悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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ウチの妹に手ェ出すんじゃありませんよ?

 翌日の放課後、私とこりすはエノルミータのアジトだと言うナハトベースに案内されていた。

 本当はこりすちゃん一人で行かせるべきなんだろうけど、一番最初くらいは様子を見た方がいいと思ったのだ。

 

「…………」グイグイ

 

「どうしました? え、お腹が減った? なら家から持って来てたカラムーチョでも食べます?」

 

「ん」コクン

 

 ……これにしてもうてなもキウィも遅いですねぇ。ヴェナリータが呼んでた筈ですけど……

 

「おじゃましま〜す。ゔぇ……ヴェナさーん……来ましたけど〜」

 

「うてなちゃん、もう帰ってホテルとか行こ?」

 

「行かないよ?」

 

「あ、やっと来ましたね。いくら悪の組織だからって時間にルーズなのはいかがなものですか?」

 

「え、なんでえりすがここいんの?」

 

「ついにえりすもエノルミータに入る決意を固めてくれたから案内したのさ。今日は新人としてえりすとこりすを紹介しようと思ってね」

 

「おい、何自然と私も入るように言ってんですか? 私は今回あくまでも「は? えりすちゃんがエノルミータに入る? ふざけてるの?」え、うてな?」

 

 ヴェナリータの口から出まかせを指摘しようとすると、とっても冷たい目をしたうてながズンズンと私の前に歩いて来て、グイッと胸ぐらを掴み上げる。

 ちょ、一体どこにそんな力が……!?

 

「えりすちゃん、あなたは第三勢力の筈だよね? 力は悪だけど心は正義ってタイプだよね?」

 

「あのうてな、ちょっと私の話聞いてくれません? と言うか私が正義って何言ってんですか?」

 

「トレスマジアと心を通じ合わせて魔法少女になるのはいいけど、悪に屈服してエノルミータに入る? いけないいけないいけないいけないいけないいけないいけないいけない!!」

 

「いや、だからヴェナリータの──」

 

「えりすちゃん、ちょっと変身しよっか? 私がそのふざけた根性叩き直してあげるか「話を聞きなさい!!」ハベシッ!?」

 

 とうとうトランスアイテムを取り出してこちらに詰め寄り出したため、うてなを思い切りビンタして引き剥がす。

 

「うてなちゃん!? テメ、えりす何すんだ〜!!」

 

「やかましい! 人の話を聞かない方が悪いんですよ!! 私、入る気ありませんから!! エノルミータに入るのはこりすちゃんですから!!」

 

「ん」ビシッ

 

「「……え?」」

 

 私の後ろからひょっこり現れたこりすを見たうてなとキウィは、頭にハテナマークを浮かべて首を傾げた。

 

 

 ◇

 

 

「……改めて彼女の名前は杜乃こりす。ボクらの新しい仲間さ。今日からよろしく頼むよ?」

 

 こりすちゃんにぬいぐるみのように抱き抱えられているヴェナリータが妹を二人に紹介する。

 こりすちゃんの苗字を聞いたうてなとキウィは「もりの……」と思案した後にすぐ私の方を向く。

 

「えりすと同じ苗字じゃん。え、もしかして妹〜?」

 

「……えぇ、ヴェナリータが人の妹勧誘しやがった上に、こりすちゃんも入る気満々で止められなかったんです。今日私がここに来たのは、あくまでこの子を二人に紹介したかったから……。これで誤解は解けましたかねぇ、うてな?」

 

「う、うん。疑ってごめん。……そ、それにしてもヴェナさん。仲間ってこの子がですか……?」

 

「ああ」

 

「……ヴェ、ヴェナさんちょっと……!」

 

「ん?」

 

 こりすちゃんの腕から脱出してうてなの方へ行ったヴェナリータ。

 ヒソヒソとこりすちゃんに聞こえないように話をしていた為、私もヴェナリータの後を追って二人の会話に入る。

 

