悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

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良い加減起きなさいはるか!!

 学校の終業式や大掃除、あれやこれやが終わりお昼前に学校という名の拘束を解かれた私たちは早々に帰路についていた。

 

「暑いですねぇ……。今日のお昼はそうめんでも作りましょうか、それとも暑いからこそスタミナのあるもので行きましょうか…………」

 

「すごい日差しだよね。毎日……」

 

「でも明日から夏休みだしいっぱい遊べるね〜♡ あ、えりすお前小夜んとこにでも行けよ」

 

「別に良いじゃないですか〜。せっかくの気になる子とのデートの邪魔されたんで今日くらい邪魔させてください」

 

「その件は本当に申し訳なく…………本当に反省します……」

 

 反省してください。別に私と戦うときにワザワザ果し状用意したり、招待状用意したり、普通に出撃して悪の総帥と魔法少女という構図でやらなくとも、キチンとお互い連絡先持ってるでしょう?

 悪の総帥らしくやりたいのは分かりますが、こちらの用事もキチンと考えて貰いたいものです。

 

「で、でも遊びに誘う感覚で呼び出すのはちょっと…………ほ、ほらだって日常生活とか特別や用事なんかのちょうど良いタイミングで悪の組織がやって来てくるのは魔法少女もののお約束「分かりました。では高校受験のときまでエノルミータとの争いが続いていたら、うてなの第一志望の高校の受験日に出撃しますね」……なんでもありません。はい、次からはキチンと連絡して日時を相談いたします」

 

「オメーそれでも魔法少女かよ?」

 

 はい、魔法少女ですよ。しかし魔法少女になったとしても私の性格なんかは据え置きですからね。相手がされて一番嫌な事は──おや?

 直後、腰のあたりに何かがくっついた感触がし、咄嗟にこちらを見るとランドセルを背負ったこりすちゃんが引っ付いていた。

 

「お、こりすじゃ〜ん! お前も今学校終わったの?」

 

「ん」コクリ

 

「なら一緒に帰りましょうか。お昼はサッパリしたものとスタミナがあるもの……どちらが良いですか?」

 

「ん」

 

「ならそうめんにしましょうね」

 

「え、こりすちゃん相槌打っただけなのにどうして分かるの……?」

 

 そりゃ姉妹ですから。こりすちゃんが何を伝えたかなんて声が聞けなくても分かりますよ。……お姉ちゃんとしては喋って欲しいですが、無理矢理話させるのも良くありませんしね。

 

「あら……あなた達も今帰りかしら?」

 

 はるか、小夜、薫子のトレスマジア組がやって来る。

 あ、あはは困りましたね。昨日あんな事があったから小夜とは少しだけ気まずいんですが……いえ、こういう時こそ堂々としないとダメですよね。

 

「はい。これからお昼ご飯食べて、さっさと夏休みの課題を終わらせようかなと」

 

「そうなのね。それは良い事だわ……な、ならこの後一緒にしない?」

 

「分かりました。では後で小夜の家に向かいますね」

 

「え〜、夏休みの宿題早すぎるよ〜。そんなの後にしてまたみんなでいっぱい遊ぼうよ〜」

 

 はるか、それ結局最終日に泣きを見るやつではないですか? ……え? 去年は結局それで小夜に泣きついた? ……薫子あなたキウィと喧嘩してないではるかの勉強見て下さいよ。

 後なんでこりすちゃんは小夜をジーッと睨んでるんですか?

 

「あ、いたいた。うてな〜!!」

 

「真珠ちゃんにネモちゃん……」

 

「あっ、海行ったときに遊んだねぇ!!」

 

「久しぶりね! その制服……お二人は第二中だったかしら?」

 

「あ……そっす……まぁ……」

 

「あれあれ〜、今日は随分とガチガチですねぇネモ?」ニヤニヤ

 

「う、うっせぇ!!」

 

「人見知りしてんのよ……」

 

 なんという偶然か海で遊んだメンツがここに集まったという事で、はるかの提案でこのままみんなで遊びに行こうかという話になる。

 

 チリーン

 

「おや?」

 

 今日みんなで遊びに行くならばそうめんは明日にしようかと考えていると風鈴の音が聞こえる。

 なんとなくそちらを見てみると、アイスキャンディと書かれた台車を押す女の人がゆっくりこちらに来ていた。

 

「冷たいアイス……アイスキャンディはいりませんか?」

 

 この時代にアイスキャンディ売りだなんて珍しいですね。

 甘いものが大好きな私にとってはアイスキャンディは是非ともいただきたいと思うが、あまりにも時代錯誤すぎて少し警戒してしまいますね……。

 

「……」ジー

 

「ダメですよこりすちゃん。お昼を食べてないのにアイスなんて食べたらお昼が入らなくなっちゃいますよ」

 

 嫌な予感を感じてこりすちゃんを連れて数歩後ろへ下がると、女の人は台車から一本アイスキャンディを取り出してキウィに歩み寄る。

 

「おねえさん、アイスキャンディおいしいよ?」

 

「え、いらん。なんかキモいし」

 

「そんなこといわずに……ほら。こんなあついひは、つめたいアイスだよ?」

 

「あ……?」

 

「ほら、ほらほら……」

 

「…………うわ、クソうめ〜」

 

「え?」

 

 アイスキャンディに釘付けになっていたキウィが、女の人からアイスキャンディを受け取ったかと思うとそれを口に入れる。

 流石にそれを見たうてなは看過出来なくなったのだろう。キウィに近寄ると小声で注意をするがそれでもキウィはアイスキャンディを噛み砕くのをやめない。

 

「うめ、うめぇ……うぁ…………」

 

「…………」

 

