悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
「こりすちゃんから聞きましたよ。仲直りできて良かったですね」
「うん、心配かけちゃってごめんね」
いやー、本当に良かったですよ。
お陰様でエノルミータもこりすちゃん以外は悪さをせずに、比較的平和に過ごすことが出来ていたとはいえ友人が拗れてるのを至近距離で見せられ続けるのも面白くないですからね。
「それで近々再挑戦するんですよね? その際はヴェナリータを縛ってからやる事をオススメします。流石にブチギレたレオに爆殺されたくはないので」
「いや、しねーよ?」
「え?」
なんでも今回拗れたのは、トレスマジアが出た以上にうてながシスタギガントのときの約束を守ろうとする義務感でやってしまったのがキッカケらしく、キウィはぐいぐいとうてなにアプローチする事自体は止めないらしいが、そういう事をするのはうてなが答えを出すまで待つことにしたとの事。
「うぅ……それを聞くと私って本当に酷いよね…………」
「何を今更? そもそもトレスマジアを一方的に襲ってる時点で最低なんて次元は遥かに通り越してますからね?」
「ゔ……」
ま、これで良かったのかも知れませんね。
義務感で恋人になったとしても、噛み合わなくなって破局するのがオチ。ならばじっくり時間をかけてお互いが好きになっていけばいいと思いますよ。
たまネモにしたようにカップルを操って最悪なバッドエンドに進ませるのも好きですけど、それは当時二人に情がなかった上に、妹を人質に取ったからやってもいいと判断したからで、ある程度仲良くなった今ではもうあの二人にそういう事をしようとは思えない。
情があるキウィや初めての友人であるうてながくっつくなら、お赤飯を炊いて心から祝福しますよ。
「あ、そーだ。おいえりす、放課後ちょっとアタシに付き合えよ」
「え?」
◇
放課後キウィに連れられて人気のない場所へと連れて来られる。
うてなも一緒に行くと言ってはいたが、キウィが私を呼び出してやりたい事には心当たりがあります。もしそこにうてながいたら横槍入れてきそうですし、今回は帰ってもらいました。
「…………結界を張ってる時点で間違いはないと思いますが、ここに私を呼び出したという事はそういう事でいいんですね?」
「おう。いい加減初めて戦ったときの借りを返そうと思ってな〜」
やっぱり。
キウィはトランスアイテムを取り出してレオパルトに変身すると、銃火器を召喚して変身していない私に容赦無く発砲してきた。
「全く……こちらが変身するまで待ってくれてもいいじゃないですか」
咄嗟にノワールモードに変身して壁を具現化して防御していたから良かったものの、もしあのまま食らってたら死んでましたよ?
と言うか初めて会ったときも手榴弾投げて来ましたし、不意打ち大好きさんですか? 最近丸くなって来たなぁって思ってたのは気のせいですか?
「よっしゃ、変身したな。それじゃ今日こそぶっ飛ばしてやるよ!」
「前回は本気モードでぶっ飛ばしたじゃないですか……」
「あの時はお前ワザと受けてただろうが。今回は全力で来いよ〜!?」
そう言って容赦無く銃火器をぶっ放してくるが、スピードスタイルに変身して避ける。
ふむ……なんで今更私と戦おうと思ったのかは知りませんが、前回は除くとしても初めて戦ってからなんだかんだ一度も再戦してないですしたまには良いでしょう。
「ならば改めて上下関係ってものを叩き込んで差し上げましょうかっ!!」
「上等だオラァ!!」
レオの弾幕を回避しながら、隙を見てこちらも腕や剣を具現化して彼女へ攻撃や妨害を行う。
「クソッ! 当たらねぇな〜!!」
「そりゃ、そうでしょうよ! こちらも伊達に星四つではないんですよ!!」
レオの弱点は攻撃範囲が広すぎて、近づかれたり閉じ込められたときに能力を使うと自分もダメージを受けること……ですがあれからレオも戦闘を重ねた事で度胸がついて来てますから、恐らく近づいた所でダメージ覚悟で能力を使うでしょう。
だからこそのスピードスタイル。圧倒的速度で攻撃範囲から逃れればいい。当たらなければ意味はないんです!!