「ちょっとヴェナさん何考えてるんですか……!! あんな小さい女の子を……よりにもよってえりすちゃんの妹をかどわかすなんて……!!」

 

「おやおや人聞きが悪いね。僕は彼女を騙してなんかいないし、むしろえりすの逆鱗に触れるから彼女と関わろうとは思わなかったよ。事実えりすの逆鱗に触れて危うく昨日はミキサーにかけられかけたからね」

 

 そこまで言うとヴェナリータは、昨日の夕方のこりすちゃんとの出会いを話し出す。

 なんでも昨日路地裏で誰かと連絡してたらしいが、その際に帰宅途中にヴェナリータの姿を目撃したこりすちゃんに尻尾を掴まれたんだと言う。

 

「悪の組織に興味があるか聞いたら、興味を持ったから入れたんだよ」

 

「なんか組織に入れる理由適当じゃ無いですか?」

 

「と言うか結局あなたから誘ってるじゃ無いですか」

 

 世のため人のため……やっぱりこいつはここで処分しておいた方がいいんじゃ無いですかね?

 そう思いバックの中に入れてたカッターナイフを取り出そうとすると、こりすちゃんがヴェナリータを抱っこする。

 ヴェナリータの事をぬいぐるみとして気に入ったんでしょうか? 流石にここで殺ったらこりすちゃん泣くでしょうしやめておきますか。

 

「け〜っあざとく可愛さアピかよ〜」

 

 カッターナイフをしまっていると、こりすちゃんの何が気に入らなかったのか、キウィがこりすちゃんに絡み出す。

 

「おらおら、パイセンにあいさつしろや〜」

 

「や、やめなよキウィちゃん!!」

 

 だがウチの妹はキウィのダル絡みを、無表情でジーッと見つめるだけ。そこに一切動揺はなかった。

 

「うてなちゃんこの子絡みずら〜い!」

 

「こんな小さい子に絡みずらいは……あとキウィちゃんは今すぐこりすちゃんに土下座した方がいいんじゃないかな?」

 

「え、なんで?」

 

「だって……」

 

「キーウィ? 人の妹にダル絡みするなんていい度胸してんじゃありませんか〜?」

 

 しまいかけてたカッターナイフをキウィの首筋に突きつけて、綺麗な作り笑いをする。

 キウィは私の妹に手を出した。それはつまり処刑案件。

 大丈夫、ここは一般人が絶対に来れないところだから、うてな達が黙っている限りここでの殺人はバレやしませんよ。

 

「それでは私ちょっとコイツ埋めてくるんで、うてなはこりすちゃんと遊んであげてて下さいね〜♪」

 

「ぎゃ〜、えりすの妹って忘れてた〜!! 謝る、謝るから許して〜!!」

 

「……」

 

 キウィの頭を掴んでナハトベースを出ようとした瞬間、こりすちゃんが私を止める。

 ……え、やめて? 仕方ありませんねぇ……

 

「仕方ありません、こりすちゃんに免じて許して差し上げましょう。……次はありませんからね?」ニッコリ

 

「ゔぁ〜ん! あ"りがど〜、こりす〜!!」

 

「……」グッ(サムズアップ)

 

 私から解放されたキウィは泣きながらこりすちゃんに抱きつこうとしてこりすちゃんは一歩右にずれて避難。

 流石はこりすちゃん、キウィを庇ったのはキウィに貸しを作る為だったんですね! 流石です!!

 

 こりすちゃんの頭を撫でていると、こりすちゃんの腕の中にいたヴェナリータが話始める。

 

「今日はこれからこりすの力をお披露目しようと思うんだ」

 

「え"っ……!! それってトレスマジアと戦うって事ですか!?」

 

「いけるね、こりす?」

 

「……」コクン

 

「だ、だめだよこりすちゃん……!! すごく危ないんだよ……!? えりすちゃんもいいの? 危ないんだよ……!!」

 

「私も昨日言ったんですけどねぇ……ですがそれでもやりたいって言ったのはこの子なんでお任せしようと思いましてね」

 

「でも……!」

 

 変身していないときは基本常識人のうてなが、こりすちゃんを止めようとするが、それより先にヴェナリータがこりすちゃんにトランスアイテムを押し付けて「はい、変身(トランスマジア)」と唱え、トランスアイテムが光り輝き始めた。

 ……結局昨日はこりすちゃんの変身見てませんでしたが、一体どんな姿になるんでしょうか?

