悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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敗者風情が弁えたらいかがですか?

『アヒヒ……アヒヒヒヒヒヒヒヒヒィッ!!』

 

 私の真化姿を見た暴走ベーゼは狂ったように変な声で笑いだしたかと思うと、サルファを押し倒していたマゼンタを操りこちらに攻撃させる。

 

「…………」

 

「マ、マゼンタ……ダメェエエエエ!!」

 

「大丈夫です」

 

 焦ったようなアズールを制すと、ランスを地面に突き刺して無手でマゼンタに対して構えをとる。マゼンタの縦ロールがサブアームのように私を殴りつけようとしてくるが、そんな彼女に対して私が行ったのは正拳突き。

 

 私の拳とマゼンタの髪がぶつかり合った直後、凄まじい衝撃が辺りを揺らす。

 なるほど……これが私の真化ですか…………。アズールのように防御するわけでもなく、サルファのように回避をするわけでもない。

 

「攻撃を放って押し勝つ……私は攻撃型ですか! はぁあああ!!」

 

「……!」

 

 マゼンタの髪を拳で押し返してマゼンタをぶっ飛ばすと、そのまま彼女の真下に移動して腕に炎を付与させる。

 

「ブレイジングピュリフィケーション!!」

 

「!!」

 

 そしてそのままマゼンタの鳩尾に炎を纏った張り手を叩き込むと、私の炎は操られたマゼンタの身体に燃え広がり、やがてマゼンタは元の姿に戻った。

 助けてもらった借りは返せましたかね? ……いやまだ足りないかもしれませんね。

 

「す、凄い……浄化の炎…………」

 

「そんな大層なものではないですよ。アズール、マゼンタをお願いします。あと倒れてるサルファを介抱してあげて下さい」

 

「…………わ、分かったわ!!」

 

 意識を失ったマゼンタを担いでアズールに預けておく。

 そして地面に突き刺したランスを引き抜いて、ニヤニヤと笑うベーゼと相対する。

 

『キヒヒ……』

 

「そんなに嬉しいんですか。私の真化が見れて……ならばかかって来なさい。卑怯抜きでねぇ」

 

『キヒヒヒヒハハハハハハハハハァッ!!!!』

 

 狂ったような笑い声を上げながら、黒い触手を鞭のようにこちらに振るってくるがそんな彼女にランスで応戦。

 ノワールモードのランスだったら触手に当たっただけで侵食を受けてしまっていましたが、今のランスは侵食を受けても常に侵食された部分を浄化するため意味がない。

 

『ヒーアハハハハハハッ!!』

 

「ぐぅううっ!!」

 

 いけない調子に乗りすぎましたね。一発もらってしまいました……ですが、先ほども言いましたがイミタシオの毒物のほうが痛みとしてはよっぽど凄まじかったですよ!!

 尋常ではない痛みは完全に無視をして、ランスをベーゼの鳩尾に突き刺す。

 

『ガァアア!?』

 

「お返しです! ブレイジングブラスター!!」

 

『ヒァァアアアッ!』

 

 ベーゼの腹に突き刺さったランスの先端を開くと、そこに炎の魔力を集めて砲撃としてベーゼに放つ。

 

 ランスでお腹にダメージを受けているのに、先端が開いて傷口が開き、炎の砲撃で傷口に炎の攻撃がダイレクトで伝わる…………我ながら最高すぎるコンボですね!!

 

 砲撃をくらい吹っ飛んだベーゼはゆっくり起き上がると、ニヤニヤとした笑い顔をやめずに自身の身体から黒い魔力を放出。それは巨大すぎる鞭となって私に振り下ろされる。

 流石にこれを食らったらペシャンコでしょうし、焼却処分をしようにも大きすぎて間に合いませんね。……ならば

 

「はぁああああっ!!」

 

 ランスを突き出して、鞭に突き刺すと瞬間ランスの先端がドリルのように回転を開始。そのまま穴を掘るかのようにドリルは鞭を掘りすすんで鞭を貫通、そのまま鞭の上にいたベーゼにランスの腹で地面に叩きつけて差し上げる。

 

「さぁ、これでトドメです!!」

 

 ランスを持っていない右手を空に掲げると、そこからマジアモードで愛用していた弓が召喚される。

 その弓は真化した私の魔力を浴びて豪華な装飾になったものに姿を変えると、未だにドリル運動を続けるランスを矢のように引き絞ってベーゼに照準を合わせた。

 

「いい加減目を覚ましなさい。エクシードブレイジングアロー!!」

 

 弓矢によって凄まじい速度で射出されたランスは、ベーゼの胸に突き刺さるとベーゼを貫く。

 そして次の瞬間ベーゼの胸から大量の黒い魔力が噴水のように噴き出し始め、やがてベーゼは元の姿へと戻った。

 

「ベーゼちゃん!!」

 

 元に戻った全裸のベーゼを取り囲むエノルミータの面々。

 ……コイツらどうしましょうかね? そもそも今回の全面戦争はベーゼとレオのやり方に私達がキレたから始まったものですし、ここでしっかりとトドメを刺して変身アイテム破壊した方がいいでしょうか?

