悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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せめて私には話を通してくれてもよかったではないですか…………

「田島綾香」

 

「ハイ」

 

「千葉麻理」

 

「ハーイ」

 

「辻怜奈」

 

「バツイチ風情が名前呼ばないでくださるかしら?」

 

「辻は後で校舎裏な。しっかり遺書残しておけよ〜。……天川薫子……ん? 天川〜…………なんだ天川休みか〜?」

 

「バツイチせんせー!! うてなちゃんも来てないんだけど!!」

 

「え? 柊もいないの? あと阿良河も校舎裏来い。最後の教室の景色しっかり目に焼き付けておけよ?」

 

「「「………………」」」

 

 

 ◇

 

 

 サルファ……薫子が私達を裏切った翌日、予想通り彼女は学校を休んだ。

 闇堕ち大好きな私としては、薫子が裏切ってエノルミータの変身を披露すると言う好きすぎる展開に興奮したいところであったが、私の変身アイテムを強奪して変身したと言うのはいただけない。

 あれがないと大幅に弱体化してしまううえに、具現化の力を悪用してスイーツをタダで食べられないのは死活問題なのだ。

 

 ……それに悲しそうなマゼンタやアズールの顔を見てなんだか胸がモヤモヤしてしまいましたからね。と言うわけで……

 

「こりすちゃん、今夜ベーゼとサルファのご挨拶があると思うんですが、どこであるか教えてもらっても良いですか?」

 

 夕飯の途中にそれとなくこりすちゃんに聞いてみる事にした。

 我ながらこの子から聞き出そうとするのは流石に卑怯だと思いますが、こちらとしても笑えない事態になっているので今回ばかりはどうか協力して下さいね?

 

「…………」

 

 だがカレーを食べていたこりすちゃんは、静かに席を立つと部屋に戻って行ってしまった。

 逃げちゃいましたか。……まぁ流石にこりすちゃんから聞くのは卑怯すぎますよね。多分うてなも今夜の挨拶の場所をこりすちゃんに教えてはないでしょうし……。

 

「そうなると無難にキウィを呼び出して、拷問して聞き出すしかないですか「ん!」……こりすちゃん?」

 

 直後こりすちゃんは自らの携帯でマップアプリを起動させ、それを操作して普段人気のない場所をトントンと指差す。

 どうやら逃げたのではなく、場所を教えるためにスマホを持って来てくれたみたいですね……。

 

「助かりました。ありがとうございます」

 

「……」コクン

 

 ところでこりすちゃん、なんで顔を青くしてガタガタ震えてるんですか?

 ……もしかして風邪!? (※こりすに場所を聞き出した時に無意識的にすごく怖い顔をしていたから)

 

 

 ◇

 

 

「……と言うわけで妹に場所を教えてもらいました。今夜の11時かららしいのでカチコミかけましょう」

 

 その後こりすちゃんは夕飯を食べ終えると逃げるようにナハトベースに行ってしまったため、夜は危ないからナハトベース以外には行かないようにとだけメッセージを送り、私はマゼンタとアズールと合流していた。

 

「ならばサルファさんと合流して話を聞かないといけませんね」

 

「ですね。話の内容次第では目を背けたくなるようなお仕置きをしなければなりませんし」

 

「か、カーネリアンさん……あまりやりすぎるのは…………」

 

「「…………」」

 

 ……おや?

 アズールは普段なら「目を背けたくなる……どんな激しいお仕置きなの…………?」とヨダレを垂らしながら妄想に耽り出すというのに、マゼンタと一緒に何かを考えてるような素振りをしていた。

 一体どうしました二人とも?

 

「……本当にサルファはあたし達を裏切ったのかな?」

 

「え?」

 

 マゼンタが言うには、サルファは喧嘩っ早い性格をしているとは言え人一倍正義感の強い人。だからエノルミータの軍門に降るだなんてありえないのだと言う。

 

「カチコミをかける前に一回こっそり様子を見てみない? 本当にサルファが裏切ったのか知りたいんだ」

 

「えぇ、私も同じことを考えていたわ。……カーネリアンは変身アイテムを盗られてしまったから納得いかないと思うけれど……」

 

「……いえ」

 

 確かにそう言われるとおかしいところはいくつかある。

 サルファはエノルミータで気持ちよく勝ちたいと言っていたが、先日のダンジョンでのレオやロコルベの扱いを見ると、例え仲間になっても結局はベーゼのおもちゃにされるのは変わりないため、裏切っても結果は変わらないと分かったはずだ。

