悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
「さ〜て、これでコイツも最期やなぁ……」
「そうね。マゼンタを誘拐した件について……流石に許す事は出来ないわ」
「えぇ。……だから以前言ったでしょう? 卑怯な手段を用いた場合、負けた際や失敗した際に酷い目に合うから、ここぞと言うとき意外には使わないようにって…………覚悟はちゃんとしてますよね?」
「…………」
私とアズール、そしてサルファはとあるエノルミータの幹部を縛り上げて睨んでいた。
さて、どうして差し上げましょうか? 流石に手荒な事は出来ませんけど、手荒な事をしなくたってエノルミータなんてもうやりたくないと心の底から思わせる事は出来るのでねぇ……。
「んじゃ、まずはマゼンタの居場所吐いてもらおか? ほら、どこに連れてったのかうちらに教えてみ? ん?」
「…………」
「……ほう? ダンマリなんてええ度胸やねぇ。殴り倒されても文句は言わへんな?」
拳を鳴らし始めたサルファを私とアズールで止める。
いつもならばサルファと一緒になって痛めつけようとするのだが、流石に今回の確保したのが彼女ならば怪我をさせる事は出来ない。
「ダメよサルファ。私達が彼女に危害を加えるべきではないわ」
「……ま、しゃあないか。んじゃ、うちらはマゼンタを手当たり次第探すさかい、コイツのことは任せたで?」
「はい。ここは私に任せていただきますよ。…………さぁ、正直にベーゼ達の居場所を吐いていただきますよ。
「……」プクー
◇
時は数十分前まで遡る……
放課後、私達トレスマジアは帰る途中でコンビニに寄ってアイスを食べていた。
「えりすちゃんの雪見だいふくおいしそうだねぇ、一つちょうだい?」
「はるか。それは私に喧嘩を売っていると解釈してよろしいんですね? 考えてみればノワール時代にはなんだかんだでアズール以外とは決着をつけてないですし、いい機会でしょう。路地裏に来なさい」
「なんでぇ!?」
「それは流石にはるかが悪いで」
雪見だいふく一つちょうだいはいくらなんでも許せる案件ではありません。なぜこりすちゃんもいないのに半分をくれてやらないと行けないんですか。絶対差し上げませんからね?
「なら私のパピコ片方と交換しましょう?」
「……取引成立です」
「え〜、小夜ちゃんずるい〜」
ずるくありません。小夜はしっかりと雪見だいふくの対価を支払ってますからね。
雪見だいふくを一つ失うのは惜しいですが、パピコが手に入るならばその分の採算は合っていると言うものです。
雪見だいふく一つ分の対価を持っていないはるかは潔く諦めて、自分のアイスを食べなさいな。
「それにしても毎日あっついねぇ〜……」
「せやねぇ、はよ夏終わらんかなぁ」
「あ、そうだぁ! ノワールモードのカーネリアンが氷をいっぱい具現化するのはどぉ!?」
「却下」
「え〜、それじゃあアズールの真化で氷いっぱい出すとか!!」
「だーめ」
諦めなさいはるか。この暑さがあるからこそ、アイスは特別美味しく感じるんです。そんなアイスを食べるに最適な環境を何故ぶち壊さなければならないんですか。
この暑さに感謝しながら小夜からもらったパピコを食べていると、「真化っちゅうたら……」と薫子が呟く。
「マゼンタの真化はどんなもんなんやろね? あ、あとカーネリアンも」
「私はついでですかそうですか」
「ま、まぁまぁ。……でもあたし達も真化って出来るのかなぁ?」
「私達ができたんだもの。……ねぇ」
「なぁ」
「……そうかぁ、あたしの真化かぁ……」
確かにアズールやサルファが真化を習得して、戦力がインフレし始めてる今、私もそろそろ真化を取得したい所ですね。
なんて言ったって数日前にダンジョンの件のお礼参りをしようとベーゼを呼び出したんですが、また引き分けで終わってしまいましたから……。
あ、ベーゼとはもう三回戦ってるので、割愛しました☆
