悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!? 作:蒼天 極
ベーゼに……いや、エノルミータに報復をすると決めた私達ではあるが、それよりも先にニュースの取材があるのでそっちを優先だ。
エノルミータの方々……せいぜい今のうちに安寧を享受しておきなさいな。
「デビュー曲、ヒットチャート一位おめでとうございます!」
「ありがとございます。これも全て皆様のおかげやと思てます」
「そ、そうネ! それにみみみみ、んなで……が…………あうぅ……」
「アズールはみんなで頑張ったからって言ってます」
「そうだよね。テレビの前で応援してくれてるみんなとあたしたちの努力の成果にバンザーイ!!」
昨日あんな事があったばかりだと言うのにマゼンタは元気ですね。こう言う前向きさは私たちも見習わなければなりませんかね。
「それでは今後の意気込みをお願いします」
「意気込みですか? 急に言われてもなぁ…………オイ、エノルミータ」
「おや?」
突如サルファはいつものはんなりとした作り笑いは絶やさずに、カメラの方にずいっと顔を寄せて中指を立てる。
「この間はマゼンタが世話になったなぁ。ここらで決着をつけようやないの。なぁ? 次会うた時が貴様らの最後やさかい楽しみに待っときよ? ほんま貴様らには我慢の限界や。〇ァック。〇〇〇〇みたく〇して〇〇〇ったるさかいな。〇〇〇が〇はるくらい〇〇って〇〇〇ったあグェッ!?」
無言でポニーテールを結んでいるリボンを解いてサルファの首にかけて締め上げると、白目を剥いてカクリと意識を失ったサルファを担いでから私はカメラに向かって一言……。
「大変お見苦しいものをお見せいたしました」
全くもぅ…………こんな所で宣戦布告しなくてもいいでしょうに……。
◇
その日の夕方、私達は公園に集まっていた。私は家に帰ってない、もし帰ってこりすちゃんの顔を見てしまったら心が揺らいでしまいそうだから。一応こりすちゃんにはメールで今回は来るなと言いつけておきましたけど、流石に今回ばかりは聞かないでしょうしね。
「……これで奴らも飛びついてくるやろ」
「きっと、厳しい戦いになるわ……」
ですね。それに小夜と薫子の本気度からして、ベーゼも中途半端で撤退するなんてバカな真似はしないはず。どちらかが全滅するまでは終わらないでしょうね。
そんな私の横でブランコに座っていたマゼンタが「大丈夫……かなぁ……」と呟く。
「…………はるか、心配しよし。今のうちらはめっちゃ強い。なんかあったら守ったるさかいに。アンタにはでっかいでっかい借りがあるからなぁ」
「……あたし──」
何か言おうとしたはるかだったが、ブンブンと首を横に振るといつものような元気な顔をする。
「んーん! よぉし、三人とも頑張ろ〜!!」
「えぇ!」
「っしゃ! 三人でエノルミータのボケどもを捌き回したろ!!」
「ですね。三人で……って薫子? 人数間違えてます「うぅん。三人であってるわ」え──?」
直後、後頭部に衝撃。犯人は小夜……
…………あぁ、またこのパターンですか……これで二度目ですよ。
そんな事を考えていると、私の視界は暗闇に呑まれ意識も遠のいていった。
「さ、小夜ちゃん!? 何してるの!!」
「……ごめんなさい、今回えりすは置いていくわ」
「コイツとエノルミータの連中とは繋がりがある。……今更ウチらを裏切るとは微塵も思っとらんけど、元同僚と……妹と本気で戦わすわけにはいかんやろ」
「…………」
「大丈夫よはるか、私達だけでも勝てるわ。私達で勝って……そして三人でえりすに怒られましょう」
「すまんな、ウチらだけで勝手に決めて……。はるかは顔に出るさかい、バレると思ったんや」
「そ、そんな事ないもん!! ……でも分かった。そう言う事なら二人に賛成だよ。えりすちゃんには後でちゃんと謝ろ」
「えぇ。……私、えりすを家まで送ってくるわね」
「ウチも行くで。一人やと危険や」
「大丈夫、ネロアリス……こりすちゃんがいたら私の方から来ないように説得しておくわ」
◇
「…………ん、ここは?」
……えーと、私は一体何をしていたんでしたっけ?
回らない頭でぼーっと見てみると私の部屋。私としたことがお昼寝して夕方まで寝てしまったんでしょうか……。
早く晩御飯作らないとこりすちゃんがお腹を空かせてるかも…………おや、これはなんでしょうか?
私の勉強机の上に置かれてあった紙を手に取って中身を読んで見る。
『置いて行ってごめんなさい、エノルミータは私達三人で倒します。あなたを家に運んだとき、こりすちゃんはいなかったから説得は出来なかったけど、出来るだけ怪我をさせずにあなたの元に帰すように努力します。批判やお仕置きは終わった後にキチンと受けるので、お願いだからえりすはここで帰りを待っていて下さい』
直後、私の身体全身を血液が沸騰したような感覚が襲う。
「……思い出しました。揃いも揃ってバカなことを…………!!」
本当にバカなことをしたものです! いくら私とうてな達が友人関係にあるとはいえ、そう言うことをしなくてもいいでしょうに!!
心配しなくてもうてな達を倒す覚悟はとっくに完了していました! たとえ相手がこりすちゃんだろうが、目の前に立ち塞がるなら容赦無くやる覚悟はとっくに完了していました!!
