悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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あぁ……なんて素敵なんでしょう?

「……っ! やりますねアズール!! 流石はトレスマジアです!!」

 

「くっ! ……まだまだぁ!!」

 

 私との打ち合いの他にも具現化の能力で召喚して襲いかかる腕や、ベーゼの作るような魔物の攻撃をも的確に剣でさばくアズール。

 先ほど拘束されていたのを思い出して、拘束してくるタイプの魔物とかは出していないのだが、そうじゃなければこんなにも強かったのか彼女は!!

 

「いいですねぇ、素晴らしいですねぇ。そんなあなたを捩じ伏せてサンドバッグにできたらどれだけ素敵でしょう!! ……まぁ流石にそこまではしませんけど!!」

 

「……出来るものならやってみればいい。でも胸を貸してあげてるとはいえ、そう簡単にはやらせないわよ!」

 

 そう言って私が持っていた鉄パイプを弾き落とすアズール。

 そのまま襲いかかる他の腕なんかを、大気中の水分なんかから生み出したであろう氷の剣をファンネルのように操って、私のサブアームや魔物を次々と破壊していく。

 あぁ、本当に凄い。煩悩を完全に消して戦ってくれているのですね。私の欲求を満たすためだけに……なんて優しい人でしょう。……でもねぇ。

 

「丸腰になったからと私を攻撃しないのは戦略ミスですよ!!」

 

「なっ!? ぐぅ!!」

 

 彼女の両腕を押さえつけて動けないようにすると、思い切り彼女に頭突きをする。

 ……額が鈍器で殴られたような鈍い痛みが走る。……いけないいけない、興奮しすぎて力を入れすぎてしまいましたかね?

 それにしても……

 

「あぁ……額が割れて血が出てしまいましたね……血を流しながら痛みに悶えるその姿……とても素敵です……」

 

「うぅ……痛い。……でもまだよ!」

 

 押さえつけていた私の手を振り払って、剣の峰を当てようとするアズールであるが、私は避けるのではなく敢えて前に出る。

 剣は近距離武器ではありますが、超至近距離だと逆に当てづらい……ほらあなたの方こそ下がってはいかがですか?

 

「舌を噛まないように気をつけてくださいね!!」

 

「あぐっ!?」

 

 そのまま彼女の顎に掌底を叩き込むと、脳が揺れたのか後ろに倒れ込もうとするアズール。

 咄嗟に彼女を抱えて頭を打たないようにゆっくりと地面に寝かせて……よし、脳が揺れてるならしばらくは動く事が出来ないですよね?

 

「……ぐ……う……!」

 

「さぁ、ここからは私の時間ですね♡」

 

 どうしてやりましょうか? まずは抵抗できないように両手両足を切り落として焼きごてで止血……噛まれないようにパンチで歯を一本一本引っこ抜くのも忘れてはいけませんね。

 その後はネイルガンで急所ではない所に穴を開けて言ってジワジワと死にゆく様を眺めて……。あ、でもガソリンかけて火をつけて燃える様を見てみるのも素敵ですね。…………って!

 

「それは明らかにアウトですよ! 今回はあくまで発散したいだけ!! そこまで殺意100%のものを用意しなくてもいいでしょう!?」

 

 ならばどうしますか? 命を奪わず、後遺症も残らないような責苦は……………………。

 そんな事を考えていると、アズールの首筋が目に入る。

 

「…………」

 

「かはっ……あ"……」

 

「安心して下さい、命を奪うつもりはありません。相当苦しいでしょうが……まぁちょっと我慢していただきますね?」

 

 彼女の首をゆっくりと絞める。

 彼女の首を……気道を塞ぎ呼吸を断つと、苦しそうに私の手を掴んでなんとか私の手をどかそうとするアズール。

 ……あぁ……あぁ。涙や涎を垂れ流し苦しむ姿……なんて素敵なのでしょうか? 出来る事ならこのまま死ぬまで見ていたいものですが…………。

 

