悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
魔法少女の勧誘を蹴った翌日、私はお昼ご飯の後皿洗いをしながらテレビを見ていた。
「……」グイグイ
「あらこりすちゃん。見たいテレビがあるんですか?」
「ん」コクン
「分かりました。チャンネル変えていいですよ」
「♪」
丁度皿洗いも終わってこれから部屋の掃除をするところでしたしね。
こりすちゃんに掃除機の音がうるさいと文句を言われてしまいそうですけど、チャンネル権を譲るんだから我慢していただきましょう。
ピンポーン
「?」
「私が出るのでテレビ見てていいですよ」
この時間と言うことはうてなかキウィ辺りでしょうか? 昨日禊を済ませてエノルミータの仲間になったらしい真珠とネモは私が怖いだろうからここには来ないでしょうし……。
そう思い玄関を開けると……
「え、小夜?」
「あぁ、良かった。留守だったらどうしようって思ったわ」
なんで小夜がここに? 私の家を知らないんじゃ……え、今日偶然うてなに会って聞いた?
いやいや、トレスマジアに情報を売るとはなに考えてんですかベーゼ……そう言えばお互い正体は知らなかったっけ?
「……とりあえず上がります? お茶出しますよ?」
「あぁ、大丈夫。今日はお願いがあってきただけだから」
「お願い? 勧誘は聞きませんよ?」
「それ関係なんだけど今回のお願いは勧誘ではないわ。…………単刀直入に言うわノワールカーネ「ストップです!」んむっ!?」
咄嗟に小夜の口を止めてこれ以上喋らせないようにする。
急に口を塞がれて頭にハテナマークを浮かべる小夜の耳元に顔を近づけて小声で話す。
「ちょっと……今日我が家には妹いるんですよ! あなたの正体がバレたら色々面倒くさいことになるって少しは考えてください……!」
「ご、ごめんなさい……!」
「?」
耳打ちをしているとお客さんが気になったのかこりすちゃんがやって来てしまい、小夜はこりすちゃんを見てしまった。
あちゃ〜、ネロアリスの正体バレちゃいましたか……。まぁマゼンタとサルファについて正体を察してるんでどっちもどっちって事にしておきましょう。
「こりすちゃん、お友達が来たのでちょっと遊びに出掛けてきますね?」
「ん」コクン
「よし、行きますよ小夜」
「え、えぇ……」
すぐさま外出の準備を整えて、無理やり小夜の手を引いてマンションを出ると、マンションの裏に移動する。
……ここは人少ないですし内緒話にはもってこいですからね。さて、改めて小夜のお願いを聞いて……いや、その前に……!
「こりすちゃん……ネロアリスを倒すためにうちに襲撃かけたら、私もあなた方の家に襲撃をかけるので悪しからず」
流石に我が家を襲撃をかけられたらたまったものではない為釘を刺すと小夜は頷く。
「うん、流石にそんな事はしないわ。そもそも民家に襲撃かけるのは世間の目が悪くなるからってヴァーツに止められるだろうし」
まぁそこまで常識外れな事はしませんよね。
ネロアリスを倒したければ、戦闘中にやっつけてください。もっともそのときは土下座して命乞いをしますけど。
小夜はジト目をこちらに向ける。
「と言うかそれならネロアリスをしっかり止めて欲しいんだけど……」
「……耳が痛いですね。ですがあんまり許せない事したならば私に言ってください。お尻ペンペンしますんで」
こりすちゃん学校に友達少ないみたいだし、せっかくうてな達と知り合って毎日が楽しそうになってるのにそれを奪いたくないんですよ。
「それでお願いとはなんですか?」
「えぇ、それなんだけど……」
話を逸らすように本題に入ると小夜は真剣な顔でこちらを見る。
「ノワールカーネリアン、私と本気で戦って頂戴!!」
「……え?」
あまりに急な事に首を傾げる事しかできない。
なぜ戦う必要があるんでしょうか? 私は真の平和主義者だからトレスマジアと事を構えようなんて一切考えてはいませんし、トレスマジアも好意的なので今更戦う理由はないはずですが……。
「あなたになくても私個人にはあるの。私も本気でやるからあなたも本気で戦って」
「あなた個人には……おそらく昨日の一件でしょうけど、理由を聞いてもいいですか?」
「ごめんなさい、今は聞かせられないわ。戦い終わったら教えるから……」
そう言ってトランスアイテムを取り出す小夜。
あぁ、これは逃げられなさそうな雰囲気ですね。
「…………本気というからには、私も昂ってしまう危険性がある。怪我しても文句は受け付けませんからね?」
「もちろんよ」
よろしい。ならば事情は後で教えてもらうとして、今は目の前の戦いに集中するとしましょうか。相手が小夜なら多少容赦なくやっても受け止めてくださるでしょうしねぇ!!