「だとしたら想いを溢れさせるのが一番なんですが……何かいいきっかけがあればいいんですけどねぇ」
「そうだねぇ…………っ! 小夜ちゃん、薫子ちゃん、えりすちゃん!!」
「えぇ、この反応……エノルミータ!」
「チッ、あいつら懲りもせず……」
「はぁ、こんな暑いときくらい、冷房の効いた部屋でのんびりしていて欲しいものですが……」
まぁ、出てしまったものは仕方がありません。さっさと終わらせてしまいますか。そんな事を考えながらマジアモードにして反応があった所に移動。
今回は…………なんだ、ベーゼとレオとアリスちゃんですか。ならマゼンタにアリスちゃんの相手をしてもらって、私がレオを足止めしてる間に、アズールとサルファの二人がかりでベーゼを殴り倒してもらいましょうかね。
「現れたわねエノルミータ!!」
「今日こそ年貢の納めどきや……」
「え……偽物?」
直後、ベーゼ達はドロリと溶ける。
やられましたね、偽物でしたか……と言うことはどこかに隠れてる筈ですが…………。
そんな事を考えていると、私とマゼンタの真横に転移門が現れる。そして複数本の手が伸びて私とマゼンタの服を掴んでそのまま転移門に引っ張ろうと……。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"!?」
「せい」
「!?」
転移門に引き摺り込もうとする腕を逆に引っ張り返して、私を拉致しようとした犯人のアリスちゃんを引き摺り出して捕まえたが、マゼンタは対応しきれなかったようで、一瞬で転移門に飲まれて消えてしまった。
「拉致が上手すぎる……」
「うち、ちょっとだけ怖い思たわ……」
「ですねぇ、流石に引きます…………さーて、どうしてこんなことしたのか教えてくれますね? アリスちゃん♡」
「…………」ダラダラ
アリスちゃんは私の胸の中で滝のように冷や汗を流していた。
◇
という事でアズールとサルファにマゼンタの反応を追って地道に探してもらう傍で、私はアリスちゃんを縛って自宅に連行すると早速尋問を開始することにした。
最近ベーゼもおっかない事を平気でするようになって来たとはいえ、サルファのときみたいに逆鱗に触れてもないマゼンタをそこまで傷つけないはず。
しかし今の私はマジアカーネリアン! いくら愛する妹が相手だとしても、容赦無くお仕置きをさせていただきますよ!
「それじゃあ、多分マゼンタは脱がされてると思うので、アリスちゃんも服脱いじゃいましょうね?」
ビリビリィ‼︎
「!?」
容赦無くアリスちゃんの服を破いて彼女を下着姿になるまで剥く。
安心して下さい。ここは我が家だから私以外に見てる人なんていませんし、よく一緒にお風呂に入ってますから私に裸を見られても恥ずかしくはないですよね?
いきなり服を破られた事に困惑するアリスちゃんを尻目に私はお母さんの部屋にある、対杜乃姉妹用のお仕置きアイテムを持ってくる。
「!」サー
「あらあら、顔を青くしちゃって。これから何をされるか分かったみたいですねぇ……」
くすぐり棒……募金で貰える赤い羽根を集めて作られた、私達姉妹にとっての恐怖の象徴。私がくすぐられるのが弱点になった原因を作った恐ろしい呪具。
これには私も幼少期に散々な目に遭わされたので、手に持つのも怖いですが……悪い事をしたアリスちゃんをお仕置きする為です。耐えてやろうではないですか。
「や、やあ…………」ガタガタ
「あら、声を出しちゃうほど嫌ですか? 確かにこれは本当に辛いですからねぇ。今ベーゼ達の居場所を教えてくれたらやめてもいいですよ?」
「…………」フルフル
「……流石は我が妹、いい覚悟です」
私もくすぐられるのは弱いですが、アリスちゃんは私以上にくすぐられるのが苦手……。
しかも縛られているから、いつものお仕置きのように途中で逃げる事も至難の業……さぁ、くすぐられるのが辛くなったら自分の口でベーゼ達の居場所を吐いて下さいね?
