超昂大戦SS 次の適合者は君だっ! ダイビート超昂変身オーディション(自薦1名)   作:環 藍河

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第3話 うららダイレクトスカウト! その転職活動に超昂変身は応える!?

【実験PartⅡ その1】

こんこんっ。

「失礼します!」ぺこり。

 

「それでは、本名と戦士名、現職をおっしゃって下さい。」

「はい! 春雛うらら、戦士名は超昂戦士エスカ・トパーズ、現在は地球防衛組織ダイビートで戦士をしてます!

 本日は面接、よろしくお願いします!」

ぺこり(お辞儀45度)…すくっ(起立)。

「それではどうぞ、おかけ下さい。」

「失礼します!」

すたっ。

 

「では、何点か質問します。春雛さんはなぜ、超昂変身を希望されたのですか?」

「(ふっ…愚問ねっ。)カッコいいからっ!! ですっ!」

 

 ブブーーーーーッッ!!

 

「はーいっ、不採用っ!

 トパーズさんの今後のご活躍をお祈りしてますっ!!」

「うがーーーーっっっ!!!」

 

 …何じゃこりゃ。

 

「エリーいいいいっっっ!! あんた、あたしより先に超昂変身したからって、図に乗るんじゃないいいっっ!!」

「えー? だってコレ、さやかさんとも協議して開発した、うららの超昂変身実現に効く、れっきとしたトレーニングよ?」

 

……

 

「うららちゃんの場合、気持ちが空回りしてるのも原因。

 中に意欲を秘めていても、周囲に伝わらなくちゃ、無いのと一緒だもん。」

「ふうん…何か、就活とか面接みたいね。」

「あ…それ、言い得て妙かも!」

 

……

 

というわけで。たったこれだけで。

「これでも私、世界企業NAUのCEOなの。

 幹部候補の面接経験豊富、エグゼクティブの心を見抜く、百戦錬磨のエキスパート!

 不肖・この雪城エリーが、うららに採用面接をみっちり指導しちゃいまーすっ!」

「だーかーらー! あたしは就活生じゃなーーいっ!!」

「あら? 就活と超昂変身って、どっちも同じよ?

 自分の中にある思いを、きちんとまとめてアウトプットして認めさせる!

 これができてこそ、心のエナジーが未知の世界を切り拓く!

 そう、この面接こそが、超昂変身へのパスポートなのよっ!」

「……。」

「あー、その目は信じてなーいっ! ひどいよねー、アカリ、ヒビキ?」

「エ…エリーちゃん…? 私も、自信ないよ?」

「…自分の超昂変身でも、そんな思いだったかは確信が持てないが…」

 

 きっ。

「いいのっ。こっちの3人は超昂変身できた人。うららはまだの人!」

「がふっ!!」

 エリー、容赦ない面接パワハラ。

「うらら、この厳然たる事実…この壁を越えたければ、この面接に合格してみせなさいっ!!」

 

「……てやんよ…」

(…?)

 

「あああーーーっ!! してやんよっ! やってやんよっ!!

 どうせこのままウジウジしてたって、何も変わらないんだからっ!!

 ダメでもともと、数打ちゃ当たるっ!

 超昂変身できるまで、何だってやってやんよおおっ!!」

「はいっ、よくできましたー!」

(うららちゃん…)(容易く乗せられてるな…)

エリーの口車、恐るべし。

 

……

 

「それでは、あなたは超昂戦士時代、何に力を入れて活動してきましたか?」

(来たあっ…! これがいわゆるチョコチカねっ!)

【注】新卒採用面接で必ず聞かれる「ガクチカ」=「学生時代、力を入れてきたこと」の超昂戦士バージョン。

 

「はいっ! あたしは正義を愛し、市民が憧れる超昂戦士でありたいと常に願って行動してきました!

 たとえ強敵をルビーに譲っても、避難誘導や市民への励ましなど、いつ誰に見られても恥ずかしくない行動を心がけ、実践してきました!」

 

「ふうん…では春雛さんは、その行動で自分をどう成長させてきましたか?」

「はいっ! 自分だけがカッコ良く戦うのではなく、チームで、ダイビートのみんなで勝利することの大切さ…チームワークを学び、組織に貢献して自分を成長させることの大切さを知りました!」

 

「…へえ…!」

(ふふ~ん、刮目せよエリー! あたしだってコレくらいのことは言えるんだからっ!

