仮面ライダーディーパ(新約)   作:瓜生史郎

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6話

 レグナーは詳細に事件の概要を語り始めた。この草原では、オークの集団による子供や女性の誘拐事件が多発していた。

 そして、彼の幼馴染であるミレイユも水を探しに行った際、そのオークたちに連れ去られてしまったというのだ。

 

 彼が自分たちの力を頼って来たことに、僕は同情の念を抱いた。彼らがまだ冒険者としては未熟だとしても、オークならば倒せるだろう。

 しかし、集団となると話は別だ。僕はセレステに顔を見合わせると彼女も首を縦に振った、それを確認しレグナーに告げる。

 

「わかった、僕たちで良いなら手伝うよ」

 

 僕がそういうと、レグナーは恩に切ると感謝の言葉を口にして、安心した表情を浮かべた。彼の声には深い感謝の意が込められていた。

 

 そうだ、例え小さいことでも助けてあげる。

 

 それが正義のヒーローだと、僕は自分にそう言い聞かせた。

 

 

「オークのアジトとかはわかっているのか?」

 

 僕はレグナーに問うと先ほど一人になったオークが逃げ帰って行った森を指差す、どうやらあの中に洞窟の入り口があり、そこがアジトになっているらしい。

 

 僕とセレステが森の中へ歩き出そうとするとレグナーは待てと僕らの足を止める。

 

「僕が入口の近くまで、ワープの魔法で連れていく。」

 

 ワープと剣を構え唱えると周りの景色が一瞬にして草原から木々が生い茂る森の奥深くへと変わる。

 

 僕はこれがワープの魔法か…と感心すると、君も使えるようになると笑って言い、レグナーは僕らを案内した。

 

 彼に付き従うままに付いていくと岩肌にはぽっかりと大きく穴が開いている場所にたどり着く。

 

 どうやらあれがオークのアジトらしいが、入り口は数人の警備であろうオークが立っている。

 

「どうやって入るんだ?」

 

 そう僕が問うと、セレステが手を広げて構え手に炎のエネルギーを込めた。

 

「やめといた方がいい……もし万が一、騒ぎが起これば……」

 

 それを見た僕はセレステを止めようすると、レグナーは突然剣を抜き戦闘態勢に移行する。

 

「ま、もう起こってるみたいだな……」

 

 周りを見渡すと既に何十人ものオークに囲まれていることに気づく。

 

 奴らは鋭い眼光でにらみつけている、それを見た僕はまた手が震えてしまった。こんな時に震えている場合じゃねぇ!と自分一喝し、ドライバーを装着する。

 

 

「セレステ!」

 

 僕はセレステに声をかけると僕の方を向いて「いいよ」と頷いた。

 

≪ignis!metamorphosis!≫

 

 それを見た僕はカードを挿入し、ディーパ イグニスフォームへと変身する。

 

 

 突然消えたセレステに驚いた表情だったが、すぐ察したのかレグナーも剣を抜いた。

 

「仲間の仇のあいつらを殺れ!!」

 

 指揮官の格好をしたオークは剣を僕たちに向け仲間のオークに僕らに襲い掛かるように命令し、オークは血走った眼をしながら僕らに襲い掛かる。

 

「やつらは、戦闘集団のプロだ気を抜くな!」

「わかった!はぁぁぁぁ!!」

 

 僕とレグナーも襲い来るオーク達に切りかかる。

 

 しかしオークの群れは仲間の屍を踏み越えて僕らに次々と襲いかかってきた。

 

 攻撃力は、あまり高くはなかったがチクチクと蚊のように攻撃してくるので鬱陶しい。

 

「くそ!いくら弱くたってこれじゃあきりがない!!」

「仲間がやられたから、気が動転してるんだ!!」

 

 しかしたかがは雑魚の群れ、オークも徐々に勢いが小さくなり、僕ら二人は群れを一掃することに成功する。

 

「よし……。これで全員か。入ろうソゲン」

 

 レグナーはそういうと剣を鞘に収め洞窟の中に入り中を見渡していた。

 

 そんなレグナーに僕は少し気になっていたことがあったのでレグナーに問う。

 

「なぁ、あんた結構強いのにあの時オークに怯えてたんだ?」

「あぁ、実はなオークの集団に襲われて剣を落としてしまってな」

「剣を落としただけでああなるのか?」

 