いざ尋常にしょう……あ。
「……ここで戦ったら妹来ちゃうし最悪マンション壊れちゃうんで、場所変えましょう」
「それもそうね。いつものあそこでいい?」
「はい」
◇
いつもトレスマジアが修行をしている場にやって来た小夜と私は早速変身してマジアアズールとノワールカーネリアンになる。
その直後アズールは空に何かを投げると私達の周りに結界が張られる。
「これで私達の気配は誰にも掴めない。邪魔は入らないわ」
「……私は別にエノルミータではないですから加勢には期待していません。マゼンタとサルファが来なければ最悪の事態に止められる人はいませんよ」
「大丈夫。今回は……負けないから!!」
そう言って氷の剣を作り出してこちらに切り掛かってくるアズール。
すぐさま剣を具現化してそれを受け止めると、既に私の周りには氷の剣が私の方を向いていた。
このままでは串刺しになってしまいますねぇ……ですが!!
「甘いですよ!!」
「あぐっ!!」
彼女の腹に蹴りを入れて剣の間合いから追い出し、それと同時に襲いかかってきた剣は壁を具現化して防ぐ。
今度はこちらから行きましょうか。
アズールが体勢を立て直す前に、ベーゼがよく使う植物の魔物を具現化して彼女を縛り上げる。
「くっ……!」
「今回は本気の勝負……つまりベーゼみたいなエロいイタズラはしません。果たして耐えられますかね?」
「かっ……ぐ……!!」
蔓でアズールの首を絞めながら、手や足を縛ると本来曲がらない方向に曲げようとする。
安心してください。折れたとしても後でしっかり回復させますんで……。
「くっ……はぁああああ!!!!」
「っ!?」
植物の魔物を氷漬けにして無理やり脱出して見せたアズール。
……ちゃんと前より強くなっていますね。修行の成果が出ている。
「お見事です。まさかこの状況で脱出してみせるとは」
「いいえ、まだまだよ。武器についても私自身のあり方についても見えていないのだから」
「……ならばそちらを優先してはいかがでしょうか。おそらく今回私に勝負を挑んだのは昨日の件が理由でしょう? あなた自身の事よりも私のことを優先してどうするんですか!」
そう言って彼女に剣を叩きつける。
彼女はしっかりとそれを受け止めると、それを受け流して一撃叩き込んだ。
「その通りだわ。私にはそれよりもやるべき事があるはず……でも放って置けないのよ。あなたの事が!」
「私が放って置けない? 心配して下さってるんですね。ですが別に心配されるような事は何もありません! お気になさらず!!」
どうやら昨日の一件で心配をかけてしまっていたようですね。ですが今アズールは私のことを見ている場合ではない。
私のことより修行に集中して答えを見つけるべきな筈です。
……ならば私にできる事はさっさとアズールを負かせて、修行に集中してもらう事ですね。
「さっさと済ませてしまいましょう。アームドスタイル!!」
アームドスタイル。スピードスタイルの姿に脛当てや胸当てなどの鎧をつけてランスを装備した姿であり、スピード特化のスピードスタイルとは逆に威力特化の脳筋スタイルです。
「ウォームアップは終わりです。ここからは本格的に攻めさせていただきますよ!!」
「えぇ、来なさいノワール! あなたの本気……受け止めてあげるわ!!」
この形態には自信があります。果たして受け止める事はできますかね?
〜おまけ〜
えりすと小夜が戦っている丁度そのとき、はるかと薫子は……
「小夜ちゃ〜ん。あれ、いない」
「全く、あいつどこ行っとるんや? 昨日サボった分までしごいてやろ思っとったのに」
「最近修行厳しいし逃げちゃったのかな?」
「小夜に限ってそんなわけないやろ。……ま、留守ならしゃーないわ。携帯に連絡だけしておいて、先に修行しようやないの」
「そうだね」