超昂大戦SS 次の適合者は君だっ! ダイビート超昂変身オーディション(自薦1名)   作:環 藍河

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第4話 トパーズ超昂開眼!? その禁欲に超昂変身は応える!

ししょーが…、姿を消した。

 

不肖の弟子・閃忍リルカに…さよならさえ告げずに。

ししょーの残した鍵で、ダイビート基地、戦闘スタッフのトランクルームを開けると、書き置きが。

 

 〜ここを訪れたりるか、君にヒーローを託す。

 

ししょーは…自室のヒーローグッズ全てをあたしに託し…

行方をくらました。

 

「ししょーーーっ!! ドコ行っちゃったんですかあーーーっ!!」

 

……

…

 

「ただいま、りるか。」

「し…ししょおーっ!?」

 

 ものの一日だった。

 

「と…とにかくっ、心配したんですよっ!!

 …あ、昨日のロイダー、あたしが録画予約済みですよっ!

 一緒に観るまでガマンしてました! 初見ですよっ!」

 

 ふるふるっ。(首を左右に)

 

「もう…あたしは一生分、ヒーロー観ちゃったから。

 揺るぎない高邁なその魂は、あたしの心の中に1つあればいいの。

 だから…もう、十分。」

 

 ……?

 

「りるか…あたしの分まで、ヒーローを追いかけて。

 あなたに託した私のヒーローたち…大事にするのよ。」

「…ほへっ?」

 

 ぼとっ。(DVDを落とす)

 

…あり得ない。

 

春雛うらら。戦闘も私生活も、常にヒーローとともに歩む女。

全ての行動規範、一挙手一投足をヒーロー心得に照らし決断する女。

それが…たった一日の失踪で、全ての熱を喪ったかのように…!!

 

 がしっ。だだだだだだっ…

 …ばんっ!!

 

「セラフィールさんっ、ナオ先生っ! ししょーの精密検査、お願いしますっ!!」

「り…りるかさん? どうしました?!」

「落ち着いて…落ち着いて…!」

メディカルルームにうららを担ぎ込み、りるかは半泣きで直訴。

 

「うちのししょー、変なんですうううっっ!!!」

 

…

……

 

「はあ…今日はもう、4人目ですねえ。」

「よ…4人っ!?」

「誰一人、肉体的な異常はないんです。」

「精神的に、精神的に、達観してしまった、と言いますか…。」

 

 がばっ!

「あ…あんたたちいいっ!?」

セラフィールたちの目線の先、ベンチに座る3人。

 

……………

 

 …私、もう、大人です。だから、自立しました。

 バブみも、オギャりも、今度は私が誰かに与える側にならなきゃ。

 いつまでもママに甘えっぱなしじゃ、ないんですよ。

 

 …作曲? ミモザちゃんはまだまだ未熟なのだ。

 思いつきで奏でるだけの、たれ流しスタイルじゃだめなのだ。

 先人たちの紡いだ偉大な曲に、もっと耳を傾けなければ、なのだ…!

 

 ロリータ? イヤですねえ。

 いたずらに騒いではしゃいで、愛しきつぼみたちを萎縮させちゃ…ダメ。

 ロリータは心の奥底で、そっと愛でるものですよ…でゅふっ。

 

……………

 

「み…みんな、菩薩さまレベルの澄んだ目をしてるーーーっっ!?」

 

 ぽんっ。(背後から肩を叩かれる)

 

りるか。激しいだけが情熱の炎じゃないわ。

私は私。これからも、静かにヒーロー道を求めていくから…ね。

 きらきらっ…(澄んだ瞳)

 

「こ…こんなのっ…、

 ししょーじゃ、ないいいいーーーーっっ!!」

 

ばんっ! だだだだだだだっっ!!

「り…りるかさん?」「どうしよう…どうしよう…?」

……

…

 

「やっぱり4人ともイマイチねえ、エナジー放出量。」

「やっぱりおんどれかあああーーーーっっ!!」

 ラボにカチコミをかけたりるかと、諸悪の根源・さやか。

 

「ルビーやサファイア、マリナもそうだけど…

 超昂変身を為し遂げた彼女たちの共通点…

 それは、絶望の底に叩き落とされたこと…!!」

 

 くわっ!!(さやか開眼)

 

「でも! 彼女たちは、そこから絶望を越えたの!