 突然剣を抜いて僕に見せつける。

 

「もともと俺は臆病な性格でな。なかなかこうやって冒険に出られなかったんだ。そんな時出会ったのがこの聖剣グラムなんだこいつを持ってるだけで俺は今の性格になれるんだ。だからこの剣を落としてしまうとあの時みたいに臆病な性格に戻ってしまうんだよ」

「あんたにとってその聖剣は臆病な自分に自信を与えてくれるんだな」

「あぁ……この剣は俺になくてはならない存在なんだ」

 

 僕は腰に巻かれているエレフェントドライバードライバーを見つめた。

 

 僕にとってもこのドライバーは現実世界で役に立たずと言われた僕に自信を与えてくれてるのかなと……。

 

(ソゲンくん……どうしたの?)

 

 僕がドライバーを見つめていると心配したセレステが脳内で呼びかける。

 

 いや、なんでもないといいレグナーとともに僕達は先を急いだ。

 

 

 

 

 

 とある町の一画フォンセは謎の男性と話していた。

 

「また精霊が完成したか……」

 

「うん、まだ未熟だけどね。本来の力は出せるようにはなったよー?」

 

 ふわふわと浮いていたフォンセは地面に着地し、男に抱き着いた。

 

「ねー褒めてよダーリン♡私頑張ったんだよ?」

「あぁ、フォンセはよくやったよ」

 

 男は、小さなフォンセを抱き上げ、頭をゆっくり撫でていた。

 

「ディーパの様子はどうだ?」

「うん、ダーリンの言う通り、ちゃんと火の精霊と契約させたよ」

「よくやった……」

 

 男はまたフォンセの頭をなでると、撫でられたフォンセはニコニコとうれしそうに笑っている。

 

「でもディーパを強くして大丈夫なの?」

「大丈夫だ、相手が弱いと張り合いがないからな」

「うん、でもダーリンが負けるはずないもんね……」

 

 フォンセは男の腕に巻かれている紋章がついたバックルをなでた。

 

「フォンセ、次のセイレンタウンでもわかっているな?」

「わかってるよ、ダーリン♡水の精霊とディーパを契約させればいいんだよね」

「その通りだ、絶対ミスをするなよ?」

「はーーい」

 

 男は一枚のカードを取り出した。そこには今いる幼い姿をしたフォンセとは違い、成長したフォンセが描かれていた。

 

「ところで、いつになったら元の姿に戻してくれるの?」

「……」

 

 フォンセが男の顔を指でなぞるように聞くと男は黙り込んでしまった。

 

「いい加減写真で見るのも飽きたんじゃないの?早く本物の姿も見たいでしょうに」

「いずれ戻してやる。今はディーパを完成させることが先決だ。」

 

 男は抱き上げていたフォンセをゆっくりと地面におろす。

 

「じゃあダーリンいってくるねー」

 

 フォンセは黒い霧に包まれるとゆっくりと姿が消える。

 

「あと、3人……」

 

 男はそう呟きながら消えていくフォンセを見送ると、窓から空を見上げていた。

 

 

 

 

 僕とレグナーは洞窟の中枢辺りまで進んでおり、襲い掛かるオークもだんだんと数を減らしていた。

 

 おそらくもうほとんど生き残りはいないだろう、しかしそれ以上に周りの空気が重くなっている事に気づく。

 

「なんだ、この空気……」

 

 ふと、床を見ると、足元に人骨が散らばっているのが見えた。

 

 それも1個や2個ではない、何十個もあるのだ。僕はひぃ!と情けない声を上げて驚くが慣れているのかレグナーは冷静だ。

 

「間違いなく、誘拐された女性や子供だろうな、早く行かないとミレイユも食われてしまうかもしれない…」

 

 僕は「あぁ」と一言呟き、周りにある人骨にビビりながらも僕は歩き続けた。

 

(ねぇ…なんか女の子の泣き声聞こえない?)