 

 チラリと私以外のトレスマジアの中で唯一意識のあるアズールに視線を向けるとコクリと頷く。どうやら彼女達は私が自由にしていいらしい。それならばお言葉に甘えて…………。

 

「……今回は私達の勝ちです。ですが残念な事にあなた達を倒すだけの体力がもう残ってはいません。…………見逃して差し上げるので、これに懲りたらもう少しいい子にして下さいね?」

 

「…………おいバカップル、アリス。逃げんぞ」

 

「……おう」

 

「分かってるわよ」

 

「…………」

 

 気絶したベーゼを背負ったレオが転移門を開くと、「ベーゼちゃんのこと、礼言っとく……ありがと」と呟いてロコルベとともに撤退していった。

 心配をかけてしまったせいで私と離れる事を嫌がるアリスちゃんも「今は敵です。早く帰らないとやっつけますよ? …………お話はお家でね」と脅して先に家に帰してあげる。

 アリスちゃんを見送った直後、凄まじい脱力感に襲われて膝をつくとそのまま変身が解けてしまう。

 

「……くっ」

 

「えりす!?」

 

「……いやぁ、サルファも言ってましたけど、これ本当に疲れますね。しかも今回大分無茶をしてしまったので、数日はお休みをいただいてのんびりしたいところです…………」

 

「そうね。……また銭湯行きましょうか。そして終わった後にケーキバイキングも。私が奢るわ」

 

「本当ですか? ゴチになります」

 

 ……さーて、私達も気絶したはるかと薫子を家に送り届けて、さっさと家に帰って休みましょうか。

 そして明日か明後日は銭湯とスイーツです。今日は激しく動き回りましたし、食べ過ぎてもバチは当たらないでしょうね。

 

「……まさかあの状態のベーゼを倒すなんてね…………」

 

「おっと、あなたは……」

 

 スイーツに想いを馳せていると、近くから私の攻撃を受けてボロボロなシオちゃんズが現れる。

 

「えっと……彼女らは?」

 

「私を襲撃した犯人です。不意打ちをかけられて三人がかりで攻撃されました」

 

「なんですって……?」

 

 小夜が彼女らを睨みつけるが、三人組は涼しい顔。

 本当に嫌な奴らですねぇ。私に魔力が残ってるなら、好き放題弄んで殺すんですが…………。

 

「……あなた達の目的はなに? どうしてカーネリアンを狙ったの!?」

 

「それはね、水神小夜ちゃん。コイツが元エノルミータだからだよ。私たちはエノルミータの壊滅の為に集まった魔法少女なの。…………だからコイツのことも認めるわけにはいかないの」

 

「そして……」と真っ黒な笑顔を浮かべて続けるイミタシオ。

 

「カーネリアンを受け入れたお前達も同罪だよ。……でも私は鬼じゃないから、今ここで魔法少女を辞めるか、カーネリアンを追い出せば見逃してあげるの☆」

 

「ふざけないで!!」

 

 そう言って小夜はアズールに変身してステッキを構える。

 

「カーネリアンも私達の立派な仲間よ! ……友達よ!! それを追い出すだなんて……断じて認められないわ!!」

 

「……あっそう。それなら力づくでもいーの☆」

 

 そう言って大剣を取り出すイミタシオ。

 …………不味いですねぇ。消耗し過ぎて私もアズールも今戦える状態ではありません。それに対してコイツらは私に倒されて時間が空いたことである程度回復しているのでしょう。このままでは負けてしまいますね。……よし。

 

「そんなに怒らなくてもいいじゃないですかアズール。別にコイツらが何を言っても従う理由はこちらにはありませんからね」

 

「……カーネリアン?」

 

「従う理由はない? それはこうしても言えることかな?」

 

「ゔぅ……っ!?」

 

「ぐぅ……!!」

 

 直後、急に背後に回っていたベルゼルガが、私とアズールの頭を掴んで地面に叩きつけたかと思うとイミタシオの背後に控えていたパンタノペスカの能力で手足を地面に縛りつけられ拘束されてしまう。