「……一度呼吸しましょうか?」

 

「フハッ……ハー……ハー……」

 

 必死に酸素を取り込むアズール。

 もう数セット行くのでしっかり呼吸を整えて欲しいところですね。

 

「……それではもう一度」

 

「が……は……!」

 

 再び気道を塞いで呼吸出来なくする。

 ……脳を揺らしてから結構時間が空きましたね。そろそろ反撃される可能性があるので気をつけながら楽しまないといけませんね。

 そう思いアズールを見てみると……

 

「……はっ♡……はっ♡」

 

「…………」

 

 ……私の手をどかそうともせずに、血や涙、涎を流しながらも恍惚な表情で受け入れるアズールの姿。

 そういえばアズールはMでしたね。首絞めすらも快楽に変えられるんですか?

 

「…………」

 

「フハッ!! …………ゼー……ゼー……」

 

「……立てますか?」

 

「ハー……ハー……えぇ。……もう……気が済んだの?」

 

 若干残念そうな顔をしながらも、私の手を取って立ち上がったアズール。

 私は相手の苦しむ姿に興奮するのであって、恍惚な表情をされては逆に萎えてしまうタイプなのです。

 ですがアズールのおかげで欲求も解消できました。

 

「こんな事に付き合わせてしまってごめんなさい。ですがお陰様でスッキリしました。ありがとうございます」

 

「いいえ、気が済んだのなら良かったわ。私もきもち……いえ、なんでもない」

 

「あらあら、別に認めてもなんとも思いませんの「ゼー……ゼー……また逃げられてしもた……ってオゥ、何してんねんお前」あ、サルファ」

 

 マゼンタの肩を借りながらこちらにやって来たサルファは、アズールのボロボロな姿を見て青筋を浮かべてこちらを見る。

 

「アズールやったんはアンタかいな?」

 

「えぇ。本日気分が昂ってしまっていたので、少し相手をして貰ってました」

 

 正直に言うとサルファは「なるほどなぁ……」と言いながら、とってもいい笑顔でガントレットを展開する。

 

「前回の件に免じて一発で許したるさかいそこ動くんやないで?」

 

「待ってサルファ! 大丈夫よ。急に襲われたんじゃなくて相手をして欲しいってお願いされて、それを私が受けたんだか「大丈夫ですアズール。した事のケジメは取るタイプなんで! さぁ、バッチ来なさい!」」

 

「ええ度胸や。そんなら……ぶっ飛べやぁあああああ!!」

 

「がはぁあああああああ!!!!」

 

「ノワールゥウウウウ!!!!」

 

 この日人生で初めて空へ殴り飛ばされて星になりました。今回は私もスッキリ出来たので何にも後悔はありません。

 

 

 ◇

 

 

 その後帰宅した私は、少しとはいえ欲求が解消出来たおかげでムラムラも収まり、上機嫌で夕飯を作っていた。

 今回アズールには本当に悪い事してしまいましたけど、それは次回ピンチの時に助けるかなにかをしてご恩を返すとしましょう。

 あぁ、菓子折りを持ってお礼に行くのもいいかもしれませんね……。

 

 ガチャ

 

「ん!」

 

「あぁ、お帰りなさいこりすちゃん。今日はこりすちゃんの大好物のカレーですけど、カツもあげたからカツカレー出来ます「へぇ、それは豪勢だね。とても機嫌が良さそうだけど何かあったのかな?」はい。先週のベーゼの一件で燻っていた欲求をアズールに解消していただきまして…………ほぇ?」

 

 咄嗟に声の主の方を見ると、こりすちゃんに抱きかかえられたヴェナリータがいた。

 

「…………」

 

「へぇ、とうとうトレスマジアの一人を襲ったんだね。これでえりすも真の意味でエノルミータの仲間入りとおや? なんで僕をミキサーに入れるんだい?」

 

