悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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こんなときに偵察用の魔物だなんて……!!

「うーん……今日も学校終わりましたね〜」

 

 こりすちゃんはナハトベースで遊んでくるって言ってましたし、夕飯は多少遅くなっても問題はありませんよね。

 なら今日はジムでじっくり身体を鍛えるのもありですかね。せっかくですし小夜も誘って行きましょうか……おや?

 

「キウィ」

 

「うぉっと! な、なんだってばよ!?」

 

 自分の席で俯いてたキウィの肩をトントンと叩くと飛び跳ねてこっちを向くキウィ。いや、少しばかりオーバーリアクションすぎません?

 

「普段は放課後早々にうてなに抱きつきに行くのにどうかしましたか?」

 

「……なんでも」

 

「……もしかして喧嘩ですか?」

 

「んなわけねぇだろ……」

 

 ……この反応は違いますね。と言うかうてな信者のキウィが彼女と喧嘩するなんて天地がひっくり返ってもあり得なそうですし。

 ……では一体…………キウィがこんなにも取り乱す事態なんてうてな絡みなのは間違いないですよね。そう考えるとうてなの誕生日と考えるのが普通でしょうけど、うてなの誕生日はまだ先ですし…………。

 

「……なぁ、えりす」

 

「はい?」

 

「……アタシが下手でも…………うてなちゃん嫌わないでくれるなぁ……」

 

 は? 一体なんのこと……あぁ。

 なーるほど、大体察しました。そう言えばシスタギガントとの戦いの前に、終わったらホテル行こうって盛大に死亡フラグを建ててましたね。

 死亡フラグをへし折って勝利を収めたご褒美を受け取る準備が遂に出来という事ですか。

 それにしても……

 

「意外とウブだったんですねぇ」

 

「わ、悪いかよ!!」

 

「いえいえ、むしろ健全だと思いますよ。……ですがそうですねぇ。うてなは魔法少女絡みでは頭のネジが100本位外れてますけど、本来は優しい良い子ですからねぇ。キウィの純粋な好意は戸惑いつつも内心喜んでるはずですよ」

 

「そ、そうか……」

 

 それに仲良くしてるとは言え、私とうてなは趣味は合えども価値観が違って根本的には相入れない関係。そういう意味ではうてなにとってキウィは本当の意味で初めての友達で理解者と言えるでしょう。

 そんな彼女をうてなが無碍にするなんて思えませんしね。

 

「だからこそ私から言える事はただ一つ、うだうだ悩んでないでぶつかって来なさい。以上!!」

 

「……だな。うだうだ悩んでも仕方がねぇ! 阿良河キウィ、カクゴを見せてくるぜ!!」

 

 大丈夫ですよ、私から見ても二人はお似合いです。敵味方関係なしに成功したなら祝福しますし、玉砕したなら励まして来ますので明日結果を教えて下さいな。

 

「……っとその前に今日こりすに遊んでと頼まれてたんだった〜。アハハハハ〜…………」

 

「このヘタレ!!!!」

 

 

 ◇

 

 

「……キウィとうてなはうまく行くでしょうか?」

 

 ……一応お赤飯炊いてこりすちゃんに持たせた方がいいですかね? なら今日はスーパーで小豆と餅米でも買って……ん?

 直後目に入ったのは十時星に蝙蝠の羽根がついたようなよく分からない生き物……魔物だ。

 

 …………不味いですね。恐らくあいつはエノルミータの偵察用の魔物といった所でしょう。

 もし変身してあいつを倒して仕舞えばエノルミータに出撃命令が下り、せっかくのうてなとキウィと情事が滅茶苦茶になってしまう。しかしだからと言ってトレスマジアとしてこれを見逃す訳にはいきませんし……。

 

「……幸運な事にここは一通りが少ないですし……1秒でケリをつけましょうか! 変身(トランスマジア)、ブレイジングアロー!!」

 

 マジアモードに変身した私は予備動作無しで弓を引いて偵察用の魔物を射抜いて、すぐさま変身を解除する。

 ふう、予備動作無しで弓を引いたから普段より威力が出なかったし、技名も短縮してしまいましたね……いえ、咄嗟に放つ事が出来るのは強みでしょうし、下位互換技として登録しておきましょう。

 

「流石に瞬殺したとなればエノルミータも出撃はしないでしょう。うてなとキウィの情事は守られたのでし……嘘でしょう?」

 

 すぐさまケリをつけられてほう……っと一息ついていると、更に複数体の魔物が辺りを飛び回っていた。

 クッ、なんでこんなタイミングでこんなにも魔物が……首領と幹部のお楽しみ中でしょう!? エノルミータも自粛しなさいな、性格悪いですねぇ!! どうせヴェナリータの仕業でしょうけど!!

 

「こ、こうなれば……」

 

 すぐさまマジアモードに変身し直すと、一度に複数の矢を引き絞る。

 …………こう言う事をするのは初めてですが、うてなとキウィの為にも成功させなければ!!

 

「はぁああああ!!」

 

 全集中した私から同時に射出された矢は、魔物を一つ一つ正確に射抜き一撃で魔物を撃墜。……だがしかし三度偵察用の魔物が大量に姿を現す。いやマジでいい加減にしてくださいよ!?

