悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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今回、ヴェナリータがあれだけしつこく勧誘するほどの本性が明らかになります。


悪い子ですし、別に良いですよねぇ?

「おらおら待て待て〜! 逃げてないでちゃんと戦えひきょーもの〜!!」

 

「逃げるが勝ちと言う言葉もあるんですよーだ! と言うか戦って欲しいなら、そこでスマホ構えてる性悪妖精をなんとかしてくださいよぉ!!」

 

 さて、現在阿良河キウィことレオパルトに襲われてピンチな私であるが、レオパルトは一個重大な選択ミスをしている。

 

「あ〜! ちょこまかと〜、路地裏選んだのは失敗だったかなぁ!?」

 

 レオパルトの能力は銃火器を召喚する能力と見たが、大きさも自由自在という事で広範囲を消し飛ばす事が出来る凄い能力だ。

 だから路地裏でならば避けられないだろうと踏んだのだろうが、壁が盾になってくれる為ジグザグに逃げれば追いつかれない限り当たる事はないのだ。

 そして私はサルファとマゼンタに路地裏で追い込まれたことを反省して、ここら一体の路地裏の構造は頭に叩き込んだ。だから行き止まりを引き当てて袋のネズミになる事も無いのだ。

 

「……さて、ここら辺でしたよね」

 

 ある程度ジグザグに進み距離を取ったタイミングで、錆びたドアノブを捻り建物の中へお邪魔する。

 この建物は俗にいう空きビルで人がいない上に、裏路地側のドアは鍵が壊れていて侵入可能。

 追いかけ回されたときの隠れ場所としてチェックしていたのだ。

 無論ビルに入る姿はヴェナリータに見られてしまった為、それをレオパルトに知らされれば追いかけてくるだろうが、私の狙いはヴェナリータの持ってるスマホのカメラから外れる事だ。

 

変身(トランスマジア)!!」

 

 建物内ですぐさま変身をすると、そのまま階段を登り3階の窓からヴェナリータに向かって飛び降りる。

 

「おっと……あ」

 

 避けられてしまったが、一瞬の隙をついて手袋でスマホの確保は完了。

 いやぁ、相手を取り押さえる事が出来ますし、サブアームになって、サブアームは本当に便利ですねぇ。

 それではいつも通り中の録画データを消して……

 

「やっと変身したか。それでこそ戦い甲斐があるってもんだ〜!!」

 

「てい」

 

 スマホはレオパルトの攻撃の射線上に投げて破壊させるのだった。

 

「全く、これで二度目だよ? 損害賠償請求したらいくらになるだろうね?」

 

「壊したのはレオパルトですよ? 損害賠償は彼女にどうぞ」

 

「お前が投げ込んだんだろ〜!?」

 

 まぁ何はともあれこれで条件は同じ。安心して戦えるってものですね。

 

「さて……阿良河さん……いえ、レオパルト。私、今結構ブチギレてましてね……」

 

「あ、なんだよいきなり?」

 

「人助け、魔法少女の真似事……それが気に入らないからと銃火器を使って攻撃するだなんて、人としてどうなんですかねぇ?」

 

「当たり前だろ。ヴェナが魔法少女を倒せるっていうからエノルミータに入ったのに、そんな奴がいたらつまんね〜だろうが」

 

「……一応言っておきますが、謝罪する気は?」

 

「謝罪? アタシに勝ったらいくらでもごめんなさいしてやるよ〜!!」

 

 そう言って銃火器を向けて来たレオパルト。

 彼女が容赦なく引き金を引くと同時に空中に浮遊していた巨大な複数の銃火器が私に襲いかかった。

 

「……言いましたね?」

 

 

(ヴェナリータ視点)

 

 キウィがえりすと喧嘩すると言う事で、もしかしたら弱みを握れるかもとボクも様子を見に来たが予想通りスマホを強奪されて破壊されてしまった。

 別にこれは証拠取り用の中古の安いスマホとはいえ、短期間で破壊されたらたまったものではないね。

 

 まぁボクのスマホについては良いだろう。

 レオパルトの一撃で爆煙や砂埃が上がり前が見えなくなるが、煙が晴れた直後に目に映ったのはレオパルトの攻撃を受けて服がボロボロになったノワールカーネリアン。

 だが彼女はレオパルトの目の前……ハイヒールの踵でレオパルトの足の甲を思い切り踏んでいた。

 

「あぁあああああ!?」

 

「痛いですか? そりゃかかとの面積は小さいので普通の靴で踏むより圧力は桁違いですもんね」

 

「クソが足どかせ「おや? 至近距離な私に攻撃して良いんですか? あなたも巻き込まれますよ?」チッ、ベーゼちゃんみたいな事を!」

 

「まぁ、クラスメイトの足を踏み砕くのも本意ではありません。解放して差し上げましょう……か!」

 

「ぐふぅ!」

 

 流れるようにレオパルトに回し蹴りをするノワールカーネリアン。

 蹴り飛ばされたレオパルトはすぐさま体勢を整えようとするが、その瞬間両手両足が縄で縛られ宙に吊し上げられる。

 

「……ッ!」

 

「私ねぇ、結構厄介な性格してるんですよ……」

 

 そう言ってパチンと指を弾くと油が満杯まで注がれた金たらいをレオパルトの真下に具現化する。

 

「あなたみたいに調子に乗ってる人を見るとね、そんな顔をズタズタに引き裂きたくなっちゃうんです。その心に深い深ーい傷を与えて、二度と笑えないようにしたくなっちゃうんです」

 

 そう言って今度は蝋燭を具現化してうつ伏せに宙吊りになった彼女の背中に置く。

 これでは蝋燭が背中から落ちた時点で、下の油に引火。レオパルトは火に飲まれるだろう。

 