 湧き上がる心の力が、きっと超昂変身の鍵なんだ…!」

「…で?」

「全力ぶっちぎりの心のエナジーを持った超昂戦士に、いったん虚無と達観を与える!

 そこから立ち上がる彼女たちに、ご期待くださいっ!!」

「その前に苦情が出とるわーーーーっ!!

 見てみなさいっ、あんたに尻子玉抜かれた4人を囲んで、メディカルルームは嗚咽がこだましてるわよおっ!」

 

【さやか被害者・近親者の会】

 

「ああっ…どうしましょう、どうしましょう…!

 いやしくも精神科の医師として、無力、無力です、私…。」

「ポラリスちゃん…もう私、ぎゅ~ってできないのですか…?」

 

「ミ…ミモザちゃ~~んっ!! 

 お願いっ、戻ってよおおっ…心の向くまま歌を紡ぐ、いつものミモザちゃんにい~っ!!」

「お…落ち着くのよっ、カノープス!

 そ…そうだっ、マリニャの歌をヘビロテなさいっ! ミモザの奥底に眠る琴線を刺激するのよっ!」

「マ…マリエル様はきゅんとするでしょうけど…ミモザちゃんには…?」

 

「ニコールさん…もうずっと、このままですか…?」

「ぴいっ…静かだけど…まとわりつかれないけど…」

「……。……こんなの…」

「やっぱりこんなの、ニコールお姉ちゃんじゃ、ないいいいーーーーっっ!!」

 

「うららっ、うららーーーっ!!

 特撮魂に、卒業などあるものかーーーっ!!

 思い出してくれえっ、変身に込めた正義の血潮をおおっ!」

 

ダイビート治療班のナオが、セラフィールが。

神騎鼓舞部隊のカノープスが、マリエルが。

ちびっこ魔女軍団、イーイー、クルル、リーマ、ラメールが。

そしてうららの魂の友・リリアムが。

抜け殻となった仲間を嘆き、いつまでもいつまでも嗚咽していた。

 

「ここからこのカオスにどう始末つけてくれんのよっ!

 一生このままとか言わないわよねええっっ!?」

「ま…まあまあ、ものは考えようっ!」

「…どういう意味?」

「迷惑千万な人格部分が取れたんだから、おおむねハッピーじゃないの?」

「鬼かっ、あんたはあああああーーーーーっっっ!!!」

さやか、まだ見ぬ超昂変身に魂を売り渡した女。

「そもそもあんた、ししょーたちに何をしたのよっ!?

 あのししょーが、ヒーロー魂を抜き取られるほどの…?」

 

  はっ。

 

「ま…まさかっ、洗脳っ!?」

 ぶんぶんぶんっ。

「そ、そんな後遺症の残りかねないハイリスクなこと、しないわよっ。ホント。

 こちらをご覧下さいっ。」ぴっ。

 

 【実験No.3ー1~3-4】

 

『ああ~~っ、ママっ、ママああ~~っ…!』

《お…おおっ、……わはあーーーっっ!!》

〈でゅ…でゅふっ、でゅふっ……でゅふーーーーっっっ!!!〉

 

(なっ…?!)

 りるかが見た映像は…酒池肉林の修羅場。

 …酒池肉林…?

 

『おぎゃあああーーーーーっっ!!

 マ…ママがっ、ママがいっぱいいい〜〜っ!

 抱っこしてえっ、ぎゅってしてえっ、ハスハスさせてえっ、お耳ふーふーしてええっ……

 ああ~~っ!! おくちもおててもお胸もお腹も…わたしっ、ママにぜんぶ包まれてるよおお〜〜〜っっ!!

 ちゅきっ、マっ、ママちゅきいい~っ!! ばぶっ、ばぶうっ……んん〜〜っ!!』

 

《…おっ、おっおっ、おほおおお~~~っ!!

