悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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怒りました。ぶち転がさせていただきましょう!!

「待て待てぇえええええ!!」

 

「いやぁあああああ!! 誰かぁああああああああ!!」

 

「いや、なんで悪の組織のあんたが悲鳴上げんねん!!」

 

 そりゃあ上げますよ! 助けの一つくらい求めますよ!! だって追いつかれたら絶対痛い目に遭わされますもん!!

 少し考えれば分かるでしょうが、全く胸が小さい人はおつむも小さいんですかねぇ!!

 

「ん? あんた今失礼なこと考えたやろ!?」

 

「エスパーなんですか? あなた……ぁ」

 

 流石に表に出て騒ぎになりたくないため、裏路地に入ってジグザグに逃げて撒こうとしていたが、私の目の前に映る景色は壁。……行き止まりに追い込まれてしまった。

 

「ハァ……ハァ……追いついたよ!!」

 

「全く手間かけさせるなぁ自分? 堪忍せえや」

 

 うぅ……困った、このままでは痛い目に遭わされる。……私だって好きで変身したわけじゃないのに。女の子が飛び出したから助けただけなのに……

 

 ………………。

 

「……なんか無性に腹が立ってきましたねぇ」

 

 考えてみれば女の子を助けたんだからお礼を言われてもいいだろうに、悪の組織だからとお礼も言われず挙げ句の果てに魔法少女に追いかけ回されてって流石にあんまりもあんまりだろう。

 

「決めました。流石に頭に来たので、ストレス発散がてらぶち転がさせていただきましょうか!!」

 

「え、なんか雰囲気変わった!?」

 

「気をつけぇマゼンタ。こいつ本性を現したで」

 

 相手が正義のヒーローだろうが知るもんか! 昨日に続いても今日も私のスイーツタイムの邪魔して絶対許さないんだから!!

 

「捕えなさい! 《ヘカトンケイル》!!」

 

「なっ……!!」

 

「ちょ、これ数多すぎない!?」

 

 能力を使って召喚したのは、昨日も使用した自立稼働する手袋50組。

 それらを操ってマゼンタとサルファを襲わせるが、流石は魔法少女。一つ一つ的確に捌いてくる。

 でも圧倒的な数の暴力にいつまで耐えられるかな?

 

「あ、きゃぁああ!?」

 

「マゼンタ!? ……チィ、調子乗んなや!!」

 

「っ!?」

 

 マゼンタが取り押さえられたのを見たサルファは直後手の大群を一気に吹き飛ばす。

 そんなサルファを見ると、彼女の両腕には巨大なガントレットが装着されており、そこから凄まじい雷が発生していた。

 

「その腕……なんなんですか?」

 

「ほんまありがとうな。うちはこう言う方が好みなんやけど、ちっちゃい女の子が見たら怖がるさかいな……裏路地逃げてくれたおかげで存分に本気出せるわ…………」

 

「うぅ……ありがとサルファ」

 

「さっきまで逃げ腰だったからって油断しすぎやでマゼンタ。こいつはあの女と同じぐらい厄介や」

 

「う、うん。今度は気をつける!!」

 

 そう言ってマゼンタはテレビでも使っていた槍を取り出して構える。

 おやおや、手袋だけ倒せるほど魔法少女も甘くはないって事ですね……。

 直後私に襲いかかってきたサルファとマゼンタ。

 

「そんじゃ、さいなら」

 

「てぇええい!!」

 

 

 

 

「……調子に乗るな。その言葉、そっくりそのまま返させてもらいましょう」

 

 サルファのガントレットの一撃は先ほどより巨大な鉄製の手を具現化させて、マゼンタの槍は先端の刃を避けて脇で挟んで止める。

 

「……ほぅ、小さいのがダメなら大きいのってか」

 

「えぇ、私昨日この姿に変身できるようになったばっかりでしてねぇ。いまいち自分の能力が掴みきれてないんですよ……ね!!」

 

「あ!」

 

「マゼンタ……っ!!」

 

 槍を抑えて動けなくなっていたマゼンタを先ほど同様無数と手袋で捉えて、サルファは鉄製の巨大な手に集中している隙に彼女を縛るように有刺鉄線を具現化して無力化する。

 

「うちだけ有刺鉄線かいな……随分と厄介視されたみたいやねぇ……」

 

「動かない方がいいですよ。動いたら針が刺さるので。さて……それでは喧嘩を売ったお仕置きをするとしましょうか」

 

