悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
その後追い討ちをかけたいと言う衝動をなんとか我慢してアリスちゃんの治療を手伝った。
そしてその翌日、私はうてなのお見舞いがてら事情を聞いてみたのだが、予想を遥かに超える事態にうてな達は巻き込まれていた。
「エノルミータの内乱ですか……」
「うん。ロードさんって人達が急に現れて急に離反して、世界征服に誘われたんだけど断ったら襲われた」
「……」
世界征服ってそいつらバカなんですかねぇ?
万が一軍隊とやりあえる武力を持っていたとしても、仮に核兵器でも持ち出されたらどうするんですか? 耐えられる自信あるんでしょうか?
「それにしてもロード達の裏切り、ナハトベースの占領……由々しき事態だね」
「そんなことよりうてなちゃんケガ大丈夫!? ごめんね!?」
「謝らないでキウィちゃん……」
なぜキウィが謝るのか疑問であったが、巨大化の能力を持つ敵の胸で絞め殺されそうなところを、キウィことレオパルトの爆弾で無理やり突破したそうで、うてなの怪我はレオパルトを庇って爆発に巻き込まれたからなんだとか。
いやぁ、命を大切にしてほしいもんですね。
「でも今は少し休みたいかな?」
「わかった!! 帰るね!! お見舞い持ってまた来るね!! バイバイ!! おら、えりすも帰んぞ!!」
「えぇ、それではうてな。お大事に」
「あぁ、悪いがえりすは帰らず少し残ってくれるかい?」
「…………」
「そんな顔しないでおくれよ」
いや、だってあなた私のところに来るときは決まって勧誘だったり脅迫ばかりじゃ無いですか……。
ぶっちゃけマジで関わりたくないんですよ。いや、本当に……
仕方がないのでキウィとこりすちゃんは先に家に帰して私一人残る。
「それで、何のご用ですか?」
「単刀直入に言おう、ロード達は君のことを狙っているよ」
「……え?」
私のことを? 別にロードとやらの連中と関わったことないんですが……。
「君はノワールとしての力を得てから、銀行強盗だったり飛行機墜落だったり善行を積んできてるね」
「まぁ成り行きで……文句は受け付けませんよ。無理矢理変身させたのはあなたですからね」
「そうですよヴェナさん。えりすちゃんは第三勢力だから口出しは御法度ですよ……」
「……まぁ思うところはあるけど今はその件は置いておこう。どうやらロード達はボク以上にエノルミータの力を持つ君が善行を積む事が面白くないようでね。ロード達はこれから魔法少女と同様に君のことも狙うだろう」
なるほどですね。
確かにそれは危険かも知れません。運のいい事に正体はまだバレて無いみたいなので、今まで以上に変身を控える。そして変身したらすぐに離脱を心掛けたほうがいいかも知れませんね。
「分かりました。では当分私も大人しくしておきましょうかね」
「でも大人しくしてた所でいつかはバレるだろう? ……だからえりす、君は一時的にこっち陣営に入ってくれないかな?」
「「……え?」」
私とうてなは何言ってんだコイツ? っと言った顔でヴェナリータを見る。
ヴェナリータ曰く、ロード団の戦力が4人に対して現エノルミータ側の戦力は3人。故に私が入れば相手の数の利が無くなり対等に戦えるだろうとのこと。
「で、でもダメだよヴェナさん! 仮にでもエノルミータになんて入ったらそのままズブズブと……」
「確かに少し困ってしまいますね。最近トレスマジアにどうして悪の組織やってるのかって尋ねられるくらいには好感度上げられた上に、最近では修行にも付き合うようになったのに……」
「は? ……え? もうそこまで来てるの? てことは光落ちも近いって事だよね!? ならえりすちゃんはこのまま魔法少女になっちゃって!! ロードさん達は私達でなんとかするから!!」
「……これは本当に由々しき事態なんじゃないだろうか? ここまで思い通りに動かない駒は初めてだよ……」
あらあら随分と困っていますねヴェナリータ。あと今私らのこと駒扱いしました? 今ここで排除してやりましょうか?