 …………なぜでしょう。なんか凄く美味しそうに見えて来ました。

 いえいえ、ダメ、ダメです。こういう怪しい人から貰ったものを食べたら良い事はないもの……だから我慢しなければ。

 

「……あの、私にもいっぽん……」

 

「私も……」

 

「真珠……も……」

 

「……あ、赤信号みんなで渡れば怖くないと言いますもんね…………こりすちゃん。行きましょうか」

 

「……ん」コクリ

 

 出遅れてしまったが女の人からアイスを受け取り口に入れてみる。

 あぁ、これ本当に美味しいですね……。舐めて食べ切るタイプの私ですがこれは噛んで食べなければ……あれ? なんかアイスの中から赤い液体が────

 

 

 ◇

 

 

「……ん? ここは…………」

 

 気がつくと私の目の前には知らない天井があった。

 私は確か…………っ!! あのアイスを食べてから記憶がない。きっとあのアイスに睡眠薬でも入っててみんな仲良く誘拐されたってところでしょうか。

 起き上がって周りを確認してみると、隣のボロボロのベッドでこりすちゃんとはるかが寝息を立てていた。

 

「起きてください。こりすちゃん」

 

「……んぅ?」

 

 彼女を揺さぶるとゆっくりと目を開けてくしくしと目を擦るこりすちゃん。

 少し失礼して彼女の身体を確認してみるが……うん、大丈夫。どこも怪我はしてませんね。良かった〜……。っと安心している場合ではありませんね。

 

「さて残りははるかですが……起きてくださいはるか」

 

「ん〜……」

 

「朝ですよ。良い加減起きないと寝坊してしまいますよ〜?」

 

「ん〜……」

 

 …………あ、これ寝起き悪いタイプですね。そう言えばはるかのお母さんも遊びに行ったときに、妹が束になって起こしに行っても起きなくて困ってる〜って愚痴を言ってましたもんね。

 

「……こりすちゃん。手伝ってください」

 

「ん!」コクリ

 

 置いて行っても良いが、そんな事したら薫子に殴られそうなので、こりすちゃんに手伝ってもらって二人がかりではるかを起こす事にした。しかし私が揺さぶっても、こりすちゃんが馬乗りになってはるかの縦ロールを引っ張ってもなかなかに起きてくれない。

 

 ……う〜ん、寝起き悪すぎて少し腹が立って来ましたね。いや、今回はるかも被害者なんで彼女に怒るのは筋違いではあるから、我慢しなければなんですが…………

 

「んあ〜! う〜る〜さ〜い〜!!」

 

「…………こりすちゃん。少しそこどいてくれません? お姉ちゃんと交代しましょう」

 

「ん」コクリ

 

 こりすちゃんに抱いて貰い、今度は私が馬乗りになると掌に息を吹きかけて思い切り振りかぶる。

 

「良い加減起きなさい!!」

 

「へぶっ!?」パァン!!

 

「必死に起こそうとしているのになんですかうるさいって? あなただって起こそうとして起きない子がいたら困るでしょう? 寝ぼけてるからってなんでそんな事言うんですかはるか?」

 

「えぶっ!! あばぁっ!?」パァン!! スパァン!!

 

 さて、このままいつぞやの時のように頬がリスみたいにパンパンになるまでビンタしても良いんですが、流石にそれははるかが可哀想ですかね?

 流石にここまでやったら起きてくれるでしょうし苦しいだろうから馬乗りになるのもやめて「スピ〜……えへへぇ、もう食べられないよぉ…………」

 

 …………。

 

 パァン‼︎ パァン‼︎ パァン‼︎ パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎ パァン‼︎ パァン‼︎ パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン‼︎パァン‼︎パァン‼︎パァン!! パァン!! パァン!! パァン!! パァン!!

 

「……」(눈_눈)←お姉ちゃんも大人げないなぁっと思っている目

 

 

 ◇

 

 

「い……いはいよぉ…………たたきふぎだよぉ……」

 

「す、すみません。途中からちょっと叩くのに夢中になってしまいました」

 

 ですが百発目でようやく起きたはるかも流石にどうかと思います。

 取り敢えず後で回復ポーション具現化しておくので許してくださいね? どうせここにいるのはこりすちゃんだけだから変身しても問題ないでしょうし……いえ、よく考えたらこりすちゃんははるかがマジアマゼンタって知りませんよね? 下手したらバレてしまうんじゃ…………。

 ……ま、バレないようにコッソリ渡せばいいですよね。

 

 頬がパンパンに腫れ上がったはるかは涙目で辺りを見回すと、だんだん顔が真っ青になる。

 

「ほ……ほほってぇ……」

 

「えぇ。どうやらお化け屋敷がなんか見たいですね……」

 

 さて何があるか分かりませんし、気をつけて行動しなければなりませんね。




 えりすはこりす、はるかグループでお化け屋敷を攻略します。

 〜おまけ〜

「ん〜、こりすちゃん常に近くにいるからコッソリ渡すのは無理そうですね……。こうなれば…………こりすちゃん、こりすちゃん」

「?」

「はるかの頬を回復させたいんですが、正体がバレるわけには行きません。具現化使うんで、私の代わりに回復薬塗ってあげて来てくれません?」

「ん」コクリ

(ここは逆転の発想。こりすちゃんにバレないように変身して薬を渡すのではなく、こりすちゃんにはるかはトレスマジアの関係者でないと思わせれば無問題ですよね)

「ん!」

「え、こえって……痛み引いたよ、ありがとーこりすちゃん〜」

「ん」コクリ

(……はるかお姉ちゃんがマゼンタって知ってるから、別に気にしなくても良いのに…………)


※えりすの交友関係でなんとなく察しがついているこりすでした。
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