 

 突然セレステがそういうので、僕は立ち止まって耳をよーく澄ませるとたしかに奥から女性の鳴き声が聞こえる。

 

「どうした?」

「奥の方から、女の子泣き声が聞こえないか?」

 

 レグナーが耳を澄ますと、一気に顔色が変わった。

 

「ミレイユだ……急ごう!!」

 

 先ほどよりも足が速くなった。

 

 

 急ぐレグナーの後ろをついて行っていると突然ピタっと立ち止まる。

 

 あれはとレグナーが指をさすと2人のボス格であろうオークが大きい机に向かってパーティをもようしている。

 

 そしてその机の上には泣いた魔女の姿をした黒髪の女性が天井から吊るされているのが見えた。。

 

 それを見たレグナーの顔色が一気に変わる。

 

「ミレイユ!!オークの野郎!!!」

「お……おい……!!」

 

 正気を失ったのかレグナーは、僕が止める暇もなく聖剣グラムを構え二人のボスオークに向かって襲いかかった。

 

「なんだぁ?」

「にぃちゃぁん、人間の男がきたよ」

 

 二人のオークはレグナーに気づき携えていた斧を抜いた。

 

 気づいたのはオークだけではなく吊るされていたミレイユも同様で、助けに来たレグナーの姿を見て安堵の表情を見せる。

 

「レグナー、助けに来てくれたのね」

「あぁ……待ってろ!!」

 

 レグナーは聖剣グラムを構えオーク二人に向かって斬りかかった。一方僕は岩陰に隠れてその様子をじっとと眺めていた。

 

 いや足が震えてなかなか前へ踏み出せなかったのだ。

 

「こんな時に……震えて……」

 

(ソゲンくん…落ち着いて…)

 

 あぁ……情けない、情けない……こんな重要な場面で震えて動けない自分が情けなかった。

 

 たかがオークなのになんで、なんで!!

 

 

「兄ちゃぁんこいつ、つよいよ!」

「なんだこいつ……」 

 

 そんな中レグナーはボス格のオーク二人に善戦をしていた。二人のオークはレグナーによって、付けられた切り傷によって深手を負っていた。

 

(いける!!)

 

 好機とみたレグナーは剣に向かって詠唱を始めた。

 

「闇より来たりて、光を纏い、邪悪を断ち切る者よ、我が剣グラムにその力を授けよ!くらえ!聖なる閃光 グランディオーソ・ディーヴァイン・バースト!」

 

 その刹那、聖剣に光が宿り、大きな刃を形成する。

 

 剣を勢いよく振るうと光り輝いた刃先がオークに向かって襲い掛かる

 

「にぃちゃぁん!!あぶない!!!」

 

 ボス格の片割のオークがもう一人のオークが付き飛ばすと光の刃がオークを切り裂き、ぎやぁぁぁという断末魔ととも片割だけが爆散した。

 

 それを見たもうひとりのオークは片割のオークが残した斧を手に持ちうおおおおおおと悲痛の叫び声を上げレグナーに襲い掛かる。

 

 その顔は片割を殺されたことに対する悲しみと怒りに満ち溢れていた。

 

「くッ!!!」

 

 辛うじて2つの斧を受け止めたがさっきの攻撃よりも怒りで各段が上がっていて、オークはもう一度後ろに下がり突撃してくる。

 

「な、なに!!」

 

 レグナー辛うじて受け止めることに精一杯だった。

 

(ソゲン君!!レグナーさんがピンチだよ!!)

 

「わかってる、わかってるよ!」

 この肝心な時に動けない自分が情けなく足をぺしんと叩いた。

 

 走れ!!俺の足!!

 

(くそ…反撃のスキがねえ…)

 

 レグナー2つの斧を受け止めた、その瞬間だった。

 

 ひゅーんという音を立て弓が剣をもっていった左腕に刺さる。

 

「なに!まだ、雑魚オークがいたのか

 」

 その油断を好機をみたボスオークはもう一方の斧を下から振り上げレグナーの持っていた剣を振り落とした。

 

「し、しまった!!」

 

 すると、自信に満ち溢れいたレグナーの顔から、恐怖におびえる弱弱しいレグナーへと変わってしまう。

 

「レグナー!!もう一度剣を拾って!!」

 

 縛られたミレイユが怯えるレグナーに向かって叫ぶとプルプルと震えながら剣を拾おうとする、後ろの真上から弓を持ったオークが着地し剣を遠ざけた。

 

「ひ、ひぃ!!」

 

 ボスオークはしねぇぇぇと勢いよくレグナーに向かって斧を振り下ろしたその時だった。

 

 目の前で何かがぶつかり合う音がした。恐る恐る目を開ける。

 

