悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
ピンポーン
「おや、誰でしょうか?」
今日は外が寒いからまったりと家でお茶でも啜ろうと考えていると、インターフォンがなったため玄関を開けると、そこにいたのはやけに厚着をしてマスクをしたうてなだった。
「あらうてな。どうしたんですか……ってかなり顔色悪いですね、もしかして風邪ですか?」
「う、うん……ゲッホゴッホ!!」
「……ちょい失礼」
「え?」
うてなの額に手を当てて熱を測ってみると、とても熱い。あぁ、こりゃ完全に風邪ですね。
「全く風邪ひいてるのに外に出るなんて何考えてるんですか。ほらベッド貸してあげるんで、落ち着くまで休んで行きなさい」
「あ……ありがとう……。ヴェッホ!! ごっほ!!」
フラフラなうてなに肩を貸してやり自室のベッドに寝かせてあげると、お薬箱に入れてある熱さまシートを持ってくる。
「?」
「あぁ、こりすちゃん……。今私の部屋に入ってはダメですよ。うてなが来たんですが風邪引いてたんです」
「!」
「あ、コラ。こりす!?」
うてなの名前を聞いたこりすちゃんは、私の言いつけを完全無視して私の部屋に入っていく。
慌ててこりすを追いかけて私も部屋の中に入る。
「!?」
「う、うん。大丈夫……心配かけてごめんね……」
「ほら、出ましょう。うつってあなたまで風邪引いたらうてなが悲しみますよ」
「あ、待って……。こりすちゃん……これ……」
「!!」
「え、これって……」
うてなはバッグから一つの人形を取り出してこりすに手渡す。
……これ、間違いありません。以前のこりすちゃんの誕生日にお母さんが買ってあげた、アンティークドールですね。しかも私が買ってあげた着せ替えセットまで……。
確かこれは最初はこれでたくさん遊んでくれてたけど、遊びすぎてボロボロになってからは大切にこりすちゃんの部屋に飾ってあったもの。
もしかして……
「うてなあなた……これ修理してくれたんですか?」
「うん……大切そうにしてたから……」
「……ありがとうございます。これこりすちゃん大切にしてたから、なんてお礼を言ったらいいか……ほら、こりすちゃん。うてなお姉ちゃんにお礼は?」
「〜♪ 〜♪」ペコリ(笑顔で頭を下げる)
「どういたしまして……喜んでもらえて……よかっ……ごっほげほごっほ!!」
「ほら、水飲んだらちょっとはマシになるかもしれません!」
「ぁ、ぁりがごっほげっほ!!」
咳が止まらなくなってしまったうてなにポカリを渡す。
どうせうてなの事です。部屋も暖かくせずに徹夜で修理して無茶したのでしょう。
こりすちゃんの宝物を修理してくれたんです。咳が治るまでは私が精一杯看病してあげようじゃないですか!!
「ん!」グイグイ
「どうしました、トランスアイテムなんて出して……あぁ、なるほど、アレをするつもりですね?」
「ん」コクン
「分かりました。ならば私もお手伝いします」
「ん!」コクン
「……ぇ? えりすちゃん、こりすちゃん? 一体何を……?」
「「
こりすちゃんと私はトランスアイテムを取り出して、ノワールカーネリアンとネロアリスに変身する。……と言うかこりすちゃん今さりげなく喋りました? 変身するときも普段は無口なのに、いつもより気合が入っているって事ですね。
「え……ノワールちゃん? アリスちゃん?」
「それではアリス病院にご案内〜♪」
アリスちゃんが一度自室に戻って持って来た、病院のドールハウスを媒体にうてなをアリスちゃんの結界の中に閉じ込めた。
◇
こりすちゃんこと、ネロアリスの能力はおもちゃを操る能力。人形ならば動かす事が出来るし、ドールハウスを使えば結界すらも作る事が出来る。
我が妹ながら本当にチートな能力を持ってるものですね……。
「……え? これ……はアリスちゃんの……」
「はい、柊うてなさんですね?」
「え……?」
キョロキョロとアリスちゃんの結界を観察していたうてなだが、私の声でこちらを向く。
うてなの目の前には成長して女医の姿になったアリスちゃんと、ナース服を着た私がいた。と言っても私は具現化の能力でドレスをナース服にしただけですけど。
「あぁ……せんせいにかんごふさん……」
「はい、アリス先生と看護婦のノワールです。今日はどうなさいました?」
「わたし……かぜみたいで……」
アリスちゃんの結界による役割を付与されたからか、それとも本当に風邪が辛いのか、意識が朦朧としながらもなんとか話すうてな。
「風邪ですね……取り敢えず熱測っちゃいましょうね。こちら体温計です」
「あぁ、ありがとうございます……」
体温計を脇に挟んでもらい、アラームが鳴るまで待ってから体温計を回収。熱を見てみると39度。
ありゃぁ、こりゃあ結構酷いですね……。
「では次は喉の様子を見せてくださいね〜」
「くち……あけるんですか……? あぁ……っ」
「先生、お願いします」
「ん」コクリ
「ん……は……っ……えぁ……」」
いやぁ、それにしても今のうてなは風邪で顔とか真っ赤だからか色っぽいですねぇ。そんな顔されたらうてなの頭に氷水ぶっかけて外に放置して、風邪が悪化する様を観察して楽しみたいものです。……でもそんな事したら、もしかしたら死んでしまうかもしれないので自重自重。
女医になったアリスちゃんがうてなの喉の様子を確認すると、喉の様子が近くのディスプレイに表示される。
「?」
「あぁ、扁桃腺が腫れてしまってますね。これでは喉が痛いでしょう」
「!」フムフム
アリスちゃんは喉の様子を見ても何が悪いのか分からないため、私が代わりに教えてあげる。
あくまでおままごとを通しての治療であって、そこに医療の知識とかありませんもんね……。
アリスちゃんは次は白衣を脱ぐような動作をして、うてなに服を脱ぐように訴えかける。
「次は心臓の音を聞くそうです。服を脱いで胸を見せてくださいね〜」
「うぇ……はい、ぬぎます……」
そう言って服を脱いで、下着をずらして胸を見せる。
……こ、これは……チャンスではないですか!!
