悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
「ふぅ。あなたのおかげで本当に早く進んでいるわ。後ちょっとだから頑張りましょ」
「えぇ。後少しで終わり……終わったらサルファの奢りでケーキバイキング行く約束してますから……うきゅう」パタリ
「ちょ、ちょっとカーネリアン!? 大丈夫? しっかりして!!」
エノルミータの内紛終結から早い事で丸一日が経過した。
本来ならロードエノルメを倒した時点でのんびりと休みたい所だったが、ロードの呼び出した魔物のせいで街があちこち破壊されてしまった。
というわけで私達トレスマジアは街の復興作業に汗を流していたが、新人の私は限界を迎えて倒れてしまった。
「魔力切れみたいですね。大丈夫ですかカーネリアンさん?」
「大丈夫……ではないです。具現化って消費魔力多いのに使いすぎました」
「クレーンとか足場とか色々と作ってくれてたものね……最後の仕上げに取り掛かる前に休憩しましょうか」
「助かります……」
ベーゼと共闘とはいえロード戦で少なくない魔力を消費した上に、復興作業で昨日からずっと具現化を使いまくってたんです。いくら星4魔力といえどもそりゃ魔力切れになりますね。
「はぁああ……なんっでヤツらの後始末をうちらがせなあかんのや……!!」
「仕方ないですよ。民間に手伝ってもらうのは申し訳ないですし……」
「まぁうちらだけでやった方が早いしなぁ。それに今回はカーネリアンのおかげで大分楽できとるで……」
「フフフッ……具現化の力は世界一ぃ……」
あぁ、なんだか眠くなって来ましたねぇ……。
みんなには申し訳ないですが、具現化の能力で復興作業に大きく貢献しましたし、後は任せて私は寝てしまいましょうか? ……いやいや、全部終わらせて家で寝た方が気持ちがいいですよね。我慢我慢……。
「にしてもあれからエノルミータ姿を見せないね」
「……そうね」
「あ、そうだ。カーネリアンなら何か分かるんじゃない?」
「…………あぇ? なんか言いましたマゼンタ?」
「あ、ごめん。少し寝てて良いよ!」
いえいえ、ここで寝たら多分明日の朝まで起きないんで無茶してでも起きなければ……。
マゼンタに話を聞き直すとエノルミータの動向が気になるとのこと。なるほど、確かに昨日ほとんど一緒に行動していた私に聞くのが一番ですものね。
「なんか分かる?」
「そうですねぇ。今回エノルミータを離反したのはロードエノルメっていうエノルミータのリーダーですから、新しい頭を選んでいるとかじゃ無いですか?」
「リーダーやのにエノルミータを離反したん? 変な話しやねぇ」
「実際は黒い妖精……ヴェナリータが裏で操ってる組織ですからねぇ。……少なくとも街の復興が終わるまでは大人しくしてると思いますよ」
「そっか。よーし、それじゃあ出来るだけ早く終わらせて、あたし達も休んじゃお!!」
「えぇ、そうね。……っ! こ、この気配……エノルミータ…………!?」
直後アズールが顔色を変えて立ち上がる。
ちょっとちょっと、勘弁してくださいよ。流石に昨日は激戦だったんだから今日ぐらいはのんびりしていて下さいよ。どんだけ働き者なんですか!!
「一応聞きますが、現在ノワールモードの私ではないんですね?」
「うん。でもすぐ近くで反応がある!!」
「ったく、このタイミングで来るなんて嫌がらせか? ケツにタバスコ突っ込んだろか!!」
「ちょ、サルファさん落ち着いて……!!」
絶賛ブチギレなサルファですが、流石に空気が読めなさすぎなんで分かりますよ。大方ベーゼが私と戦うために来たんでしょうし、今回は正体バラすぞって脅して追い払いますか。
そんな事を考えながらマジアモードに変身し直して背後に気配を感じて振り返る。
「ベーゼ、流石に空気読めなさすぎではありませ……あれ、アリスちゃん?」
「……」
そこにいたのは私の妹だった。
コラコラ、昨日次会うときは敵同士って言ったでしょう? それとも昨日の夜は一緒にいられなかったから寂しくなっちゃいましたか?