 さあ、合格を出しなさいっ!)

 

「…春雛さん。」「はいっ!」

「リファレンス・チェックって知ってる?」

「…へっ? …り…ふぁ?」

「職歴調査よ。転職希望者の前の職場での勤務状況を調べ上げるの…イレーナ。」

「はい。」

侍従・イレーナが書類を手に進み出る。

「こちらが春雛様の前歴調査ドキュメントです。諜報員におはようからおやすみまで暮らしを見つめさせ、つぶさに春雛様の72時間を調べさせました。」

 

 ……!!

 

「ク…クルルかあーーーーっっ!!

あんなに特撮を語り合ったのにいいーーーっっ!!」

【注】クルルとうららの関係…詳しくは魔女クルルのキャラクターストーリーを読まれたし。

 

「結果、出動履歴や訓練、宿直など…ダイビートでの勤務状況や素行調査では、問題行動は特に見つかりません。」

「!? …よっしゃああああっっ!!」

 うらら、歓喜のガッツポーズ。

 

 すっ。

「いいえ、問題は別の素行です。

 あなた…一度ダイビートを裏切ってますね?」

「は…はああっ!?」

 

 ぴっ。「うげええーーっ!?」

《覚悟しなさいっ、エスカ・ルビー!

 我こそはネオ・ノロイ党が一人、忍者剣士ハルヒーナ!

 いざ尋常にっ、勝負ううっ!》

 

 スクリーンに映るは…トパーズの黒歴史。

 

「ひ…人違いでは…? 忍者剣士ハルヒーナは、正体不明のダークヒーローでして…」

 

 ぎろぬっ(イレーナの隻眼が鋭く輝く)

「ひっ…?!」

「うらら、そこをはぐらかすと、面接が進まないからねっ。」

「以後、ハルヒーナ・イコールうらら様は前提で。よろしいですね?」

「…はい。」

 ハルヒーナ、陥落。

 

「は…恥ずべきところは、ありませんっ…!

 これは…友を、りるかを護るための、真心からの行動です…!」

「ですからね、春雛さん。私が言いたいのは、そういうことではないんです。

 あなたみたいにいつ寝返るかわからない人に、超昂変身させられると思います?

 弊社の貴重な戦力を濫用しかねないリスクを呑んで、あなたを超昂変身させるメリットが弊社にあるとすれば、それは何だとお考えですか?」

「ぐ…ぐうううう~~~っっっ!!!」

 

 旗色が、一気に敗色濃厚に。

(ヒビキちゃん…これって…?)

(ああ…圧迫、面接だ…!)

 

「ほらほら、お答えくださいな?」

「……正義は…」「…ん?」

 

 すうっ…

「正義は、ダイビートだけが叶えられるものじゃないわよっ!

 長官やアカリたちが組織のしがらみで動けないとき、個人プレーで突破できることだってあるじゃないっ!

 噛ませ犬上等、切られるトカゲの尻尾でもいいっ! みんなの信じる正義の実現、あたしが礎になってやるんだからっ!

 超昂変身はそのための力! 突破力の無い噛ませ犬のまま、犬死になんてゴメンよっ!

 だから求めてるのっ!」

 

(…へえ~…。)

 

 平静を崩さぬ表情の裏で、エリーはうららの価値を改めて値踏みする。

 その横では。

(うららちゃん…凄い…!)

(…それは…上弦衆の領分だが…?)

 

「わかりました。本日の面接は以上です。採否結果は協議して、改めてお知らせします。お疲れさまでしたっ。」

「…ありがとうございました。」

 

………ぱたんっ。

 

「…ふう。アカリもヒビキも、お疲れっ。」

「エリーちゃん…面接って真剣勝負なんだね。凄いなあ…!」

「ああ、うらら相手でも手心を一切加えないとは…」

「だって、エグゼクティブの面接の方がラクだもん。

 あっちは失敗してもたかだか年俸数千万の損失、すぐクビ切れば済む話。

 うららの超昂変身は…人類の命運がかかっているんだから。」

(《…!!》)

 

「さっ、次の面接者、入れるわよっ!」

「…えっ?」「うららで終わりじゃないのか?」

「あ、心配しないで。次からは2人はオブザーバー。面接官のメインは私と、追加の面接官だから。」

 

……?