 つまりエノルミータに降ったとしても気持ちよく勝つ事は出来ないと知った上でサルファはトレスマジアを裏切ったことになる。

 

 そして闇堕ち絶対許さない派のベーゼは、サルファがエノルミータの変身アイテムで変身したのを見て怒り狂って襲いかかかってもおかしくなかった。

 でもそれをせずに仕切り直しを提案した事を考えると…………。

 

「どっちにしろあんなやり方で変身アイテムを取ったサルファをお仕置きするのは確定事項ですが、裏切ったか裏切ってないかはハッキリさせておいた方がいいでしょう。私も二人に賛同します」

 

 という事でヴァーツに頼んで、会合予定の場所にこっそりと転移門を使って偵察用ゴーレムを設置してもらい、遠くからそこの様子を見させていただく。

 

「……あ、来たよ。サルファだ」

 

 マゼンタの指差す方を見ると、そこには特攻服のような衣装に身を包んだサルファが眠そうにやって来ていた。

 偵察用ゴーレムを設置した時には既にいたベーゼがサルファに気がつき彼女の元へ移動する。

 

『来ましたか。マジアサルファ……いえ、ダークサルファとでも言えばいいですかね?』

 

『なんやねんダークて。闇堕ちしたからと、なんでもダークをつければいいってもんちゃうぞ? ……それにしても、何もこんな夜中に集まらんでもええやないの……』

 

『雰囲気は出るじゃないですか。トレスマジアを裏切った悪の戦士……その貴女との密会ですから』

 

『ロマンチストやわぁ、昼間にファミレスでもうちはええねんけど』

 

 …………サルファとベーゼは一見フレンドリーそうに話してはいるが、腹の探り合いをしているようにも感じる。

 そんな事を考えていると、サルファはベーゼに右手を差し出す。

 

『挨拶って何すんの? まずは親睦の証に握手でもしよか?』

 

『良いですねぇこれからよろしくお願い致します!!』

 

『……ほな、こちらこそよろしゅう頼んます……オルァアアアッ!!!!』

 

「「「!!」」」

 

 サルファはベーゼと握手をしようとした瞬間、彼女の手首を掴んで自らの方へ引き寄せると、思い切りベーゼをぶん殴る。

 だがそれを予測していたベーゼが鞭で受け止めようとするが、受け止めきれずに殴り飛ばされてしまった。

 

「やっぱり裏切ってなかったのね…………!」

 

「よかった。よかったよぉおおおお!!」

 

「マゼンタ、こちらを」

 

 裏切ってなかった事に安心したのかマゼンタが泣き出したため、ハンカチを差し出してあげる。

 全く、サルファにも困ったものです。無理やり奪わずとも、隠し事が下手そうなマゼンタとアズールはともかく、せめて私には話を通してくれてもよかったではないですか…………。

 

『……何やの、バレバレかいな? でもうちの()()()()()()を甘く見すぎたみたいやねぇ』

 

『えぇ……まさか純粋な身体能力の強化がそちらでの能力とはね……』

 

『ウチも今日こっそり使ってみて初めて知ったわ。……それにしても、裏切ったフリって知っとったのにダンジョンでは逃してくれたん? おおきになぁ』

 

『感謝してください。演技に付き合って差し上げたのですから。貴女が私の元に付くなどあり得ないでしょう?』

 

 それを聞いたサルファは『当たり前やろ』と言うと、懐からハート型のエンブレムを取り出して魔法少女の姿に戻る。

 

『……おや、こちらでいいんですか? エノルミータの変身アイテムならばもしかしたら倒せるかもしれませんよ?』

 

『……カーネリアンから勝手に借りたもので倒しても意味ないやろ。ここからはちゃんと自分の力でしばき倒さへんとなぁ』

 

『……流石はサルファ』

 

 マジアサルファに戻ったサルファの剛拳とベーゼの鞭がぶつかり合い、改めて一対一の戦いが始まった。




 ダークサルファ──薫子がえりすのエノルミータの変身アイテムで変身した俗に言う闇堕ちフォーム。姿はサラシの上から白い特攻服を羽織った暴走族風の姿である。なお、本人はダークサルファという名前は気に入っていない。

 能力──身体能力の強化というシンプルな能力であるが、上がり幅が大きい上にサルファの十八番の殴り合いスタイルとの相性は非常に良く、ベーゼの防御を力尽くで突破することも可能。

 星の位置と星の数──おへその下に三つ


※見た目については単行本11巻に収録されたゲーム編でのサルファの姿から、角と雷を抜いた姿をイメージしてください。
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