悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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に、日間ランキング14位? …………あばばばば……………(白目)


この姿が見たければとっとと起きるんですねぇ!!

「なんて素敵な顔してるんですか。ほら、しゃんとしないと殺してしまいますよ? 立ちなさい。まだマジアベーゼを殴り倒してないんですから」

 

 ……とカッコよく言ってみたはいいですが、流石にこれは辛いですね。一瞬でも気を抜いたら持っていかれそうです。

 落ち着け……落ち着きなさい。その殺意はベーゼに向けるんです。今の彼女なら殺意100%の攻撃も耐えられるでしょうしね。

 

 心の内で暴走する殺意をなんとか抑え込んでいると、涙で顔がぐちゃぐちゃだったアズールは頷いて私の手を取り立ち上がる。

 

「……そうね。こんな所で絶望している場合じゃないわ…………」

 

「……良い顔です。さぁ、行きますよ!!」

 

 殴り飛ばしたベーゼは私も敵と認識したようで、奇妙な笑い声を上げながら黒い触手を鞭のようにしならせてくる。

 

「っ!! いったいですねぇ!!」

 

 凄まじい痛みですねぇ。しかも攻撃を受けると同時に胸の奥が冷たくなっていくのを感じます。アズールが絶叫をあげて痛がっていたのも理解できる……今の彼女の攻撃には愛がない。

 しかし……

 

「それがどうしたと言うんですかねぇ!!」

 

『アグッ!? ……キヒッ、アハハ』

 

 赤黒い魔力を纏った拳で彼女の頬を思い切り殴りつける。

 全く、何やってんですかねベーゼは…………あっさり暴走して自身のポリシーに反する事をしまくって……。

 

「いつまでも何やっているんです? 良い加減目を覚ましなさいな!! そして悪の総帥らしく潔く散りなさい!!」

 

『ガッ!』

 

 ベーゼの鞭で叩かれ続けるがそんなものさっきのイミタシオの攻撃に比べたらそこまで痛くもありません。

 しかし叩かれた分はお返ししなければならないと、全力でベーゼを殴り、蹴る。

 サルファの戦い方と同じですが、今私は武器を持ってない上に具現化するとしても、もし暴走してしまったとき武器を持っていたら危険なので許してくださいな!!

 

『……キヒッ!』

 

「っ! カーネリあ"ぁあああああ!!」

 

「アズール!?」

 

 だがその直後ベーゼは自身の掌に魔力を集めると、それを私の鳩尾に押し付けてくる。しかしアズールが私を突き飛ばしたせいで、アズールはベーゼの魔力砲をモロに受けてしまった。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「……えぇ。絶対に負けないわ……!! レオパルト、ロコムジカ、ルベルブルーメの攻撃に比べたら……ッ! こんなもの……ッ!!」

 

「嬉しいこと言ってくれんじゃねーのォ!!」

 

「レオ!? あなたアズールの攻撃を受けて死んだはずでは……!!」

 

「いや、勝手に殺すなァ!!」

 

 ベーゼの両腕を押さえながらアズールの安否を確認していた私だが、その直後包帯を巻いたレオの爆撃がベーゼをぶっ飛ばした。

 いやここは死んでおきなさいよ、展開的に。いっそここで終わらせて差し上げましょうか……あ、いやいや。

 殺意を抑え込んでいると、ロコとルベル……そしてアリスちゃんもこちらに来る。

 

「……! お、おねえ……ちゃん……?」

 

「……安心してください、アリスちゃん。お姉ちゃんこんなになってしまいましたが、一応正気は保っているつもりです」

 

 だからそんな絶望したような表情を浮かべないで下さい。それとも私を誘ってんなわけないでしょうが良い加減落ち着きなさい。

 

「ちょっと、あんたやりすぎよ!!」

 

「ベーゼちゃんがこんなんで死ぬわけねーだろォ!! ベーゼちゃんっ!! マジでずっと何やってんの!? なんかイミわかんないし、かわいくないし、かっこよくない!! 今のベーゼちゃん!! ヤ!!」

 

「そうよアンタ組織のポリシーはどうしたのよ!!」

 

「カーネリアンを見習え! コイツもお前と似たようになってんのに理性残してんぞ!! 目ェ覚ませバカヤロー!!」

 

 そんなエノルミータの呼びかけに対してベーゼはニヤリと笑うと、黒い液体を目や鼻、口から溢れさせる。

 やがてそれは黒い津波のようにこちらに迫って来て……!!