 

「追加の…」「面接官…?」

 

 

【実験PartⅡ その2】

 

「…失礼します。」

「よーし閃忍ライカー、いくぞー。面接だー。超昂変身だー。

 まずは名前と所属を名乗るといい。」

「あんたたった今、わたしの名前も所属も言ったよねっ!?」

「はーいライカっ、面接官に聞かれたことだけ答えてくださーいっ。」

 

……?

 

(イノリちゃん…?)(…何だこれは。)

突如始まったトリオ漫才に、あっけにとられる先輩超昂戦士ふたり。

 

「…鈴森頼夏、月想館学園センニン科在籍中、想破上弦衆からダイビートに出向中でーす…。」

「うむ、採用っ! イノリちゃんと契約して、超昂閃忍になろう!」

「なるかっ、このアホおおーーーーっっ!!」

 ライカさん、転職面接でご立腹。

 

「おかしいでしょエリーさんっ、この面接っ!!」

「え? どこが?」

「そもそもわたしは超昂閃忍になりたいなんて、これっぽっちも思ってませんっ!」

「えー? そうなのー?」

「当たり前ですよっ! わたしには自分で超昂変身するメリットなんか、これっぽっちもありませんよっ!! ピンチになったらイノリを超昂変身させて、しんがりかタンクか人柱にしてトンズラこけばいいんですからっ!」

 ライカ、相棒を防御壁扱い(平常運転)。

 

「百歩譲ってこの面接受けるとして、面接官がゴウカ様やフウカ様、頭領だったらまだわかりますよ!

 何でイノリが面接官やって、しかも名前名乗っただけで合格なんスかっ!? ボーダーフリーのFランク大学だってもーちょい選別しますよっ!」

「むう…ライカ。」

「…何よ。」

「不満があるなら、このイノリちゃんととことん、腹を割って話そう!」

「話すかあーーーーっ! このおバカっ! いや、逃げ場を塞ぐブラック企業の面接かっ!?」

 

(ライカちゃん…)(むしろイノリに…飼い慣らされてないか?)

ダイビート随一のイノリテイマーが、逆にイノリにテイムされていた。

 

「逆に、何でわたしなんスかっ!? 人選ミスっスよ!

 超昂変身できそうな閃忍なんて、私よりも七閃とかリコリス様とかムツカ様とか、いっぱいいるでしょうっ!?」

「びしょうじょなんか、超昂閃忍にするもんかっ!!」

「あんたの私情で超昂閃忍を選ぶなっ! このワンマンタコ社長っ! ノロイっ!」

 

 カチッ(怒)

 

「なんだとーーっ! この紙袋っ! ライカのあほーーーっ!!」

 

 ちょい、ちょい。

(アカリ、ヒビキ。)

(エリーちゃん?)(何だ?)

(これが転職面接の最悪パターン。)(《!?》)

 

①面接する側(イノリ)の採用基準が不明確

②面接される側(ライカ)の事前就活準備(企業研究・自己探究)が絶望的に不足

③そもそもライカのモチベーションどん底

 

「ま、お互いに不幸よねー。」

(あ…あははっ…)

(こうなるとわかってて、やってないか…?)

 

 

【実験PartⅡ その3】

 

「ひれ伏せえええーーーっっ!!」

「でゅふーーーっっ!?」

 

 べたんっ!(候補者に地を這わせる皇帝面接官)

 

「あぐぐぐぐうううっ…」

「もう一度だけ問おう。貴様、何をもって超昂変身を望む?」

「二度も言わせないでよっ! あたしの戦う理由、今以上の力を望む理由は一つだけっ!」

 

 すうっ……(駄馬の深呼吸)

 

「世の全ての! ロリータを!!

 あたしの超昂魔力で護りぬくっ!」

 

(…でしょうね。)(あははっ…)(……。)

超昂エスカチーム(マイナス1名)、ニコールの力説に嘆息。

 

「ほう…まあ、百歩譲って、弱き者を護るは、我らがノーブレス・オブリージュと理解しよう。

 だが、それ以外の弱き民草…少年や老いたる者はどうする?」

「はあ? 何であたしがBBAやチンコ付いた連中護らなきゃいけないのよっ!?

 チンコ滅べっ、あたしより年上のBBA滅べっ!」

 

「…ニコール。」「…?!」

 

 キュイイイ……ン……!(エリーの魔眼発動)

 

「…さ、本音は?」

『超絶カッコいいあたし! 世の悪とチンコをバッタバッタなぎ倒す超昂魔女!