「こちょこちょこちょこちょ〜…………」
「……! ……!」ジタバタ
「この期に及んで無口を貫けると思ったら大間違いですよ〜。さぁ、吐くのです。そしてごめんなさいと言いなさい」
「……ん……フフッ……」
あら。いつもならばこれですぐに根を上げて降参をするのに今日は耐えますね。
やはり今回はベーゼに迷惑がかかると思っているんでしょうね。全く、仲間思いのいい子なんですから……。
「でもダメです。さぁ吐かないならば、今度は首筋をくすぐっちゃいますよ。ほら、羽根で優しく……やさし〜く撫でられるとゾクゾクするでしょう? 最近はお母さんは忙しくてされてないですけど、昔はよく姉妹揃ってやられてましたねぇ……」
「フハッ……うくッ………………」
「くすぐったいのに逃げられなくて辛いですね。苦しいですねぇ。本格的に笑い出したら呼吸も満足に出来なくなって本当に辛いですよ? さぁ、諦めなさい。私を引き摺り込めなかった時点であなた方の負けだったんです」
「やぁ……やぁああ………………」
「……耐えますねぇ。しかしアリスちゃん、あなたは一つ重要な事を忘れてしませんか? 私の能力でくすぐり棒は増やすことができると言うね!!」
「……!!」
ノワールモードに変身して二つ目のくすぐり棒を具現化すると、アリスちゃんは更に顔を真っ青にして絶望したような表情を浮かべる。
あぁ、かわいい。かわいすぎますよアリスちゃん。その顔は反則すぎます食べちゃいたい……っと興奮している場合ではありませんね。
早速二本のくすぐり棒を両脇に軽く当ててっと…………。
「こちょこちょこちょ〜」
「うあ……ああ…………」
「そろそろ限界でしょう? さぁベーゼはどこです?」
「う……うぅ………………!」ブンブン
「仲間を大事にする良い子ですね。……でもだからこそ地獄を見るってものです」
「んん……んんんんんぅ……!」
くすぐったすぎて涙も出てるのに、この期に及んで首を横に振るアリスちゃんにはもっともっと……もっともっともっと深いくすぐり地獄へ堕ちてもらいますよ。
「断ると言うなら良い声で泣き喚きなさい。くすぐりは趣味ではありませんが、あなたの苦しむ姿は素敵なんですから、もっとお姉ちゃんに見せてくださいな」
ならば更にくすぐり棒追加です。耳筋も首筋も脇も内腿も足裏も……弱い所を全部同時に責めて差し上げましょう。
ほら、こちょこちょこちょこちょ〜……
「ふみゃぁぁああああああああっ!!」ビクビク
〜数分後〜
「…………うぅ」ピクピク
「まさか痙攣するまでくすぐっても吐かないとは……」
その強情さ、我が妹ながら本当に天晴れですね。
ですがどうしましょうか。これ以上は流石に失禁してしまうでしょうし……。
別に失禁してもきちんと後片付けしますし、お母さんなら失禁しても気絶するか泣いて許しを乞うまではやめてくれないんで、お母さんを見習って続けても良いんですが…………。
「…………流石に妹に恥をかかせたくないですしね。今回はこれで許してあげましょう。これに懲りたらベーゼの悪巧みに乗るのはほどほどにしなさいね?」
「…………」コクン
息を整えながら頷くアリスちゃんの頭を軽く撫でてベッドに運んであげると、すぐさま出かける準備をする。
妹から情報を聞き出すのに失敗したならば私もアズールとサルファの捜索を手伝わなければなりませんからね。
ピンポーン
「……なんですかこんな時に……お客様だとしてももっと空気を読んで欲しいものですね……はーい」
変身を解いて玄関のドアを開けるとそこにいたのは真珠とネモだった。
…………。
「よし、あなた達から聞き出しますか」
「はいはい。そう言うと思ったわよ!!」
「はぁ、だから来たくなかったんだよなぁ。ベーゼのやつ…………」
こりすちゃんにお仕置きしたかった、後悔はない。
〜おまけ〜
ナハトベース内にて……
「暇ね〜。どうせベーゼ達しばらく帰って来ないだろうし、ちょっとカラオケで練習付き合いなさいよ」
「昨日も付き合ってやっただろうが。それに今日からソシャゲのイベントあるから別の機会にしろよ」
「アンタね〜、暇があれば毎日毎日ソシャゲばっかりして……『真珠ちゃん!ネモちゃん!大変だよ!!』うわっと!?」
『アリスちゃんがカーネリアンに捕まっちゃった!!』
『……マゼンタとカーネリアンを真化させたいから誘拐するって言ってたのに返り討ちにあっちゃったワケ?プクク〜w』
『だから言ったじゃん。やるにしてもせめて一人ずつの方がいいんじゃねえかって』
『うぅ……悪いけどアリスちゃんの奪還をお願いしていい?』
『いや。自分でやりなさいよ、真珠達まで巻き込まないで』
『て言うかアリスとカーネリアン姉妹なんだし大丈夫だろ。やられるとしてもお尻ペンペンくらいだろうし』
『だってこれからマゼンタを覚醒させるお手伝いをしなきゃですし〜……それにいくら安全だと分かっていても総帥として心配ですし〜……せめて様子だけでも見て来てください』
「…………もう一回退職代行に連絡してみるか」
「そうね。今回は真珠も手伝うから親身になって聞いてくれる所を探しましょ」