悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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いやそれただの逆恨みじゃないですか

「「あ"────っ!!」」

 

 いつの間にやら私達と共に温泉に入っていたパンタノペスカに驚き悲鳴を上げるはるかと薫子。

 

「なっ……ハァ──ッ!?」

 

「あぁ、私の事はお構いなく、どうぞ続けて下さいまし♡」

 

「なんやおま……ハァ──ッ!?」

 

「ちょ、薫子驚きすぎです。落ち着いてほら深呼吸深呼吸」

 

「えりすちゃんは落ち着きすぎだよぉおおおお!!」

 

 いや、私もちょっとびっくりしましたけど、二人があまりに驚きすぎるものだから一周回って落ち着いたんですよ。

 それにしてもなるほど、修行場の地面がぬかるんでるのも温泉が湧き出たのも全部彼女の仕業でしたか。地面を操るのは知ってましたが温泉を作れるなんてもっと別の事に有効利用した方がいいんじゃないですかね?

 

「お、お前もしかしなくてもパンタノペスカやなぁ!? 今までのは全部貴様の仕業やったんかァ!! あとこの間はようもウチのカーネリアンを三人がかりで手籠にし腐ってくれたなァ!!」

 

「ああもう! お構いなくと申し上げましたのに……あとカーネリアン様の件に関しては彼女の自業自得というものですわ!!」

 

「自業自得……そういえばあなた、私が以前恨みを買うような事をしたかと聞いたときに肯定してましたね。……ですが私あなたに酷い事しましたっけ?」

 

 それを聞いたパンタノペスカはゆらりと立ち上がると、「忘れてしまったのですか? あれだけの事をしておいて……」と憤怒の表情を浮かべる。

 

「ちょ、お前ノワール時代にこいつに何かやったんか?」

 

「だ、だとしたら謝った方がいいよぉ……なんか凄く怒ってるよ!?」

 

「と言われても私彼女になんかやった記憶がないんですよねぇ……」

 

 いや彼女は今変身していて認識阻害がかかってて誰か分かりませんが、もしかしたら秘密裏に処理したいじめっ子の関係者、そうでなくても知らず知らずのうちに彼女を深く傷つけた可能性もゼロではありません。

 

「……申し訳ありませんがあなたは誰です? あれだけの事とは一体どんな事ですか?」

 

 別にパンタノペスカはイミタシオやベルゼルガと比べて、言われたから付き合ってたって感じがしましたからね。内容次第では本当に私の自業自得の可能性もありますし、場合によってはお死おき対象から外して差し上げた方がいいかもしれません。

 私の問いに対してパンタノペスカは頭に怒りマークをつけながら叫ぶ。

 

「オカズが欲しいから服を脱いで被写体になってと頼んだだけなのに、あなた有無を言わずに警察に突き出したでしょう!? おかげで警察の方とお父様に怒られてしまったのですよ!?」

 

「なるほど、確かにそれは私が悪いですね。そういう理由なら集団で襲いかかってきたのも納得というもの…………え、今なんと?」

 

「オカズが欲しいからヌード写真撮らせてと頼んだら警察に突き出しましたわよねぇ!!」

 

 被写体……警察……ええっと彼女はなにを…………

 直後私の脳裏にある日の記憶が蘇る。

 

『ではわたくしは、オカズが欲しいので服を脱いで被写体になっていただいてもよろしいでしょうか!? ウヘヘヘヘ!』

 

『あ、すみません。誰かこのメガネを警察に通報していただいてもよろしいですか? 流石に公衆の面前で襲いかかったらトレスマジアに怒られるんで……』

 

「……あー! あなたはあのときセクハラで警察に補導してもらったメガネの女性ですか!!」

 

「いやそれ完全にアンタの自業自得やん」

 

「いや悪の組織と言うなら普通素直に被写体になってくれるか、私を性的に襲ってドエロイ事するのが常識ではなくて!? エロ同人みたいに……エロ同人みたいに!! だと言うのになぜ悪の組織が司法機関に頼るんですの!? ありえねーですわ!! 警察に突き出された事よりもそっちの方が許せなくってよ!!」

 

 ……いやそれただの逆恨みじゃないですか。

 え、まさかそんなくだらない理由で集団で襲いかかって来たんですか? だとしたら怒りとか通り越して呆れしか出てきませんね……。

 

「そ、そんな理由でカーネリアンに酷い事したの!? だとしたら許せないよ!!」

 

「あ、それは理由の半分ですわ。もう半分は純粋にドエロいことしたかったからですの。わたくし魔法少女やエノルミータにドエロい事できると聞いたから魔法少女になったので!!」(サムズアップ)

 

「胸張っていうなや」

 

 なんですかこいつ……魔法少女にエロい事をするってスタンスはベーゼと同じですけど、見境ない分こいつの方がタチ悪いですよ……。

 薫子もあまりにもあんまりな理由に大きくため息をつきながらも、変身アイテムを取り出す。

 

「下らな過ぎて拍子抜けしてもうたけど、そんな理由なら容赦なくやってええやろ。しばき倒して魔法少女の変身アイテム没収したろ!」

 

「ですね。返り討ちにしたとはいえ三人がかりでボコボコにされたので、今度はこちらが三人がかりでやってしまいますか」

 

「よ、よーし! 行くよ薫子ちゃん、えりすちゃ「させませんことよ〜。え〜い♡」えっ、きゃあああっ!?」

 

 私達が変身するよりも先に、本の意匠が施された杖を地面に叩きつけるパンタノペスカ。その直後お湯がローションに変わり私達は盛大に転んでしまった。

 しまったこの温泉を作ったのがパンタノペスカ。という事は今この場は彼女の独壇場というわけですか……。

 

「な、なんや……アカン、ゆび……そこはぁ……」

 

「ごめ、薫子ちゃ……あぁ!! ぬるぬるでうごきがぁ……」

 

「……おぉう」

 

 見ると、近くにいたはるかと薫子は滑った拍子に69状態になっていた。え、いくらなんでもラッキースケベすぎません?

