悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
裏切ったフリをしていただけだったサルファとベーゼの一対一の戦いが始まる。
本来ならば裏切ってないと分かった瞬間加勢に行くのが正しいのだろうが、サルファが私らにも相談せずに一人でケリをつけに行ったのだ。ならば様子を見守るべきだろう。
サルファの剛拳がベーゼを殴り潰そうとするが、ベーゼはバックステップで回避しながら涼しい顔で話し始める。
『先のダンジョンの戦いで皆さん疲弊しておりましたからねぇ……あのままでは私に勝てない……貴女はそう判断した。そして仲間を裏切るフリをしてこの機に乗じて一人で私を倒そうと考えた。……そしてエノルミータの変身アイテムで変身する事で、トレスマジアと完全に決別したと思わせた。……私でなければ騙されていたでしょうね』
「……そうだったのね…………」
……なるほど、確かに疲弊してまともに動けなければ、あまり近接戦闘が得意でないベーゼとはいえ倒すのは大変でしょう。
いくらノワールサンクチュアリに閉じ込めようと動いた所で、ノワールモードで一番危険な技はあれだと知られているからなんらかの対策は取られたでしょうし、サルファは私らのことも考えて行動してくれていたんですか……。
『なんて仲間想いなんでしょう……涙を堪えるのに必死でした…………ですが!!』
『がっ……』
直後、ベーゼはサルファの懐に潜ると、持っていた鞭に魔力を込めて彼女を思い切り引っ叩く。
ベーゼが最近考案したというメナスヴァルナー……しかも今のはだいぶ力を込めましたね…………。
ベーゼの一撃を食らい倒れたサルファの鞭打たれた場所からは血が溢れ出でおり、ベーゼはとても冷たい顔でそこを踏みつける。
『ぐぁああああ…………!!』
『いくら欺くための演技とはいえ、エノルミータの変身アイテムを使うのはいけませんねぇ……。魔法少女とはみんなの希望、そうあらなくてはならない。カーネリアンはノワール時代から善行を積み、あの姿もまた正義であると感じたから百歩譲って認めていますが貴女は違う……例え演技だとしてもあの力に手を出すべきではなかった…………!!』
『ガハッ……!!』
サルファの頭をベーゼが蹴り飛ばし、サルファは壁に叩きつけられる。
うわぁ……やっぱりどんな理由はあれ闇堕ち許さないガールのベーゼにとって、サルファがエノルミータの変身アイテムで変身することは逆鱗に触れる行為だったみたいですね。ですが逆鱗に触れてなおサルファの意を汲んで彼女の嘘に乗っていた……それはつまり怒りが蓄積していたという事を意味します。
「……不味いですねぇ…………おそらくベーゼはサルファを半殺しにするかもしれません」
「な、なんですって!? ならすぐにサルファを助けに行かないと……行くわよマゼンタ、カーネリアン!!」
「待って!! アズール!!」
「どうしたのマゼンタ!! サルファはやっぱり裏切ってなかったのよ!?」
「それは分かってる……でも……でもその……今行ったら……きっと……サルファは……!! あ〜!! なんて言ったらいいのか分かんないよぉ〜っ!! でも今は行っちゃいけないと思うんだよ〜っ!!」
「「…………」」
……サルファは最近役に立てていない事を気にしてました。もし、今回の大立ち回りが失敗……もしくはアズールや私に助けられた場合、もう立ち直ることは出来なくなるかもしれない。マゼンタはそれを気にしてるんでしょうね……。
「……アズール、助けるのは後で。ベーゼに限ってサルファを二度と活動出来ないほどに痛めつけはしないでしょうし、最悪エノルミータの誰かからトランスアイテムを強奪して来てサルファを回復させます」
「……分かったわ」
ベーゼの事を知っている私はそう断言した事でアズールは頷き、サルファを見守る事に専念する。
ベーゼに蹴り飛ばされたサルファはゆっくりと立ち上がっていた所だった。
『まだお仕舞いではないですよねぇ? お仕置きはまだまだ始まったばかりですよ……』
『……当たり前やろ……このボケが……ァ…………勝手に期待して……ブチギレよってからに…………』
『そうこなくては』
『ッ……!!』
そう言ってベーゼが転移門から呼び出したのは巨大なタコ。
それを見たサルファは顔を青くして下がろうとするが、タコの脚がサルファの腹に突き刺さり再び壁に叩きつけると、そのまま触手がサルファを拘束する。
『ひっ……!! あぁあああああああ!! 来んなっ……来んなぁっ!!』
「そ、そんな……サルファにタコを……酷すぎるよ……」
「……サルファはタコがお嫌いなんですか?」
「えぇ……。それを知ってて…………マジアベーゼ……ッ!!」
アズールがベーゼを見て歯軋りする。
……サルファはさっきから一方的に嬲られ続けている。これではもはや一方的なリンチ、もはや勝負ですらありません。
「……全く、呆れたものですねぇ」
一方的に甚振られるサルファを見て愉快だと思う……ベーゼと変わりたいと思ってしまう自分自身には本当に呆れてしまいます。……ダメです。サルファは仲間なんですからまずは心配をしなければ……耐えるのですカーネリアン。
「…………」
(……流石のカーネリアンもベーゼの行動は許す事が出来ないようね。当たり前ね、あんな酷い事…………だから受けたらどんな感じかななんて思っちゃダメ。耐えるのよアズール……)ハァハァ
「アズール、カーネリアン。ヨダレ出てるよ!?」
「「ハッ!?」」
「……アズールさん? カーネリアンさん?」
ヴァーツの視線から逃れるようにヨダレ拭きながらサルファの方を向くと、ベーゼは拘束されたサルファの身体をまさぐり始め、エノルミータの……私の変身アイテムをサルファから奪い取る。
おい、何やってんですかベーゼェ……?