「私のその感情は老若男女見境ありません。トレスマジアにもうてなにも、はるかさん達にも……最低ですが妹に対してだって上手くいっていて幸せそうな人がいると、その幸せを奪い取りたくなる。幸せを絶望に叩き落としてあげたくなる!!」

 

「…………」

 

「ですがこの感情を彼女達にぶつける訳にはいきません。なんて言ったって私に悪意を向けてはいないんですから。……まぁうてなは前回やりやがったけど、あれは愛情の裏返しという事でギリギリセーフとしましょう」

 

「ですが……」と言いながらうてなが魔法少女を甚振っているときの恍惚な表情とは違う、邪悪……まさしくその言葉が相応しいほどの黒い笑みを浮かべる。

 

「あなたは悪い子のようですし……別に良いですよねぇ?」ニヤァ

 

「……うてなちゃんとは違うベクトルのクソヤバ女だったのかよ…………」

 

「……やはりボクの見込んだ通りだったね。素晴らしい」

 

 ボクの目に狂いはなかった。

 キミの魔法少女……いや、全ての人に対して抱いてる感情……。それは相手の全てを壊したいという破壊願望。

 

 うてなのそれよりももっと過激で、もっと悪意に塗れたものだったんだ。

 

 最もそれだけではタダの無差別快楽殺人鬼。だが彼女は常人よりも強靭な自制心でその狂気を押さえ込み飼い慣らした。理性のある怪物なのだ。

 それを魔法少女に向けてくれればと思ったが、どうやらその狂気はレオパルトに牙を向いてしまったらしい。

 

「でもまぁ私も鬼ではありません。ゲームをしましょう」

 

「ゲームだと?」

 

「あなたの背中に蝋燭を置きました。もし蝋燭が倒れたらあなたの背中を焼きます。だからと言ってそれを振り払えば下の油に引火してあなたの全てを焼くでしょう。蝋燭が溶け切るまで倒れないように耐える事は出来ますかねぇ?」

 

「……溶け切るまで動かなければ良いんだろ? なら耐え切ってやんよ!!」

 

「……良いでしょう。では見せてください。あなたの末路を!!」

 

「アガァ!?」パァン!!

 

 そう言った直後、レオパルトの頬を思い切りビンタするノワールカーネリアン。

 それで蝋燭がゆらゆらと揺れるがギリギリ倒れなかったようだ。

 

「いってぇ…………!?」

 

「痛いですか? それはそうですね。なにせ掌には目の粗い紙やすりをつけているので。ほらほら普通のビンタより痛いですが耐えて下さいよ? 簡単に死ぬだなんてつまらないですからね!!」

 

 そう言ってレオパルトの頬を引っ叩き始めたノワールカーネリアン。

 ビンタの衝撃で蝋燭がゆらゆらと揺れるが、レオパルトが衝撃を逃しているからか、敢えてノワールカーネリアンが手加減してるからか倒れない。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…………」

 

「……そろそろ良いですよね? さぁ、これでもまだやりますか? ゲームをギブアップしたければ一言、喧嘩を売ってごめんなさいと言って頂きましょうか? 今回のことを反省して、私にダル絡みをしないと誓ってくれるなら帰してあげますよ?」

 

「……アタシはまだ負けてねぇ!」

 

「この状況で何が出来ると? 不意打ちに銃でも撃ってみます? 油に引火して燃えるのはあなたですよ? そして私も我慢してるんです。気が変わらないウチに謝った方が身のためですよ?」

 

「…………」

 

「これで最後です、降参しなさい。もしこれで辞めないならばさっきよりも強く頬を叩きますよ? そうしたら今度こそ蝋燭が倒れちゃうかもしれませんね♡……まぁ私としてはもうちょっと楽しみたいので、そっちでも良いんですけど♡」

 

「…………さい

 

「?」

 

「ごめんな……さい」

 

 縛られ今にも燃えるかもしれないと言った恐怖に怖気づいたのか、涙を浮かべながら謝罪をしたレオパルト。

 それを見たノワールカーネリアンはニヤリと邪悪に笑うと……。

 

「はい、おしまい!」

 

「ぬが!?」

 

 具現化していた縄や油、蝋燭を消してレオパルトを自由にし、急に解放されたことで重力に従って地面に叩きつけられたレオパルト。

 

「喧嘩する相手は選んだ方が良いですよ。もしかしたら私みたいなとんでもない怪物がいるかもしれないのでね……。それでは阿良河さん、また明日。一応足は病院で診てもらって下さいね〜」

 

 そう言って帰って行ったノワールカーネリアン。

 

「……ちくしょう……ちくしょう!!」

 

 レオパルトは地面に拳を叩きつけながら、悔しそうに叫ぶ事しか出来なかった。

 ……やはり素晴らしいね、ノワールカーネリアン……いや、えりす。なんとしてでもエノルミータに欲しい。

 ……そう言えば彼女には妹がいたね。彼女を勧誘すれば入ってくれるかな?

 

「……いや、やめておこう。これ以上一線を踏み越えるのはボクの身も危なそうだ」




 おまけ

(えりす視点)

「……ふぅ、ここまで怖がらせればもうちょっかいは出して来ませんよね? ふぅ、いくら私の本音も交えたとは言え演技も楽じゃないですね。……一応油は色のついた水。蝋燭も倒れないようにしていたとは言えやり過ぎてしまったでしょうか? ……引きこもったりしたらどうしましょう?」

※先ほどのあれはタダの演技でしたw(本性自体はヴェナさんの言う通りちゃんとサイコパス)
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