 しかもこのローションとても滑るから身体を支えることも出来なくて、はるかと薫子も退くことが出来ないどころかより密着するしかなくて…………。

 

「まむ……むぐんむむぅっ……!!」

 

「薫子ちゃんダメ……ダメだよぉっ!!」

 

「……流石にこれは倫理的にアウトなやつではないですかね? ベーゼでもこんな事しませんよ」

 

 と言うかこれ今の薫子には刺激が強すぎますって、鼻血出て倒れたらどうするんですか!!

 だがラッキースケベの原因を作ったパンタノペスカは「はー、シャッターチャンスですわねー」と言いながら、とても良い顔ではるかと薫子の痴態を写真に収めまくる。

 

 …………。

 

 パンタノペスカが二人に夢中になっている隙に無言で変身した私は、飛んで温泉を脱出しながら掌に火球を呼び出すと彼女のスマホへ──

 

「ブレイジングダイナマイト!!」

 

「きゃっ!? ……あ"ぁぁあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!! な、何するんですの!? このスマホには今日撮ったものの他にいろんなドエロいあれやこれやが収められていたと言うのに……!!」

 

「あ、すみません。私、ノワール時代に変身シーンを撮影させられて脅されそうになって以降、スマホの写真機能を使ってる人を見るとそのスマホ叩き壊して差し上げたくなるのでついうっかり……てへ☆」

 

「てへ☆ じゃありませんわ! よくもわたくしのお宝を〜〜!! これはやはりヌード写真やあれやこれやを撮影させていただかなければ許せませ「はるか、薫子! 変身して飛べば脱出できますよ〜!!」あ"…………」

 

「あ、そっか!」

 

「よ、よく考えればそれもそうやね…………!!」

 

 スマホを破壊されてブチギレるパンタノペスカを完全無視して二人にそう告げると、はると薫子はなんとか変身すると、浮遊魔法を駆使してなんとかローション温泉から脱出する。

 それを見たパンタノペスカはようやく自分の置かれた状況を理解したのだろう、顔を青くして数歩後ろへ下がる。

 

「はい、これでようやく三対一で戦えますね♡」

 

「うぅ〜、ぬるぬるで気持ち悪いよぉ……」

 

「ハァ……ハァ……よぉもやってくれたなぁ…………。もう許さへん、念仏唱えろやパンタノペスカァ……!!」

 

「あ、これヤバいやつですわ! それでは急用を思い出したのでごきげんよう!!」

 

「あ、待てやコラァ!!」

 

 全裸でそれはそれは綺麗なフォームで逃げ出したパンタノペスカ。

 それを追いかけようとするサルファを止めると、真化してランスを弓で引き絞る。

 

「エクシードブレイジングアロー!! …………あ」

 

 彼女を貫いてやろうと思ったが、ローションのせいで照準がずれてしまい彼女の足下にランスが突き刺さると次の瞬間爆発。

「これで勝ったと思わない事ですわ〜!!」と捨て台詞を吐きながらパンタノペスカは空の向こうへと旅立ち星になったのだった。

 

「……なんやったんやアイツ、結局何しに来てん?」

 

「……ヌルヌルだしもう帰ろっか」

 

「そうですね。温泉入ったのにお風呂入り直しです……」

 

 パンタノペスカのせいでなんだか精神的に疲れた私達はこのまま解散してそれぞれ帰路についたのだった。

 

 …………襲撃した理由があまりに下らなすぎて一周回って殺意が無くなったんで、パンタノペスカはお死おき対象から外しますか。もう関わりたくないです。




 〜おまけ〜

「あの、小夜さん今日はありがとうございました」

「どういたしまして。何か掴んだようねうてなさん、貴女……目つきがまるで別人のようだわ」

「はいおかげさまで……これならえりすちゃんにも胸を張れると思います。そ、それに小夜さんの方こそ……滝に打たれてる姿がまるでマジアアズールみたいで……」

「へぇ!?」

「あ、すみません。隙あらば好き語りしてしまって……!!」

「い、いえ光栄だわ……? それじゃあ帰りましょうか……!」


 ◇


「フフ、茶番もほどほどにして欲しいの」

「うぇえええん! シオンさま〜っ!!」

「百花おかえりなの。泣いてるけどまさか負けてきたとかじゃないよね?」

「負けましたわ〜。しかもわたくしが今まで集めたセンシティヴな画像を納めたスマホも破壊されてわたくし悔しいですわ〜〜! これでは今夜なにをオカズにすれば……シオンさまオカズになって下さいまし〜!!」

「蘭朶ちょっとこいつ処分してきてほしいの」

「わかった」

 パンタノペスカ……百花はベルゼルガにお仕置きされました。
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