悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

42 / 90
ラブレターではなく果し状だったみたいですね

「おや、これは……」

 

 それから数日エノルミータが現れず、すっかり日常を謳歌していたが私の靴箱に入っていた一枚の手紙によって非日常へと連れ戻される。

 

「え、これってもしかしてラブレター? ラブレターなの!?」

 

「あらぁ、意外とモテはるんやねぇ。爆発すればええのに」

 

「そ、そんな……私もボーッとしてたらダメみたいね…………!!」

 

 いえいえ。実は私あんまりモテませんよ? 私に絡んだら大怪我するって噂が立ってるせいで、偶然趣味が合っていることが判明したうてな以外とは距離取られてましたし。

 あと小夜、あなたは何をそんなに焦ってるんですか?

 

「えぇっと差出人は……あぁ、ベーゼですか」

 

「え、マジアベーゼ!?」

 

「あいつ、今度はえりすがターゲットかいな!!」

 

「……彼女はなんて?」

 

「えぇと、読み上げますね。時は来ました、今こそ互いの全てを持って戦うとしましょう。16時半にパンダ公園まで来てください。PS. もし今日は都合が悪ければ連絡してください……だそうです。ラブレターではなく果し状だったみたいですね」

 

「そ、そうなのね。良かった……」

 

 何故か安心したようにため息を吐く小夜に対して「全然良くないよ!?」と突っ込むはるかをよそに私は思った事を素直に呟く。

 

「……敢えて放置したら何時まで待ってくれるんでしょうかねぇ?」

 

「あ、それええなぁ。何時までベーゼが待ちぼうけてるか賭けでもするか? うちは17時までやと思うんやけど」

 

「いえ、彼女は結構律儀ですから来るまで待つと思います。それで19時くらいに私に連絡入れてくるんじゃないでしょうか?」

 

「よし、ならなにを賭けるかは後で決めるとして、これから茶でもしばきに行こか!」

 

「そうですね。行きましょう行きましょう」

 

「いや、ダメだよ。街の人を襲うかもしれないんだから! パンダ公園だったよね? みんな行くよ!!」

 

 トランスアイテムを取り出して飛び出そうとするはるかを止める。

 放置してパンダ公園のど真ん中でボーッと立ってるベーゼの姿を眺めるのも面白そうですが、次は戦うって約束しましたし、魔法少女として約束くらい守れないとだめですよね?

 今回はこの果し状を素直に受け取ってやりましょうか。

 

 

 ◇

 

 

「……という事で放置せずにキチンと来てやりましたよ。ほら、来てくださってありがとうございますって言いなさいな?」

 

「放置するつもりだったの!? 流石にそれは傷つくんだけど……」

 

 ベーゼのお誘いを受ける事にした私は、心配してくれていた小夜達を説得して私は一人でパンダ公園へやって来てベーゼと相対していた。

 

「もぅ、カーネリアンったら……こほん、それでは早速始めましょうか? 前回戦う姿を見て私もウズウズしていたんですよ……!!」

 

 おやおや、私と戦う事を随分と楽しみにしてくれてたみたいですね。ならばその期待にしっかり応えて差し上げるのが礼儀というもの。

 ならばこちらも全力で戦って差し上げましょうかね。

 

「それでは……愉しませて下さいねぇ!!」

 

 ベーゼは金属製のハサミの魔物や針金の魔物を作り出すと、それらを操り私を襲わせる。

 なるほど、ハサミで全裸に剥いて針金で拘束。そして私が火属性ならば燃えないものを魔物にすれば良い。私を辱めるためにしっかりと考えて来たんですね。ですが!!

 

「言ったでしょう? 私の炎は全てを焼き尽くすと!!」

 

「っ!? 不燃物は溶かすことが出来るんですか……!! 困りました、これでは魔物を駆使した拘束が出来ませんねぇ……!!」

 

「なら、真っ向からかかって来てはいかがですか!?」

 

「えぇ、そうさせていただきましょう!!」

 

 ベーゼの鞭と私のステッキがぶつかり合い、鍔迫り合いに発展する。

 私を剥けると思ってた所申し訳ないですが、あなたの魔物を生み出す能力にとって、私の能力との相性は最悪。

 そして純粋な戦闘力においてなら鍛えてる私の方が上……マジアモードの私はあなたにとって天敵なんですよ!!

 

「ブレイジングダイナマイト!!」

 

「うぁあああ!!」

 

 鍔迫り合い途中で掌に火球を呼び出して、ベーゼの腹で起爆させて彼女をふっ飛ばす。

 どうしました? あなたはこの程度ではないはず、次は何をして来ます?