咄嗟にうてなのあられも無い瞬間を写真に収めておく。
……よし、これでうてなの弱みを手に入れました。あまりにベーゼ状態でのイタズラが酷いときはこれで脅してやりましょう……。
「おねがい……しま……す。みて……ください……」
「ん」コクン
私がうてなの痴態を写真に収めていると、アリスちゃんは聴診器をうてなの左乳首に当てようと……
「先生、心臓は左胸にあるって言いますけど、実際は左寄りの中央に位置してるんでもう少し聴診器は身体の中央に……そうそうそこです」
「!」フムフム
「……ん……」
心臓の音を聞いたアリスちゃんは最後は注射器を取り出す。
え、流石に薬品を打ち込むのは不味くないですかね……え、今読み取った情報を元にうてなの風邪を治す薬を結界が自動的に培養してくれた? ……何それチート過ぎません?
「ちゅう……しゃ……せんせぇ……わたしこわい……です……。やさしく……してください……」
アリスちゃんはうてなの二の腕に注射器を刺そうと……。
「先生、注射の前に消毒しないと注射から細菌が入ってしまいますよ?」
「!」( º ㅿº)ハッ!!
「……せんせい?」
◇
その後注射も滞りなく終了し、薬の拒否反応がないかを一応経過観察してから、ドールハウスの結界を解除してうてなを解放する。
「……はっ!? え、私……」
「うてな、身体の調子はどうですか?」
「……治ってる。ありがとう、こりすちゃん、えりすちゃん」
「いえいえ〜」
「♪」ナデナデ
風邪が治ったうてなの頭を撫でるこりすちゃん。どうやらうてなの風邪が治って一安心したみたいですね。
「さーて、そろそろお昼ですし、うどんでも作りましょうかね。うてな、お昼はここで食べていってください」
「え、でも昨日もご馳走になっちゃったのに悪いよ……!」
「大丈夫ですよ。あくまでも妹の宝物を修理してくれたお礼の一環なんですから。それに治ったと言ってもまだまだ病み上がり。油断してると再発するかもしれないんで、しっかりした栄養補給と休息は必須です」
「……」ギュ
私がうてなを説得していると、こりすちゃんがうてなの裾を掴んで彼女をじっと見つめる。
「あ、こりすちゃん……」
「……」キラキラ
「それにこりすちゃんもすっかりうてなに懐いたみたいですしね」
「……わかった。それじゃあご馳走になっちゃおうかな……?」
「えぇ、お昼出来るまで暖かくしてゆっくりしてて下さいね」
「♪」
その後今日はうてなと一緒にお昼を食べて、寒い中帰すわけにもいかないので、転移門をうてなの自宅に繋げて帰したのだった。
〜おまけ(と言っても今回はアニメでやっていたシーン)〜
それから翌日……
「うぇ〜マジ〜!? そんなことあったんだ〜!!」
「う、うん」
「言ってくれればつきっきりで看病したのに〜」
「で、でもこりすちゃんとえりすちゃんが能力で治してくれて……」
「私はあくまでお手伝いしかしてないんで、今回はこりすちゃんのお手柄でしたよ」
「……」グッ(サムズアップ)
「すげ〜なこりす〜……ハッ! こりすの能力使ったらうてなちゃんと赤ちゃんプレイ出来るのでは……!?」
「あ、あああああ赤ちゃんプレイ!?」
「聞こえてますよキウィ。こりすちゃん、やっておしまい!」
「ん」コクリ
キウィは牢屋にぶち込まれました。