また夢を見ていた。
「ねぇ、須藤さん、また怒られてたよね」
「いっつも怒られてるよねー」
同じ会社の女性社員らが、僕の噂をしている。
「悪い人じゃないんだけど、なんか、頼りがいがないっていうかー」
「そうそう、役立たずって奴?」
「受けるー」
まるであざ笑うかのように、女性社員らは笑う。
やめてくれ……、僕は、役立たずなんかじゃ!!!
「はぁはぁ……」
夢から逃げるように、僕は起き上がると、目の前に心配そうに見つめるセレステの顔があった。
「なんか、すごく苦しんでたけど、大丈夫……?」
寝顔に、苦しんでいる顔が出ていたらしい。
「うん、大丈夫」
こんなみっともない理由を言いたくない僕は、セレステを安心させるために笑顔で何事もないように対応する。
すると、そう言った瞬間、僕はセレステに吸い寄せられるように抱きしめられた。
「大丈夫だからね。私は何があっても、ソゲンくんの味方だから」
その言葉、天使のささやきのようである。
先ほどまでの夢がどうでもよくなるくらいであった。
「あ、あれ?私何してるんだろ……??ごめんね、ソゲン君」
急に恥ずかしくなったのか、セレステは、僕を放す。
「あ、ああ気にするな……」
「朝ごはん、出来てるから食べてね」
「ありがとう」
用意されていたのは、スープとパンだった。
パンを食べながら、4枚のカードを見つめる。
セレステとの契約は完全に流れだった。
あの時闇の精霊フォンセがベルトについているカードケースを僕の目の前に投げなければ全く何も分からなかったし、もしかしたら僕も死んでいたかもしれない。
まだ白黒になっている3枚のカードを見つめながら頭の中で考えていた。
「あーーわかんねぇ!考えたってしょーがねー!」
謎は深まるばかりだが今はセイレンに行ってバックルに刻まれている紋章と同じ紋章を持つ少女に会うのが先だと自分に言い聞かせケースへしまう。
「どうしたの?」
その様子をみたセレステが隣に座る。
「ちょっと考え事」
「青い髪の女の子の事?」
「まぁそれもそうだけど、精霊との契約の条件とか」
「契約の条件?」
セレステは首を傾げた。
それもそうだセレステは契約とかその辺の事全くちんぷんかんぷんなのである。
「まぁ、なんかえっと、セレステ以外の精霊とこの前みたいになるには、どうすればいいかなーって話だよ」
僕は頑張ってわかりやすいよう、簡単に説明をすると、セレステは「あれかー」と言いながら納得した様子だった。
「あれ……私もよくわからないままなんだよねー、なんか武器はこうすれば出せるとか必殺技はこう!とか、そんなのは一心同体になったとき、なぜ頭にやり方が浮かんできて……」
セレステは腕を組みながら考えていたが、パンクしたのかぷしゅーと頭から湯気を出す。
「あーー!!もう考えるのやめやめーー!!」
僕はあれ?デジャブ?と笑いながら見ていた。
「ソゲン君、スープのおかわりいる?」
「お、おう……」
「はーい」
あまり気にしていなかったが村娘の時に来ていた服装からお出かけ用である可愛らしいフリルが付いた服になっていてスカートもミニとなっている。
めっちゃいい足してるんだな、セレステ……。
いやいや!!何を見ているんだと正気に戻った。
いくら異世界とはいえ、まじまじと女の子の足を見ていちゃだめだ。
僕は目を逸らして、パンをかじりながら、遠くの山を見つめる。
「はい、ソゲン君」
「ありがとう!」
スープを受け取って、飲もうとした時だった。
「うわあああああああ!助けてくれぇ!!」
突然若い男の悲鳴が遠い場所から聞こえる。
それを聞いた僕とセレステは辺りを見渡した。
「今、あっちの方から悲鳴が……」
僕たちは、顔を見合わせながら、悲鳴が聞こえた場所へと急いだ。
「ひ……たすけて……」
おそらく僕と同じような年齢の金髪で銀色の重厚な鎧を身に着けた男性が数十匹のオークに囲まれていて、怯える男に1匹のオークが剣を男に向ける。
「おい、よくも俺たちの仲間もやってくれたなぁ」
「こいつどうしちゃいますかねー」
「いやー普通に刺して殺しちゃいましょうよ」
