悪の力? でもそれをどう使うかは私の勝手ですよね!?   作:蒼天 極

74 / 90
弱りきった絶好の機会だというのに逃すと思いましたか?

 ある程度離れてからマジアモードに変身した私は、つい先ほど大量のお化けが走って来た廊下を突き進んでいた。

 と言うのもこの手の物を作る奴らにとって、一番面白くないのは安全なところから見物しているところを引き摺り出されて殴り倒されること。ならば仕掛け人のいる部屋には絶対に辿り着けないようになんらかの対策をしているものであり、裏を返せば対策している場所さえ分かれば仕掛け人がどこで息を潜めているのか分かる物なのだ。

 

「…………見つけましたよ。ここですね?」

 

 先ほどはるかを襲ったお化けの集団がやって来た方向に向かおうとすると、やたらお化けが出るんですよね〜。まるでそっちには行くなと言わんばかりに。

 そしてそんなお化けの群れを超えた先にあったこの扉の向こうから人の気配を感じる……。

 

 ……本当なら蹴破ってやりたいところですが、もしかしたら薫子達の可能性もゼロでは無いですからね。

 ここは上品に入らせていただきましょうか。

 

「お邪魔しますよ〜おっと、はぁ!!」

 

「ぐぅ!?」

 

 扉を開けた瞬間、ベルゼルガがこちらに飛びかかり大鎌を振り下ろして来たので、一歩前に出て彼女の頬を思い切り殴りつける。

 鎌なんて前後で避ければどうって事ないんですよ。

 

「……やはりあなた達の仕業でしたか。シオちゃんズのベルゼルガ、パンタノペスカ?」

 

「…………マジアカーネリアン、来たんだ」

 

「やっべぇ、見つかってしまいましたわ! これから真珠さま達をもっとドエロくプロデュースする予定でしたのに!!」

 

 今度は真珠達ですか、本当に節操がないですねぇ。……と言うかパンタノペスカと相対するのは何気にこれで三回目ですか、本当に勘弁してくださいよね。闘いすぎてなんだか因縁の相手と化しているではないですか。

 

「出来れば関わりたくないのに……」

 

「あら連れませんわね、何回も戦った仲ではありませんか。好敵手と書いて友と読む……ここは戦闘なんてやめてドエロいスキンシップで友好を深め合いません「ペスカどいて、こいつはあたしが相手する」あらベルゼルガ……」

 

 殴り飛ばされたベルゼルガはゆっくりと起き上がると、こちらをギロリと睨みつけてくる。

 あら怖い、そんなに恨まれる事したでしょうか?

 

「シオちゃんに不意打ちしたこと許してないから……さっさと死んで」

 

 そう言って再び大鎌で斬りかかってくるベルゼルガに対し、真化してランスで鎌を抑えて鍔迫り合い状態に持ち込む。

 どうやら前回逃げるときにブレイジングブラスターをくれてやったのを根に持ってるみたいですね。

 やられたくないなら、そもそも喧嘩を売るなと言いたいんですが……。

 

 ……ベルゼルガの能力は血。安全をとるならば血を流させずに追い込まないとダメ……血祭りにあげたいのに本当に嫌な能力の持ち主ですね……。

 

「どうしたの? 攻撃して来ないの……エヘヘヘ」

 

「気持ち悪い笑みを浮かべないで欲しい物ですね」

 

 どうしたものかと考えていると、なんとベルゼルガは自らの歯茎を噛み切りそこから血の刃を形成……あ、これマズイですね、

 

「フッ!!」

 

「くっ! ……汚ないですねぇ!」

 

 咄嗟にランスから力を抜いて鍔迫り合いに押し負ける形で背後に吹き飛ばされながら、吐き出して来た血の刃をランスでガード。

 だが逃さないと言った風に、今度は自らの手を爪で傷つけてそのまま地面を殴りつける。床をつたって血が私の元へ向かったかと思うとそこから血の針が打ち出される。

 

「ぐっ……」

 

「少しお手伝いしますわね〜」

 

「っ!!」

 

 咄嗟に回避できたがベルゼルガに集中しすぎてしまったようだ。パンタノペスカに足を拘束されて動けなくなってしまった。

 

「ペスカ、邪魔」

 

「良いじゃありませんの。彼女にはわたくしも煮湯を飲まされてきているのです。それに全力を発揮できない今がチャンスですわ!」

 

「全力?」

 

「カーネリアン様の炎は下手に使うと建物に引火してしまい、中にいるみんなを巻き込んでしまいます。かと言ってエノルミータの能力を使ったとしても、前回のような雷や必殺技も建物の倒壊の恐れがあるから使えない……つまり今ならドエロいことし放題という事ですわ!!」ハァハァ

 

「キモいからあっち行って。……でもそれなら丁度良いや。エヘヘヘヘヘ……」

 

 おや、痛いところを突かれましたね。

 確かにパンタノペスカの言う通り、私の能力は効果範囲や威力が強すぎるのもあって屋内では全力を発揮出来なくなってしまう。

 私の欠点を正確に見抜くとはパンタノペスカ、考えてるのはエロだけではないと言う事ですか。いえもしかしたらエロへの執着で私達のことを徹底的に分析しているのでは……オェ、考えるのやめましょう。

 

 パンタノペスカの分析力に吐き気を催していると、それは良いことを聞いたとばかりにニヤリと笑いながら距離を詰めて大鎌を振り上げるベルゼルガ。

 ランスで応戦するにしても怪我をさせられない。炎で焼くにしてもあまり考えなしに使ったら建物が燃える。具現化の能力で盾を取り出そうにも間に合わない……はっきり言って絶体絶命の状況でしょう。

 

「…………なんて言うわけないでしょうが?」

 

