悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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チケット三枚ですか……お母さんとこりすちゃんと、後一人は……

 いい加減ベーゼに付き合うのも面倒くさくなった為、我ながら卑怯なやり方で変身アイテムを取り戻した。

 変身アイテムを奪還した事で再びノワールモードに変身し、具現化の能力を再び使えるようになった私は…………。

 

「う〜ん、やはり甘いものはたまりませんね〜♡」

 

「本当に素敵な能力だね。なめたけおかわり!!」

 

「はい。どうぞ」

 

「わ〜い!!」

 

 スイーツを具現化するついでにトレスマジアのみんなに具現化したものを振る舞っている所であった。

 

 いや〜、何故か変身アイテムを奪われてた昨日から凄くスイーツを爆食いしたくてたまらなかったんですよね。失って初めてモノのありがたみを知ると言うのはまさにこの事です。

 この能力には常日頃から感謝してますが、これからはもっと感謝して利用しなければなりませんねぇ。

 

「……カーネリアン、これでケーキ5ホール目だけど大丈夫なん? そんなに食べて太っても知らんで?」

 

「大丈夫です。本物のスイーツを限りなく再現してるとはいえ、結局は私の魔力で構成されてますから。体内で魔力として還元されるだけで栄養価はありません」

 

「それは女の子に嬉しいわね。…………待って、と言う事は私が食べてるこの和菓子もカーネリアンの魔力で出来てるってこと? と言う事はそれを食べるのはカーネリアンの魔力を取り込んでいる事であって…………私も羊羹おかわりしても良いかしら?」キリッ

 

「どうぞ。あとヨダレ出てますよ、食事中にそれは流石にお行儀悪いと思います」

 

 と言うか別にアズールの大好きな攻めや痛み系の要素はどこにも無いのにヨダレ垂らす要素ありました?

 それともそんなに羊羹が美味しかったですかね? だとしたら隣の市の和菓子屋で数量限定で売られてるのを再現した甲斐がありましたね。

 

「あ、いました。お〜い、みなさ〜ん!」

 

「あ、ヴァーちゃんどうしたの? 今カーネリアンが具現化であたしたちの好きなもの作ってくれてるけどヴァーちゃんもどう?」

 

「あ、いえ私は……。それよりお伝えしないといけない事があるんです!」

 

 お伝えしないといけない事……一体なんでしょうか?

 もし、ついにあのヴェナリータという名前の性悪妖精を捕まえたとかだったりしたら、今夜はお母さんも早く帰って来るから夕飯の献立をすき焼きに変更しないといけませんね。

 

「いえ、ヴェナリータの事ではなく……確かに彼も早急に目を覚まさせてあげたい所ですが……」

 

「あの性悪妖精と話したけどなかなかええ性格しとったからなぁ。目を覚まさせるだけじゃあかんのちゃう?」

 

「そうですよ。あいついなければ私も今頃日常を謳歌できてたでしょうしミキサーにでも……いえ、でもあいつのおかげでこうしてアズール達と……小夜達と仲良くなれたし感謝したほうがいいんでしょうか?」

 

「えりす……」

 

「そこのバカップルは放っておくとして、それじゃあなんなん?」

 

「それなんですが……」

 

 そう言ってヴァーツは懐から取り出したスマホを操作して、とあるメッセージ画面を見せて来る。

 えぇっとなになに……歌BANBANって言うテレビ番組の井沢さんから、当番組のオファーをお願いしたくご連絡させていただきました。

 

「「「「……………………」」」」

 

「「「「えぇええええええッ!!???」」」」

 

 あまりにいきなりなヴァーツの報告にビックリ仰天してしまった私達。

 いやだってそうでしょう!? 確かにテレビのニュースとかで、街の人が撮った動画なんかが放送されたり、マスコミの取材に応じたりしたりもしますが、バラエティ番組なんて初めてですよ。

 

「ですが一体どうしてでしょうか? 歌番組に呼ばれるような事なんて最近は……あ、あれがありましたね」

 

「あれしかないわよね」

 

「絶対あれやね」

 

「え、あれ? なんのこと〜?」

 

「ほら、数日前にCDの収録をしたじゃ無いですか」

 

「あぁ!!」

 

 ヴァーツの言葉で思い出したのか、納得したような表情を浮かべるマゼンタ。

 実はダンジョンの件の数日前に、私もようやく人前に出せるレベルまで歌唱力が向上したという事で、それぞれソロ楽曲2つずつと新たに四人でのユニット楽曲を4つの計12曲を新たに作りそれを収録したのだ。

 

「そのCDの発売日が決まって今朝トレンド入りしてましたからね。それでオファーが来たんでしょうね」

 

「なるほど! テレビに出たらもっと多くの人にあたしたちの事知ってもらえるかも知れないし、あたしは出たいなぁ」

 

「う〜ん、流石に緊張するけど……でもそうね。マゼンタの言う通りだわ。サルファとカーネリアンもいい? …………二人とも?」

 

 確かにこれはトレスマジアの存在を世に知らしめるいい機会になるでしょう。ですがいくら私達が正義のヒロインだとしてもそれ以前に私達は中学生……故に一つヴァーツに確認しなければならない事があります。

 

「ヴァーツはん、それよりも先に……」

 

「確認したい事が一つ」

 

「な、なんでしょう……?」

 

「「ちゃんとギャラは出るんですよね(やねんなぁ)?」」

 

「……もちろん出ますよ」

 

「「ならやります(わ)」」

 

