悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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悪の首領らしく堂々と散るべきではありませんかね?

「マジアベーゼ……マジアカーネリアン……!! 我が力の前に倒れろ……!!」

 

 そう言ってロードがスライムの怪物をけしかけてくるが、それを見たベーゼは「それではよろしくお願いします」と一言言うと、数歩下がって私の背後に隠れてしまった。

 まずは私からって事ですね。

 

「ブレイジングダイナマイト!」

 

 足下に火球を呼び出してそれを怪物へと蹴り飛ばすと、私の脚力で蹴り飛ばされた火球は怪物に引火せず怪物の体内に取り込まれる。

 

「ククク……先ほどのような小型の魔物ならいざ知らず、圧倒的な質量を持つコイツを焼き尽くすなんて無謀というものだ!!」

 

 いや勝ち誇ったように笑ってますけど、技名ちゃんと聞いてました?

 技名に()()()()()()なんてついてたら、怪物の中に入った火球がどういう挙動をするのか予測できるでしょう? ……それともよほどこの怪物には自信があるんですかね? よろしい、ならば怪物の耐久力を試させて頂きましょうか?

 

「バースト!」

 

 そう唱えるや否や怪物の腹部が大爆発を起こし、飛び散った破片も引火して地面に落ちる前に燃え尽きてしまった。

 ……いや、全然耐久力無いじゃないですか。これ普通に技名聞いてなかったパターンですね。

 

「爆発だと……!? おのれぇ!!」

 

 自慢の怪物がアッサリ倒された事に憤慨したロードが鞭を振るって来るが、トレスマジアのステッキで防御。その際ステッキに鞭が巻き付きロードに引っぱられるが、逆に引っ張り返してロードをこちらに引き寄せる。

 小娘は大人の力には勝てないと踏んだんでしょうが、こちらは常日頃から身体を鍛えてるんですよ!!

 

「な、なにぃ!?」

 

「……そう言えば以前あなたはあの巨大女にベーゼもろともウチのアリスちゃんを潰せと命令したとか……」

 

 引き寄せられるロードに対して、拳に炎を纏わせて思い切り振りかぶる。

 

「これは人の妹を殺そうとしたぶんです!」

 

「がはぁ!!」

 

 引き寄せられたロードの鳩尾に全体重を乗せた炎の打突を叩き込むと、かなり力を入れた事もあり彼女は壁まで吹き飛ばされた。このまま壁に叩きつけられれば追加ダメージが入ったものの、自らの背後にスライム兵を召喚してそれをクッションがわりにする事でそれを回避する。

 むぅ、腐っても悪の組織のボス。それくらいの対応はしてきますか。

 

「ぐうぅ……き、貴様ァ、よくもこの私を…………!!」

 

「妹に危害を加えられて黙ってるお姉ちゃんはいませんよ」

 

「黙れ! 世界は我が統べるのだ。我が覇道の妨げとなる者は排除する…………それが真理だ!!」

 

 ロードは駄々をこねる子供のようにそう宣いながら、再びスライム兵を融合させて巨大な大量の腕を作り出した。

 それに対してステッキを構えると、後ろで高みの見物を決め込んでいたベーゼが前に出る。

 

「炎のように荒々しくも洗練された戦い……ずっと見ていたいですが、そろそろ私も戦わないとダメですよねぇ。なにせロードエノルメは私が倒すって決めたんですから……」

 

「……なら今度は私があなたの戦いを見物させていただきますか」

 

 ベーゼがゆっくりロードに歩いていくとスライムの腕は私からベーゼに標的に定め直したようで、一斉に彼女に襲いかかる。

 

「……強き者が弱き者から奪う。そう言いましたね、ロードエノルメ?」

 

 そう言いながらベーゼが鞭を一振りすると、たった一撃でスライムは倒され再生せずに溶けて無くなる。それを見て呆然とした表情を浮かべるロードに対してベーゼは非常に凶悪な笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「ならば貴女は奪われる側ですねぇ」

 

「……あの、ベーゼ? あなた一体どうしてロードの腹あたりに目線を向けてるんですか? 普通そう言う発言は目を見て言うべきでしょう?」

 

「何言ってるんですか? 私はちゃーんとロードエノルメの目を見て言いましたよ?」

 

「え?」

 

 何言ってんだお前? っと言った感じな目で私を見てくるベーゼ。

 いや、明らかに腹に目線向けてたでしょうが。ロードが幼女化した幻覚でも見てるんですかあなたは?

 

「……ぐっ、だが無駄だ。例え我が魔物を倒す事が出来るとしても、私は魔物を無限に生み出せる……倒すだけでは我を倒すなんて不可能だ!!」

 

 そう言って再びスライムと仮面で出来た怪物を作り上げると、食い殺そうと言わんばかりに怪物の顔がベーゼに迫る。

 だがベーゼは怪物を鞭で引っ叩くや否や、怪物は顔の向きを180度回転してロードに襲いかかる。

 

「は?」

 

「……いつか、どこかで誰かが私を倒すでしょう。もしかしたらそこにいるカーネリアンがいつか私を倒すかもしれない」

 

「安心してください。もし私が倒したとしても、お仕置きした後に目の前で変身アイテムを破壊する程度に留めるんで日常には帰れますよ?」

 

「うーん、ヴェナさんいるからそれは難しいと思うけど…………けれどそれは今ここではなく、貴女にでもない」

 

 ロードは急な怪物の裏切りが予想外だったのか一切反応できずに怪物に飲み込まれ、身動きが一切取れなくなってしまう。

 

「あぁあああぁああああぁっ!! なんだこれはぁああぁあっ!?」

 