「ガフッ……!?」

 

 ベルゼルガの大鎌をランスで弾き落としてそのまま彼女の鳩尾をランスで突き刺す。

 それだけでは血が溢れてしまい、至近距離にいる私は反撃を受けてしまうがそれについては無論対策済みです。

 

「ゔ……あつ……いた…………」

 

「焼灼止血って知ってます? 出血させるのが不味いなら出血させないように怪我させれば良いものなのですよ」

 

 彼女を貫いたランスには炎を纏わせており、ベルゼルガを貫くと同時に傷口を焼いて出血しないようにしたのだ。

 この程度の規模の炎ならば使っても建物に燃え移る心配もない上に、止血だけでなく追加で熱のダメージも与えられる……。

 

「確かにあなたは血祭りが大好きな私にとってはやりずらい相手ですけど、あなたにとって私の能力は天敵とも言える能力だったみたいですねぇ!!」

 

「ゔぁ……っ!!」

 

「ベルゼルガ!!」

 

 ランスを振ってパンタノペスカの方へベルゼルガを投げ飛ばすと、彼女は土を操ってベルゼルガを上手くキャッチ。

 そのときにちゃっかりベルゼルガの胸やお尻を揉んでいるのは流石と言える。仲間にもそんなんなんですか?

 

「まぁ良いです。今の一撃は割と深かったですし、先ほどのように激しく動く事は出来ないでしょう。……ではあと厄介なのはあなただけですねぇ、パンタノペスカ? いい加減因縁を終わらせようではないですか」

 

「くぅ……まだドエロイことをしてないのに、そんな事出来なくってよ!!」

 

 そう言って杖の尻を地面に叩きつけようとした次の瞬間、目の前に光の門が現れそこから息を荒げたイミタシオが現れた。

 

「い、イミタシオ様! 丁度いいところに。わたくし達、絶賛ピンチで「ペスカ……黙って」!」

 

 助けを求めようとしたパンタノペスカを止めるベルゼルガ、一体どうしたのかと考えているとタダでさえ息が荒かったイミタシオは更に息を荒くしたかと思うと「あ"あ"アあ"あ"ア!!」と叫び出す。

 

「あ、あいつ……あいつ……っ! 私のお尻に……ッ!! お尻に触れたなぁ……ッ!!!!」

 

「あら、お尻丸出しの癖にお尻が弱点なんですね。いい事聞いちゃいました♡」

 

「っ!? き、貴様……! マジアカーネリアンだと……なぜここに…………!?」

 

「んなもん決まってるでしょう。主催者を絞め上げるためです。なんだか精神的に参っているみたいですし……追撃すべきタイミングですかねぇ?」ニヤァ

 

「ぐっ!!」

 

 精神的に追い込まれてそれどころではないのだろう。掌から紫色の液体を作り出して水鉄砲のように打ち出してくるが、ランスでガードしながら彼女の元へ歩いていく。徐々に距離を詰めるとイミタシオも不利と悟ったのだろう。冷や汗を垂らしながら数歩後ろへ下がる。

 

「シオン様、逃げましょう! ベルゼルガもこんなんですし今は危険ですわ!!」

 

「ぐっ……マジアカーネリアン、このままでは「それはもう聞き飽きました」っ!?」

 

「うわっ!? あっぶねぇですわ!!」

 

 転移門を開いたパンタノペスカにランスを投げるがギリギリ避けられてしまう。しかし今ので転移門を維持できくなったのか転移門が閉じてしまい、それを見たイミタシオが「き、貴様ァ!!」とギロリと睨んで来る。うん、全然怖くありませんね。

 

「こんなに弱りきった絶好の機会だというのに逃すと思いましたか? それにあなた方との相手もいい加減面倒なのでねぇ。……そろそろ白黒はっきりつけようじゃないですか、真化(ラ・ヴェリタ)

 

 エノルミータの変身アイテムを取り出して掲げると、マジアモードの衣装が消え去り、通常のノワールモードと同じハートの女王モチーフではあるが、棘や爪などの装飾が新たに追加され禍々しい紋様が浮かび上がった新たなドレスを見に纏う。

 

 

 ノワールカーネリアン 殲滅装束(ジェノサイドスタイル)

 

 

「そ、その姿は……トレスマジアだけでなく、エノルミータの真化まで習得していたか…………!!」

 

「えぇ、今この瞬間の為だけに勿体ぶっていたとっておきです。じっくり甚振って殺して差し上げますから良い声で鳴いて下さいな♡」

 

「……調子に乗るななの。いくら真化したとしても我々と同じ条件になっただけでこっらは二人…………次こそは油断しない。絶対的な屈辱を与えてやるの……!」

 

「シオちゃん……あたしも戦う」

 

「ベルゼルガ……やめておくの、凄い怪我だよ?」

 

「大丈夫……やらせて…………」

 

「……好きにするの。無茶はしないんだよ」

 

「あらあら素晴らしい友情ですねぇ……。どちらかが死んだらどんな反応をするのか……あぁ、どちらから殺しましょうか……楽しみですねぇ!!」

 

 ……今のは悪人過ぎますかね? 少し自重しましょう、今はもう魔法少女ですし。

 逃げられないと悟ったイミタシオやパンタノペスカ、そして大ダメージを食らってフラフラなベルゼルガが構える中、こちらも闇真化状態の得物である杖を構えて余裕そうに笑って見せたのだった。




 闇真化はここで使います。だってシオちゃんベーゼにお尻触られて精神的に弱ってるのに、逃す理由なんてないし。

 殲滅装束──ノワールカーネリアンがエノルミータの変身アイテムで真化した形態。具現化を補助する杖を得た事で具現化に必要な魔力が少し減ったようだが、それだけではないようだ……次回ご期待。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。