悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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え、ノワールモードの変身アイテムを使えないか?

 キウィとうてなの情事が台無しになってから、キウィは今までずっと不登校を貫いていたが今日ようやく学校に来たようで、靴箱で鉢合わせた私をギロリと睨む。

 

「よぉ……」

 

「キウィ……うん、今回ばかりは私が悪いですもんね。マジで申し訳ありませんでした」

 

「……いや、良いよ。たまネモから邪魔が入らないようにしてくれてたって聞いたし、そもそも今回拗れたのはアタシのせいでもある」

 

 土下座していた私の頭の一つでも踏むと思ったが、そんな事はせずキウィはゴソゴソとうてなの靴箱になにかを仕込む。

 

 ……………………。

 

「上履きに何か仕込むのは感心しませんね……なにを仕込んだんですか? された事がある私から言わせれば足の裏に画鋲とかが突き刺さるのってとても痛いんですよ? 流石に洒落になりませんからね?」

 

「違えよ! 果し状だっつの!!」

 

 果し状?

 なんでもキウィもうてなとキチンと仲直りしたいらしいが、性格的に言葉じゃなくて喧嘩の方がやりやすいからナハトベースの裏に呼び出して殴り合いで解決するぜっ!! ……との事。

 

「なんと言うか……エノルミータは果し状大好きですねぇ…………。以前うてなにも同じやり方で呼び出されましたよ……」

 

「お、うてなちゃんとお揃いか〜。やっぱうてなちゃんを一番理解してるのはアタシなんだよn「き、キウィちゃん……?」っ!!」

 

 先ほど大きな声を出したから聞こえたのか、廊下の方からうてながこっちにやって来るが、それを見たキウィは能面の様に無表情に固まってしまった。

 

「お……おはようキウィちゃん……えっと……私…………」

 

「あ、アタシ用事思い出したわ! じゃあな!!」

 

「あ、キウィちゃん!!」

 

 キウィは回れ右して上履きのまま校舎を飛び出して、体育でも見せない様な凄い速度で帰って行ってしまい、謝る機会を失ったうてなは見るからにどんよりとした空気を纏ってトボトボと教室に戻って行った。

 

 ……まぁ放課後を楽しみにしておきなさいな。ちゃんとO☆HA☆NA☆SHIする機会はありますからね。

 

「……ねぇえりす」

 

「あ、小夜。おはようございます。どうしました?」

 

「あの二人何かあったの? いつも一緒にいるのに……」

 

「喧嘩でもしちゃったの?」

 

「喧嘩ではないっぽいですけどすれ違ったらしく…………ぶっちゃけ私も原因の一つなんで口を出せないんですよねぇ……早いところ仲直りして欲しいものです」

 

「そっか……仲直りできるといいね」

 

「…………」

 

「……薫子ちゃん?」

 

 キウィと犬猿の仲である薫子は皮肉の一つでも投下すると思っていたが、先ほどから彼女はなにも反応せず無言で地面を見つめていた。

 だがはるかの呼びかけで正気に戻ったのか、いつもの様な様子に戻る。

 

「……あぁ、なんかボーッとしとったわ。やっぱり朝飯抜いたらあかんねぇ……。さ、授業始まるで、教室入ろか」

 

 そう言って薫子は一足早く教室に入って行った。

 ……そう言えば先日こりすちゃんが悪さをしたときに薫子いませんでしたね。それに上の空になったのも丁度そのときから。……私達がおままごとしてるときに何かあったのでしょうか?

 

 

 ◇

 

 

 放課後、私はスイーツを食べる為に一人街へ繰り出していた。

 

 うてなとキウィの事はとても気になるが、喧嘩の場所がナハトベースの裏では私は行けません。

 ……いや、エノルミータ用の変身アイテム持ってるから、行けるっちゃ行けるんですがね? おそらくカチコミや緊急でこりすちゃんを呼び戻すとき以外なんかでナハトベースへ行ったら、うてなが光落ちしたのに何やってんだ!! ってブチギレてなにするか分からないんで…………

 詳しい顛末はこりすちゃんから聞きましょう。

 

「色々と不安がよぎるときは甘いものに限りますもんね。……少し贅沢して良いものでも食べちゃいましょ「消防はまだなの!? まだ建物に娘が……私の娘がぁああああ!!」…………今度は火災ですか。最近こう言う系のトラブルに巻き込まれなくなったと思ったのに……変身(トランスマジア)

 

 近くのマンションの一室から火が出ていたため、毎度の如くノワールモードに変身して火事の現場に入ろうとすると、大人の人に止められてしまった。

 

「ちょ、キミ。危ないから近づかな……カーネリアンだ!!」

 

「え、なんだって!? カーネリアンって飛行機事故とか銀行強盗とかで人命救助してるっていうエノルミータ幹部の……」

 

「その情報は古いわよ! 彼女はマゼンタ達と和解してマジアカーネリアンっていうトレスマジアの一員になったんだから。この間雑誌で見たわ!!」

 

 おやおや、随分と大人気な事で……。

 正直目立つ気はあまりありませんでしたけど、こうやって賞賛を浴びると言うのもなかなか心地の良いものですね。

 もし裏切ったらどんな反応を彼女達は見せてくれるんでしょ……って流石にアズール達を裏切りたくはないのでそれは却下。

 