「えぇ、もしかしてこの人もあの女幹部と同じへぶっ!?」パァン‼︎

 

 なんか言ってたマゼンタに対して私が繰り出したのは平手打ち。

 一回じゃ気が済まない。二回三回と連続でその頬を引っ叩く。

 

「にゃ、にゃにしゅりゅ(何する)のほっ!? はべっ!?」パァン‼︎スパァン‼︎

 

「さぁ、喧嘩を売ってごめんなさい。私が間違っておりましたって言って頂きましょうか?」

 

「でゃ……でゃれがしょんなこほ(誰がそんなこと)へぶっ!」パァン‼︎

 

「マゼンタ! ちょ、あんた叩きすぎやろ!!」

 

「いえいえ、足りないくらいですよ。私の時間奪っておいて謝らないってあんまりではありません? 私は逃げようとしたのにあなた方はそれを許さなかった。これは執拗に追いかけ回した結果ですよ?」

 

「しょ、しょれは……えぶぅっ! あぱぁ!」パァン!! スパァン‼︎

 

 パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!!

 

「……おや?」

 

「うきゅう……」ピクピク

 

 ガックリと動かなくなった頬がリスのようにパンパンに腫れたマゼンタ。

 

「おやおや、結局謝らずじまいですか。悪い事をしたら謝ると会うのが常識なのに、気絶するまで謝らないとは魔法少女の風上にも置けません。親の顔が見てみたいですね。……そう思いませんか、マジアサルファ?」

 

「……」

 

「おや、ダンマリですか? それともどうすればこの窮地を逃れられるのか考えて「調子乗んなよ?」グフゥ!?」

 

 直後有刺鉄線を引きちぎったサルファの剛拳が私の腹に深く減り込む。ぐぅ……まさか負傷してまで私に一撃を入れに来ますか……。

 そのまま吹き飛ばされて壁に叩きつけられた私の胸ぐらを掴むサルファ。

 

「なんて言ったっけ? ……時間を奪っておいてやったっけ? ……それはうちらのセリフやわぁ。あんたが現れたせいでせっかくマゼンタと遊ぼしてたんにこっち来る羽目になったんや。そんなに来るのが困るんやったら出てこなければ良かったんちゃう?」

 

「……今回は変身せざるを得ない状況だったんでね」

 

「はぁ? 何言ってん「まってください!!」っ!」

 

 直後裏路地から現れたのは先ほど助けたこりすちゃん程の女の子。

 それを見たサルファはすぐさま巨大なガントレットをしまい、女の子の方を向く。

 

「ちょこんな所に一人で来たら危ないで?」

 

「この人あたしを助けてくれたんです! あたし道路に飛び出しちゃって……でもこのお姉ちゃんが私をつきとばして助けてくれて……おねがいだから許してあげてください!!」

 

 それを聞いたサルファは目を大きく見開くとこっちを見る。

 

「……それほんまなん?」

 

「えぇ、目の前で轢かれかけてたんで咄嗟に変身してしまって……。なのに追いかけ回されたから流石に頭に来たってわけです」

 

「…………」

 

 それを聞いてどうしようかと複雑な表情を浮かべるサルファ。

 いやぁ、いい事はしておくもんだね。こう言う絶体絶命な状況で助けに来てくれるなんて。素直にありがたいよ。

 

「例えそうだとしてもエノルミータは敵やしなぁ。……でもこの子が庇ってるしここは見逃しても……いや、でもこの子が助けに来るように上手く演じてた可能性もあるからなぁ…………」

 

 サルファが頭をガシガシかきながらどうしたものかと思案し、私も今なら誤解を解くことができるのではと考えていた次の瞬間……。

 辺りに夕方5時を知らせるアラームが鳴り響いた。

 

「え、もうこんな時間!? 帰って夕飯の準備しなければ……!! というか結局今日も喫茶店行けなかったし……あぁもうトレスマジア末代まで祟ってやりますからねぇえええ!!」

 

「あ、逃げてしもた……。まぁ今回は見逃してもええか。お嬢ちゃん、ここは入り組んでるさかいウチと一緒に出よな? 出ながらあの人の事聞かせてくれると嬉しいわ」

 

「は、はい! うわぁ、マジアサルファと手を繋いでる……!」




 気絶していたマゼンタはサルファが女の子を母親の元まで送り届けた後にしっかりと回収しました。
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