「食っちまいましょうよ」
「うるせー!!お前らは黙ってろ!」
何人かのオークが賑やかに話してる間に僕とセレステはオークに襲われている男を発見する。
「あ!あれだ!」
「ソゲン君、変身してあの男の人を助けて!私はオークをなんとかする!」
「わかった!」
≪empty Transform≫
僕はドライバーを装着し、ディーバ エンプティフォームへと変身する。
「はぁぁぁ…!!」
セレステは手に火のエネルギー収束させオークに火球を投げつけると、1匹のオークに見事命中しぎゃああーすと情けない声を上げ爆散する。
「な、なんだ今の?」
オークと男は突然の出来事に辺りを見回していた。
僕は困惑している金髪の男に大丈夫か?と声をかけて、担げ上げるとオークの間を走って抜けた。
「あ!!なんだアイツ!!変な白い鎧つけてる!!」
「あ!!男!いなくなってるーー!!」
「くそお!あの変な鎧のやつを殺せ!!」
オーク達は僕の方向を向くとこちらに向かって全員で突撃する。
「あんたは隠れててくれ…」
「え?あぁ!!」
金髪の男に落ちている剣を渡す。
そして、木の裏側に隠れるように促し、僕はセレステの絵柄が書かれたエレフェントカードを取り出す
「セレステ、また力を貸してくれるか?」
「いいよ……」
「変身!」
僕はそう叫ぶとエレフェントカードをドライバーにセットする。
≪ignis! stand-by! ≫
≪ignis!metamorphosis!≫
隣にいたセレステの姿が赤い粒子となって消えると、僕の体に赤い鎧となって形成され、ディーバ イグ二スフォームへと変身した。
木の木陰から見ていた青年は突然赤く変貌した姿に「な、なんだあれ……」と唖然としていた。
「なんか、赤くなったぞ!」
「構うか!いけーーー」
ひるまず突撃してくるオークを尻目に僕はイグニスブレードと叫び刀の武器イグニスブレードを手に構える。
「一気に決めてやる!!」
バックルのカード装填部を開けもう一度閉める。
≪ignis! final attack!≫
「はぁぁぁ!!」
刀にエネルギーを込めると刀身の部分赤く燃え上がる。
「おらあああああああ!!!」
突撃してくるオークを一匹ずつ切り裂くそして最後にいたオークが急に止まり反対方向を向くと「覚えてやがれー」とこれまた情けない声を上げ全速力で森へと消えていくのだった。
「ちッ……一匹逃がしたか……
(オークは臆病な性格なので一匹になると逃げるのよねー)
「オーク相手にセレステの力はやりすぎだったか?」
(でも、ソゲン君は私の力がないとだめじゃん)
セレステの突然のド直球の言葉に「はいそうでした」とがっくりとしながらドライバー脱着し、変身を解除する。
木の木陰から金髪の男性は拍手をしながら歩いてくる。
金髪の青年はさっきまでと違い、キリっとしていて怯えていたのが嘘のようだ。
「助けてくれてありがとう!ところで君すごいね!それはどんな魔法なんだ?」
「え、いやこれは、別に魔法じゃないっていうか」
「それは魔法じゃないのか?」
「あ、あぁまぁなんていうか……」
頭の中でどう表現しようか悩んでいるとそれを見かねた、セレステが口をはさむ。
「彼は精霊の力を使って戦う、精霊の騎士なんです」
それだ!と言わんばかりにセレステの話に合わせうんうんとうなずいた。
「精霊の騎士か、なんかすごそうだな。あ、そうだった俺はレグナーよろしくな」
レグナーと名乗る少年は僕に握手を求め手を差し出してきた。
金色の整えられた髪、そして整っていてすっとした顔そして頑丈そうな鎧と青いマント如何にもRPGで出てくる剣士という感じの風貌だった。
「僕はソゲンこちらこそよろしく。」
僕も名前を名乗るとレグナーとよろしくといい握手を交わした。
「お付きのセレステです」
セレステは小さく会釈をし、レグナーはセレステにもよろしくといった。
「で、君たちの力を見込んで少し頼みごとがある。」
僕とセレステは改まったレグナーを見て何を?と返すとレグナーは少し悲しい表情となる。
「オークにさらわれた、僕の幼馴染ミレイユを一緒に救ってはくれないか?」