「もぅ、二人とも……」

 

 アズール、呆れたような視線を向けないでください。ただでさえ私の趣味はお金がかかるんですから、稼げるときに稼いでおかないといけません。

 それにサルファも銭湯行ったときの入浴代やアイス代なんかを全部奢ったせいで今月金欠って言ってましたからね。死活問題でしょう。

 

「あ、でもベーゼが来たらどうしよう? 流石に乱入してきたら大混乱になっちゃうし……」

 

「大丈夫だと思いますよ。昨日変身アイテム取り返しに行ったとき重傷で寝込んでましたからね。アリスちゃんの能力で回復促進したとしても数週間は悪さをできないかと」

 

「なら安心だね。よーし! それじゃあテレビに出たとき恥ずかしい思いをしないようにこれから猛特訓をしないとね!!」

 

「せやねぇ。やるからには手を抜きたくはないしなぁ」

 

「なら私、カラオケの予約をするわね」

 

 と言うわけで具現化を悪用してのお茶会はこれにてお開きとなり、私達は早速カラオケへと移動……スパルタモードのマゼンタによる文字通りの猛特訓をする事となったのだった。

 

 

 ◇

 

 

 それから数日後、ヴァーツが歌BANBANに出演すると返信した事でバラエティ番組デビューをする事が本格的に確定し、ヴァーツからそれぞれ三枚ずつチケットを配られた。

 なんでも歌BANBANの観覧席のチケットであり、誘いたい人がいればぜひ誘ってあげて欲しいとのこと。

 

 トレスマジアの正体については、エノルミータ組以外には内緒にしてますけど、チケットゲットしたけど用事が合わないからあげるという体で渡せばいいですもんね。

 と言うわけで…………。

 

「お母さん、福引でこれが当たりました」

 

「まぁ」

 

「!?」

 

 取り敢えずお母さんとこりすちゃんは確定ですね。こりすちゃんはエノルミータだから本来呼ぶべきではないですが、お母さんと一緒なら変身出来ないでしょうし、いい子だからこう言う場所では悪い事はしないでしょうしね。

 ……ところでどうしてこりすちゃんは驚いたような表情を浮かべてるんですかね?

 

「へぇ〜、凄いじゃない!! この日ならお仕事もお休みできるし、ちょうど三人分あるからみんなで行きましょう!!」

 

「それが……実はこの日私外せない用事が入ってしまっていて……申し訳ありませんが、こりすちゃんと二人で行って来てくれませんか?」

 

「あらそうなの……寂しいけど仕方ないわよね…………それじゃあこりす。お姉ちゃん一緒じゃないけど、ママと一緒に観に行きましょうか」

 

「…………」

 

「こりす?」

 

『……こりすちゃん、せっかくのお姉ちゃんの晴れ舞台なんです。練習頑張ったからガッカリはさせないはず、是非とも観てくださいませんか? それにほら……お母さんも寂しそうな顔してますよ? せっかくですからお母さん独り占めして思い出作って来てください』

 

「…………ん」コクリ

 

「よーし! それじゃあこの日はママと一緒にデートしましょうね〜♡」

 

 何故か気が進まなそうなこりすちゃんであったが、念話で説得をすると渋々ながら頷く。

 嫌がってるのに無理矢理チケット渡すなんて我ながら最低ですが、それだけ私も観て欲しいんです。文句は後でいくらでも受け付けるので私に時間を下さいね?

 

 さて、後一人についてですが…………

 

「うてな、チケット差し上げます。障害者用の席なので車椅子でも問題ないはず、お母さんに頼んだら一緒に連れて行ってくれるみたいですがどうですか?」

 

『くぁwせdrftgyふじこlp』

 

 という事で最後の一人は、文字で表現できないような声を発しているうてなを誘う事にしました。

 前回は本当にやってくれやがったとはいえ、私にとってうてなは初めての友人と言ってもいい存在。ダンジョンとサルファの件は怪我が治ってからお礼参りする予定ですし、せっかくだから招待して差し上げますよ。

 

「あ、変身アイテムは持って来ないのが条件です。あれ興奮すると自動変身する仕様なんでしょう? うっかり変身なんかされてメチャクチャにされても困りますからね。変身なんかせず一人のファンとして見届けるならば招待してあげます」

 

『もちろんだよ!! せっかくの初バラエティ出演……なんとしても観に行きたかったけど、怪我しててダメってお母さんにもヴェナさんにも言われてて…………あんな酷い事した私を招待してくれるなんて……あなたは神か!?』

 

「神ですえっへん。それじゃあ後でチケット渡しに来ますんで」

 

『レッドカーペット敷いて待ってるね!!』

 

 ……さて、これでよしっと。

 初めてのテレビ出演……流石に緊張してしまいますけど、少し楽しみですね。




 〜おまけ〜

「え? えりすにチケット渡されたからうてなちゃんと一緒に観覧席で見る事になった?」

「ん」コクン

「あ〜、そう言えばあいつトレスマジアだったな〜。せっかく真珠をプロデュースしたのに残念だったな〜」

「てかベーゼのやつにあれだけ酷い目に遭わされたのに招待するとか……前から思ってたけど友人と認識した相手にはなんだかんだ甘いよな。アイツ」

「まぁいいじゃないの、観覧席の方がしっかり見えるんだし。せっかくの真珠とお姉ちゃんの晴れ舞台、しっかりと目に焼きつけなさいよね!!」

「ん」コクリ
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