 

「……なるほど、これはカーネリアンの能力そのものを封じないとダメみたいですねぇ」

 

「わっぷ!?」

 

 その言葉と同時に爆発により生じた粉塵から水が飛び出してきて、私の全身は水浸しになる。それと同時に両手足を縄で縛られてしまい身動きが取れなくなる。それと同時に煙が晴れると、そこには水道の蛇口の魔物がいた。

 なるほど、吹き飛ばされた先にあった水道を魔物化させたんですか……。

 

「えぇ。火は水に弱いですもんね?」

 

「なるほど、水で濡らして仕舞えば能力の発動はできないという事ですか」

 

 ……これはやられましたねぇ。

 ベーゼの言う通り、私の能力は私が濡れていると弱体化してしまう。それでも使えない事は無いですが、ベーゼは縛られてる私に絶えず水をかけ続けているから能力は完全に封じられてしまいました。

 

「……水をかけ続けているとはいえ呼吸出来るようにはしっかり配慮していますね。窒息させてはいかがですか?」

 

「いえ、流石にそれはしませんけど……。ふぅ、それにしても今日は暑いですねぇ……炎を操るカーネリアンはもっと暑いんじゃないですか? 涼しくして差し上げましょう!!」

 

 すっかりモードに入ってしまったベーゼに衣装を破かれて丸裸にされてしまう。

 夏で暑いのだから全裸で涼めば良いじゃない……ですか? 余計なお世話ですよ全く。

 そんな事を考えていると、私の両足を拘束していた縄が引っ張られてなんとも扇情的なポーズになってしまう。

 

「ほら早く拘束を解かないと隠れて様子を見学してた人たちに、大切な所……ぜーんぶ見えちゃいますよ〜!! …………あれ?」

 

「あのベーゼ? 言ったじゃないですか、私羞恥心ありませんよって。見たければ見せて差し上げますよ?」

 

「……そう言えばそうでしたね。ですがこれでも恥ずかしくないんですかぁ?」

 

 直後蛇口の魔物は先ほどまで適当に水をかけていたのを、私の胸や股を集中的に狙って来る。

 

「んっ……あの……これ普通に性犯罪じゃないですかね?」

 

「悪の組織ですから♡ 頑張って抵抗してはいかがですか? 先ほどみたいに全身にくまなくかけてはいないので、もしかしたら能力が使えるかもしれませんよぉ?」

 

「……ん……くっ…………性格が悪いですねぇ。水をかけられてたらその時点でアウトなんですが……ですがいつまでも黙って縛られてるタイプではありませんよ。フンッ!!」

 

「なっ……拘束を引きちぎった!? ってイタタタタ!!」

 

 右腕の拘束を無理やり引きちぎって、近くで胸を揉んでいたベーゼの胸を思い切り力強くつねって、痛みに悶絶している隙にエノルミータのトランスアイテムを取り出した。

 

変身(トランスマジア)!!」

 

 そしてノワールモードに変身し直した私は具現化の能力を駆使して拘束を完全に突破して自由になると、ベーゼが対策をするより先にランスで蛇口の魔物を破壊して距離を取った。

 

「言ったでしょう? 光と闇両方使うって」

 

「くっ……ノワールモードについて失念してしまってましたねぇ……」

 

「ですが誇って良いですよ。今回はマジアモードだけで完封するつもりだったのにノワールモードを使ってしまったんですから……!!」

 

 そして再びトレスマジアのトランスアイテムを取り出してマジアモード(全裸)に変身し直すと、弓取り出して思い切り引き絞る。

 

「マジカルブレイジングアロー!!」

 

「あぁあああああああ!!!!」

 

 友人であるが現在は敵同士。それに立場上敵対しているとはいえセクハラをしたベーゼにはお仕置きが必要という事で、容赦なく彼女に弓を射ると炎の矢を受けて大爆発。

 

「こ、今回は私の負けですか……ですが次こそはその顔を羞恥に歪ませて差し上げます。楽しみに待っている事ですねぇ!!」

 

 爆発の衝撃で空高くに吹き飛ばされないベーゼはなんとも悪役らしい捨て台詞を吐きながら、空の向こうへ飛んでいってしまったのだった。

 

「ふぅ……アイアムウィナー!! 考えてみれば初めてベーゼに勝ちましたね。いやー、今まで引き分けだったベーゼに勝つことが出来たと考えると、今日は誘いに乗って良かったですね!!」

 

「感慨に耽るのは良いから服着ろアホォ!!」

 

「全部見えちゃってるよぉ!!」

 

「あれがカーネリアンの………綺麗………////」

 

「あら、いたんですか? 帰って良いって言ったのに……へくち!!」

 

 ……寒くなって来ましたし早く服着ましょう…………。




 〜おまけ〜

 その夜……

「ケホケホ……おのれうてなめ……、やるにしても風邪ひかないようにとかしっかり考えてくださいよ…………ケホコホ……」

「……」グイグイ

「あ、治療してくれるんですか? ありがとうアリスちゃん…………試合に勝って勝負に負けた気分です。……覚えてなさいよマジアベーゼ…………ゴホゴホ!」

 一方その頃うてな宅…………

「ハックシュン!! ……誰か噂してるのかな? 今日興奮してたとはいええりすちゃんに酷いことしちゃったし怒ってるのかな? もしそうなら明日にでも謝ったほうが……いや、私はエノルミータの総帥でえりすちゃんはトレスマジアだから、恨みっ子無しだよね?」

「うてな〜、そろそろ期末でしょ? いつまでもトレスマジアのフィギュア眺めてたりエロ本読んでないで勉強しなさいね〜」

「う、うん。……ってなんでお母さんがエロ本のことを…………!?」

「どうしてだろうね?」ニヤリ

「ヴェナさぁあああああぁあああん!!!!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。