 妹の晴れ姿にドキドキワクワクしながら光が収まるのを待つと、そこには不思議な国のアリスをモチーフとした姿になったこりすちゃんが立っていた。

 

「……は? かわいいかよ。ちょっ……はっ……しゅごい……かわいぃぃぃ……アリスモチーフはおんなのこのあこがれぇ……」

 

「うてなちゃんアタシの方が「もちろんキウィちゃんも可愛いでしょ!! 軍服モチーフも最強!! 100億万点満点エモ!!」やぁ〜ん、う〜れ〜し〜い〜!!」

 

「変身ヒロインはみんな神!!」

 

 絶賛大興奮のうてな。

 流石にうてなほど取り乱す気はありませんが、流石はこりすちゃん。何着ても似合いますねぇ。せっかくだから写真撮ってアルバムにでも入れたいところですが……お母さんがビックリしてしまいますよね……。

 

「もちろん、えりすちゃんの女王モチーフも……待って。えりすちゃん悪いけど変身してくれない?」

 

「えぇ〜、嫌ですよ。変身したらあなた襲ってくるでしょ「良いから早く!!」っ!? は、はい!! 変身(トランスマジア)!!」

 

 あまりの気迫に押されて脊髄反射で変身してしまった私。

 ノワールモードの私を見たうてなは、こりすちゃんと私を交互に見て「うへへへ〜」っと笑う。

 

「やっぱり、アリスモチーフとハートの女王モチーフの姉妹コーデ〜。神だよ本当に神ってるよ〜」

 

 え、その為だけに変身させたんですか?

 確かに言われてみれば同じ不思議な国のアリスの仮装ですし、そう考えると姉妹コーデって言えますね。

 さて、そろそろうてな達は出撃するみたい。ならば私はここまでですかね。

 

「それじゃあ、私は帰りますね」

 

「え〜、えりす帰んの?」

 

「えぇ。妹の戦いを見たいのは山々ですが流石にエノルミータに協力する気は無いですし……」

 

「安心して、しっかり動画に納めて送るから!!」

 

「ナイスです! それでは私はこれで……うてな、キウィ、妹をよろしくお願いします。あぁ後……ウチの妹に手ェ出すんじゃありませんよ? もし手を出したときは明日の朝日を拝めなくしてやりますからね?」ニッコリ

 

「う、うん分かった……。流石にこんな小っちゃい子にイタズラしようとは思わないし……」

 

 本当に頼みますよ? 聞けばキウィにもイタズラしたって聞きましたし、今のところ関わった変身ヒロイン全員にイタズラした事になりますからね?

 例に漏れずこりすちゃんに手を出したら本当に怒りますよ?

 

「それじゃあ、夕飯までには帰ってくるんですよ?」

 

「ん」

 

 私はひと足先にナハトベースを後にして自宅に転移した。

 

 

 その夜。うてなからこりすちゃんの……エノルミータのネロアリスの初戦闘シーンが納められた動画が送られてきて、こりすちゃんと一緒に見たのだった。

 

「凄いですねぇ。おもちゃを使う能力だなんて……」

 

「……!」

 

「え? エノルミータの作戦で使いたいから、今度おもちゃ買って? ……フフ、来週のテストで90点以上取れたら良いですよ〜?」

 

「……」ムス

 

「はいそうです、私はケチなんで〜す」

 

 ……それにしてもドールハウスを使った結界……それに認識操作と姿の変化……私の具現化の能力にも応用出来るでしょうか?




 妹の戦い方を見たえりすに強化フラグが立ちました。

 えりすのイメージCV──能登麻美子
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