「さて、いつまでもこんな所にはいられませんね。そう言うわけなんで私行ってきますね」

 

 掴んでいた大人の人の手を丁寧に外して改めて火災のある部屋へと飛び込む。

 火災で一番怖いのは炎よりも煙に含まれる有害物質や一酸化炭素。

 故に酸素ボンベを具現化して煙や一酸化炭素を吸わない様にして、炎が行手を阻むなら消火器を具現化して出来る限り炎の中の勢いを弱めて突き進んでいると、リビングの奥で倒れている小さな女の子を見つける。

 

「ケホッコホッ……ママ…………ママぁ……」

 

「よく頑張りましたね、もう大丈夫ですから……!」

 

 っ! この子よく見ると公園でたまにこりすちゃんと遊んでくれてる……これは絶対に助けないと行けませんねぇ!!

 彼女にも酸素ボンベをつけてあげてると、抱き上げて一気に部屋から脱出する。

 

「あぁ、リコ!! ありがとうございます……ありがとうございます!!」

 

「いえいえ……一応病院で検査をしてあげてください。……さーて、後は炎を消すだけですか「カーネリアン!!」ナイスタイミングです!!」

 

「あらまぁ、今回は火事かいな? 相変わらずの巻き込まれ体質な事で」

 

「全くですよ!」

 

 消火器を具現化して再び火の中に飛び込もうとすると、マゼンタ達がやって来る。

 ノワールモードで行動していたから、エノルミータの反応に私が引っかかって来てくれたみたいですね!!

 水分を操るアズールが来てくれたならば、消火器でちまちま消す必要はありませんね!!

 

「アズール、私が炎を一箇所に集めるので消火を頼んでいいですか?」

 

「うん、任せて!」

 

 マジアモードの私は存在する炎に干渉して操ることだって出来るんです! 流石に消す事は出来ませんが一箇所に集めるのなんて朝飯前。特に危なげなく炎を部屋の中央に寄せるの、アズールは大気中の水分やマゼンタとサルファが開いた転移門の向こうにある川から水を集めて巨大な水球を作り、私が集めた炎に投げつけた。

 

 

 ◇

 

 

 無事消火に成功した事でたくさんの人に感謝されながらも、なんとかその場を後にした私達は路地裏で変身を解く。

 

「来てくれて助かりました。それとすみません、わざわざ来て頂いて……」

 

「うぅん。助けられて良かったよ! ……あたし何もしてないけど」

 

「そんな事ないわ。二人がゲートを開いてくれなかったら消火ももう少しかかってたもの」

 

「そ、そうかな〜」

 

 はるかは照れ臭そうに頭を掻きながら、転移門を開いたもう一人の功労者である薫子の方を向く。

 ……彼女はまた無言で明後日の方向を眺めていた。

 

「……ねぇ薫子ちゃん。本当にどうしちゃったの? 最近なんだか変だよ?」

 

「……え、そやろか? うちはいつも通りなんやけどなぁ」

 

「嘘よ。今日もずっと上の空だったわ。本当は何かあったんじゃないの?」

 

「別になんもあらへんよ……強いて言うなら一つ気になることができただけや。大した事じゃあらへん」

 

「気になる事ですか?」

 

「えりすがノワールモードのときに使ってる変身アイテムなんやけどな……それうちも使えるんやないかなぁって」

 

 そう言って私に視線を向ける薫子。

 ……なるほど。確かにこれを薫子達に貸し出したら、雷や水なんかが不利な相手にも上手い事立ち回ることが出来るようになりますからね。

 

「いけると思いますよ。そもそもマジアモードの変身アイテムだって元は師匠の……第三者のものだったんです。その理論で言えば、属性が違うだけのこれでも使えるかと」

 

「ふぅん……」

 

「……試してみます?」

 

 そう言ってトランスアイテムを差し出すが、彼女は「別にええわ」と首を振る。

 

「言ったやろ? あくまでもちょっと気になっただけや。使えるかどうか知れたならそれでええんよ。……そんじゃ、うちは帰るな」

 

「あ、ちょっと……!」

 

 はるかが呼び止めようとするが、薫子はそれを無視して帰って行ってしまった。

 彼女は一体何を企んで……いやいや、仲間を疑うのは良くないですね。もし使いたくなったら私に言ってくるでしょうし、そのときまでは変に干渉せずに様子見しましょうかね。




 〜おまけ〜

 うてなとキウィの喧嘩の後……

「……」

「お、こりすじゃん。いや〜心配かけて悪かったなー」パァン

「んん!?」ビクンッ!

「おあ!? ちょ、こ、こりす!?」

「ちょ、ちょっとキウィちゃん……お尻叩くにしてももっと優しく……えりすちゃんに埋められるよ?」

「アタシそんなに強く叩いてね〜ぞ!? なぁこりす大丈夫か!?」

「〜〜!」フルフル

「あー、別に気にしなくていいと思うぞ」

「ネモちゃん?」

「こりすのやつ姉ちゃん怒らせてお尻ペンペンされたんだと。あいつ姉バカだと思ってたけど叱るときはしっかり叱るタイプだったんだな」

「え、お尻を!? えりすちゃん、小学生を相手に流石にそれは早すぎるよ……!」

「いや、ただのお仕置きじゃないのよ。スパンキングと一緒にすんな」
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