 

「ぐぅうううう……!!」

 

 咄嗟に前に出ると、自身の魔力を放出してベーゼの侵食を無理やり食い止める。

 クソ……本当にメチャクチャですねぇ。理性とか欲望とかを抜きにしても、首を斬り落として死なせてあげたほうがいいんじゃないでしょうか……!!

 

「……っ!? ぐぁああああああ!!」

 

「か、カーネリアン!?」

 

おねえちゃん……?」

 

 だがその直後、堰き止めていた魔力の波から再び触手のようなものが出て来て、今度は私の全身を貫く。そしてベーゼの魔力が再び入って来て……。

 ま、マズイ。理性を保たなければ……落ち着け……落ち着け……落ち着いてミンナコロセ違うチガワナイ殺したら駄メジャナイ殺したら二度とみんなに会えなくナッテモヨッキュウサエミタセレバドウデモよくない…………。

 

「ぐっ……あぁ…………」

 

 コロセ、クルシメテコロさない……大切なものをこの手で壊したくはアル。タイセツニシテキタコリスニ、アズール……コノテデコワシタラココロハミタサレない。後悔で一生苦しむことになラナイ、ヤレ。やらない。ヤレ。やらない。ヤレ!! やらない!!

 

「ぐ……うぅぅううううううう!!」

 

「カーネリアン!!」

 

「おねえちゃん!!」

 

 

 ◇

 

 

 気がつくと私はマジアモードに変身しており真っ黒な空間に一人で佇んでいた。

 

『……なぜ拒むのですか?』

 

「!!」

 

 直後背後を向くと、そこには色黒の肌に目の色が反転し、全身に大量の十字星が浮かんだノワールモードの私が立っていた。

 

『いつまで自分に嘘をつき続ければ気が済むのです。あなたはずっとトレスマジアもエノルミータも壊したいと思っていたのになぜやらない?』

 

「壊したくないからです」

 

『嘘ですね。あなたはずっと能天気なマゼンタを変身アイテムを奪ったサルファを……友達のくせに色々ちょっかい出してくるベーゼを、突っかかってくるレオを、初のアイドルデビューを台無しにしたロコとルベルを……そして、ドMで救いようのないアズールを、言う事を聞かないアリスをこの手で捻り潰したいと思っている』

 

「…………」

 

『理性と欲望は別物だと言わないで下さいよ? どちらもえりすを構成するものなんですから!』

 

「あぐっ!!」

 

 直後、ノワールモードの私……欲望が私を押さえつけ首を絞める。

 恐らくこれは精神体だと言うのに、空気の供給が絶たれて苦しさのあまり苦悶の表情を浮かべていると、欲望はニヤリと危険な笑みを浮かべながら告げる。

 

『全て壊してしまいましょう。大丈夫、師匠も欲求に従って悪の道を進むのもよしと言っていたんです。天国の師匠だって何も言いませんよ』

 

「ぐ……く……!!」

 

『……それにあなたはずっと私を押さえつけて来たでしょう? ならばたまには私が表に出て好き放題してもいいはずです。さぁ、身体の所有権を私に渡しなさい! 事が済んだらキチンと返しますので!!』

 

「……いや……です…………」

 

『ほぉ? ならば先にあなたから殺してしまいましょう。あなたを殺せば私を縛るものはもうなにもな「いい加減にしなさい!!」ぐぅ!?』

 

 私に馬乗りになっていた欲望を思い切り蹴り飛ばすと、悪い事をしたこりすちゃんを叱りつけるように彼女の前に仁王立ちで立つ。

 

「あなたねぇ……定期的に発散させてあげてるのに何言ってるんですか!? ノワールサンクチュアリ内で本物に限りなくそっくりの偽物作っては壊して遊んでますよね?」

 

『偽物じゃ物足りないんですよ!!』

 

「だからって友達や妹に手をかける人がいますか! 私の交友関係の狭さは知っているでしょう!? 彼女たちが死んだら私は一人ぼっちです!!」

 