「ピィピィとうるさいですねぇ。貴方の魔物を私の魔物に作り変えただけですよ。貴女は奪われる側だと……そう言ったでしょう、ロードエノルメ?」

 

 ベーゼの能力は支配。それは鞭で叩いたものを支配下に置き魔物に変える能力ですが、真に恐ろしいのは私達が生み出したものですら支配下に置きコントロール権を奪う事なんです。

 以前の私とベーゼの戦いで私の具現化したものが支配下に置かれましたが、きっとヴェナリータ経由でロードもそれを見たはず。

 なのになんの対策も取らなかったこと、それがあなたの敗因ですよ。ロードエノルメ。

 

「さて、このままお仕置きと行きたい所ですが……カーネリアン、彼女にトドメの一撃をお願いします」

 

「おや、良いんですか? そんな美味しい所をもらっていっても?」

 

「えぇ。戦いの締めはやっぱり魔法少女の必殺技に限りますからね」

 

「そうですか。ならば気合を入れてやらせていただきましょうか!!」

 

 手に持ったトレスマジアのステッキに魔力を流すと、ステッキは弓矢へと姿を変える。マゼンタの槍、サルファの拳同様、これが私専用の武器なんです!!

 炎の矢を生み出して弓を引き絞ると、流石にまずいと思ったのかロードが焦ったような表情で吠える。

 

「な、待て!! 我が世界を征服した暁には、世界の覇権の一端をお前に担わせてやる!! だから────」

 

「世界を支配ですって? そんなんで私の心が動くとは舐められたものですね……。私はトレスマジア、そんな悪の勧誘は間に合ってます!!」

 

 みっともなく命乞いをしていますが、あなたは悪の組織の首領。ならば悪の首領らしく堂々と散るべきではありませんかね?

 まぁ良いです。どちらにしろこれから貴女の身に降りかかることは避ける事が出来ないことなので!!

 

「食らいなさい。マジカルブレイジングアロー!!!!」

 

「ぐぁあああああぁああああぁっ!!」

 

 適当に考えた技名を口に出しながら弓を射ると、炎の矢はロードごとベーゼの支配下に置かれたスライムの怪物を貫いて炎は一瞬で怪物の身体全体に燃え広がり、ロードを残して綺麗さっぱり消えてなくなった。

 

「……あぁ、あぁ! カーネリアン……今の貴女は最高に魔法少女ですよ…………!! ロードさんをお仕置きできなかったのは残念ですが……」

 

「ぐっ……うぅ……」

 

「え?」

 

 感動したのかベーゼが涙を流しながらこちらを見ていたが、ロードのくぐもった声でロードの方を向き直る。

 

「彼女をお仕置きするんでしょう? 命までは取らなかったし、怪我もさせてないのでやって良いですよ」

 

「えぇ。お言葉に甘えて」

 

 今の一撃は手を抜いたため、凄く痛いでしょうが命を奪うような一撃でなければ怪我をさせるものでもありません。

 ……まぁ、貫かれた箇所の肌が少し火傷してるかもしれませんが所詮はその程度です。

 

 ベーゼがかろうじて残っていたスライムの残骸をペシンと鞭で叩いて再びロードの魔物を呼び出しロードを改めて拘束していると、ナハトベースの扉がバンッと乱暴に開けられる。

 

「ベーゼ!! ノワール!! 助けに来たわよっ!! ……って」

 

 ナハトベースに入ってきたロコとルベルは呆然な表情をしてますけど、私もベーゼも新しい姿になっている上にロードも拘束されてしまっている。そりゃそんな反応だってしますよね。

 

「皆さんご無事でしたか。あと少しお待ちくださいね」

 

「あ……」

 

「おう……」

 

「そしてカーネリアン」

 

 とても良い表情でロコルベにそう言ったベーゼだが、今度は私の方を向く。

 

「ロードを倒した以上共闘はここまで。これから私達とあなたは敵同士です」

 

「えぇ、分かっていますよ。……ですがこの場から逃げるくらいはさせてくれるんですよね?」

 

「もちろんですとも。もう帰ってよろしいですよ。決着は次の機会に……」

 

 そうですか。正直ロードのお仕置きが終わった後に私も楽しませて欲しかった所ですが、流石にそれはベーゼも許さないでしょうしね。自重して帰るとしましょうか。

 転移門を開いてその中に入る直前にロコルベや、シスタギガントとの戦いで包帯姿になったキウィ。そしてアリスちゃんの方を向く。

 

「……それじゃあ私はこれにて。次会うときは敵同士ですよ?」

 

「お〜。今までされた分キッチリ返してやるから首洗って待ってろよ〜」

 

「……」ジー

 

「フフッ、そんな不安そうな顔しないで下さいアリスちゃん。あくまでも変身したときに敵になるだけで、これからもあなたのお姉ちゃんであることは変わりありませんから。日が暮れる前に帰ってくるんですよ?」

 

「……ん」コクン

 

 アリスちゃんの頷く姿を見た私は転移門に入ってアズール達と合流したのだった。




 決着!!
 ベーゼのお仕置きシーンは目立たせるシーンが無いため、一足早くナハトベースを後にしました。


 〜おまけ〜

「さーて、魔物もいなくなってカーネリアンも帰って来たし、これから街の修理をしないとね!」

「この量は数日かかるかもだけど、ノワール……カーネリアンもいるしすぐに終わらせられるわね」

「あ、合流した直後で申し訳ないんですが、5時回ったんで帰って良いですか? 家の事しなければならないので」

「流石に今日は返さへんで? ウチらもやるんやからアンタもサボんな?」

「……妹に今日帰れない上にお母さんも出張だから、今日はベーゼかレオの家に泊まってって連絡して来ます…………」
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