「せぇい!!」
「がはぁ……っ!!」
攻撃を回避し続けた事で疲れが見え始めたレオの懐に潜り込んで、彼女の腹に足をめり込ませて蹴り飛ばして彼女の両手両足を拘束し、彼女の鳩尾に粒子砲を当てる。
「チェックメイトです」
「……チッ、やっぱ簡単にゃいかね〜か」
もし拘束を外そうともがいたり、銃火器を呼び出したら容赦無く粒子砲の餌食にする。
マテリアライズブレイカーの威力はロコルベのフォルテッシモ・カノンと同等以上の威力を誇るから、アズールのように防御力のないレオくらいなら一撃で意識を刈り取れる。
だが、絶体絶命な状況にも関わらず彼女の顔から焦りは見えない。
…………。
「あなたには三つの選択肢があります。降参するか、抵抗をして粒子砲を食らうか、この状況を打破できるであろう私の知らない奥の手を披露するか……どれにします?」
「なんだ、バレてたのかよ。…………それじゃあ三つ目だ……
直後、レオから凄まじい魔力が溢れ出し、魔力の奔流で粒子砲が手から離れてしまう。
なぜ今更になって初めて会ったときの雪辱を晴らそうと喧嘩を売って来たのか……。
答えは簡単、力の差がある私とやり合っても対等以上に渡り合えるほどの力を手に入れたからだ……。
レオの姿は緑色の軍服姿から、猫耳を彷彿させる軍帽と右半身しかない軍服の姿に変わっていく……。
レオパルト クソつよステイト
「……なるほど、昨日のうてなとの喧嘩で覚醒したんですねぇ」
「そゆこと。んじゃ、準備運動も終わったし…………こっからが本番じゃあぁあっ!!」
「真化したくらいで舐めんじゃないですよ!!」
右袖から生えたかぎ爪が喉元を掻っ切ろうと私の首元に迫るが、アームドスタイルに変身してランスで防御する。
しかしレオのかぎ爪はランスを握り壊したかと思うと、鉤爪の先端から黒いエネルギーが溢れ始める。
「おっとこれは……避けられませんね────」
「滅殺光線シュトラールッ!!!!」
「ガハッ…………ッ!!」
鉤爪の先端から射出された爆撃を至近距離で受けてしまい、今度は私がぶっ飛ばされてしまった。
アズールの愛のアヴァランチを受けても耐えられるように訓練してなかったら、今ので負けてましたね…………。
「マジか。今のは勝ったと思ったんだけどな〜」
「……ボスクラスを必殺技一撃で倒せると思ったら大間違いですよ。
ノワールモードでちまちま削るよりも大火力で一気に終わらせた方が良いと感じて、マジアモードに変身し直してステッキに炎を纏わせると、再び真化したレオと相対する。
「そっちも本気モードってか、なら第二ラウンドと行こうじゃねーか!!」
「上等ッ! 一撃入れられたからと調子に乗ったその鼻っ柱へし折って差し上げますよ!!」
「やってみろやオラァ!!」
「だりゃぁああああ!!」
そこからは防御も技術も関係のないメチャクチャな殴り合いと技の応戦。
もはやそれはトレスマジアとエノルミータの戦いというよりも純粋な喧嘩と言った方が正しい泥試合であった。
「ブレイジングダイナマイト!!」
「ぐぅ……ッ! おいコラ、アタシの真似すんな……よっ!!」
「ガフ……ッ! 炎の能力を得てるんだから似たような技構成になるのは当然でしょうが!!」
「うっせぇ! 滅殺光線シュトラールッ!!」
「何度も同じ技が通用すると思わない事ですねぇ! ブレイジングスラッシュッ!!」
「だりゃぁああああああ!!!!」
「はぁああああああああ!!!!」
◇
……それから一時間近く殴り合いを続けていたが、やがて双方ともに魔力が尽きて倒れてしまった。
「ぜーっ……ぜーっ…………」
「はぁ……はぁ……」
こ、これは引き分けですかね。まさかキウィに追いつかれてしまうなんて……いえ、むしろ真化した相手に対して引き分けに持ち込めたのは上出来ですかね…………。
「……なんでアタシら喧嘩してたんだっけ?」
「さぁ? 喧嘩売って来たのあなたでしょうが……」
「……疲れたしもうやめるか〜。クソ〜、今日勝てると思ったんだけどな〜」
そう簡単に勝ちをくれてはやりませんよ。なにせ私に勝ったらあなた調子に乗ってエノルミータのメンバーに自慢するでしょう?
もし私の敗北をこりすちゃんに知られてしまったら評価が下がってしまいそうなんで、前回みたいにワザと負ける以外で勝たせてはあげませんよ。
「はぁ、今晩作りたくない…………。あ、そうだ。キウィ、これからうてなとこりすちゃん呼んで回転寿司でも行きません? うてなとあなたが仲直りしたお祝いと情事を邪魔してしまったお詫びを兼ねて奢りますよ」
ちょうど今日お母さんは出張ですし、雑誌の撮影のギャラをそこそこもらったお陰で懐も潤ってるんです。ちょっとした贅沢くらい大丈夫でしょう。
「マジで? じゃあアタシちょっとうてなちゃんに連絡するわ〜」
「それでは私はこりすちゃんに……」
その後うてなとこりすちゃんと合流して、みんなでお寿司を食べに行きました。
えりすとキウィの関係:昔はキウィが一方的にライバル視していたが、最近では互いに意地を張り合いつつも認め合う良きライバル兼悪友のような関係に落ち着いた。今回キウィがえりすに喧嘩を売ったのは純粋に勝ちたかったからである。