 

「こ……これは……っ!!」

 

「シオちゃん……あたし言われる前に動けたよ……」

 

「いい子いい子なのベルゼルガ〜♡」

 

「えっ……嬉しい……」

 

「さて、こんな単純な拘束も解けず、カーネリアンに至っては変身も出来ない……この際だから思い知らせてあげるの。どれだけ無様なのかをね」

 

 そう言ってアズールに跨って彼女のお尻を叩こうとするイミタシオに対して、私は嘲笑いながら告げる。

 

「えぇ、無様ですね。後からやってきてそう言うことを言えるお花畑なあなたの頭が。いえ、ガキだから仕方ないものなんでちゅかね〜?」

 

「……なに?」

 

「その通りでしょう? 不意打ちをした上で三対一で襲撃をかけて来たくせに、真化を習得していない私に無様に負けた。真化を習得した三人が束になってですよ?」

 

 正論パンチを喰らったイミタシオは非常に恐ろしい顔でこちらを見るが、していることがあまりに格好悪すぎてそんな顔をしてもむしろ笑えてくると言うもんですね。

 

「であるならばここは潔く撤退でもしていればいいのに、ベーゼと戦って消耗し切ったタイミングを見計らいまるで勝者のように言いたい事を言う。これを滑稽と言わずしてなんと言うんでしょうか? 敗者風情が弁えたらいかがですか?」

 

「あらまぁ……」

 

「き、貴様ァ…………」

 

「シオちゃんいじめる奴は許さない……」

 

 そう言って頭を踏みつけてくるベルゼルガだが、そんな彼女を無視して続ける。

 

「別にやってもいいですよ。あなた達と戦う体力を残さなかった私達の責任ですし潔く受け入れます。ですが今のあなた方が何をしようとも自らを無様と思うのではなく、ただただあなた達のおつむに同情しか出来ませんがねぇ?」

 

「…………いいだろう、貴様の安い挑発に乗ってやる。パンタノペスカ」

 

「かしこまりましたわ〜」

 

 パンタノペスカの拘束から解かれた私達。

 イミタシオは一度ギロリとこちらを睨みつけると、すぐに普段の明るい顔に戻る。

 

「それじゃあ挨拶はこれくらいにしておこうかな。カーネリアンを庇い続けるなら君達も私達の攻撃対象だから覚悟してよねアズール? そして…………次はこうはいかんぞ、覚えていろマジアカーネリアン……!」

 

「捨て台詞お疲れ様です」

 

 シオちゃんズは転移門を開いて帰って行く。

 私と戦って負けていなければもう少し格好がついたんでしょうが、本当に無様な人達ですねぇ。

 そんな事を考えていると、アズールは変身を解除してプルプルと震え始めた。

 

「……勝手に現れて…………勝手な事ばかり言って……カーネリアンを傷つけて……! このままじゃ終われないわ……! もっと……もっと強くなって見せる…………!!」

 

「……ですね。せいぜい今のうちに敵意を剥き出しにしていればいい。近いうちに絶望するのはそちらなのですから」ニヤリ

 

 ……取り敢えず奴らの情報は落ち着いたタイミングでエノルミータとも共有しておかないとですね。

 ……うてなは今回の件で落ち込みそうですから、しばらく活動停止でしょうけど。




 〜おまけ〜

「ふぅ。はるかと薫子、無事に家に運べたわね」

「ですね……はぁ、なんか凄く疲れちゃいました。もう家に帰る気力も湧きませんねぇ」

「な、なら今夜は私の家に泊まっていかない!? 布団一つしかないから一緒になっちゃうんだけど……!!」

「おっと、どうしたんですかそんなに顔を近づけて……でも確かに誰かの家に泊まった事って無いんですよね。こりすちゃんには泊まるって連絡しておけばいいでしょうし、せっかくの機会ですのでお邪魔します」




「スゥ〜……スゥ〜……」

「モガモガ」

(く、苦しい…………寝てる間に無意識でえりすの胸に顔を埋めちゃってたけど、えりすの乳圧……これほどとは…………で、でもこの息苦しさは中々……えりすのいい匂いもセットになって……そっか、ここが天国なのね!!)ハァハァ

(……ん、くすぐった…………あれ? 小夜が私の胸で潰れてる……こりすちゃんもたまにこうなっちゃうし窒息する可能性もあるんで助けないと…………でも凄く眠いし、ドMな小夜なら耐えられますよね。…………それに苦しむ友人の隣で私一人が安穏と眠るのもまた一興…………スゥ)
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