悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
オイタをし過ぎたレオパルトこと阿良河キウィにちょっぴりキツめのお仕置きをしてから数日後、彼女はすっかり大人しくなる……
「えりす〜。今日こそぶっ倒すからアタシと戦え〜」
「嫌ですよ面倒臭い。うてなと寿司でも行ってくれば良いじゃないですか」
「誘ったけど断られた〜」
なんて事はなかった。
彼女にとって死の恐怖に怯えて敗北を認めた事は相当屈辱だったようで、あれ以降私のことをライバル視するようになってしまったのだ。
なんでも今度こそは私を爆殺するのだとか。はっきり言って迷惑です。
「ちょっとうてな、あなたキウィ係でしょう? ちゃんと面倒見て下さいよ」
「ご、ごめんね。ちょっと今日は……」
おや、勝手にキウィの世話役に任命した事に対してツッコミは無しですか? ……というか大分落ち込んでますねぇ。
嫌にテンションが低いうてなに事情を聞くと、曰く今回のテストで悪い点数を取ってしまい追試になってしまい、そんな彼女にうてなママが次の追試で合格点を突破出来なかったら、うてなが汗水垂らして集めたトレスマジアのグッズを全部捨てると言ったのだとか。
「うぅ……魔法少女との戦いで勉強の時間取れなかったよ〜……」
「えー、でもアイツらとのバトルってそんなに時間かかるっけ?」
「そうですねぇ。私が帰宅してから洗濯物取り込んで、夕飯作って、お風呂掃除して、お母さんのシャツにアイロンかけてその他諸々も……全部含めてざっと二時間くらいで終わりますし、毎日二時間以上の激闘を繰り広げなければ時間なんて取れると思いますが」
「ゔ」
「さぁ、白状しなさい。どうせあなたの事だから魔法少女もののアニメ見てたかゲームしてたかエロ本読んでたかのどれかなんでしょう!?」
「……ご、ごめんなさい……エロ本読んでましたぁ……////」
両手で真っ赤に染まった顔を隠しながらそう白状したうてな。
この際以前の蝋責めの仕返しというわけではないですが、色々と白状してもらいましょうかねぇ。……おっと。
「そう言えば今日妹と一緒に帰る約束してたんでした。命拾いしましたねぇうてな?」
「えりす妹いんの〜?」
「うん、こりすちゃんって言うんですけど中々に可愛くて……私に勝てないからって妹狙いやがったらこの間よりも過激で血みどろなアレやコレで殺しますからね?」
前回はあくまで演技だった為始めっから殺す気はなかったが、せっかくのスイーツよりも極上なご馳走が目の前にあったというのに必死で我慢してたのだ。
そんな私の慈悲を仇で返したらどうなるか……。流石に分からないあなたではないでしょう?
だがキウィは心外だと言った顔をする。
「はぁ? 別におまえの妹関係ないし、純粋な実力でぶっ倒さないと意味ねーだろ〜?」
「……正々堂々な所は好感が持てるんですけどねぇ。喧嘩っ早いところが無ければ…………」
「あ〜、文句あるならやるか〜?」
「やりますか? 妹が待ってるんで三秒でケリをつけて差し上げましょう」
「アハハ、キウィちゃんもえりすちゃんもすっかり仲良くなったよね」
「「よくない(です)!!」」
……そう言えばうてなと友達始めてから結構経ちましたけど、妹を紹介したことありませんでしたね。今度紹介しましょうかね?
◇
その後教室を後にした私は妹と待ち合わせてる公園へ向かう。
さて、小学校は終わるのが早いから先に待ってるって言ってましたけど一体どこにいるでしょう……あ。
「そこにいたんですね。待たせてごめんなさい」
「!」
公園の端のベンチでぼーっと子供達が遊んでいるのを眺めていたこりすちゃんに声をかけると、こりすちゃんはこちらに駆け寄り私に抱きつく。
う〜ん、天使!! ……はぁ、この子を思い切り締め上げたら一体どんな顔を見せてくれるんでしょ……ってダメですダメダメ。いくらレオパルトのお仕置きが不完全燃焼だったとしてもこの感情をこりすちゃんに向けるのはダメです!!