 しょうゆ、ウマ塩、ハニーマスタード、BBQ、バターしょうゆ…

 ああ〜〜っ!! こ…こっちは、ミモザちゃんが食べ損ねて涙に暮れた、期間限定静岡おでん味-!!

 ハ…ハニマからあげちゃん天国なのだーーーーっっ!!》

 

〈ああっ…身長もパイパイも、雌しべも小っちゃいころのヤブルーちゃん…!

 …あっ、あぁっ…こっちはおしめが取れる前のっ、ユウガちゃんにピカちゃんっ!!!

 はふっはふっはふっ、クルルちゃんリーマちゃんラメールちゃんも…

 みんな…みんなっ、失われた、私の心の中だけのロリータがあああっ!

 ア…アッ……、アイルビー・バア~~~ックッ!!!〉

 

(…何これ。)

 欲望のままに喘ぎ叫ぶ被験者の姿に、りるか愕然。

(長官さんが現代知識をインストールした、学習システムの応用ね。

 みんなの愛する対象を、VRで飽きるほど刺激したのっ。

 もう一生分味わって、お腹いっぱい…ってなるくらいにねっ!!)

(ドヤるなっっ!!!)

 

「れ…歴代ロイダーがっ、昭和・平成・令和…全員集合っ…!!

 あああーーーっっ!! こっちはレジェンド戦隊っ…メタルヒーローズが…!!

 どうしてっ!? 一同に会するなんて…!」

(し…ししょ…?)

「ああっ…伝説の中心に、あたしが…エスカ・トパーズがっ、いりゅ……!

 ここは…ここはっ、グラウンド・ゼロ……。

 ヒーローのビッグバン……超新星爆発の中心だあああーーーーっっっ!!」

 

(…ししょーの理想が、憧れが、全てここに集結してるんだ…)

(…そりゃあ、悟りも開けるわよねえ…)

およそ100年分ものオギャバブ・からあげちゃん・ロリータ・ヒーローをインストール。

欲望の赴くままなりふり構わず一直線のポラリス・ミモザ・ニコール、そしてうらら…

この4人はすっかりすっきり、今や涅槃の境地であった。

 

「…で、ししょーたちはいつ、このお花畑から這い上がるのよっ!?」

「…あ。」

 

(「あ」?)

 

 ふっ。

「それは…彼女たち次第。だから最悪、このひだまりにとろとろ浸かり続ける可能性も、微粒子レベルで存在するよ…!」

 

「………あ…ああ…」

(あ?)

 

「アホかあああーーーーっっっ!!!」

 ぶんっ! どがしゃあああっっっ!!!

「ぎゃあああーーーーっ!!」

「戻せっ! ししょーをっ!

 それか何なら、おんどれが開眼しやがれーーーっ!!」

 

 ぐいっ…がぼっ。「うっ…!?」

 

……

………

 

「うふっ…うふふふふっ…

 うひうひうひうひひっ…あへえっ…!」

 

 りるかにかぶせられたHMDの下から、諸悪の根源がアヘる…?

 

「…あーーっはっはっはっ、はあーーーっっ!!」

(!?)

 

「………だ………」

 …「だ」?

 

「ダイナライトがあ…石があ…いっぱいだあ〜っ…!!

 うひゃひゃひゃひゃひゃっ、はひゃーーーーーーーーーっっっ!!

 こんだけあれば、ビートポータル回し放題、タイムゲート開け放題っ!!

 異界超昂戦士も喚び放題っ、ムツカちゃんの戦国時代どころかっ、ジュラ紀も60’sも大正ロマンも思いのままーーーっ!!

 いや…いっそ未来だって行ってやるっ!

 超昂戦士300人送り込んでっ、長官さんの世界をわたしらで救っちゃるうっ!!