「……なんであなたがウチの妹に抱きかかえられてるんですかねぇ? もしかしてあれですか? 妹を勧誘したとかですか? せっかく機嫌が良かったのに一気に悪くなりました。この責任どう取ってくれるんですか? あなたの死に様を見なければ収まりそうにないんですが? と言うわけでジュースに加工してあげますね? さぁ、消えなさい!!」

 

「ん!」グイグイ

 

「……ダメですよこりすちゃん。コイツはダメです、いくらあなたが悪の組織に興味を持ったとしても姉として認めるわけにはいきません」

 

「…………」ウルウル

 

「そんな顔をしてもダメなんです! 悪の組織に入ると言う事は魔法少女と戦うと言う事、そんな危険な事に足を踏み入れようとするのを止めないお姉ちゃんはいません!」

 

「……」グス

 

「ダメです! 泣き落としには屈しません!! どうせこの性悪マスコットが勧誘したんでしょう!? コイツの言う事の9割は嘘なんで騙されてはいけません!!」

 

「心外だなぁ。ボクもこりすを勧誘するのはキミの逆鱗に触れるからやめておいたんだけど、キミの妹……こりすがボクの姿を見て興味を持ったんだよ? お姉ちゃんなら妹の考えを尊重してあげるべきなんじゃないかな?」

 

「ん」コクリ

 

 ミキサーの中でそうほざく妖精に頷くこりすちゃん。

 どうやら本当にヴェナリータの方から妹の前に姿を現して誘ったわけではなく、妹が偶然見つけてしまって興味を持ってしまったようだ。

 ……ですが。

 

「それでもダメです、認めません。お願いだから分かってくださいこりすちゃん。こんな危険な事に首を突っ込んで……どうしたんです? 私の耳に顔を近づけて?」

 

 

 お姉ちゃん、お・ね・が・い。

 ……妹は私の耳元でそう囁いた。

 

 

「……あの普段無口なこりすちゃんが喋った……そ、それだけの覚悟という事ですか?」

 

「ん!」コクリ

 

「……ヴェナリータから聞いてるでしょうが、私はエノルミータの変身アイテムを持っています。ですが正式には所属しておらず、これからも入る気はありません。……つまり私と一緒ってわけではないんですよ?」

 

「ん!」コクリ

 

「……決してやりすぎない事。関係のない人には絶対に迷惑をかけない事…………この二つを守れますか?」

 

「ん!」コクリ

 

「……ならば私はもう何も言いません。ですが後悔しないようにする事、いいですね?」

 

「ん!」コクリ

 

 ……これまで決して一言も話さなかったこりすちゃんが話してまで私に意見を通そうとしたのだ。

 そこまでの覚悟を見せられてしまったならば、もはや私はなにも言えない。

 流石にこりすちゃんの為に私までエノルミータに入る気はないですが、せめてうてなとキウィには話をつけておきましょう!! 正体バレしたのなら私も一緒に罪を償いましょう!!

 私はもう止めません。ですのでどうか、自分の信じる道に従ってまっすぐ進んで下さい!!

 

「……」ニヤリ

 

「こりす、キミも結構腹黒だよね?」




 生まれて初めてこりすの声を聞き、断りきれずに折れてしまったダメなお姉ちゃんであった。


 〜おまけ〜

「本当にエノルミータに入る気は無いのかい? こりすもいるというのに」

「えぇ。妹がいるなら私も入ると思ったんでしょうがそうは行きませんよ? こりすちゃんは私の反対を押し切ってまでエノルミータに入る決断をした。ならばエノルミータでは私の助けなくあの子一人で頑張らないとダメなんです」

「……こりす、お姉ちゃんに一緒に入ろう? ってお願いしたらどうだい?」

「……」フルフル

「流石はこりすちゃんですね。ですが明日だけは一緒に行動しましょうね? 友人を紹介しますから」

「ん」
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