そう言いながら彼女に歩み寄ると、アリスちゃんは無言で持って来た複数のぬいぐるみを巨大化させる。
「……アリスちゃん?」
「チッ、離反した姉貴を連れ戻しに来たみたいやねぇ!!」
「カーネリアンは下がってて! 私達でなんとか……え?」
「……ネロアリス?」
これはお尻ペンペンした方がいいかなと思っていると、巨大化した人形達はトレスマジアには目もくれず、私達が休憩中もなお必死に街の復興作業に勤しんでいるゴーレムと一緒に街の修理を始めた。
「そっか、お姉ちゃんを手伝いに来てくれたんだね?」
「ん」コクン
「ありがとうございます。良い子ですね」ナデナデ
「♪」
「ならネロアリスにも手伝ってもらいましょう? サルファもそれでいいわよね?」
「ま、今は先に街を修繕をせなあかんからなぁ。……変な事したら例えカーネリアンの妹だとしてもぶん殴るからな?」
「悪い事をしたら私がお仕置きしますので。もしこの子を殴ったら、みじん切りにしたキャロライナリーパーを混ぜた特製デスソース5リットルをお尻に注射するので悪しからず」
「ってそれ死ぬやつや」
今回アリスちゃんに戦う意思はないと言う事で、私が責任を持って彼女の様子を見るのを条件にサルファにも納得してもらい、休憩はそこそこに街の修繕の続きを行うことになった。
アリスちゃんのおかげで日が暮れる前には街の修繕を終わらせる事が出来たので、帰りにこりすちゃんとファミレスに寄ってご飯を食べて帰ったのだった。
◇
翌日。街の修繕を徹夜でやっていて休んだ方がいいということで、トレスマジアの今日の活動はお休みになったのでのんびり自宅でアニメを観ていた。
何気ない日常……本当に素晴らしいですね。
そんな事を考えていると、視界の端に黒い転移門が現れこりすちゃんが出てきた。
「……」ビシッ
「あ、おかえりなさい。エノルミータの会議があるって言ってましたけど早かったですね。ちょうどアニメ見てたんですが一緒に観ます?」
「ん」コクリ
『あたしって、ほんとバカ……』
『さやかぁああああぁあああ!!』
「うーん、このシーンはいつ見ても最高ですね。他人の幸せを願った結果最悪なバッドエンドを迎える……。ゆっくりと絶望していく所がたまりませんねぇ」
「……」(눈_눈)
「あ、コラ。勝手にディスクをプリキュアに変えないで下さい! 普段あなたの好きなもの見せてるし、たまにはお姉ちゃんが好きなの見たっていいじゃないですか!!」
ピンポーン
どっちが好きなアニメを見るかで喧嘩をしていると、お客さんが来たようだ。
仕方ありません、今回は譲って差し上げましょう。お客さんに感謝するんですよこりすちゃん?
「はいはーい、どちら様でしょうか?」
「こんにちは。えりすちゃん、ちょっといい?」
「おや、昨日変身もせずにアズールをセクハラしていたうてなではないですか。あなたのせいでアズール堕ちかけたって忘れてませんよねぇ?」
「え、み、見てたの!?」
「えぇ、バッチリ☆」
そりゃあ近くで作業してましたもん。というかサルファに見つからなくて本当に良かったですね。見つかってたら鉄拳制裁くらって警察突き出されてましたよ?
「それでどうしました? 流石に今日戦えって言うのはやめてくださいね? 昨日ので疲れてるので。なんなら私もマッサージして欲しいくらいですよ。マジアモードに変身するんでやってくれます?」
「え、していいの!?」
「……やっぱりセクハラされそうなんでダメです」
別に太ももとかお尻触られるのは問題ないんですけどこりすちゃんの教育に悪いのでね。昨日だってあの子がマッサージシーン見ないように目隠ししてたんですから……。
その後、変身してなければ友人という事でうてなを我が家にあげてお茶を出しながら要件を聞くと「えっと実は……」と話し始めた。
なんでもロードエノルメを倒した功績からエノルミータの総帥に大出世をしたんだとか。
「やったじゃないですか。つまり今ここであなたを亡き者にすればエノルミータは瓦解する……そう言う事ですね?」
「ねえちょっと、包丁持ってこないでよ! ……それでね、えりすちゃんには今後の方針について教えておこうかなって思ったんだけど……」
「あぁ、別にいいです。どうせ適当に悪役ムーブかましながら魔法少女で遊ぶとかそんなんでしょ?」
友達初めて一年以上経つんです。うてなの考えることなんてお見通しなんですからね?
「それでお願いがあるんだけど、えりすちゃん私達の正体を知ってるけどトレスマジアには私達の正体は……」
「えぇ。トレスマジアには教えません」
トレスマジアは私がベーゼの正体を知っている事を知ってる筈なのに聞きに来ないどころか、正体が知りたくなったら自力で調べるって言ってましたからね。
流石にこりすちゃんについては色々バレてますけど、日常生活で手を出すなって言ってますし大丈夫でしょう。
……それにしても悪の組織の総帥と魔法少女が実はクラスメイトってバレたらみんなはどんな反応するんでしょうか? ちょっと気になっちゃいますね。やりませんけど。
「ですが約束しなさい、ロードのように一般人には決して危害を加えないと」
「うん。それは一線にするつもり」
「ならばよろしい。では私のスタンスは闇に堕ちた友人と妹を悪の組織から辞めさせるため。そしてノワール時代の償いのために戦うとしましょうかね。……その闇からいつかあなたを救うから……待っててくださいマジアベーゼ? ……なんちゃって」
ぶっちゃけノワール時代は悪行はあんまりしてないような気もしますが、光落ちの様式美って事で。
悪ノリをしてポーズをとってそう言うと、うてなは涎を垂らしながらニマニマと照れ笑いを始める。
「たはは……っ、だはははは……っ、そんなァ……えへへ、えへへへへへ……まさか魔法少女に言われたいセリフTOP5の一つを聞けるとは……たははははははははははは」
「キモいんでその顔やめてください」
〜おまけ〜
「えりすは魔法少女になってしまったか。まさか魔法少女の弟子だったなんて予想外だったね……」
「彼女計画の妨げになるんじゃないですかぁ? あの人には酷い事をされましたし、私行きますよぉ?」
「まぁまぁ良いじゃないか。どっちつかずだったときよりも計画に組み込みやすくはなったし、魔法少女になったならそっちで頑張ってもらうとしよう」
「そうですかぁ」