「おーい、サッカーしようぜ!」
「え〜、フリスビーがいい〜!」
「……」ジー
私が己のどうしようもない欲望と戦っていると、遊んでいる子供達をジーッと見つめているこりすちゃんが目に入る。
「……あの子達と遊ばなくて良いんですか?」
「……」フルフル
こりすちゃんの好きな遊びはおままごとだが、今の子達はおままごととかはやらないようで趣味が合わないとのこと。
「なら今日は帰ってお姉ちゃんとおままごとしましょうね」
「……」(눈_눈)
「……なんですかその顔? え、私とおままごとすると最終的にバッドエンドになるから面白くない? あれは誰が見ても感動するハッピーエンドじゃないですか。ちょ、ため息は流石に傷つきますって。……分かりました。なら、おままごとのシナリオとか展開は全部こりすちゃんにお任せしますよ。それなら大丈夫でしょう?」
「ん」コクリ
そんなにダメですかねぇ? 遺産を巡って貶めて貶められて最終的に関係ない第三者に全てを奪われて何もかもを失う展開。全てを失うからこそ第二の人生頑張るぞ〜って気になれる希望に満ちたエンドだと思いますけど……。
まぁ、物語にも好みはありますよね。
「ん」グイグイ
「そうですね。それじゃあ帰りましょ「はーい、ごめんね〜。ちょっと失礼するね〜」ん? ……は?」
どっかで聞いた事がある声が聞こえた為、声の主の方を向くとそこにいたのは複数の看板を持ったマジアマゼンタ。
「んしょ、んしょ」と言いながら目立つ所に甲板を設置してから、山型の遊具の一番上に立つ。
「あ、マジアマゼンタだー!」
「ほんとだ、ねぇ握手して〜!!」
それを見た子供達は大喜びでマゼンタの方を見るが、そんな無邪気な子供達に対してマゼンタは照れながら手を振る。
「みんな応援ありがと〜、でも危なくなるかもだから離れてね!」
そんな事を言うマゼンタの近くに建てられた看板には『マジアマゼンタ参上!』『でてこいエノルミータ』『ばっちこいマジアベーゼ』と書かれていた。
いや、ベーゼこれから追試の勉強あるんですが……と言うか戦いたいなら別に子供達のいる公園を舞台にしなくても良いでしょうに……。
「おや、後一つ看板がありますね。えぇっと……………………お話ししようよノワールカーネリアン?」
え、私も呼ばれてるんですか? ちょっとちょっと勘弁して下さいよ、なんで別に変身せざるを得ない状況でもないのに面倒ごとに首突っ込まなければならないんですか?
「面倒なんで無視しましょう……」
「?」
「あ、なんでもないですよ。ほらこりすちゃん、マジアマゼンタですって。テレビではよく見てますけど生では初めてですよね?」
「ん」コクリ
「せっかくですし、握手してもらってはいかがですか?」
「……」フルフル
どうやらこりすちゃんはトレスマジアにはあんまり興味が無いらしい。
ならばこれ以上ここにいる必要はありませんね。万が一ボロを出してしまったら面倒な事になりますしとっとと帰りましょうそうしましょう。
「むっ! この気配は……マジアベーゼ!!」
回れ右して帰ろうとした瞬間、マゼンタの声で再び振り返る。
……なーにやってんですかベーゼ、あなた今日追試の勉強しなければまずいでしょう?
「みんな逃げて、悪の組織だよ!!」
ジト目でベーゼの方を見てると、マゼンタが公園にいた子達に避難勧告を出す。
ちょうど良い、この混乱に乗じて私達も逃げ帰りますか。
「行きましょうこりす」
「ん」コクリ
踵を返して今度こそ帰路についた私達。
さーて、今日の夕飯は何を作りましょうかね……。最近ハンバーグ、オムライス、スパゲッティと洋食が続いてるのでたまには焼き魚と煮物でも良いかも知れませんねぇ。……こらこりすちゃん? 嫌だと言っても今日は和食にしますよ。好き嫌いはお姉ちゃん許しません。
「時間がないので手早く済ませますよ……!」
パァンッ! ヒュッ ズバッ!!
「……えっ? あっ……何これぇ!!」
「?」
「振り向いてはいけませんよ? ここから先はR18ですからね。こりすちゃんにも私にもまだ早いです」
「……」プクー
子供扱いされたのが嫌で頬を膨らませるこりすちゃんも可愛いですねぇ。
それにしても本っ当に教育に悪いですね。明日うてなに説教しなければ……。
おまけ
〜翌日〜
「ね〜、うてなちゃーん?」
「なに?」
「えりすのやつ魔法少女の真似事してるけど、うてなちゃん的にはありなの〜?」
「ありなんてもんじゃないよ。えりすちゃんはトレスマジアでもなければエノルミータでもない言わば第三勢力なんだよ!!」
「うわ、ビックリした!! ……第三勢力〜?」
「トレスマジアと時に対立して時に共闘するライバル関係……そして最終的にはトレスマジアと和解の末にえりすちゃんも魔法少女に覚醒するの! それはつまりお姫様姿と魔法少女姿のえりすちゃんをメチャクチャにできるってこと……最高通り越してもう神ってるよ!!」
「うわぁ、相変わらずのクソヤバ具合……。ていうかアイツ魔法少女になれるような性格じゃないだろ絶対〜」
「全くですよ。と言うか魔法少女になるくらいなら私は日常に帰りますよ非日常なんて面倒くさい」
「っ! え、えりすちゃん!?」
「あ、いたんだ」
「いました、聞いてました。私をメチャクチャにするだなんて良い度胸してますねぇ、うてな? 昨日のマゼンタの件も含めてO☆HA☆NA☆SHIがあるので校舎裏行きましょうか♡」
「え、昨日の見てたの!? と言うかすごく怖い顔してるよ!? ちょ……助けてキウィちゃーん!!」
「分かった。おいえりす、うてなちゃんを虐めるな〜!」
「ん?」ギロリ
「」ガタガタガタガタ
「き、キウィちゃん!?」
「さ、行きましょう。うてな?」
「ひぇええええ! お助けトレスマジアァアアアアア!!」
「む、誰かの助けを求める声が!!」
「ほっときはるか。いつもの事や」