「私が情に引っ張られて手を抜くと思ったんでしょうか? 私が元エノルミータだからと裏切ると思ったんでしょうか? ……舐めないで欲しいものです! こちらはトレスマジアになってからとっくに覚悟は出来ていたというのに……!!」
お願いだからここで待ってて? んなもんお断りに決まっています!!
すぐさま家を出て鍵を閉めると、全力疾走で決戦予定だった場所へ向かう。
まずはベーゼ達を殲滅しましょう。こりすちゃんも来てはいけないと言ったのに来たなら、少々痛い目を見てもらいます。
そしてその後は全員ノワールサンクチュアリに閉じ込めてお死おきをしてやるんですから!!
こんな重大な場面で私一人を除け者にしたことに激しい怒りを覚えながら、全力で戦場へ向かうと既にトレスマジアとエノルミータの全面戦争は始まっていた。
「……っ! アズール!! ったく、負けてるじゃないですか!!」
レオの……レオパルトの滅殺光線シュトラールとロコムジカとルベルブルーメのフォルテッシモ・カノンをたった一人で受けるアズール。
アズールとはよく戦うから分かります。これはアズールでも耐えられる限界を超えている!!
まずは攻撃をやめさせてアズールを回復しなければですね!!
「レオパルト。ロコムジカにルベルブルーメも悪く思わないでくださいね。不意打ちだって立派な戦略です」
全員が今この瞬間に全力を注いでいて、端にいる私に気がついていない。ならば弓矢での不意打ちならば対応することは出来ないでしょう。
狙うは頭……私の矢は魔力でできたものだから死にはしないでしょうが、流石にこの戦闘中はもう動けなくなるはず。
「食らいなさい。マジカルブレイ「それはダメなの。ノワールカーネリアン……いや、マジアカーネリアンと言った方がいいかナっ☆」え──ぐぅ!?」
レオパルト達の頭を炎の矢で射抜こうとした瞬間、背中から灼けるような痛みが走る。背中を斬られたのだ。
背後を見ると、巨大な大剣を持った顔の左半分に仮面をつけたネロアリスと同じくらいの年齢の少女。
「……あ〜。私が言うのもおかしな話ですが……どいつもコイツも、不意打ち大好きですねぇ……」
「油断する方が悪いの☆ ……トレスマジアを助けたいんだろうけど、お前は行かせないよ。ここで指を咥えてトレスマジアがやられるザマを見てるといいの」
「……ふざけた事を言いやがりますねぇ。んなこと言われてはい喜んでと言うはずないでしょうが──おっと!?」
「あれ?」
斬られた傷を炎で止血しながら仮面の女を睨んでいると、突如背後に気配。
横跳びで咄嗟に回避すると、私がいた場所に全身に包帯を巻いた私より年上っぽい女が飛び降りてきていた。
危ない危ない。流石に不意打ちされたばかりだから気づく事ができましたが、一瞬でも遅ければ取り押さえられてましたね。
「もう、何やってるのベルゼルガー? 取り逃しちゃってるよ?」
「ごめんシオちゃん、でも次は逃さないから……エヘヘヘヘヘ…………」
なんですがコイツ……ニヤニヤ笑って気持ちが悪いですねぇ。しかし真化に至った人達二人ですか……流石に私一人では圧倒的に不利ですね。
なんとか一瞬の隙を突いてノワールサンクチュアリに閉じ込めて「ごめんあそばせ。カーネリアン様?」っ!?
直後足場が粘土質なものに変わり足が絡め取られてしまう。
犯人は私の背後に立っていた、二人と違って露出の少ない司書のような服を着込んだ糸目の女性。
「真化出来るメンツが三人も……多勢に無勢ですねぇ。なんか恨みを買うような事しましたっけ?」
「えぇ。なので大人しくどエロいことさせて下さい「ちょっと黙ってるのパンタノペスカ」……あら申し訳ありません」
なんか変な事を言い出した糸目の女性を仮面の女が止めると、急に三人でポーズを取り出した。
「私たちはシオちゃんズ! エノルミータ壊滅の為に集まった魔法少女なのっ♡ そして……それは元エノルミータのキミもターゲットという事…………キミは後にする予定だったけど丁度いいや。お仕置きしてあげるから覚悟してね。マジアカーネリアン?」
……はぁ。
今日は厄日かなんかですか? トレスマジアのみんなとエノルミータと決着をつけようと考えてたのに私一人だけ仲間外れにされた上に、遅れて合流しようとしたら変な三人組に襲撃されて理由は元エノルミータのメンバーだから?
「どいつもこいつも……調子に乗るの……大概にして欲しいものですねェ」
「おっと、本性を現したね?」
直後別に変身しようとしていないのに、エノルミータの変身アイテムが光りノワールモードになる。
だがそれは普段のノワールモードではなく、私の手の甲の星が増えているのか私の手が星で埋め尽くされ真っ黒になっていた。
「こんなになるほど昂り、殺意を抱くのは初めてですねぇ。いいでしょう、返り討ちにして差し上げるのでかかって来なさいな」
「……調子に乗るな☆」
具現化の応用で足元の拘束を自力で解くと、リーダー格であろう仮面の少女に襲いかかった。
明日の朝日、拝めなくしてやろうじゃないですか。
トレスマジアとエノルミータの全面戦争の隣で、カーネリアンはシオちゃんズとの戦いになってしまいました。
果たしてブチギレ状態のカーネリアンはシオちゃんズの三人を倒す事が出来るのか……!?