『だからなんです!? 自分に嘘をついて魔法少女をやるくらいなら一人でいいではありま「このバカッ!!」いった!?』

 

 変な事を口走ろうとした欲望の頬を思い切り殴り飛ばす。全くこの子はなに見当違いな事を言ってるんですか…………。

 

「確かに私が魔法少女を目指したのは、圧倒的な力でいじめっ子どもを血祭りにあげたかったから。否定はしません。師匠はそれを見抜いていたから力を渡さなかった」

 

『そうです。だからこそ力を得たならばやらずしていつやると言うんです「話は最後まで聞きなさい!!」あべし!?』

 

「……師匠と一緒に過ごして心身を鍛えてもらい、そして師匠が亡くなったときに彼女に誓ったはずです。もし魔法少女になれるならば、この力は傷つけるためではなく守るために使おう。師匠のような人間になるために使おうと…………この気持ちに嘘はありません!!」

 

『……!!』

 

「一度は魔法少女を諦めたとはいえ、トレスマジアになった今、殺意だけでなく守りたいと思う心も本心です!!」

 

『……仮にそうだとして、だからと言って守りたいと言う欲望だけを満たして、殺したいと言う欲望を抑えるのはいかがなものですかねぇ!?』

 

「もっと発散したいなら発散させて差し上げますよ、丁度いい三人組がいるのでねぇ!! ……しかしそれは今ではありません。ベーゼの欲望を受けて汚染されてしまったあなたを表に出してはベーゼの……ベーゼを暴走させた何者かの思う壺になりそうですからねぇ!!」

 

『……っ!!』

 

「いいからその趣味の悪い姿を解除して大人しくしていなさい!! このままではみんな死んでしまいます。守りますよ、嘘ではなく私の本心に従って!!」

 

『……はぁ、確かにそうですね。あくまで私はベーゼの魔力に押されて気が大きくなってるだけですもんね。…………いい加減出て行きなさい、友人だからとこんな所まで侵食して良いわけではありませんよ!! はぁあああああああ!!!!』

 

 欲望は一瞬諦めたような顔をしたかと思うと、雄叫びを上げて彼女の身体から黒い魔力を追い出して元のノワールモードの私へと戻る。

 そして欲望は私の元に来るとそのまま身体を重ねるように私の中へと入っていった。

 

 

 ◇

 

 

「カーネリアン!!」

 

「おねえちゃん!!」

 

「…………大丈夫、私は無事です。あとアリスちゃん、声が出ちゃうほど心配してくれたみたいですね。ごめんなさい、ありがとうございます」

 

 深層意識から現実へと戻ると、私の身体は暴走モードではなくマジアモードに戻っており、それだけではなく身体から朱色の魔力が溢れ出していた。

 ……どうやら今の欲望との対話が覚醒のトリガーになったみたいですねぇ。

 

「はぁああああ!!」

 

『ぐぅ!?』

 

 気合を込めると次の瞬間、私の魔力で堰き止められていた黒い波が引火して油のように燃え広がり一瞬で燃え尽きる。

 それを見たベーゼは焦るかのように数歩後ろに下がった。

 

「か、カーネリアン……これって…………」

 

おねえちゃん……」

 

「おいおいマジかよ……」

 

「アズール、サルファに続いてカーネリアンまで……」

 

「……はぁ、悔しいけど任せるわ。アタシの代わりにベーゼちゃん殴り起こして来て」

 

「了解です。…………真化(ラ・ヴェリタ)!!」

 

 ハートのエンブレムを構えてそう唱えた次の瞬間、魔法少女としての衣装が消えて白と朱色の衣装や装甲が新たに私の身を包み、西洋の聖騎士のような姿になる。

 

 

 マジアカーネリアン 紅蓮ノ騎士(ブレイジングナイト)

 

 

「…………喜びなさい、新形態で叩きのめして差し上げます。この姿が見たければとっとと起きるんですねぇ、マジアベーゼ!!」

 

 そう言って朱色のランスを構えた。

 ……もう負ける気はしません、そろそろ夜明けも近いので叩き起こして差し上げましょう!!




 カーネリアン真化

 紅蓮ノ騎士──マジアカーネリアンが魔法少女の変身アイテムで真化した形態。全体的な火力が上がった上、武器がランスになったため近距離での戦いに対応できるようになった。
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