村を足早に去っていったのだった。
「はぁ……はぁ……やった…!!」
(救えたんだね、私たち村を!!)
僕はベルトを外し変身を解除すると、セレステが隣に現れ、僕の顔を見る。
「ソゲン君、ありがとう」
満面の笑みを浮かべながら、セレステ呟く。
彼女の表情を見て僕は少しドキっとしてしまうが、僕も感謝の気持ちを込めてどういたしましてと返した。
その時だった。
突然空から光が村に降り注ぐ。
心が浄化されるような光だで僕らの傷をみるみるうちに直していき、さらになんと村の建物も元通りに直っていったのだ。
摩訶不思議な光景を見た村人達は皆口々に「エクスシア様」と言い天に向かって祈りを捧げた。
隣でセレステも「エクスシア様」と村人と同じように祈りを捧げる。
僕もその隣で遅れて手を合わせた。
「エクスシア、僕のやるべきことがわかったよ。残り3人の精霊と契約すればいいってことが……」
その様子を見ていたフォンセは屋根から立ち上がり、妖艶な笑みを浮かべる。
「おめでとう……でも本当の闘いはこれからだよ」
黒い煙のように消え、イニシオ村を後にしたのだった。
「旅人様、村を救って頂きありがとうございました。」
僕とセレステは村の長と呼ばれる老人の家に呼ばれていた。
「いえ、僕一人の力だけじゃどうにもならないことでした、セレステがいないとどうなっていたことか」
僕はセレステの顔をチラっとみると少し顔を赤らめる。
村長の話によると、あのミノタウロスが、魔物大群の親分らしい。
なので、親分のいなくなった魔物達は何もできなくなってしまうので、おそらくもうこの村を襲うことはないだろう、という事だ。
セレステのおばあさんもあの摩訶不思議な現象により何事もなかったようにピンピンしている。
「旅人様、これはささやかなお礼です。少し少ないですが、受け取ってください」
どすんとという音ともに、机の上に小袋が置かれる。
手に取り中を見ると銀貨が大量に入っていた。
本当にもらってもいいのだろうか?
いや、でも今は一文無しだし、貰っておいても良いのか……。
だが、俺一人、貰うのは少し気が引ける。
そう思った僕は、銀貨を袋から一掴み取り出すと、セレステの座っている前に銀貨を置いた。
「わ、私に!?も、もらえないよ!!」
焦りながら銀貨を僕に返そうとするが僕はセレステの返そうとする手を握りしめる。
「いや、セレステがいなければ僕はどうすることもできなかった。セレステの力があってこそだった。だから、セレステにも受け取ってほしい」
そう、あの場面でセレステがいなければ、僕は死んでいたかもしれない。
セレステがいたから、僕は戦えた。
全てはこの火の精霊セレステがいなければなしえなかったことなのだ。
「ソゲン君……」
ゴホンと村長は咳払いをすると、僕は握っていた手を放しもう一度村長の方へと向いた。
「旅人様、これからどうなされるのですか?また旅に出るのですか?」
「そうですね、僕はセレステと同じ、精霊を探す旅に出ます。」
「精霊を探す旅……」
村長はセレステを少し見つめて、ふむと頷き何か閃いたようで、再び僕の方を向く。
「それならセレステを連れていったらどうですかな?」
「え……?」
突然の提案に鳩が豆鉄砲を食ったような表情をする。
「魔物達の親分も倒されましたし、当分は平和な日々が続くでしょう。精霊を探す旅なら、同じ精霊のセレステを連れていた方が、都合がいいと思われますし」
「いいのか?セレステ……?」
彼女は相当悩んでいるようだった。
恐らくおばあさんの事が心配なのであろうか?
「……考えさせてもらっていい?おばあちゃんにも相談しなきゃだし」
セレステが立ち上がろうとすると、セレステのおばあさんがドアを開け入ってくる。
「セレステ、いってきなさい」
彼女は驚いた表情で「で、でも」と言うが、おばあさんは厳しい表情となってセレステの隣に座り真剣な表情で彼女に語りかけた。
「セレステ、もうお前は村や私の事を考えるのをやめなさい……もっと自分の事も大切にしなさい」
僕と考えていることがやはりおばあさんも一緒だった。
つい一緒に僕もうなずいてしまった。それでもまだ戸惑っているセレステにさらにおばあさんは話す。
「イニシオ村にいるとお前は成長できない。世界を見てきなさい。もっといろんな街や都市を……そうすればお前はもっと成長できるはずだから旅人さんと一緒にいきなさい」
「おばあちゃん……」
「大丈夫、私はいつまでもお前のおばあちゃんだよ……また成長した姿をおばあちゃんに見せておくれ」
おばあさんは、そう言ってセレステに微笑むと、優しく抱きしめた。
まるで本当の親子のように。
「ありがとう。おばあちゃん!私、いくよ!世界を見てくる!」
その姿を見たおばあさんはうんうんと頷き肩をポンポンと叩き気合を入れさせた。
セレステの決意に満ちた顔を見て僕も「よしっ」となお一層気合を入れる。
旅立ちの刻が訪れる。
大勢の村人たちが門で見送ってくれた。
まるで祝祭のようだ。
迷わぬようにと、若い女性から古ぼけた地図を手渡される。
そして若い男性には少しばかりの食料を分けてもらえた、村人の心遣いはとても暖かった。
もう少し居座りたいとも思ったが、こんな所で立ち止まっているわけにはいかないのだ。
「お世話になりました」
そう言って深々と例をすると僕とセレステは門を出て歩き出した。
ありがとうーやお達者でーという言葉がずっといつまでも聞こえる。
僕とセレステは二人で振り返り手を振った。
ありがとうイニシオ村。
そう呟いてセレステは村に背を向けた。
「さて、どこへ行くかだな。ここから近いのは冒険者の町アーカニアだが」
「精霊を探すって言っても……どうやって探すの?」
「まぁ、それなんだよな…」
僕とセレステ地図を見ながらどうするか考えていると「おーい」と言う声が聞こえ、振り向くと闇の精霊が襲ってきたとき、一緒に村の復旧をした若い男性が走ってきた。
「あの?なんかあったのか?」
僕は村人にそう聞くと村人は首を振りはぁはぁと荒くなった息を整える。
「いや、俺あんたの持ってるバックルの紋章見たことあるって言ってただろ?」
あぁ、そういえばそんなことと僕は思い出した。
「思い出したんだよ!その紋章を持ってる娘をさ!」
「ほ、本当か!?」
歓喜している僕から地図を取り、広げるとここと指を指す。
「この水の町セイレンってとこだ。俺はたまに仕事で船に乗るときここへ行くんだが、この間行ったとき青い髪の娘が町で踊ってたのを見たんだよ。呪文唱えてないのに水の魔法器用に使って踊ってたから、印象に残ってたんだ。たしか紋章はセレステさんと同じとこにあったはずだ!」
「てことは、精霊になったまま、踊ってたってことなのかな?」
男は多分そうと、首を縦に振る。
「まぁ、3週間も前の話だしもういなくなってるかもしれんけどな」
「でも有力な情報ありがとうございます!行ってみます。」
セレステと僕は男の人に深々と礼をする。
じゃあがんばれよ!といって若い男は村には帰っていった。
その姿を見送ったあと僕は、また歩き出す。
「行くか!水の町セイレンに!」
こうして僕とセレステの二人の旅は始まる。
残り3人の精霊を探すために。