「でもこのままでは私の日常生活まで邪魔されそうですし、万が一エノルミータが負けて明日はメンバー全員のお葬式というのも笑えませんよね」
うてなやキウィもそうですが、 万が一こりすちゃんが死んでしまったら……大切な妹が死んでしまったら私は絶望する自信があります。
たまに笑顔を見せるたびに殺してあげたくなる私が言うのもなんですが、あの子には健やかに幸せに育ってほしいと言う姉心もちゃんとあるんです。
「ならロード連中が出てきたときだけ共同戦線を張るとしましょう。うてなもいいですね?」
「うーん、私としてはまだ不満だけど……こりすちゃんが心配なら仕方がないよね……。うん、分かった」
不満はあれど渋々と言った感じで頷くうてな。
心配せずともトレスマジアにはアズール経由で事情を伝えておきますよ。
◇
うてなとヴェナリータとの話し合いの末に、ロード達が出て来たときのみエノルミータに協力すると言う同盟を組んだ私はすぐさま小夜に連絡を入れて事情を説明する。
『……え……は……? ご、ごめんえりす。今なんて言った?』
「エノルミータから離反した人達がいるようで、私も離反組に狙われているらしいのでエノルミータと一時的に手を組む事になりました。……と言っても離反した者たちが出て来た場合に限りエノルミータと共同で当たると言うだけですけど」
『き、聞き間違いじゃなかったのね……。でも離反した人達に限りって事はえりすは私達と敵対しないわよね?』
「えぇ、あくまでも手を組むだけで離反したエノルミータに戻る気はありません。申し訳ありませんがこの情報をマゼンタとサルファの二人に送っていただいても?」
『うん、分かったわ。教えてくれてありがとう』
よし、これでトレスマジアにエノルミータの内戦についての情報は回しました。
もしエノルミータと一緒に行動している所を見られたとしても追及される事はないでしょう。……というかおそらくサルファあたりが漁夫の利を得ようと、トレスマジアは当分修行に専念するでしょうし鉢合わせてしまう機会は減るでしょうね……。
『そう言えば私達これからまた修行しに行くんだけどえりすも一緒にどう?』
「今日はこれからスイーツでも食べようと思ってたんで、またの機会にお願いします。……と言うかあなた達一応私が敵って事忘れてませ「レオパルト!! ネロアリス!! どこよおっ!! 出て来なさいよっ!!」……うるさいですねぇ。……と言うかレオパルト? ネロアリス?」
その名前が出てくるって事はもしかして……
声の方を向いてみると、そこには胸が空いたセーラー服を着込んだ少女がいた。胸丸出しな上にマイクロビキニって恥ずかしくないんですかねぇ? それとも痴女か何かでしょうか?
ってそんな事より、彼女がもしかして…………
『い、今のってもしかして……!!』
「すみません、切りますね」
『あ、ちょ──』
「
不利になったら逃げればいいですし、ちょっと喧嘩でも売ってみますか。
おそらく彼女によってであろうメチャクチャになった地面を進み彼女の前に立つ。
「失礼、そこの痴女さん? 随分とメチャクチャにしてますけど後でこれを整備する人の事……ちゃーんと考えてますか?」
「だ、誰が痴女よ失礼ね!! ……ってあなた、もしかしてノワールカーネリアン?」
「はい」
直後余裕がなさそうだった少女はニヤリと笑う。
「丁度いいわ……。レオパルト達に逃げられちゃったけど、裏切り者のアンタを倒せばロードさまに褒められるってもんよ」
裏切り者って私そもそもあなた方の部下になったつもりはないんですけど?
と言うかレオパルトに逃げられたって先ほどまでは彼女とアリスちゃんと戦ってたんですか。どうやら入れ違いになってしまったようですね……。
「アンタもレオパルトと同じで星なしな上にネロアリスみたいな救援はもう来ない……負ける要素が見当たらないわ」
「星なし? どう言う意味ですか?」
「あら、知らないのねぇ。なら教えたげるわ」
彼女……ロコムジカ曰く、私達女幹部には身体のどこかに星が刻まれており、その星は私達の強さを表すものなのだと言う。
それを聞いて思い返してみると、ベーゼは目の下に星が二つ、レオは星がなくて、アリスちゃんはおでこに星が三つありましたね……。
アリスちゃんのおでこにちょこんとついてて可愛いと思っていましたが、まさかそう言う理由があったのですね。
「私は星3つ、それに対してアンタはゼロ! 一体どうやってロコに勝つつもりかしら?」
「……フフ」
「何がおかしいのよ?」
「いえ、すみません。あなたが勘違いして得意げに語っているのがあまりに滑稽でしてね」
「はぁ!?」
額に青筋を浮かべるロコムジカを無視して、私は左の手袋を外して手の甲を彼女に見せる。
私の左の手の甲には星が二つ刻まれているんです。
「……私もちゃんと星はあるんですよ?」
「……なーんだ、あったんだ。でも所詮は星二つ! ロコの敵じゃないわね!!」
「ならやってみれば良いじゃないですか」
「もちろん。レオパルトにはしてやられたから、もう油断はなしよ! 一気に潰してあげるわ!!」
そう言ってロコムジカはマイクを構えた。
星三つって事はアリスちゃんと同じくらい厄介な能力を持ってるかも知れませんねぇ。今回はロコムジカの能力を見極めるのに専念して、余裕がなければ逃げるとしましょうかね。
ノワールカーネリアンの星の数──左の手の甲には星二つ
〜おまけ〜
「……マジか。入れ替わりでノワール来るなんて……逃げた意味ねえじゃん、もっと早くこいよ〜!!」
「!」
「やめとけこりす。お前も今ちょっと疲れてるだろ? ここはあいつに任せようぜ?」
「……」(でも……っと言った顔でキウィを見る)
「大丈夫だよ。お前のねーちゃん強いからな〜」