 いくぜ野郎どもっ、カチコミじゃーーーーっっっ!!!」

 

(…あ。)

 さやかの欲望を剥き出しにすると、こうなるわけか…。

 

「どんどんでてこい、はたらくせん~し~~!!」

 

……

…

 

……いらない。

「…ほへ?」

 

全超昂戦士参戦済み、もちろん全員、最強化…完了。

つぼみばっかり溜まっていくけど、全員☆5じゃ使いようがない。

好感度も全戦士6桁、全ステータスフル覚醒済み。

 

「…あっ。」

引いても引いても引いても引いても…

嬉しくないのっ。

ピックアップを一発で引いても…ガチャだけで☆5突を何十人達成しても…

 

だって…だって…

外れても悔しくないからあああああっっっ!!!

「あんた…っ!?」

 

 かっ…!!

「うあっ!?」

HMDが突如放つ虹の輝きが、迷える人の子2人を白く包む。

 

 ……よく、気づきましたね。

 欲望に囚われないこと。願望にこだわらないこと。

 幸運に偏らないこと。不遇に惑わないこと。

 

(め…)(女神…さま…?)

 

 その悟りの境地に、応えましょう。

 唱えなさい、心の奥底の、貴女の御名を…!!

 

「フラックスプロージョン! ビート・エヴォリューションっ!!」

(!!!)

 

 じゃきいいいんっ!

 がばっ! どしゅっ! ちゃきっ!!

 

「宇宙の神秘を探しあてっ! 胸の鼓動で解き明かす!!

 昂ぶる心は科学の未来!

 超昂戦士、エスカレイヤー・テクノライズ!!

 未知の宇宙に只今参上っ!!」

「ぎゃあああーーーーーっ!!」

 

 

 沙由香とユカの同位存在は、伊達ではなかったのかもしれない。

 そもそも超昂戦士ですらなかった彼女が、言わば飛び級で2階級特進。

 その飽くなき探究心と、仲間の犠牲を厭わぬ好奇心が生んだ奇跡。

 

 12人目の超昂変身到達者、ここに爆誕……!!

 

 

 その生き証人たちは驚愕し…

 

「《【[『アホかーーーーーーーっっっ!!!!』]】》」

「へぶんっ!!」

 5人でロイダーキック。

 

「ママを返せえええっっ!!」

「ミモザちゃんのからあげちゃんっ、隠したなああーーっ!!」

「出しなさいよもう一度っ! 夢にまで見たあどけなき天使ちゃんたちをおおおっ!!」

「ヒーローを冒涜したその罪、アクー空間であがなええええっっっ!!」

 

「う…うぎゃああああーーーーっっっ!!?」

 

 …魂の安寧をもたらす理想郷を奪われた、超昂戦士たちの闇は深い。

 12人目の超昂変身、3分もたずに玉砕。

 

……

…

 

 そして、結局。

 

「あ…あたしの超昂変身、来年に持ち越しいいいっっ!?」

「ししょー…おいたわしや…」

「あ…あががっ…!」

「諦めてはダメですっ! 我らネオノロイ党、来年こそ昇り龍となりましょうぞっ!!」

 

 ちょいちょい。(……?)

 

「はーいっ、辰年はもうおしまーいっ!

 次の巳年はこの年女、エスカアメイズ・ファンタスマが暴れちゃうんだもーん!!」

「うがあああーーーーっっ!!」「ししょーをアオるなあああっっ!!」

 

 ダイビート技術部プロデュース・人為的超昂変身到達計画…今回も凍結。




作者です。無駄にブランク空けながら、何とか完結にこぎつけました。
トパーズの超昂変身、ちゃんと来年、チームレガリアを導くいいポジで炸裂するといいなあ…!

体調不良と慢性疲労に悩まされ、仕事とはいえ遠征旅行で疲弊しつくした老骨にムチ撃ちつつ…エターナル化だけは避けることができました。
Xではっちゃけてるヒマはあったくせに…でも、Xの読者様もあったかい…!
拙文駄文に有形無形の支えをいただき、いつもありがとうございます!

さて、次回作はどちらかと言うとpixiv様での読者層に寄り添う、R-15ギリギリ狙いの作品を温めております。
できればクリスマス前に第1話を間に合わせたいと思っています。なぜならネタがあの子だから…!!
乞うご期待ですっ!
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