 

「こ、こうなれば……」

 

 私はスマホを取り出してこりすちゃんに連絡を入れる。

 ナハトベースは明らかに別次元かなんかにあるような不思議空間にあるから繋がるか不安だったが、僅か数コールでこりすちゃんが電話に出た。

 

『?』

 

「こりすちゃん、カクカクシカジカなのですぐさまアリスに変身して出撃して来てください!! 真珠とネモも近くにいるなら呼びなさい!!」

 

『!!』

 

 これ以上はエノルミータが出撃してしまうと察したため、あえてこりすちゃん達を呼び出す事でうてなとキウィに白羽の矢が立たないようにする。

 私一人ならばアリスちゃんとロコルベで戦力的には充分。マゼンタ達が合流する前に残った偵察用の魔物を全部片付けて撤退して貰えばなんとかなるでしょう。

 

 目につく偵察用の魔物を射抜いていると、近くに転移門が現れてアリスちゃんとロコルベが姿を現す。

 

「来ましたね!」

 

「ちょっと、どう言うことよ!? ロコ達を呼び出すなんて……!!」

 

「あれですっ!!」

 

 無口なこりすちゃんでは呼び出された意味までは分からなかったようで、空気読めといった顔をしていたロコルベであったが、再び現れた偵察用の魔物を指差すと納得したような表情をして魔物を睨みつける。

 

「そう言うことか……!」

 

「確かに邪魔が入るってのも気の毒だしね…………いいわ、ロコ達が手伝ってあげる!!」

 

「えぇ、よろしくお願いしますよ……!!」

 

 エノルミータのメンバーも流石に二人の情事を邪魔するのはよしとしていないようで、あっさり協力を得られたので、ロード団以来となる共闘をする事にした私達。

 

「ヴォア・フォルテ!!」

 

「はぁ!!」

 

「ん!!」

 

「せぇい!!」

 

 だがあくまでも私達は敵同士。共闘している所を見られたら不味いと言う事で、敢えて魔物の近くに移動する事でアリスちゃんやロコの攻撃を回避した結果その攻撃に魔物が巻き込まれたように見せかけ、私も二人に弓矢で攻撃するように見せかけて実は二人の近くにいる魔物を倒すと言った感じで、互いにいい勝負をしているように見せかけながら魔物を殲滅していく。

 

「はぁ……はぁ……ルベルはまだなの!?」

 

「待たせたな! 魔物を放出してた転移門閉じてきた。あとはコイツらを処理すれば終わりだ!!」

 

「よしっ……! では一気に行きますよ!!」

 

 私達とは別行動で、影を移動しながら魔物の出現地点を探していたルベルが魔物の供給を絶ってくれたため、魔力を集めて大きめの矢を引き絞り真上に射出する。

 

「終わりです。ブレイジングレイン!!」

 

「うわ、あぶなっ!?」

 

 その矢は空で複数の矢に分割して残った魔物に降り注ぎ、一瞬で魔物は全員撃墜できた。

 

「ふぅ……」

 

「ふぅ、じゃないわよ! 今さりげなくロコ達も狙ってたでしょ!!」

 

「(怒)」

 

「すみません、時間なさすぎて無差別攻撃になってしまいました! 今回ばかりは素直に謝るし、今度何か奢るのですぐさま帰ってくださ「見つけたよエノルミータ!!」っ!?」

 

「よしロコ、アリス、撤退だーっ!!」

 

 出来る限り大急ぎでカタをつけたが、それでも遅かったようでマゼンタ達が加勢に来てしまった。

 それを見たルベル達はすぐさま転移門を開いてその中に飛び込む。

 

「よし、逃げましたね! みなさん、私達も帰りますよ!!」

 

「なんや、今日はヤケに焦ってんなぁ?」

 

「いいから早く! さっさと変身を解除しなければ──っ!?」

 

 大急ぎでみんなに変身を解除するように促していると、直後凄まじい殺気が辺りに充満する。

 恐る恐る殺気の源泉を見ると、アフロになって口から煙を吐いているうてなの隣で、ドス黒いオーラを背負ったレオパルトがこちらにゆっくり歩いて来ていた。

 

「トレス……マジアァは……ここかァ……」

 

「あぁ……予想通りめちゃくちゃブチギレてますねぇ……」

 

「気をつけて、レオパルト……彼女の様子、なんだか変よ!!」

 

 直後レオは緑の軍服姿から、全裸に猫耳や尻尾に見えるような黒煙を纏った姿に変化する。

 こ、これは……アリスちゃんが言っていたシスタギガントを倒したと言う本気モード……全力で私達を降しに来たと言う事ですか……。

 

「……まぁ、せっかくの情事を邪魔してしまったのは事実ですし仕方がないですよね……」

 

「ど、どうしたのカーネリアン? 全てを諦めたような顔をして……」

 

「っ! 来るわ、三人とも気をつけて!!」 

 

「嫌にブチギレてるなぁ……でも、機嫌が悪いのはこっちも同じやさかい容赦はせえへんで!!」

 

「ウルセェ、ブチ殺してやらァ!! 死ねボンバァアアアア!!!! ぶち殺バーストォオオオオ!!!!」

 

 怒り狂ったレオの全力全開の爆撃が私達に襲いかかった────

 

 

 ◇

 

 

「……」

 

「ち、治療してくれてありがとうございます。こりすちゃん……」

 

 その後怒り狂ったレオにマゼンタ達共々ボコボコにされた私は、アリスちゃんに治療してもらってミイラ状態で寝ていた。

 と言うか攻撃しなかった私はともかくアズールもいると言うのにあの三人を倒すだなんて、実はレオの潜在能力って凄く高いですよねぇ……。

 そんな私を見て、様子を見に来ていた真珠とネモが同情的な視線を向ける。

 

「なんと言うか……お前もキウィも気の毒だったな。今回ばかりは同情するわ……」

 

「さっきなんか奢るって言ってたけど、真珠達がなんか奢ってあげるわよ!」

 

「ん」コクコク

 

「あ、ありがとうございます。……はぁ、明日からどんな顔してキウィに会えばいいんでしょうか……?」




 えりすはヴェナリータの企みを阻止できず、怒り狂ったレオにボコボコにされてしまったのだった。(笑)
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