『や、やめろぉ!! それはカーネリアンの変身アイテムやッ!!』
『ですが元々はこちらのアイテム。カーネリアンがこちらを辞めるときに勝手に持って行ったものに過ぎません。それにおかしな話ですねぇ? これはカーネリアンからもらったものではないですか? ならばこれは貴女のものであり、それを私が没収するだけです』
『ベーゼェエエエエッ! ガハッ!!』
ベーゼから変身アイテムを取り返そうともがく、タコの締め付けが更にキツくなったのか苦悶の表情を浮かべる。
そんな彼女に対して私の変身アイテムを懐にしまいながらベーゼはニヤニヤと煽る。
『拍子抜けですねぇ。これならアズールやカーネリアンひとりの方が余程楽しめるというものです』
『…………!! ああ"ぁあ"あ"あああああああぁっ!!』
ベーゼにコンプレックスを突かれてしまったサルファは、悲鳴のような雄叫びを上げながら無理やり拘束を引きちぎると、真っ直ぐベーゼと距離を詰める。
『まだっ……まだやぁ!! 負けてたまるか『それは何よりです』っ!?』
いつの間にやらサルファの背後に回っていたベーゼが、魔力を纏わせた鞭を大きく振りかぶってサルファに叩きつけた。
…………こ、これほどのダメージ……いくら逆鱗に触れたからと言ってもやり過ぎではないですかね。私がこれほどまでに興奮して達っしかけてしまうほど……リョナ好きだからこそ分かる。これほどの怪我で後一撃でも貰えば命に届きます。
「あぁ……こんなにボロボロになって…………!!」
「……っ! マゼンタ、カーネリアン、これ以上はサルファの……薫子の命が!!」
「えぇ、流石にこれ以上は笑えませんかね……」
「…………ダメっ!!」
出撃しようとする私達をマゼンタは青い顔をし、涙を流しながら止める。
まるで助けに行きたくてたまらないのに、助けに行っては意味がないと言うように……。
『……負けを認め、もう二度と演技でも闇堕ちしないと誓っていただけるならば返して差し上げますが?』
『……悪の組織の……総帥が……敵……目の前にして……帰っても……ええ言うんは……どんだけ……ナメくされば気がすむねや……!!』
そう言ってサルファはバッと顔を上げる。
死にかけの彼女であるが、あれほど甚振られても彼女の目からは死んでいなかった……。
『正義のヒロインやぞ! 誰に言うてくれてんねや……!!
『……やはり貴女は素晴らしい。心から敬服しますよ』
そう言ったベーゼはサルファに鞭を振り上げる。
……これ以上はやらせません。サルファにはアズールと私で鍛えると言う事で納得してもらいましょう。
ベーゼから少し離れたところに転移門を展開して、転移門の向こうから大量の魔力を込めた炎の矢を引き絞る。
「……死にはしませんが、数ヶ月は入院しなければならないほどの一撃です。ベーゼは些かやり過ぎた。ストレス発散も兼ねて少々痛い目を見ていただきましょうか」
「……っ!! 待ってカーネリアン!!」
「良い加減にしなさいマゼンタ! これがサルファの決断だとしても……死んだらどうにもならないでしょう「違う!! サルファの方を見て!!!!」……?」
マゼンタの気迫に押されてサルファの方を見ると、サルファの身体から凄まじい量の魔力が溢れ輝き始めていた。
『これは……ったく、覚醒するならもっと早く覚醒して欲しいもんやねぇ。お陰様で死にかけたわ。……
直後、サルファはズタボロされほとんど全裸だった状態だったが、その際に身体の傷も綺麗に塞がり、新たな衣装を見に纏う。
それはチャイナ風の服に電気の翼、そして両手にはそれぞれ三つずつ腕輪をつけた姿…………。
マジアサルファ
この土壇場で覚醒…………うん、勝ち確ですね!!
サルファの真化については、えりすを絡ませるのは無理があったため原作通りに覚醒してもらいました。
ですが裏切る際にダークサルファに変身してしまった事でベーゼの逆鱗に触れてしまい、原作の三倍くらいズタボロにされてしまいました。
〜おまけ〜
サルファ覚醒直後……
「……すごい、サルファまで真化しちゃった」
「そうですね。マゼンタ、止めてくれてありがとうございます。もしあの場でベーゼを殺ってたらサルファは覚醒しなかったかもしれません」
「うぅん、サルファを心配してくれてたんだよね? だから気にしないで。……それよりも炎の矢しまっても良いよ?」
「それが……気合い入れて作ってしまったせいで消す事が出来ず……まぁ、空に向けて撃ちますか」
「待って、愛の無駄撃ちは勿体無いわ。私が受け止めてあげる!!」
「何言ってるのアズール!?」
「……確かにアズールは愛のアヴァランチとして受けたダメージ分を撃ち出せますからね。いいでしょう、真化しなさい!!」
「えぇ、
「スーペリア・マジカルブレイジングアロー!!!!」
「あぁあああああああ!! あい、しゅごぃいいいいいいぃっ!!!!」
「サルファー! 早くやっつけて帰って来てぇえええ!! あたしじゃツッコミきれないよぉおおお!!」