 あまねく可憐なつぼみちゃんたちが、もうあたしにメロメロきゅんきゅん!

 ニコールお姉ちゃんサイコー! お姉ちゃんになら何をされてもイイっ!

 そうしてロリ少女たちの乱れ咲く花園であたしは……!

 でゅふっ、でゅふでゅふでゅふっ、でゅふうううう~~~っ!!』

 

(ニコールさん…)(ブレないお方だ…)

「…うん、知ってた。」

超昂エスカチーム(マイナス1名)、ニコールの力説に嘆息(本日2回目)。

 

「…面接は、これで最後だ。」

「ん?」

「ディセンション・ドライブ!」

 

 きゅぴいいい…ん…!

 

「げええーーーっっ!!?」

「破壊の龍・バビロニア・ニル、見参!

 ニコール…総括に一つ、日本のことわざを教えてやろう。

『淫らな欲を隠さぬ馬は、龍に蹴られて死んでしまえ』と言うそうだぞ。」

「そ…ソレっ、いろいろ違うわよおおっ!!」

「問答無用っ! バビロニア・エンカレッジ!」

 

 びしゃーーーんっ!!

「でゅふうーーーーーーっっ!!」

 

超昂の力に充ちた、紫雲の放つ雷鳴に撃たれ…

駄馬、まる焦げ。

 

……

 

【選考会議】

「まず、問答無用で落とすのが2人。」

 こくっこくっこくっ(激しく頷くアカリ・ヒビキ)

 

「残るうららだけど…どう?」

「…えっ?」「何で判断すればいい?」

「え? 簡単よ。 二人はうららと一緒に超昂変身して出動したい?」

「あっ…それは、エスカチームだし…」

 

 すっ。(えっ?)

胸の前で両手でバッテンを作り、アカリをたしなめるエリー。

「仲よく仕事できるか、じゃなくて、チームの力は上がると思う?」

「あ…」「それは…ちょっとな…」

 

うららのスタンドプレーが有効なときも、暴走するときもある。

裏目に出たときの不安が、歯車がかみ合ったときの安心を凌駕した。

先ほどの受け答えを聞く限り、アカリとヒビキの胸中には思わぬ不安がよぎってしまった。

 

「まー、うららは雇う側の視点では面白いんだけどね。」

「そ…そうなの?!」

「うん。あの持ち味は、生かすも殺すも組織の長の力量が問われるんだけどね。

 硬直化した組織に新しい風を吹き込む存在として、激レアよ。」

俗に【若者・よそ者・馬鹿者】と呼ばれる存在。

 

「じゃあ…!」「合格…なのか?」

 ちっちっちっ。

「『硬直化した組織』って言ったでしょ。

 長官くんのダイビートが、そんなごりごり権威主義・旧態依然のジャパニーズ化石企業だと思う?」

(《あっ…!》)

「というわけで、えいっ。」

 

……

 

----------

To: 春雛うらら様

From: 雪城エリー(ダイビート人事部)

Title: 超昂変身選考面接の結果

 

 誠に遺憾ながら、今回は御縁がございませんでした。

 引き続き現職・ヒラ超昂戦士として弊社へのお力添えを賜りたく存じます。

 末筆ながら、春雛様の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

 

……

「エリイイイイイーーーーーっっっ!!! うがあああーーーっっ!!」

「ししょおーーーっっ!! 落ち着いてっ、落ち着いてええええっっっ!!!」

 

超昂変身・中途採用計画…凍結。




作者です。
既出の通り、弊社の作風はだいたい(シリアス→ギャグ→バトル→…)のローテなのですが、ギャグ回はうららに大変助けられ、さらにニコールでオチつけとけば大概なんとかなる…恐ろしい子たち。
(ウソです。安易に多用すると作者の底の浅さが露見します。)
ともあれ、このシリーズの執筆、作者自身が楽しんでます。

続いて近況。最近はX(旧Twitter)に僕なりの超昂大戦の楽しみ方や発見をカキコしてます。あれは日がな一日でも読み続けられる時間泥棒ですね…ええ、時間吸われてSS続編執筆がめっさ遅れてます(猛反省)。

ちゃんと読者さまを楽しませられるよう、その反響で自分が楽しめるよう、引き続き精進いたします。
…あ、このシリーズ、もう1話2話ほど続きます。
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