「ソゲン……」

 そこにいたのは、振り下ろす斧を刀で受け止めるディーパ イグニスフォームの姿だった。

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 僕はもう左手に炎のエネルギーをこめるとボスオークの腹に向かって、炎をまとったパンチを打ち込むと、オークは突然の奇襲にのたうち回った。

 

「ごめん、出てくるのが遅くなった」

 

 そういうと僕は拾った聖剣グラムを渡すと、レグナーありがとうと言って受け取る。

 

「あれは……」

 

 その様子を見たミレイユは突然現れた赤いヒーローに驚いていた。

 

「レグナー!!今のうちにミレイユさんを!!」

 

「わかった……!!」

 

 レグナーは急いで吊るされてるミレイユの元へ向かうと後ろで震えていたオークがそうはさせるかとばかりに弓を捨て短剣を構えてレグナーに襲い掛かかる。

 

「そんなことはお見通しだ!」

 

 僕は刀をオークに向かって勢いよく投げると見事に命中しオークとともに壁にささった。

 

「貴様ぁ……ただではかえさん!」

 

 オークは立ち上がるともう一度斧を持ち僕に襲い掛かる。

 

 それをみた僕は即座にベルトを操作した。

 

≪ignis! final attack!≫

 

「はぁぁぁぁぁ…」

 

 僕は足に炎をエネルギーを込めると飛び上がった。さらに飛び上がった僕の体は炎に包まれ向かってくるオークに向かって火の鳥となって直撃する。

 

「おらぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ぎやああああああああ!!という断末魔とともに火に包まれ、オークはその場で爆散した。

 

 

 

 

 

 ほっと一息ついた僕は変身を解除し、その場に膝をつく。

 

 すると隣に現れたセレステが僕の頭を優しく撫でてくる。

 

「お疲れ様」

「ありがとう……セレステ」

 

 フラフラしながら、立ち上がり、レグナーの元へと向かう。

 

「ありがとう…助かったよ」

 

 そういって解放したミレイユとともに僕の元へと駆け寄ってくる。。

 

 そしてレグナーはワープと唱えると洞窟の入口へと景色が変わった。

 

「ミレイユ、彼らは精霊の騎士ソゲンとお付きのセレステさんだ」

 

「私のためにありがとうございました。ソゲンさんとセレステさん……でも、セレステさんは戦闘中どこに?」

 

 そう聞くとレグナーは肩をぺしぺしと叩きこそこそと耳打ちをした。

 

「なるほど、セレステさんは……」

「お付きですよ」

 

 圧をかけて、念を入れて言う。

 

 その姿を見て察したミレイユは咳ばらいをした。

 

 二人を見て苦笑いしていたレグナーは僕の方を向いて改めて頭を下げた。

 

「改めてありがとう、ソゲン出来ればお礼をしたいんだが何か欲しいものはあるか?」

 

 僕はそう言われてうーんと少し悩んでいたが、1つ思い出したことがあった。

 

「なぁレグナーそのワープは町にもいけるか?」

「あぁ、いったことがある街なら」

「じゃあセイレンにワープで連れて行ってくれないか?」

 

 僕がそういうとレグナー「そういうことか」と少し笑った。

 

「わかった、セイレンタウンだな?でも本当にそれでいいのか?」

「うん、頼むよ」

 

 レグナーは静かにワープと唱える。

 

 すると目の前に大きくはるか向こうまで広がる湖が現れ、サファイアのように光り輝く水面の上には観光船らしき船が何艘もいきかっているのがみえた。そしてその真ん中には………。

 

「あれが、セイレンか……」

 

 ヨーロッパを思わせるような西洋的な作りの建物や、そして入り口の門には大きな壺を持った人魚をかたどった銅像がいくつも設置されておりマーライオンのようにそこから水が噴出されている、初めてみる光景に僕とセレステは魅了されいた。

 

 

「では僕らは別の場所に用事があるから……ソゲンまた会おう!!この恩が一生忘れない!!」

「またね、ソゲンさん、セレステちゃん」

 

 レグナーはもう一度ワープと唱え、手を振るミレイユとともに消える。

 

 その姿が消えるまで二人の姿を見送った後、僕らはセイレンタウンに向けて歩き出した。

 

 青い髪の少女を見つけるために。

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